これからポーランドへ行く方が知っておきたい情報

ポーランド妊娠・出産事情、ココがちがう!無料で出産できるってホント?

ポーランドの妊娠・出産事情
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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この記事の内容
 ポーランドで妊娠・出産する可能性がある、または妊娠したという方、実際に住んでいるとはいえ外国での妊娠生活は不安がつきものですよね。おそらく、一番の心配のタネは言葉だと思います。だから、アレコレ分からないことがいっぱい…。
 
 私はポーランドで初めての妊娠と出産を経験しました。妊娠当時、日常会話は話せても妊娠や産科用語までは把握しておらず、未知の単語が出てくる度に気になったものです。当記事では、そんなかつての私のように疑問を抱く女性に向けて【ポーランドの妊娠いろは】を紹介します!

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この記事の目次
ポーランドの妊娠・出産環境は◎
公立と民間、どっちに行く?
  公立なら出産までほぼタダ!
  民間の検診&出産費用は6万円〜
  両方に共通する日本との違い

帝王切開が多い?主な分娩方法
助産師とドゥーラのすすめ
その他、知っておくべきこと4つ
日本対ポーランドの月数早見表
妊娠・出産に関する記事一覧
この記事のまとめ
総じて良かった!海外出産体験談まとめ|新生児の我が子もお見せします♪

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ポーランドの妊娠・出産環境は◎

ママと赤ちゃん まず一番最初に伝えておきたいのは、ポーランドでの妊娠と出産、そして医療水準に不安を抱える必要はないということです。

私は特に海外びいきの人間ではありませんが、もし2人目を授かったとして、日本とポーランドのどちらかでの妊娠生活・出産を選べるならポーランドを選択すると思います。

なぜなら、日本ではまだ承認されていない流産・早産対策や新薬を使えるから。
私も、何度かそのメリットを体感しました。

ペッサリー施術 例えば、私が妊娠初期の不正出血時に使用したホルモン剤も、早産予防のペッサリー施術も日本ではまだ一般的ではありません。
つまり、万が一の際の対処法が多いので安心という風に捉えることもできると思います。

とは言っても、日本は「赤ちゃんがもっとも安全に生まれる国」のひとつです。
日本もポーランドも医療技術は高水準であり、どちらがより優れているかという問題ではないので、結局は当人の女性次第でしょう。
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181ヵ国の妊産婦死亡率
順位 国名 10万人単位
178-181 ポーランド、他3国 0.003%
172-177 イタリア、他5国 0.004%
167-171 日本、他4国 0.005%
162-166 デンマーク、他4国 0.006%
1 シエラレオネ 1.36%

Maternal mortality ratio 2015

ピオトル
新生児死亡率は1,000人あたり日本は0.9人、ポーランドは2.8人。ポーランドでは、胎児の先天性障害による中絶が原則できないから少し高いのかも。

 

公立と民間、どっちに行く?

ポーランドの医療機関は大きく分けて、原則医療費無償の公立(publicznyプブリチュヌィと有料の民間(prywatnyプリヴァトヌィの2つがあります。

妊婦検診も分娩も、公的医療保険(NFZ)を適用できるというのがポイント。
私のように検診は民間クリニック、緊急時と出産は公立病院という人も多いでしょう。

 

公立なら出産までほぼタダ!

お金 実は多くの欧州諸国同様、公立病院での受診であれば “妊婦検診も分娩費用も自己負担ゼロか、ほとんどタダ” で済んでしまいます。

これって一見、素晴らしいですよね。
でもデメリットもあって、公立病院できちんと満足度の高い医療を受けられることもある一方、利用者が多いゆえの問題もあります。

よくある不満は ❶先生を指定できない、❷民間と比べて妊婦検診の回数が少ない、❸緊急時や出産時を除いて “待ち” が多い、❹毎回エコーしてもらえるとは限らないなど。

ちなみにほとんどの先生は公立と民間を掛け持ちしているため、医師としての知見や技術に大差があるわけではありません
ただ公立だと一人に割く時間が少なく、迷うくらいであれば民間を選ぶといいでしょう。

あやか
私の先生も公立との掛け持ちでした。普段の妊婦検診も、公立病院での入院、分娩時も同じ先生がいてとっても安心。

 

民間の検診&出産費用は6万円〜

ポーランドのお金 私は自費診療で妊婦検診に通いましたが、先生との相性もよく、エコーも毎回丁寧にやってもらえたのでとても満足しています。

妊娠6週〜38週までの計10回の検診や検査代、その他費用諸々でザッと2,772PLN(およそ8万円)の出費でした。
最低2,000PLNはかかるみたいです。

1回の検診料は150PLN、専属助産師さんとの契約に800PLN、切迫早産の緊急入院や分娩+入院費用は公立だったので(オプションの個室代を除き)無料でした。

民間でも日本の出産費用よりはだいぶ安いですが、公立に通えば無料で出産できるので補助券や出産一時金などはありません。
多くのポーランド人にとって、自費診療は大きな負担であることは間違いないでしょう。

