全国の教師がストライキ!約3万円の昇給交渉は通るのか?



※コンテンツの無断転載禁止(リンク歓迎)

 

ポーランドであまりストライキやデモに遭遇したことはありませんが、あるにはあります。

先週の復活祭では、教師たちが起こした大規模ストライキについて家族で話題になりました。
このストライキが開始されたのは2019年4月7日、現在は休止中で9月に再開予定です。

ポーランドの学校でジャンクフードが販売禁止に

2016.08.16
.

このページの目次
1. 教師の平均収入はいくら?
2. 教師という仕事のイメージ
3. ストライキをする理由
4. ポーランドで教師になるには
5. 私から見た今回のストライキ

<スポンサーリンク>

教師の平均収入はいくら?

ポーランドの高額紙幣200ズロチ

さっそく単刀直入に言うと、ポーランドの小学校教師の月収は2019年4月現在、約12万円〜20万円(勤続年数による)の範囲です。

ポーランドは税金が高い代わりに医療費・教育費が原則無償であるため、日本の平均収入とは単純に比較できない面があります。
また、この額はポーランド全体の平均収入からしても決して低すぎるわけではありません。

しかしポーランド家庭の多くがそうであるように、養わなければならない家族がいる場合、この額では共働きが必要となってしまいます。

ただ教師にはボーナスがあり、ふつうの社会人は12ヶ月分の給与をもらうところ、彼らは13ヶ月分の給与を受け取ることができます
また子どもたちの夏休みや春休みなど長期休みを考慮すると、実際にフルで働いている月はほかの職業よりずっと少ないというのも事実です。
.

参考までに、こちらはヨーロッパ各国の教師の年間勤務時間(2017年)を表したもの。

給与は西欧のほうがかなり高いですが、ポーランドは年間勤務時間が1500時間もなく、他国と比べても非常に少ないことが分かります。
.

教師という仕事のイメージ

日本では女子学生を中心に憧れの職業

教師は特に人気の職業ではなく、どちらかというと大変そうな仕事に見えるようです。
こちらにも日本ほど過激ではなくともモンスターペアレントなるものが存在し、子どもたちも授業中大人しくはしていないので、やはりデスクワークよりは精神的にも大変な職業でしょう。

反面、週末は休むことができ、確実に長期休暇があることから時間の自由度は高く、その点ではかなり魅力的だと感じる人もいます。

また、一般的に教師は安月給のイメージです。
ただ、私立学校や中小企業の会社員と比べたら安い給料ではあるものの、休みが多いから相応なんじゃない?と思っている人も結構多いです。

日本でもそうですが、「やりたいこともないし、まぁ子どもも教えるのも好きだし、なんとなく教師でも目指してみるか」とか、そんな生半可な覚悟で教師になる人は少ないでしょう。

それなりに教師に対する憧れがあって、目指す職業であることには変わりありません。
.

ピオトル
ポーランドの子どもたちは落ち着いていないし、授業中もうるさいよ!
日本人の子どもたちは大人しそうだし、そんなことないだろうけど……?
.

ストライキをする理由

こんなに頑張っているのに収入低すぎ!

当然、給料が安いと感じているからです。
第一に教師は子どもたちを教育するという重要な任務と負担を背負っており、第二に教師になるために5年間の高等教育を修了していますが、その割には給料が安すぎるのでは?ということ。

今回の要求は、月1000ズロチの昇給。
日本円にして約3万円(記事執筆時点)ほどの額なりますが、なかなか強気の要求です。

とは言っても、最初のほうでも触れたように、教師の給与はポーランド国民の平均収入と比較して安すぎるというわけではありません
また、それなりの休みが確保されています。

仕事量に関して言えば、教師は授業のほかにもやることがたくさんあります。
カリキュラムの計画、課外活動、日誌を書く、宿題やテストの評価、学年度が終了する度にその事務処理や、次の学年度に向けての会議など。

長期休み中も次学期までの準備があり、まるまるフリーといったわけではないでしょう。
ストライキ参加者は表の仕事だけでなく、それらの仕事量も考慮すべきだと訴えています。

見えないところでもやってるんだよ!

