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ここは、ポーランド語の先生でもない私がレッスンをするコーナーです。ん?と思った方はこちらをどうぞ。
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ポーランド語の体系がつかみにくい要因の1つ、アスペクト。
日本語文法にはない概念ですが、このページを読むとその区別がある程度はっきりしてくると思います。アスペクトはそんなに難しくありません!(o^ ^o)
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このページの目次
1. アスペクトってなに?
2. 不完了体を使う場合
3. 完了体を使う場合
4. このレッスンのまとめ
アスペクトってなに?
まず最初に関連記事の “3. 2つの動詞のアスペクト” をご覧ください。
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アスペクトをきちんと使いこなすことが出来ないと大きな勘違いや誤解をまねく恐れがあります。基本中の基本。
今回もたっぷり解説しているので、ゆっくり見ていきましょう。
さっそく例をだしてみます
不完了体 “Czekać” 完了体 “Poczekać”。意味はどちらも「待つ」です。
① Czekam na Ciebie(不完了体)
② Poczekam na Ciebie(完了体)
時制の観点では、①は現在(進行)形で「あなたを待っています」、②は未来形で「あなたを待ちます」になります。
不完了体に、będę のような不規則活用 być の未来形が付け加えられる際は未来形となります。不完了のみであれば現在形、 być の未来形+不完了体は未来形ということです。
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そこで、仕事をしているAと先に仕事が終わったBとの間でこんな何気ないやり取りがあったとしましょう。
A:17時に仕事が終わるよ。
B:じゃあ、待ってるね。
で、あなたはBだとして、①の “Czekam na Ciebie” と言いました。
さてこれは正解でしょうか?
もし、これらを発言した時間が17時になる20分前だとして「あと20分だけだし、それならここで待ってるよ」という意味で①を言ったのなら正解。
でも15時の時点で①を言うのはちょっとおかしいですね。2時間も同じ場所でずっと待たないでしょうから。

だからそういう場合は未来形である②の “Poczekam na Ciebie” か “Będę czekać na Ciebie” と言うのが自然。
じゃあ、”Poczekam na Ciebie” と “Będę czekać na Ciebie” はどう使い分ければよいのでしょうか。またAとBのさっきの会話に戻ってみましょう。
A:17時に仕事が終わるよ。
B:じゃあ、待ってるね。
そこで今度は、”Poczekam na Ciebie” と言いました。未来形の「待つ」。
この場合、あなたは何かしら待つ理由があります。Aの誕生日だからプレゼントを渡したいとか、あるいはAに今日絶対にぶちまけたい文句があるとか。
まあ、そんな特別な意味はなくてもいいのですが、”Poczekam na Ciebie” というのは単純に「あなたが来るまで待つね」と言っているだけ。
単純に、それがポイントです。
ただ “Czekam na Ciebie” でも “Poczekam na Ciebie” でも同じような意味を持つ場合があります。それは17時になる20分前や15分前など待つ時間が短い場合。そういう時はどちらを使っても大して意味は変わりません。
もしこのパターンで “Czekam na Ciebie” と言っていた場合、残業と分かった時点で「じゃあ、先に帰ってるね」と言うこともあり得ますし、仮にBがそう言わなかったとしてもAが終わった時にBがいなかった場合、Aは「あ、遅くなったから帰っちゃったのか」と自然に理解ができます。
しかし、”Poczekam na Ciebie” だったら残業でも待ちます。
もしBがこれ以上待てなくなり、でも “Poczekam na Ciebie” と先に言ってしまっていた際は、Aに先に帰ることをきちんとBに知らせる必要あり。じゃないと、AはBを探しますからね。
これは下の方でも説明しますが、不完了体には終わらせることに焦点がなく、あくまでその過程に注目しているため。対して完了体ではその行為を完了することに焦点があります。
では、”Będę czekać na Ciebie” だと、どんな意味になるのでしょうか。
これは “Czekam na Ciebie” が理解できているのであれば、かんたん。単にその未来形ということです。
このカタチを未来進行形と言いますが、進行形は概してその行為の躍動感を表します。もし「待つ」という過程に焦点があるなら、ポーランド人は自然と “Będę czekać na Ciebie” と言うでしょう。
でもそこまで意識していないなら、”Poczekam na Ciebie” と言います。
では、躍動感とは何でしょう。
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次にこんな会話があったとします。AとBは明日会う時間についてお話し中。
A:明日の13時に会おうよ
B:13時は友達とお昼を食べているから、14時半からでもいい?
