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ポーランド語は超難解言語ではありません!まず知っておきたい5つの特徴

ポーランド語の基本知識
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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この記事の内容
 ポーランド語はスラブ語派という系統に分けられる言語で、世間ではロシア語より複雑だとか、世界一難しい言語と言われています。学習前からそんなことを聞けば苦手意識を持つ人が多いでしょう。しかし実際、取り立てて言うほど難しい言語ではありません
 
 当記事では、一般的には超難しいと噂されるポーランド語の主な特徴を5つまとめました。これからポーランド語を学習する、ポーランド語に興味のある方の手助けやモチベーションになれば大変嬉しく思います。いっしょに楽しくポーランド語を勉強していきましょう!
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この記事の目次
ポーランド語って本当に難しい?
32文字のアルファベットがある
名詞は5種類+3つの性がある
7つの格で文を組み立てる
動詞には2つのアスペクトがある
動詞だけで人称や性別が分かる
この記事のまとめ
英語と比較|日本人にとってポーランド語の易しいところを4つ挙げます

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ポーランド語って本当に難しい?

頭を抱える女性

 ポーランド語の習得を目指す方の大多数は、「ポーランド語は難しい」という固定概念に捉われているのでないでしょうか。

 冒頭で「ポーランド語は取り立てて言うほど難しい言語ではない」と言いましたが、だからといって簡単なわけではありません。
でも、世界一難しい言語と一番よく言っているのはポーランド人自身かもしれません

 ポーランド語と英語では文法そのものが違いますが、英検準1級を持っている私から言わせていただくと、ポーランド語は英語に比べて圧倒的に難しい言語ではありません。

 丁寧語など一言一句正しく話さないといけないのなら、日本語だって十分難しいです。

 ポーランド語はパズルのように合理的で体系的な言語であり、そのルールをコツコツ覚えていけば、誰でも日常会話を話せる程度のレベルに到達できる言語だと思ってください。

あやか
かつてポーランドでは120年以上にわたり、母語を公に話すことができませんでした。それでも残っているのはスゴイ!

 

32文字のアルファベットがある

アルファベット

 ポーランド語は見慣れたアルファベットで構成される言語であり、読み方も規則的なので誰でもスラスラと読むことができます。

 正しく発音するのは難しいかもしれませんが、それは特訓するしかありません。

 しかし幸いなことに、ポーランド人にとっては、イギリス人やアメリカ人が話すポーランド語より日本人の話すハッキリした音のポーランド語のほうが聞き取りやすいそうです。

 事実、私もふとしたときにポーランド語と日本語は音が似ていると感じますよ。

 バスや電車に乗っていて、「日本語が聞こえる」って思って振り向くと【実はポーランド人がポーランド語で会話しているだけだった】という不思議な経験が何度もあるので
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ポーランド語のアルファベット
a ąオン b cツェ ć d e
ęエン fエフ gギェ h i jヨット k
lエル łエウ mエム nエヌ ń o ó
p r sエス ś t u w
yイグレク z ź żジュ

※赤い部分はポーランド語特有の文字

ポーランド語のアルファベット
ポーランド語 発音の基本

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名詞は5種類+3つの性がある

名詞の性

 ポーランド語には、生きている・生きていないに関わらず、すべての名詞に男性女性中性」のいずれかの性があります。

 男性名詞はさらに、「人間以外の生物を表す有生名詞」「無生物を表す無生名詞」「人間を表す人間名詞」 の3つに分けられます。

 つまり、名詞の種類は計5つ存在することになり、文によってそれぞれの名詞の語尾を適切なかたちに変えなければなりません。
その規則は名詞の性、単数か複数、そしてどの格(次項で説明)かによって決まります。

 “名詞の性” は名詞の語尾で簡単に見分けることができるのでご安心を。
人名や職業など人間を示す名詞以外(動物や無生物)の性は恣意的に決められています
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男性名詞 … 語尾が子音
      1. 人間以外の生物を表す有生名詞
      2. 無生物を表す無生名詞
      3. 人間を表す人間名詞
女性名詞 … 語尾が -a または -ość
中性名詞 … 語尾が -o, -e, -ę -um

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男性名詞 女性名詞 中性名詞
sokソク
(ジュース)
kawaカヴァ
(コーヒー)
mlekoムレコ
(ミルク)
arbuzアルブズ
(スイカ)
cytrynaツィトリナ
(レモン)
Jabłkoヤブコ
(リンゴ)
kubekクベク
(マグカップ)
książkaクションシュカ
(本)
żelaskoジェラスコ
(アイロン)
facetファツェト
(男性)
kobietaコビエタ
(女性)
dzieckoヂェツコ
(子ども)
piesピエス
(犬)
żyrafaジラファ
(キリン)
prosięプロシェン
(子ぶた)
pociągポチョング
(電車)
rakietaラキェタ
(ロケット)
autoアウト
(車)
世界の半分くらいの言語には性がある

