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アスペクトの使い分け|不完了体?完了体?使うべき動詞がよく分かる解説

ポーランド語の文法アスペクト 不完了体と完了体の使い分け
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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ウクライナ支援活動のご報告
ルワンダの教育支援団体設立

 

じっくり読んで学ぼう

 

夫Piotr
ポーランド語のほとんどの動詞には不完了体-完了体のペアをもつ複数の動詞があって、それをアスペクトっていうよ。
あやか
アスペクトは日本語でいうと “〜ている” の部分。ポーランド語の場合は動詞そのものを使い分けることなるから、日本語とは表し方がまったくちがう!
夫Piotr
アスペクトを正しく使わないと誤解されることがあるから、初級レベルのうちに使い分けられるようにしておこう。
ポーランド語の基本知識

新しい動詞を覚えるときは
不完了体・完了体のセットで確認しておくと◎

時間や結果に焦点を当てよう

 不完了体と完了体のペアを持つ動詞の多くは接頭辞の有無で見分けられます。基本的に、接頭辞が付いているものは完了体。しかし podpisywać ⇄ podpisać のように語末のつづりによる違いもあるため、接頭辞=完了体とはなりません。
 
接頭辞の例(青字部分が不完了体)
na – napisać, o – ogolić , po – posmarować, pod – podżyrować, prze – przeczytać, u – uszyć, wy – wypić, z – zrobić, za – zagłosować, od – odrestaurować など

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不完了体 niedokonany(ndk)
今起こっていること、動作の継続を表す

日常的なことや習慣を述べるとき
連続して行われることを示すとき
動作、行為の過程に焦点を置いているとき
まだ終わっていないことを述べるとき
同時に行われている異なる行為を述べるとき
今、まさにやっていることを示すとき
状態動詞 być の未来形と合わせるとき
変わらない事実や能力を述べるとき
結果が分からない、もしくは重要でない場合
 
不完了体と相性のいい単語の例
godzinę, dwie godziny, pięć godzin…(時間の長さを表す), całą noc, cały dzień/weekend, dawniej, przez(時間を強調して), od 〜 do 〜, między 〜 a 〜, zawsze, często, zwykle, czasem など時の経過や頻度を表す語

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完了体 dokonany(dkn)
具体的な事柄、結果の状態を表す

単純に終わったことを述べるとき
終わるであろうことを示すとき
終わらせることに焦点を当てているとき
瞬間的な出来事を述べるとき
ちょうど今やったことを述べるとき
今回のみ(限定)の出来事を述べるとき
具体的に決まっていることを述べるとき
過程より結果を重要視しているとき
結果が分かっていることを述べるとき
 
完了体と相性のいい単語の例
godzinę temu, wczoraj, w nocy…, w końcu, wreszcie, nagle, o 時刻-ej, w(ostatni/zeszły)piątek など時期や時間が特定できる語

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アスペクトの時制は5つ
不完了体 例文(完了体 czekać)
現在形 Czekam.
私は待っている。
過去形 Czekałam.
私は待っていた。
未来進行形 Będę czekać/będę czekał(a).
私は待っているだろう。
未来進行形は “być の未来形(będzie/będę/będą)+動詞の原型または3人称過去形” で表す
完了体 例文(不完了体 poczekać)
未来形 Poczekałe(a)m.
私は待った。
過去形 Czekałam.
私は待っていた。

▲ 現在形は不完了体のみで表せることに注意

 未来の出来事について話す場合、特にその出来事を思い浮かべながら話しているときは(未来のことと前置きしたうえで)現在形を用いることがあります(例:Jutro o tej porze jestem we Włoszech. – 明日の今頃、イタリアにいる)。

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次に具体例を見てみましょう

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“Czekać – 待つ” での例

czekać と poczekać

シチュエーション
 あなたは仲の良い同僚Aさんと同じ職場で働いていますが、それぞれ違う部署です。同日に出勤しているAさんと久しぶりに一緒に帰ろうと思い、Aさんに仕事が終わる時間を尋ねてみました。

同僚Aさん
Skończę pracę o 17:00.
(17時に仕事が終わるよ)
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“Czekam na Ciebie” と返す