ここで、「13時は友達とお昼を食べるから〜」ではなく「食べている」と言うのはなぜだか考えてみましょう。
それは「食べている」、その行為自体を想像しているからです。

未来のことなのに。
でもこれが「待つ」という行為になれば、その行為に注目することは特別な場合を除いてなかなかありません。
だから、”I’ll be waiting”(=”Będę czekać na Ciebie“)より ” I’ll wait for you”(=”Poczekam na Ciebie“)と言った方が自然なんです。
と、文法通りに説明しましたが、実際のところ “Poczekam na Ciebie” も “Będę czekać na Ciebie” も未来形なので同じ意味で使われることがあります。
まったく同じではありませんが、そのちがいが小さすぎるためいちいち区別しないそう。”Czekam” と “Poczekam” は現在形と未来形なので区別しますけどね。
ええ、もうややこしいよ!
と思った方、いえいえ別にそんなにややこしくありませんよ。
こちらの記事でも同じことを書きましたが、完了体と不完了体のちがいって、本当にこれだけのことなんです。
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◆不完了体をつかう場合 日常的なことや連続して行われることを示すとき、または何かの最中であったり行為そのものに焦点が置かれているとき。(例:毎朝9時に出勤する、今掃除をしている ◆完了体をつかう場合 既に終わったことや、これから先に終わるであろうことを示すとき、または終わらせることに焦点を当てているとき。(例:今からご飯を食べる、明日までに読む)
ただ不完了体である “Czekać” が使われる場合は連続的、完了体である “Poczekać” が使われる場合は終わる/終わったことを指しているというだけ。
また、アスペクトの時制は、不完了体で現在・過去・未来の3つ、完了体では過去・未来の2つがあります。
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不完了体 Czekam(私は待っている - 現在)、Czekałam(私は待っていた - 過去)、Będę czekać(私は待っているだろう - 未来) 完了体 Poczekam(私は待つだろう - 未来)、Poczełam (私は待った - 過去)
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現在形は不完了体のみ、と覚えておきましょう。そのため、日常的には相対的に不完了体を使うことが多いです。
ただし現在形を未来形の意味で使うことがあります。これについては、また時制のレッスンでお話したいと思うのですが、現在形が未来形の話をしている中で使われるのは英語でもいっしょ。
もしポーランド人との会話で未来の話をしているのに現在形が出てきても焦らないでください。ふつうのことです。
過去形にしたらどうなる?
それでは、今度は過去形に注目。こう聞かれたとします。
昨日、あれからAを待ったの?
過去のことはもう過去形でしか表しませんから、現在形や未来形が混ざることはまずありません。”Czekałe(a)m” あるいは “Poczekałe(a)m” のどちらかです。
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- Bが “Czekałe(a)m” と言った場合
先ほど説明したように、不完了体というのは躍動感、つまり連続的な動作を指します。だから “Czekałe(a)m” は待つ行為そのものに焦点が置かれているために「待ったよ。2時間も。」とか、長く待っていたことを強調する場合に使います。
「長く」と言付け加えなくても、長く待っていたことが不完了体を使っている時点で読み取れるんですね。
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- Bが “Pozekałe(a)m” と言った場合
単に「うん、待ってたよ」という意味ですから、それ以上の意味はありません。ふつうはこの “Poczekałe(a)m” を使うパターンの方が多いでしょう。
既に遅れいてまだ遅れる場合
さらに踏み込んで、もしAが17時に終わると言ったのにまだ会社から出てこず、17時20分になってからやっと電話でこう言ってきたとします。
ごめん、あと30分かかる
さあ、あなたは、”Czekam” と “Poczekam” のどちらを使いますか?
結論を言うと “Poczekam na Ciebie” と言っておいた方が聞こえはだいぶ良いですね。好印象。でも “Czekam” と言った場合、「もうさっきからずっと待ってるんだよ!分かったよ、待つよ!」みたいな感じに聞こえちゃいます。
なぜだか分かりますか?