あやか
妊娠中に飲むサプリ、ホルモン剤や薬は別途負担。私は全部で2万円程度だったかな?公立ならこれらもほぼ無料!
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人口規模が大きい都市ほど高い
 自費診療は中規模都市や首都では高くなる傾向があります。最も高いところでは、計11回の検診と検査代で3,900PLN、出産費用は6,000〜10,000PLN…。上を見たらキリがありません。公立病院でも医療体制は問題ないので、安心感のためだけに高額な病院を選択する必要はないでしょう。

 

両方に共通する日本とのちがい

私は日本で妊娠・出産していませんが、日本語で調べる中でポーランドと日本では大きなちがいが幾つもあることに気付きました。

日本の妊婦さんにとって大きなストレスの1つは、”体重管理” みたいですね。
ポーランドでも毎回の妊婦検診で体重を記録するものの、体重が10キロ、20キロと増えても怒られることはまずありませんよ。
小さいお腹でも大丈夫
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母子手帳は出産後にもらうもの
妊娠中の記録は妊娠手帳に記す
体重管理はゆるく、栄養指導もない
検診回数は日本より少なめ
出産時は助産師を雇うのも一般的
自然分娩は翌日〜2日で退院
帝王切開でも4〜5日で退院

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帝王切開が多い?主な分娩方法

赤ちゃん 分娩事情はヨーロッパでも各国で大きく異なり、完全無痛分娩がスタンダードになっている国もあればそうじゃない国もあります。

ポーランドでは、基本的に自然分娩ですが【帝王切開が40%近くを占めている=日本のおよそ2倍】というのが実情です。
長時間つづくであろう陣痛の恐怖から、自ら帝王切開を希望する女性が多いのだそう…!

私は自然分娩でしたが、希望すれば当日に無痛分娩、水中出産も可能でした
どの病院も無痛分娩や水中出産に対応しているとは限らないため、これらの出産方法を希望している人は病院に確認しておきましょう。

無痛分娩、水中出産のメリットデメリットは日本語で調べてみてください。
無痛分娩もまた色々種類があるようですが、こちらでは【硬膜外麻酔】が一般的です。

ちなみに、私は日本の小児科医の方をガイドした際に「水中分娩での感染症が原因で障害が残った子を知っている。絶対選んではダメ」という助言をいただいたことがあります。
ポーランドでの出産体験談

 

助産師とドゥーラのすすめ

赤ちゃん 日本は産後も入院期間中は病院側がしっかりとサポートしてくれるみたいですが、ポーランドでの産後ケアは超最低限となります。

公立病院での出産ならそれが当然。
無料で出産したうえに、産後も病院が手取り足取り面倒見てくれたらもう最高ですが…。

そこで検討したいのが、助産師(Położnaポウォジュナ)やドゥーラ(Doula)を雇うこと。
こちらでは産前産後に実母に応援を頼んだり、身内が世話を焼いたりしないため、特別に助産師またはドゥーラと契約する人もいます。
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看護師
私たちの仕事は(健康な)赤ちゃんのお世話をしたり、授乳の仕方を教えることじゃないの。それは他の人の仕事よ。
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Położna ポウォジュナ/助産師
女性のからだや出産に関する医学的な専門知識を持ち合わせており、通常のお産であれば内診や分娩は助産師のみで進めることができる。異常分娩は取り扱いができないため、緊急時は産科医と連携して分娩を行う。

doula ドゥーラ
陣痛中の女性に寄り添って励まし、産前産後の授乳ケア、マッサージ、最初の育児などをサポートする。助産師は医学的な立場で出産を扱うが、ドゥーラは母親と信頼関係を築き、安心感を与えるのが役割である。

日本のドゥーラは授乳指導や乳幼児育児がしっかりできるベビーシッターのような感覚でもあるが、ポーランドでは新生児や子どもの面倒を見てくれるわけではない。
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退院後は地域の助産師が家に訪問してサポートしてくれますが、”産後直後” は夫以外頼れる人がいない状態であることがほとんど。

授乳に関して夫の出る幕はほとんどないし、頼れる女性がいると心強いです。
海外で出産する日本人女性は少なくともどちらか1人を雇うとだいぶ救われるでしょう。

私は800PLNでドゥーラも兼ねる助産師さんを雇いましたが(一人二役の場合もあり)、授乳指導はありませんでした

ただし、誰も雇わなくても出産する病院には助産師や医師もいるし、産後は地域の助産師が自宅訪問してサポートしてくれます
自分で選んだ助産師やドゥーラを雇うのは “安心感を得るため” だと思ってくださいね。