 文法上の性は未来形・過去形の動詞、形容詞にも現れます。例えば、形容詞を辞書で引くと常に語尾が-yですが、このかたちは男性形です。女性(ona/kobieta)が対象となる場合は-a、子ども(ono/dziecko)が対象となる場合は-eと語尾を変える必要があることを覚えておきましょう。
 
例:男性 Jestem szczęśliwy 女性 Jestem szczęśliwa 子ども Jestem szczęśliwe

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7つの格で文を組み立てる

積み木で遊ぶ子ども

 ポーランド語の名詞と形容詞、代名詞などは7つの格に合わせて語尾のかたちが変化し、それら格によって様々な表現ができます。

 日本語も名詞の前に格助詞(は/が/を/と/の/に)を用いることで文節同士の関係を表しますが、それと似たようなもの。

 ただ、日本語のように格助詞をくっつけるだけ…とはいかず、それぞれの格で語尾の音を変えなければならないのが少し厄介です

 7つの格がもつ役割は以下の通り。
単語は必ず主格で覚え、呼格は呼びかけるとき以外はまず使わないので、意識して覚える必要があるのは基本的に5つだけとなります。
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男性名詞 “chłopakフウォパク“(少年)の格変化
主格
主語を表す
chłopak 少年は/が
Ten chłopak jest przystojny.テン・フウォパク・イェスト・プシェストイネ
(その少年はかっこいい)
生格
所有を表す
chłopaka 少年の/を
Dawno nie widziałem tego chłopaka.ダフノ・ニェ・ヴィヂャウェム・テゴ・フウォパカ
(その少年を長く見ていなかった)
与格
間接目的語
chłopakowi 少年に
Muszę coś powiedzieć chłopakowi.ムシェン・ツォシ・ポヴィエヂェチ・フウォパコヴィ
(少年に伝えないといけない)
対格
直接目的語
chłopaka 少年を/が
Bardzo lubię tego chłopaka.バルゾ・ルビエン・テゴ・フウォパカ
(その少年がとても好きだ)
造格
手段や方法
chłopakiem 少年と/で
Idę do kina z chłopakiem.イデン・ド・キナ・ズ・フウォパキェム
(少年/彼氏と映画に行った)
前置格
場所を表す
chłopaku
Zakochałam się w chłopaku.ザコハワム・シェン・ヴ・フウォパク
(少年に恋をした)
呼格
呼びかけ
chłopaku 少年!
Chłopaku, chodź tuフウォパク・ホヂ・トゥ !
(少年、こっちへ来なさい)

 格変化は名詞の性と種類、単数か複数か、語尾の音によってかたちが変わります。また、左側のピンク色の欄に記載している訳は文意によって異なる場合があるので参考程度にしてください。

あやか
格変化表を見るとゾッとするけど、とにかく発音して慣れるのが習得の近道!ここを乗り越えたら随分楽になりますよ♪
ポーランド語の格の用法
ポーランド語 格変化表
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動詞には2つのアスペクトがある

時計

 継続/状態動詞を除きポーランド語の動詞には不完了体・完了体と呼ばれるアスペクトがあり、動詞は2個1セットとなります。

 アスペクトとは、「食べている」や「歩いている」の “〜ている” の部分。
つまり、動作や行動の局面(経過や状態)を指し、時制よりも時間の流れと結果に焦点を当てて動詞を使い分ける必要があります。

 動詞+目的語で構成される単純な文でも、ポーランド語では補語なしで微妙なニュアンスを付け加えることができるのです
逆に言うと、どちらのアスペクトか知らずに動詞を使うと誤解を招くかもしれません…。

 不完了体と完了体は接頭語の有無や、語尾である程度見分けが付きます。
これも慣れれば徐々に自然と使えるようになるので、それまで頑張って覚えましょう
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不完了体 〜動作の継続を表す〜

日常的なことや連続して行われることを示すとき、または何かの最中であったり行為そのものに焦点が置かれているとき。(例:毎朝9時に出勤する、今掃除をしている、まだ宿題をしていない)

完了体  〜結果の状態を表す〜

既に終わったことや、これから先に終わるであろうことを示すとき、または終わらせることに焦点を当てているとき。(例:今からご飯を食べる、明日までに読む、今度こそ終わらせるつもりだ)

