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ポーランド語は超難解言語ではありません!まず知っておきたい4つの特徴

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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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この記事の内容
 ポーランド語は言語学的にはスラブ語派という系統に分けられ、ロシア語に近いです。世間ではロシア語より複雑だとか、世界一難しい言語だと言われたり、そう聞けば苦手意識を持つ人が多いでしょう。しかし実際、取り立てて言うほど難しい言語ではありません。
 
 当記事では、表向きには超難しいと噂されるポーランド語の主な特徴をまとめました。このブログには ポーランド語レッスンというカテゴリーもあるので、ポーランド語を学習している方の手助けやモチベーションになれば大変嬉しく思います。いっしょに楽しくポーランド語を勉強していきましょう!
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この記事の目次
ポーランド語って本当に難しい?
名詞には3つの性がある
文を構成するための7つの格
動詞には2つのアスペクトがある
動詞だけで人称や性別が分かる
この記事のまとめ


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ポーランド語って本当に難しい?

ポーランド語の勉強ポーランド語の習得を目指す方の大多数は、「ポーランド語は難しい」という固定概念に捉われているのでないでしょうか。

冒頭で「ポーランド語は取り立てて言うほど難しい言語ではない」と言いましたが、だからといって簡単なわけではありません。
しかし実のところ、「ポーランド語は世界一難しい」と一番よく言っているのはポーランド人なんです(国語の先生がそう言うらしい)!

ポーランド語と英語では文法そのものが違いますが、英検準1級を持っている私から言わせていただくと、ポーランド語は英語に比べて圧倒的に難しい言語ではありません。
丁寧語など一言一句正しく話さないといけないのなら、日本語だって十分難しいです。

一方、ポーランド語はパズルのように合理的で体系的な言語であり、その細かなルールをコツコツ覚えていけば、誰でも日常会話を話せる程度のレベルに到達できると思います。

あやか
ポーランド人は、ポーランド語を誇りに思っているがゆえに「世界一難しい」と言うのかもしれません。18世紀末から120年以上にわたって地図から消され、その間は母語を話すことを禁じられていたポーランド人たち。それでも今、こうして残っているのはポーランド人が守り続けてきたからなんですよね。

ポーランド分割はなぜ起きた?地図から消えた123年間

 

名詞には3つの性がある

名詞の性ポーランド語の名詞すべてに「男性/女性/中性」といった性があります。
例えば、犬(pies/ピエス)は男性、パンダ(panda)は女性、子ブタ(prosię/プロシェン)は中性……といった具合です。

そして男性のみ、「人間以外の生き物を表す有生名詞」「無生物を表す無生名詞」「人間を表す人間名詞」 の3つに分類されます。

男性名詞(3種類)
     ❶ 人間以外の生物を表す有生名詞
     ❷ 無生物を表す無生名詞
     ❸ 人間を表す人間名詞
女性名詞 
中性名詞
つまり名詞の種類は合計5つに分けることができますが、常に男性名詞がどれに分類されるかを考えて文を作る必要はありません。
基本は男性・女性・中性の3つですが、生格と対格(格は次項で説明)を用いる場合は種類を考慮して使い分けることになります。

またこれらの名詞はさらに単数と複数で語尾を変えますが、それはどちらかと言うと格変化の問題なのでここでは省略します。

名詞の性の規則は非常に単純であり、語尾のみで素早く見分けることができます。

男性名詞
męski/メンスキ
語尾が子音
(ごくたまに -a )
女性名詞
żeński/ジェニスキ
語尾が -a または -ość
中性名詞
nijaki/ニヤキ
語尾が -o, -e, -ę -um

実はおもしろい?”名詞の性”の考察と見分け方

 

名詞が性をもつのは異例ではない
 生き物を表さない名詞にも性があるのは、日本人には理解し難いでしょう。しかし、ヨーロッパの多くの言語の名詞には性があり、英語もかつてはそうでした。日本語ではモノや生き物など数える対象によって、枚、匹、尾、頭と数え方を分けたりしますが、これも実は、多くの外国人からすると理解し難い日本語の特徴です。
どの言語にも
ユニークな
特徴があるね

 

文を構成するための7つの格

7つの格ポーランド語の名詞と形容詞は7つの格に合わせて語尾のかたちが変化し、それら格によって様々な文を作ることができます。
文法用語は聞き慣れないでしょうが、日本語にも格助詞という格に似たものがあります。

格助詞とは、「〜が」「〜を」「〜と」「〜の」「〜に」「〜で」といった文節同士の関係を表すもので主に名詞に付きます。
格助詞がなければ文章として成立せず、ポーランド語でも格なしに会話はできません。