ピオトル
まぁ、君の場合は陣痛がかなり短かったから助産師さんも想定外だったよね。陣痛が短くてむしろラッキーなパターン?
あやか
結果的に時間は短かったけど、陣痛時の付き添いや分娩を扱う人としてこの額は妥当だと思う。後悔は全くなし!
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助産師とドゥーラの料金
 助産師の場合、❶出産前のコンサルタント、❷陣痛が始まって病院に到着してから出産まで、❸産後の自宅での訪問ケアなどを合わせて1,000〜1,500PLN前後が大まかな相場。私の場合、❶と❷のサポートですべて合わせても3時間弱でしたが、陣痛がもっと長くても料金は変わりません。ドゥーラの場合、1時間100PLN前後が目安。
 契約時にどこまでがサポートの範囲内なのか、また出産予定の病院は外部の助産師やドゥーラの同伴を許可しているかなど確認しておきましょう。
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その他、知っておくべきこと4つ

赤ちゃん 日本語ばかりで妊娠や出産について検索していると、意外と最後の最後まで日本との大きなちがいに気付かなかったりします。

特に日本で婦人科すら行ったことのない私からすれば、何もかも初耳だったり。
そこで、個人的に「日本人は知っておいた方がいいかも」と思う点をまとめてみました。
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1. 妊娠期間は “十月十日” ではない
2. 妊娠中は積極的に運動せよ
3. 処方されるサプリが多い
4. 産後すぐに散歩や買い物は当たり前

 

まず❶に関して、日本では4週=ひと月でカウントしますが、ヨーロッパでは月数に含まれる週数が4〜5週だったりします。
どうにか妊娠期間は9ヵ月になるよう調整してあるので、妊娠10ヵ月はありません!

つづいて❷、これはポーランドでは安定期に入るまでに産休を取る人が多いのもあってか、積極的に体を動かすよう言われます。
当然、ハードな運動はNGですが、初期から水泳やスロージョギングをやる人もいます。

そして❸、知らなかったら「どこか悪いのかな?」と不安になるかもしれませんが、妊娠中は複数のサプリが “処方” されます。
葉酸、DHA、マグネシウムなど、日本でも推奨されているものばかりなのでご安心を。

産後の小旅行 最後に❹ですが、欧米では日本のように産褥期さんじょくきを重んじる考えはとても古く、家で1ヵ月も休養なんて言うと笑われちゃいます。

ママは退院後から外出し、赤ちゃんも外に出て日光を浴び、そうすることでママも赤ちゃんも健康的に生活できるという考え。
日本人女性からするとやや賛否両論あるかもしれませんが、私はこの考えに納得です。

産褥期に動き回っていると何十年後かにツケがくる…みたいに言いますよね。
でもこちらではそういった研究データは特にないようで、くれぐれも “産後の特別扱い” はあまり期待しないよう忠告しておきます。

あやか
退院後どころか、入院中に寝てばかりいたら病院の人に呆れられたっけ。あの時はムカってなったけど、今では笑い話!

 

日本対ポーランドの月数早見表

前項で “ヨーロッパの妊娠期間は9ヵ月である” と言いましたが、こちらの表を見ていただければイメージを掴めると思います。

また初期・中期・後期といった言い方はせず、第1期・2期・3期といった区切り方になり、照らし合わせるとズレがあるのも分かりますね(日本の妊娠4ヵ月は中期に相当)。

日本 ポーランド
週数 月数 週数 月数

0〜3 1 1〜4 1

1

4〜7 2 5〜8 2
8〜11 3 9〜13 3
12〜15 4

16〜19 5 14〜17 4

2

20〜23 6 18〜22 5
24〜27 7 23〜27 6

28〜31 8 28〜31 7

3

32〜35 9 32〜35 8
36〜39 10 36〜40 9
40
あやか
同じヨーロッパでも週数と月齢がズレていることもあるよ。月齢は大まかな言い方だから、週数で現すのが無難かな。

 

妊娠・出産に関する記事一覧

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この記事のまとめ
アイコン ポーランドで妊娠と出産を経験した私だからこそ、伝えられることをズラリとまとめてみました。実際にポーランドで妊娠している方も、そうではない方も、女性であれば興味を持てるような内容だったかと思います。まだ妊娠していなくても、このような事前知識があれば “おめでた” の時により実感がわいてくるでしょう。

 私は自由診療で検診に通いましたが、2人目ができたら(たぶん結局また自由診療を選びそうだけど)公立病院も検討したいです。どちらにしても、ポーランドには安心して妊娠・出産できる環境があるので必要以上に悩むことはないでしょう。助産師やドゥーラも口コミを通して依頼する人がほとんどなので、妊娠したら周りのママに聞いてみるといいかもしれません。

 

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あやか
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