それは、不完了体が過程に重きを置いているから。特にこのような遅れている上にさらに遅れるケースなどネガティブなシチュエーションで不完了体を使う際は注意しなければなりません。
もちろん、もしあなたが素直に迷惑している気持ちを伝えたいのであれば、不完了体を使うべきなのですが。
なぜややこしく感じるか
不完了体・完了体(アスペクト)の概念が日本語に存在しないので、これらのルールはややこしく感じて当然。
でもそんなに難しいでしょうか?
アスペクトは、現実的・心情的に完了している事柄なのか、それともそうでないのかで使い分けます。
つまりポーランド語の場合、動詞にもう気持ちがこもっているんですよね。
こんなことをスラスラと言っている私ですが、最初からこの概念を当然のように理解できたわけではありません。先生に聞いても意味が分かりませんでした。
だから、自分からポーランド人達がどんなシチュエーションでどう使い分けているのか聞き分けて、見分けて、それでやっとある程度自然にアスペクトを使いこなせるようになったんです。
分からないと言う前にアスペクトを意識しながら、ポーランド語の文をたくさん読んで聞いてみてくださいね。
不完了体を使う場合
もう少し具体的に、どんな時に不完了体を使うかまとめました。
- 過程に焦点が置かれている時
- 同じタイミングで行われている2つの異なる行為を表す時
- 今、まさに〜している時
- 未来形 być との組み合わせる時
- 習慣や変わらない事実を伝える時
- 結果が分からない時
- 結果はそもそも重要視ではない時
- 能力を伝える場合
こんなフレーズには不完了体
以下の単語が文の中にある場合、不完了体が頻繁に使われます。
- godzinę, dwie godziny, pięć godzin…
- całą noc, cały dzień / weeken…
- dawniej
- przez(時間を強調して)
- od 〜 do 〜, między 〜 a 〜
- zawsze, często, zwykle, czasem… .,
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どれも時間や時の経過に焦点が当てられていることに注目してください。
完了体を使う場合
では、完了体はどんな時に使うのか。平たく言えば不完了体の逆ですが…。
- 瞬間的な出来事を言う時
- 今回のみ(限定)といった場合
- ちょうど今、〜したところ
- 具体的に決まっている時
- 結果を重要視している時
- 結果は分かっている時
- もう終わっていることを言う時
こんなフレーズには完了体
以下の単語が文の中にある場合、不完了体が頻繁に使われます。
- godzinę temu, wczoraj, w nocy…
- w końcu, wreszcie
- nagle
- o 時間-ej
- w (ostatni / zeszły) piątek…
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文中にハッキリといつだったか時間が特定できるフレーズが入っている場合、完了体がよく使われます。
このレッスンのまとめ
今回は「待つ」の動詞だけで説明してしまったので、「他はどうなんだよ〜」と思われた方もいるかもしれません。
でもその代わり、もう「待つ」に関してはカンペキでしょう。
ここで説明した基本概念が分かれば他も同じように使い分けることが出来ると思うのですが、これだけではモノ足りないことは私も分かっています。
今日は記事が長くなったのでこの辺で終わりますが、「まだよく理解できないなぁ」という方は続編にご期待ください☆
最後までお読み頂きありがとうございます☆



去年からポーランド語を独学で学んでいるのですが、完了・不完了体で躓き、心が折れていたところあやかさんのこちらの記事に出会い、その説明のわかりやすさにとても救われました!今までちんぷんかんぷんだった問題集も解けるようになりました、、、!
わかりやすい記事を書いて頂き、本当にありがとうございます😭
管理人の綾香です。
ポーランド語学習、お疲れさまです!
完了・不完了体の概念は一度分かれば「そういうことか」となるのですが、慣れるまでは大変ですよね…。それでも、私なりの解説で理解してもらえたようで嬉しく思います (^ ^)
現在ブログにある記事をすべて書き直しており、各記事のトップ画像に文字が入っていないものはすべて今後再編集予定です。ポーランド語講座の記事もすでにいくつか書き直しているので、ぜひ今後ともチェックしてみてください。
※当記事はまだ書き直していません。