さて、7つの格の役割は以下の通りです。

主格  主語を表す
生格  所有を表す
与格  間接目的語を表す
対格  直接目的語を表す
造格  手段や方法を表す
前置格 場所を表す
呼格  呼びかけを表す
単語は必ず主格で覚え、呼格は人を呼ぶとき以外ではまず使わないので、意識して覚えるのは基本的に❷〜❻の5つだけ。

これらの格をどういったように表していくか、男性人間名詞の「少年/chłopak(フウォパク)」を例に見てみましょう。

主格 chłopak 少年は
生格 chłopaka 少年の
与格 chłopakowi 少年に
対格 chłopaka 少年を
造格 chłopakiem 少年と
前置格 chłopaku
呼格 chłopaku 少年!
真ん中の日本語訳は参考程度に書いているので、文意によって訳は変わってきます。

表をよく見ると、生格と対格のかたちは同じであり、また前置格と呼格も同じであることに気付くのではないでしょうか。
7つの格があるからといって一つの単語が七変化するわけではないのでご安心ください。

要するに日本語のように格助詞をくっつけるだけ…とはいかず、単語の語尾の音を変えなければならないのがポーランド語なんです。



※レストラン(主格/restauracja)の前置格は "restauracji" である

日本語は「レストラン」に格助詞「〜に(場所)」を付け加えるだけでよく、「レストラン」という単語の音は変化しない。
ポーランド語は格を使い、「レストラン」という単語の音そのものを変化させる。
"Jestem w restauracja" と主格を用いることはできず、必ず前置格となる。
格の理屈はふんわりとでも分かっていただけたかと思いますが、日本語と表し方の違いはあれどルールは体系的で明確です。

最初は語尾をすり替えるのが面倒でしょうが、ひたすらポーランド語の文に触れれば自然と適切なかたちに直せるようになりますよ!

あやか
格変化は3つの男性名詞、女性名詞、中性名詞、それらの単数/複数、形容詞と数々のパターンがあります。ただ意識して覚えるべき格は5つであり、表にまとめてみるとそれぞれの格変化には多くの共通点があることに気付くでしょう。
 先ほどの「少年/chłopak(フウォパク)」を再び例に挙げ、7つの格で文章をつくりました。

Ten テン chłopak フウォパク jest イェスト przystojny.プシェストイネ
主格 その少年はかっこいい。
Dawnoダフノ nieニェ widziałemヴィヂャウェム tegoテゴ chłopaka.フウォパカ
生格 その少年を長く見ていなかった。
Muszęムシェン cośツォシ powiedziećポヴィヂェチ chłopakowi.フウォパコヴィ
与格 少年に伝えないといけない。
Bardzo バルゾ lubięルビエン tegoテゴ chłopaka.フウォパカ
対格 その少年がとても好きだ。
Idęイデン do kinaキナ z chłopakiem.フウォパキェム
造格 少年と映画館へ行った。
Zakochałamザコハワム sięシェン w chłopaku.フウォパク
前置格 少年に恋をした。
Chłopaku,フウォパク chodźホヂ tuトゥ !
呼格 少年、こっちへ来なさい!

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動詞には2つのアスペクトがある

時計継続/状態動詞を除きポーランド語の動詞には不完了体・完了体と呼ばれるアスペクトがあり、動詞は2個ワンセットとなります。

例えば「食べている」や「歩いている」の「〜ている」がアスペクトと言われる部分で、つまり、動作や行動の局面のことです。

ポーランド語では過去、未来、現在といった時制に関係なく、動作/行動/作業の状態や頻度など、時間の流れや結果に焦点を当てて動詞アスペクトを使い分ける必要があります。

不完了体
〜動作の継続を表す〜
日常的なことや連続して行われることを示すとき、または何かの最中であったり行為そのものに焦点が置かれているとき。(例:毎朝9時に出勤する、今掃除をしている)
◆「読む」の不完了体は czytać

完了体
〜結果の状態を表す〜
既に終わったことや、これから先に終わるであろうことを示すとき、または終わらせることに焦点を当てているとき。(例:今からご飯を食べる、明日までに読む)
◆「読む」の完了体は poczytać
 
さて、日本語で「私は本を読んだ」という意味を問われたとき、言うまでもなく本を読んだという文字通りだけの意味となります。

しかしポーランド語では経過や状態に注目し”czytałam książkę” または “poczytałam książkę” のどちらかを選びます。
動詞+目的語だけで構成されるシンプルな文でも、ポーランド語では補語なしで微妙なニュアンスを付け加えることができるんですね。

また一つの動詞を2ペアで覚える必要がありますが、たいていは接頭語の有無や、語尾のかたちが若干異なるといった程度です。

行くってちゃんとポーランド語で言えますか?