 現在形で「(あなたを)待ってるよ」という意味。ふつうに待てる範囲の時間であれば、こう返すのが◎。逆に待つ時間が長い場合、「待っててあげるよ」という風に聞こえて不自然です。なぜなら行為・動作の状況や経過に焦点が当たるのが不完了体だから。また、Aさんから17時直前に「ごめん、あと20分長引きそう」と連絡があった場合、親しい間柄では「まだ待たなきゃいけないの?」という感情を込めて “Czekam na Ciebie” と言っても構いませんが、目上の人に対しては “Poczekam na Ciebie” と返したほうがいいでしょう。

“Poczekam na Ciebie” と返す

 未来形で「(あなたを)待つよ」という意味。この場合、Aさんと一杯やりたいとか、相談事があるなど何かしら待つ理由があるというニュアンスが感じられます。あるいは特に理由などなく、単純に(待っている状態ではなく)”待つ” という行為そのものに焦点が当たっているときもこの言い方が相応しいです。さらに遅れるという連絡があった場合は、”Czekam na Ciebie” より “Poczekam na Ciebie” と返すほうがスマート。

“Będę czekać na Ciebie” と返す

 これは現在形 “Czekam na Ciebie”(待ってるよ)の未来進行形で、直訳すれば「待ってるだろう」です。ただ「待つ」のような躍動感が感じられない動詞の場合、 “Czekam na Ciebie” も “Będę czekać na Ciebie” でも大して意味は変わりません。英語で言うと、”I’ll be waiting”(=”Będę czekać na Ciebie”)と ” I’ll wait for you”(=”Poczekam na Ciebie”)になります。

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 待つ時間が短い場合、”Czekam na Ciebie” と “Poczekam na Ciebie” でも同様の意味となります。また「昨日、Aを待ったの?」と尋ねられた場合、過去形の “Czekałe(a)m” あるいは “Poczekałe(a)m” のどちらかで返せばOK。ただし、完了体は待つ行為に焦点が当たるので「随分と待ったよ」という風に聞こえるかも

短い文章でもどちらの動詞を使うかによってニュアンスが変わる

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あやか
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8件のコメント

石原 より:

去年からポーランド語を独学で学んでいるのですが、完了・不完了体で躓き、心が折れていたところあやかさんのこちらの記事に出会い、その説明のわかりやすさにとても救われました!今までちんぷんかんぷんだった問題集も解けるようになりました、、、!
わかりやすい記事を書いて頂き、本当にありがとうございます😭

管理人の綾香です。
ポーランド語学習、お疲れさまです!
完了・不完了体の概念は一度分かれば「そういうことか」となるのですが、慣れるまでは大変ですよね…。それでも、私なりの解説で理解してもらえたようで嬉しく思います (^ ^)
現在ブログにある記事をすべて書き直しており、各記事のトップ画像に文字が入っていないものはすべて今後再編集予定です。ポーランド語講座の記事もすでにいくつか書き直しているので、ぜひ今後ともチェックしてみてください。
※当記事はまだ書き直していません。

坂巻守男 より:

カスプシュイック綾香さん

坂巻と申します。
いつも楽しく、とても勉強になり感謝しています。
暫くぶりに投稿します。
完了体動詞・不完了体動詞についての質問でございます。

質問①
1週間ぶりに会った友人にたいして、1週間が経ちましたね、と言う場合に、Minął tydzień で宜しいでしょうか。
(理由)今から振り返って1週間が過ぎ去った(過ぎ終えた)ということから完了体動詞minąćを使いました。

質問②
一方不完了体動詞mijać を用いて mijał tydzień とした場合は、「過去のある時期に、1週間が有りましたね」という意識になるのでしょうか。

質問③
教師が生徒に、「読んでください」という場合には、ここを読み終えてください、と言う意味でProszę przeczytać tu.としてみましたが如何でしょうか。

質問④
一方、Proszę czytać tu.とした場合には、どのようなアスペクト意識になるのでしょうか。

以上ですが宜しくご指導くださいますようお願いいたします。

こんにちは、管理人の綾香です。
いつも当ブログをご愛読いただきありがとうございます。
ポーランド語の勉強を継続されているのですね。アスペクトは学習者だけでは正しいのか判断しづらい場合があるので、慣れるまでは迷うことがあると思います。
私も最初は頭の中で色々考えてからアスペクトを使い分けていましたが、簡単なものでもダイアログやYouTubeのインタビューなどを聞いていると徐々に感覚が掴めると思います。