でも、そういった裏でやる業務の有無に関しては、その他多くの職業にも共通すること。
さらに公立の学校に関しては、年間13ヶ月分の給料をもらっているので悪くはありません。
(ポーランドの教育機関のほとんどは国公立)

帰宅後にどれだけ家庭に仕事を持ち込むかはその人次第ですが、宿題やテストの採点、レッスンの準備を家で行う人が多いのは事実です。

しかし教師が黒板の前に立つのは週約18時間、つまり1日だと4時間ほどとなります。
また、日本のように長い昼食の時間もなければ掃除の時間もなく、クラブ活動などで勤務が長引けばその分の給料はもらうことができます

給与が安い代わりに休みもそれなりにあるわけで、そこを割り切っている教師たちは、休みの期間に副業をして生活費の足しにします。
休みが多いといっても、休みを過ごすための娯楽費が余計にかかってしまい、かえってお金がないように感じられるのかもしれませんね。

また、教師の給料は自治体の予算に左右されるため、都心部から外れれば安くなります。
今回積極的にストライキをしている教師たちは、そういった市町村に住む教師も多いようです。
.

ポーランドで教師になるには

てっきり大卒だけでいいと思いきや…

日本では短大卒でも小学校や中学校教師を目指すことができ(ただし大卒が多い)、要は教育免許状を持っているかどうかが大事です。

しかしポーランドでは、例え小学校教師でも修士号まで取得する必要があり、教育大学で最低5年間は学ばなければなりません
そのうえで採用試験に受かる必要があるため、なかなかハードであることが分かります。
.

最初から教師を目指す場合
教育大学(studia pedagogiczny)を修了する
(3年間で学士号+2年間で修士号を取得)
あとから教師を目指す場合
修士号を取得+1.5年間教職コースを受講
※修士号取得まで5年間かかるのは①と同様

.
.
ちなみにポーランド人の半分は修士号を持っていて高学歴なので、大卒はごろごろいます。

大学院まで行っても教育費は無償なので、経済状況に左右されず学びたければ学べる、それがポーランドのいいところでもあります。
ただし何回行っても無償というわけではないですし、成績次第では無償の対象になりません。

要するに、教師を目指す人はそれなりに専門教育をたっぷり受けていますし、やはりいい加減な気持ちでは教師になれないことが分かります。
.

私から見た今回のストライキ

当事者じゃないので難しいですが

どの職業にしても、家庭での支出が増えると、仕事に対して文句はなくても「もっと収入があればな」と愚痴も言いたくなるでしょう。

この記事のまとめ方からすると、私はこのストライキに対してポジティブな意見を持っていないように思えるかもしれませんが、ストライキをすること自体に意義はまったくありません。

ただ、いきなり1000ズロチの要求はちょっと言い過ぎではないのか、と思っています。

私立学校での給与は公立学校よりも良く、今回のストライキを受けて「じゃあ、こっちで働きなよ」というところもあります。
しかし、私立学校では授業料や仕事量も増えてしまうため、公立教師はそれを渋っています。

つまり、勤務時間はヨーロッパ最低レベルのままで給与だけを上げてほしいということ。

教師には教師にしか分からない苦悩があるかとは思いますが、多少の賃金引き上げ要求はともかく、一人の教師に年間約40万円も収入を上げるというのは国としてもかなりの負担ですよね。

仕事の割には給与の額が……というのは教師だけでの問題ではなく、ほかのポーランドの多くの職業にも当てはまることも忘れてはなりません。

一番良いのはこのまま順調にポーランドの景気が上昇し、みんなの給与が上がること。
このストライキの要求が通ったら、ほかの職業の人たちも次々と動きだすかもしれません。
.

ピオトル
僕の叔父夫妻は小学校教師と高校教師だけど別に文句は言っていないよ。
教師をやっている友達も、仕事内容や給料に文句はないみたいだし、ストライキにそれほど前向きではないかな。
.
今日のポーランド語

Jak zostać nauczycielem?

Jak zostać nauczycielem?(ヤク  ゾスタチ  ナウチェチェレム?)は「どうやって教師になるの?」という意味です。

ポイントは、教師(nauczyciel/ナウチェチェル)が造格になること。所属を表すとき、名詞は造格となり、男性・中性名詞であれば -em、女性名詞であれば -ą が語尾となります。

 

最後までお読み頂きありがとうございます☆
あやか
この記事が役立ったら、イイネ!をお願いします。FBページではここには載せていないポーランド最新情報や注目の記事更新情報をお届けします ^^


Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2019

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です