不完了体?完了体?アスペクトの疑問を解決

 

動詞だけで人称や性別が分かる

パズルポーランド語は動詞の語尾のみで人称や性別、時制などを把握することができます。

例えば、chcieliśmyフチェリシメ(欲しい)という動詞一つには「複数の男性は(なにかを)求めていた」という意味があり、一人称複数/男性/過去形の3つの情報が含まれています。

一人称…話し手 例:私、私たち
二人称…聞き手 例:あなた、あなたたち
三人称…第三者 例:彼、彼ら
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ピオトル
ポーランド語も日本語のように人称代名詞を省略することが多いですが、動詞で人称が分かるので略してもOKなんです。それでもあえて「あなたは(Ty)」と人称代名詞を付ける場合、「あなた」を強調しているということですね。

 

状態動詞 być の活用例
一人称 二人称 三人称
現在 jestemイェステム jesteśイェシテシ jesteścieイェシテシチェ
過去 byłemベウェム byłeśベウェシ byłベウ
byłamベワム byłaśベワシ byłaベワ
byłoベウォ

※名詞の性を考慮するのは過去形のみ

動作や変化を表す一般動詞では、基本的にその語幹に合わせた19種類の語尾(現在形は6、過去形は13)を持ちます。
ただ上の表の文字色が赤・青・緑のところを見比べても分かるように、それほど大した差ではないのでややこしくはありません

ちなみに一般動詞を未来形にする場合は状態動詞 być(上の表の動詞)の未来形と組み合わせるか、完了体を使って表します。

語尾変化は漢字でいう部首のようなものであり、語幹に適切な語尾をくっ付けることによって一つの動詞のかたちが完成するのです。

Gdybyを用いて願望や希望を言ってみましょう

あやか
実は日本語でも位相語(いそうご)という、少し似たようなものがあります。例えば、「〜でよくてよ」「〜じゃ」「〜だぜ」といった表現がそう。人称までは分かりませんが、話し手の性別や特徴が想像できますよね。現実で使われることはあまりありませんが、これも日本語の面白い特徴かもしれません。

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この記事のまとめ
アイコン 私がポーランド語を学んだきっかけは、ポーランド人との結婚にあります。最初は大学の初級コースで半年ほど学び、そのあとは144時間のプライベートレッスンを受けました。学校に通っているときは授業後も図書館にこもり、かなり努力しましたが、その経験からも「ポーランド語は簡単だよ」なんて言えません。

 ただ散々と「世界一難しい言語」と聞いてきたものの、それはさすがに大げさです。こまかい語尾変化が多いのは事実ですが、思考を変えると「文が短くても意味をよりハッキリと表せる言語」という見方もできるのではないでしょうか。ネガティブに捉えず、パズルを解くように楽しくポーランド語を勉強しましょう!

【英語と比較】日本人にとってポーランド語の易しいところを4つ挙げます

 

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あやか
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2 件のコメント

  • アバター キム より:

    はじめまして。海外で日本語を専攻している大学生です。
    私は言語の勉強が好きで色んな国の言葉を覚えたり、文法を理解したりすることが大好きです! この間、国内の外大に通っている友達から「ポーランド語の文法書あるけどよかったら見てみないん?」と誘われてもらったのですが、いまいち分からなさすぎてとりあえず「スラブ語族に属するメッチャムズい言語」だとは分かりました。で、そこから先は名詞の性や動詞の格、連声みたいなものとか場合によって使い分ける格などが到底難しくて手が出せないんです。。。。。。
    それで、どうやったらこんな普段から接する機会の少ない言語を自由自在に使い熟せるか訊いてみたいです!
    (因みに私は会話より作文といった書きを中心に勉強する主義です)

    • はじめまして、管理人の綾香です。
      コメントのお返事が遅くなってしまい、すみません。

      私はキムさんのように色んな国の言語を覚えたり…というのはしていないですが、認知言語学というのに興味があります。
      ポーランド語の文法書はまだ少なく、モノによっては取っつきにくいかもしれませんね。
      そういう面では、参考書が豊富なロシア語から文法を学んで、それからポーランド語に入ろうと考えたこともありました。
      ただキリル文字を覚えたり、最低限でもロシア語を少し理解する必要もあることから遠回りだと判断し、そのままポーランド語の文法を学ぶことにしました (^ ^;)

      文法書の表とか見てしまうとゾッとしてしまうかもしれませんが、その分体系的なので時間をかければ正しい文をつくれます。
      本当にパズルみたいで面白い言語です!
      作文のほうが得意のようですが、一度youtubeなどでポーランドを聞いてみると、そのうち音の特徴が分かりますよ。

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