ご質問への回答ですが、①は○、②は状況によるのですが、例えば「もう1週間もメールの返事が来てない」というようなシチュエーションだと mijał tydzień になります。
「過去の”ある時期”に1週間があった」というのは分かるようでよく分かりません(すみません)。実際にそのフレーズを使う際は背景に具体的なシチュエーションがあると思うので、とにかく、自分の中でまだ終わっていない話なら不完了体を使うことになります。
①は単に「1週間ぶりだね」と述べているだけなので、完了体でよいです。

③については、これもシチュエーションによりますが、「読み”終えて”」なので基本的には przeczytać で OK です。先生が生徒に10分の時間を与えて「ここを読んでくださいね」ということであれば czytać でしょうし、読む文章の中にハッキリとした答えや意図があるなら przeczytać を使うことが多いと思います(歴史や理科とかなら czytać より przeczytać を使うことが多そうです)。
契約ごとなどでお店の人から契約内容や注意事項を書いた紙を渡され、お客さんが「○○の時はどうなりますか?」と聞いてきたとき、「ここにちゃんと書いてありますよ」という意味で proszę przeczytać tu と言ったりします。

坂巻守男 より:

「ポーランドなび」楽しく読んでおります。
「完了体・不完了体」及び「自動詞・他動詞」について整理しようと以下のように作文をしてみました。
これで通じるでしょうか。
1 ドアを開ける
Otworzę drzwi.
完了体oworzyćを使いました。
「~てしまう」という事実上未来のことを表すために完了体現在が妥当かと考えました。

2 ドアが開く
Drzwi się otwierają.
Otwierają się drzwi.
(理由1)「不完了体は行為の過程に関心が向けられている」ということからOtwieraćを考えました。
(理由2) 他動詞+się =自動詞と考えました。
ポーランド人は、アメリカ人と違って、自動詞・他動詞のきいたことがありますが、同じように区別を意識するのでしょうか。

3 もうすぐ授業が始まります。
Za chwilę zaczynamy lekcję.
(理由)
「始まる」という願して着眼して不完了体を使いました。

4 もうすぐ授業を始めましょう。
Za chwilę zaczniemy lekcję.
「完了体現在」は事実上未来のことを表すと考えました。

以上です。
宜しくお願いします。

お返事が遅くなってすみません。

1〜4すべて、ニュアンスで使い分ける必要はあるものの文法的には合っています。私もいつも感覚で使い分けていますし、ポーランド人に聞いても「どちらを使っても意味に大差はない」と言われることも多々あるため、坂巻さんは深く考えすぎてしまっているかもしれません。私はポーランド語を大学などで専門的に学んだわけではなく、ほぼ独学ですので、記事に書いた以上のことを補足するのは難しいです。その面ではお役に立てず申し訳ありません。
勉強、がんばってください。私も時間に余裕ができればポーランド語をもう少ししっかり学習して語彙も増やし、いつかポーランド語能力試験を受けてみたいです。

坂巻守男 より:

Ayakaさん

坂巻です。
お礼のメールが遅くなってすみません。
このQ&Aの場所が見つからなくなってしまい、あちこちのQ&Aの箇所を探してやっとたどり着いたしだいでした。

「どちらを使っても大差ない」とのこと、安心しました。
その感覚的なところはネイティブでないとわからないのかなという気がしています。
ポーランドに長くおられるAyakaさんでさえそう言われるの
をお聞きして、
ポーランド語が世界でトップクラスの難しい言葉ということをあらためて思いました。
でも、それだけに勉強する意欲も湧いてきました。
これからも宜しくお願いします。

個人的な意見ですが、言語なので決まった言い方はないと思います。日本語でも、「どちらの言い方でも大差ない」という表現はたくさんありますし、ネイティブならではの感覚もある一方、人によっても言い方は異なるかもしれません。坂巻さんのように独学で、しかもその言語を使う国に住んでおられない場合(つまり実践的に話したり聞く機会が滅多にない)、どの言語にしてもトップクラスに難しく感じられると思います。他の記事にも書いていることなのですが、文法だけで言うと、私自身はポーランド語がそれほど難しいようには感じません。もちろん、カンタンだとも言いません。合理的な言語でとても面白いです。ポーランド語の文章を考えるときは、数学のように公式に当てはめて考えるような感覚に近く、英語よりは独学に向いていると思います。先日、ご案内したお客さまは日本でポーランド語を独学で学ばれていると仰っていましたが、「覚えるのは大変ですけど、ルールが明快で合理的な言語ですよね」とのことでした。私も同意見です。
勉強、お互いに頑張りましょう。

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