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この記事の内容
前回の記事 “衝撃のワルシャワ圏外!ポーランド人が選ぶポーランドの美しい街ベスト10” でワルシャワがランクインしなかったことに驚いたのは私だけではないはず。それどころか、ポーランドの奈良的な都市であるポズナンが10位という結果も意外でした。
当記事では、世界遺産に認定されるほど美しいワルシャワが圏外となった理由を少しでも皆さんに理解していただくため、多くのポーランド人がワルシャワに抱いているネガティブイメージを書いています。「ワルシャワは美しくない」と言っているわけではないので、そこだけは誤解しないでくださいね
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この記事の目次
❶ ワルシャワ=破壊された街
❷ 目立つ文化科学宮殿への不快感
❸ 中央駅のデザインがさえない
❹ 王国時代を思わせる要素が少ない
❺ クラクフの人からは好かれない?
❻ 私が選ぶ美しい街ランキング
❼ この記事のまとめ
2021年•ポーランド移住|ワルシャワとクラクフどっち住む?首都のススメ
ワルシャワ=破壊された街
ワルシャワは戦争で80%以上破壊された街と言われますが、それゆえに「ワルシャワ=新しい街」という印象が強いみたいです。
でも、ワルシャワの被災ダメージが大きかったのは紛れもない事実といえ、木っ端みじんに破壊されたわけではありません。
壁や石工など残っている部分も多々あり、オリジナルの装飾もところどころ見られます。
そんなことを言ったら、戦前にそこら中の建物を大改装し、内部の装飾をも変えたクラクフの建造物はどうなるのでしょう。
美しい街上位にランクインしたグダニスクやヴロツワフだってかなり破壊されています。
また、今のワルシャワ旧市街は、全盛期の記録や絵をもとに蘇った過去の姿。
ヒビ1本に至るまで復元された旧市街をもつにも関わらず、”破壊された街” というネガティブイメージが強いままなのは残念ですね。
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目立つ文化科学宮殿への不快感
ワルシャワ中央駅前にドンと構える文化科学宮殿(Pałac Kultury i Nauki)。
代表的な観光地の1つであり、「ワルシャワのシンボル」と言われることもあります。
しかし、”スターリンからの贈り物” ということをご存知の方も多いはず。
あの建物はスターリンの力を誇示するものであり、ポーランド人にとってはネガティブな建築物であることを忘れてはいけません。
複雑な歴史的背景やスターリン云々を無視してしまえば、モダニズムに逆行するクールな現代建築の一つとも言えるでしょう。
でも実際のところ、長く辛い共産主義を経験してきたポーランドからするとスターリン様式は苦しい過去を連想させるもの。
これについては平和な国に生まれた人がとやかく言うべきではないのかな、と思います。
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中央駅のデザインがさえない
見た目は立派なのに内部がさえない中央駅はポーランドではよく見られます。
ワルシャワはその逆で、外観がパッとせず中央駅としての存在感がやや欠けるデザイン。
こんなことを言うと設計した方や、ワルシャワ中央駅を良しと思っている方々に申し訳ないのですが、ほとんどのポーランド人は「すごいイマイチ」と感じているのです。
幸いにも駅の隣にモダンなショッピングセンターが建ったことで、人々の目はそのモダンな巨大建築物のほうに移りがち。
よく知らない人たちはショッピングセンターも駅の一部のように見なしているかも…?
“街の顔” とも言える部分があまり受け入れられていないのは残念ですよね。
正確に言うと、建物そのものは古いながらも洗練されたデザインであって、”空間的にミスマッチ” ということだと思うのですが…。
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2019年夏、ワルシャワ中央駅が有形文化財に登録されました。駅は70年代に建てられた社会主義モダニズム建築であり、ポーランド人建築家 Arseniusz Romanowicz(1910〜2008)が設計しています。建設当初の中央駅は西側諸国の要素を含んだ目新しいものでした。しかし、周辺にある高層建築物の影響で高低ギャップが目立ち、良くも悪くも古いデザインが強調されています。
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王国時代を思わせる要素が少ない
ワルシャワは13〜14世紀に建設された街で、数百年前にさかのぼる歴史的景観を持つエリアは主に旧市街と新市街になります。
ワルシャワは17世紀初頭に首都となりましたが、当時はヴァザ朝とも呼ばれたポーランド・リトアニア共和国の全盛期。
あっという間に小さな街から都会へ生まれ変わり、立派な建物や教会が建てられました。
ワルシャワ旧市街では見事な近世美術やバロックの豊かさを見ることができ、かつて北のパリと呼ばれただけの魅力はあります。
一方、バロックのような主張が強い芸術は好みが分かれやすく、設計となるともっぱらイタリア人が広く活躍しています。
王国時代に栄えたゴシックやルネサンスのほうがポーランドらしさを感じるため、素朴な中世美術に惹かれる人も少なくありません。
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クラクフの人からは好かれない?
日本でも東京と大阪で対抗心がある、なんて言いますが、ポーランドでもワルシャワとクラクフの間には見えない壁があります。
約800人が参加した某アンケート調査によると、クラクフ住民のわずか9%が「最も美しい街はワルシャワ」と回答しました。
一方、肝心のワルシャワ住民はというと、「クラクフとヴロツワフはワルシャワよりも美しい街」と答えた人が多かったのだそう
また、クラクフはワルシャワよりもずっと歴史的価値が高いと思っているクラコビアン(クラクフ住民)も少なくなく、私がガイドの学校に通っているときも「ワルシャワより〜」というセリフは先生からよく聞きました。
クラクフの千年に及ぶ歴史は長く深く、ポーランドの精神的首都がクラクフにあることは多くのポーランド人が認めていること。
しかし首都ワルシャワの規模や価値ももちろん大きく、単純に比較するのは難しいです。
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私が選ぶ美しい街ランキング
最後に、ポーランドに住んで7年目&ポーランドの歴史やヨーロッパ建築はひと通り把握している私のランキングを紹介します。
先に言うと、ワルシャワは美しい街だと思いますが上位には来ませんでした。
言い換えれば、それくらいポーランドには魅力的な街がたくさんあるということです。
私個人としては、華やかで雄大なバロックよりも、限られた技術の中で最大限の美を追求するゴシックのほうが好きです。
バロックという言葉の意味が歪んだ真珠であると知ったときも、特に驚きませんでした。
中でもポリフロミア(ポリクローム)と呼ばれる壁画や正教会の装飾、雰囲気が好きで、バロックよりもずっと深みを感じます。
聖マリア教会やヴァヴェル大聖堂に見られる黒を基調とするバロックは好きですけど
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私が選ぶポーランドの美しい街
1位 | クラクフ | 6位 | ポズナン |
2位 | リヴィウ | 7位 | ザモシチ |
3位 | ヴロツワフ | 8位 | トルン |
4位 | ルブリン | 9位 | ワルシャワ |
5位 | グダニスク | 10位 | ザコパネ |
※リヴィウは現在ウクライナ領
私の予想ですが、ワルシャワがランクインしなかったのは ❶ 戦争によって歴史的価値を大きく失った新しい街だと思われている、❷ スターリンの支配を思い起こす文化科学宮殿が不快、❸ 街の玄関である中央駅の建築デザインが古い、❹ ワルシャワは共和国時代に全盛期を迎えたため中世の趣きが感じられない、❺(ランキングには直接関係しないが)クラクフの人はワルシャワに対抗心を抱いている場合がある、これらが主な理由だと考えられます。
視点がズレますが、住みやすさという観点でワルシャワ推しの記事も書いているのでぜひそちらもご覧ください
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