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頻出動詞の不完了体と完了体
動詞の意味 不完了体 完了体
行う robićロビチ zrobićズロビチ
読む czytaćチュタチ przeczytaćプシェチュタチ
書く pisaćピサチ napisaćナピサチ
描く malowaćマロヴァチ namalowaćナマロヴァチ
行く iśćイシチ pójśćプイシチ
買う kupowaćクポヴァチ kupićクピチ
助ける pomagaćポマガチ pomócポムツ
電話する dzwonićズヴォニチ zadzwonićザズヴォニチ
洗う myćメチ umyćウメチ
掃除する sprzątaćスプションタチ posprzątaćポスプションタチ
開ける otwieraćオトフィエラチ otworzyćオトフォジェチ
閉める zamykaćザメカチ zamknąćザムクノンチ
ポーランド語の文法アスペクト 不完了体と完了体の使い分け

 

動詞だけで人称や性別が分かる

動詞だけで人称や性別がわかる

 ポーランド語は動詞の語尾のみで人称や性別、時制などを把握することができます。

 例えば、chcieliśmyフチェリシメ(欲しい)という動詞1つには「複数の男性は(なにかを)求めていた」という意味があり、1人称複数/男性/過去形の3つの情報が含まれています。
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1人称…話し手 例:私、私たち
2人称…聞き手 例:あなた、あなたたち
3人称…第三者 例:彼、彼ら

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夫ピオトル
ポーランド語も日本語のように人称代名詞を省略することが多いよ。動詞で人称が分かるから略してもOKなんだ。
あやか
日本語でも位相語いそうごっていう、語尾だけで話し手の性別や年齢を予想できる表現方法があるね。人称は分からないけど…。
夫ピオトル
アニメやマンガとかでよく見かける、〜でよくてよ、〜じゃ、〜だぜ、といった表現がそうだね。面白いなって思うよ!

 

状態動詞 być の活用例
1人称 2人称 3人称
現在 jestemイェステム jesteśイェシテシ jesteścieイェシテシチェ
過去 byłemベウェム byłeśベウェシ byłベウ
byłamベワム byłaśベワシ byłaベワ
byłoベウォ

※名詞の性を考慮するのは過去形のみ

動作や変化を表す一般動詞では、基本的にその語幹に合わせた19種類の語尾(現在形は6、過去形は13)を持ちます。
ただ、上の表を見比べても分かるように、それほど極端に変わるわけではありません。

ちなみに一般動詞を未来形にする場合は状態動詞 być(上の表の動詞)の未来形と組み合わせるか、完了体を使って表します。

語尾変化は漢字でいう部首のようなものであり、語幹に適切な語尾をくっ付けることによって一つの動詞のかたちが完成するのです。

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この記事のまとめ
アイコン 私はポーランド人との結婚にあたってポーランドで生活することになり、ポーランド語を勉強することになりました。最初は大学の初級コースで半年ほど学び、そのあとは144時間のプライベートレッスンを受けました。学校に通っているときは授業後も図書館にこもり、かなり努力して学んだので、その経験からも「ポーランド語は簡単だよ」なんて言えません。
 
 ただ散々と「世界一難しい言語」と聞いてきたものの、それはさすがに大げさだと思います。こまかい語尾変化が多いのは事実ですが、思考を変えると「文が短くても意味をよりハッキリと表せる言語」という見方もできるのではないでしょうか。ネガティブに捉えず、パズルを解くように楽しくポーランド語を勉強しましょう!

 

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あやか
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3件のコメント

キム より:

はじめまして。海外で日本語を専攻している大学生です。
私は言語の勉強が好きで色んな国の言葉を覚えたり、文法を理解したりすることが大好きです! この間、国内の外大に通っている友達から「ポーランド語の文法書あるけどよかったら見てみないん?」と誘われてもらったのですが、いまいち分からなさすぎてとりあえず「スラブ語族に属するメッチャムズい言語」だとは分かりました。で、そこから先は名詞の性や動詞の格、連声みたいなものとか場合によって使い分ける格などが到底難しくて手が出せないんです。。。。。。
それで、どうやったらこんな普段から接する機会の少ない言語を自由自在に使い熟せるか訊いてみたいです!
(因みに私は会話より作文といった書きを中心に勉強する主義です)

はじめまして、管理人の綾香です。
コメントのお返事が遅くなってしまい、すみません。

私はキムさんのように色んな国の言語を覚えたり…というのはしていないですが、認知言語学というのに興味があります。
ポーランド語の文法書はまだ少なく、モノによっては取っつきにくいかもしれませんね。
そういう面では、参考書が豊富なロシア語から文法を学んで、それからポーランド語に入ろうと考えたこともありました。
ただキリル文字を覚えたり、最低限でもロシア語を少し理解する必要もあることから遠回りだと判断し、そのままポーランド語の文法を学ぶことにしました (^ ^;)

文法書の表とか見てしまうとゾッとしてしまうかもしれませんが、その分体系的なので時間をかければ正しい文をつくれます。
本当にパズルみたいで面白い言語です!
作文のほうが得意のようですが、一度youtubeなどでポーランドを聞いてみると、そのうち音の特徴が分かりますよ。

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