ポーランド「中絶禁止法案」嘘と本当を教えます



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さて、久しぶりの政治に関するテーマですが、今回は賛否両論あるポーランドの中絶問題についてお話しします。

実はこの問題、EU全体で指摘されている超重要なテーマ。特に「ポーランドの中絶禁止法案」については、日本も含めて(左翼による)間違った報道ばかりで非常に腹立たしいです。

そこで今回は、この問題に対する正しい見解を分かりやすく理解していただくため、時系列で真相を解説することにしました。国民はメディアによって騙されていることがよく分かると思います。
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中絶禁止法案の問題とは何か

間違った報道内容を知りたい方は、「ポーランド 中絶禁止法案」で検索してください。私もすべての報道をチェックしたわけではないですが、誤った記事が圧倒的です。しかし、これから私が書くのはれっきとした事実です。

 

1. ある団体が中絶禁止を叫ぶ

中絶問題を叫ぶ Ordo Iuris

中絶問題を叫ぶ Ordo Iuris 出典 interia.pl

事の発端は Ordo Iuris という団体が “STOP ABORCJI”(中絶ストップ)という言葉を掲げて、中絶に関する現在の法律を指摘したことから始まりました。

この Ordo Iuris は健全な団体で、メンバーには法律家が数人います。設立された目的は、「ポーランドの中絶に関する法律の改正を呼びかけるため」であってそれ以外の活動は特にしていません。
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現行の法律 中絶できる場合

・レイプや犯罪による妊娠
・胎児に身体・知的障害が発覚した
・母体に危険を伴う可能性がある

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日本では相手の男性や家族が同意さえすれば中絶できますが、ポーランドはそうではありません。またこの現行の内容ですら、禁止法案反対派のポーランド人は理解していない人が多いようです。

では、 Ordo Iuris はどのような法律に改正したいのか見てみましょう。

改正法案  中絶できる場合

・中絶は原則できない
・母体が危険である場合は中絶可能
・中絶した場合は刑罰を与える

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随分と厳しいように見えますね。

これだけを見ると、「反対するのも無理はないな」と思う方もいるでしょう。しかし、ポーランドではこちらの禁止法案に賛同している人の方が多いのです。

また、3つ目の「中絶をした場合は刑罰を与える」ですが、これについては教会からも「厳しすぎるのではないか」という非難があり、現在はなくなりました。

レイプによる中絶は皆無に等しい

ポーランドは去年、1,812件の中絶がありました。その内、レイプによる中絶は1件のみです。

ちなみに平成26年度の調査で、日本では181,905件の中絶がありました。人口比が異なると言えど(ポーランドの人口は約4000万人)、ポーランドの100倍とはポーランド人にとってはかなりショックな数字です。

 

2. 団体が署名活動をスタート

署名活動 出典

署名活動 出典 dziennikparafialny.pl

そして半年前にスタートしたのが、団体による “STOP ABORCJI” の署名活動。

国民が法律改正案を政府に審議してもらうためにはまず、署名を提出する必要があります。ポーランドでは最低でも10万の署名が必要ですが、なんと約45万もの署名が集まりました。ちなみに私も夫も署名しました。

注目してほしいのは、活動に参加している多くが学生や若者であること。

また、これに対抗するように禁止法案反対派も署名活動を始めます。集まったのは約20万の署名で賛成派の半分にも満たないものでしたが、政府に書類を提出するためには十分な数でした。

 

3.  政府が審議を開始する

ポーランドの国会 Sejm

ポーランドの国会 Sejm

書類を受理した政府は審議を開始することになるのですが、ここで大きな問題に発展。政府は、多数である賛成派を審議に持ち込み、禁止法案反対派の意見を議論しようとしなかったのです。

すると、当然納得のいかない禁止法案反対派が大胆な行動に出ました。

ポーランドの政府はおかしい?

ポーランドは2015年春から「法と正義」が政権を握っています。この政党はポーランド人によって選ばれたのであって、それが頻繁に独裁政権と表現されているのは失礼な話。

ポーランドは国民の90%以上がカトリックです。この時点で西欧とはまったく異なる特徴を持つポーランドですが、「法と正義」はカトリックよりであるために、右翼だの独裁だのと他国を中心に批判されてきました。しかし、カトリックの国であるポーランドがカトリックの考えを支持する政党を支持して何がおかしいのでしょうか。

もちろん、ポーランド人皆がカトリックではありません。左翼だと言われているような人の意見も尊重はすべきです。しかし、すべての人が納得する政治なんてそもそも不可能でしょう。だから投票を行い、より多い支持を得たものが政権を握るのです。そしてポーランド国民の大多数は「法と正義」を支持した、それだけの話です。

 

4. 禁止法案反対派の抗議

チャルネ・プロテスタント 出典

チャルネ・プロテスト 出典 tv-kwidzyn

ここで登場したのが、チャルネ・プロテスト(黒い反抗)の人々。

10月3日(月)、ポーランド各地で中絶禁止法案に反対する女性や男性達が黒い服を着て抗議デモを行いました。ワルシャワでは「法と正義」の本部前に約2000人の女性が集まったそうです。

彼らの一部は、唇を真っ黒に塗ったり、子宮や女性性器の絵をモチーフにして禁句を表したり、汚い言葉を使ったりと色んな意味ですごく過激的でした

全体で約10万人の禁止法案反対派(女性だけではなく男性も含む)がデモに参加したそうですが、ポーランドの成人人口比率からすると0.3%未満。報道では大げさに表現されがちですが、割合から考えるとそうでもありません。

写真の “PiS OFF” の意味

おそらく、”piss off” と “PiS off” をかけているのでしょう。”PiS ” は「法と正義」です。”piss off” は罵り言葉で「くたばれ」「ほっとけ」「むこうへ行け」という意味です(ポーランド人がよく使うイギリス英語での意味)。

つまり、彼女はこの政権が嫌いなのでしょうね。分かりやすい批判…。

 

5. 禁止法案反対派の嘘

噓は

今回の1番の問題は「嘘」があること

禁止法案反対派の論点はズレています。

女性の権利ばかり主張して、”殺される胎児” のことはそっちのけ。随分自分勝手な意見です。”Ordo Iuris” は胎児に焦点を当てすぎているのかもしれませんが、どちらが人間らしい考えなのか、答えは言うまでもないでしょう。

しかし、私は禁止法案反対派を真っ向に否定しようとは思いません。彼らにどんな意見を言おうが、油に火を注ぐようなものなので。でも嘘はいけません。
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禁止法案反対派の嘘

・禁止法案は政府のプロジェクト
 → Ordo Iuris のプロジェクト
・禁止法案では、妊娠や出産によって母体が危険にさらされる場合でも胎児の命が最優先
 →その場合は、禁止法案でも例外的に中絶が可能である
・主に年齢層の高い人や教会、男性が禁止法案を支持している
 →まったくの嘘(後で説明)
・大多数は禁止法案に反対
 →まったくの嘘(後で説明)

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ところで、ワルシャワ日本語学校校長のモニカ・ザハイさんの発言にも呆れましたね。本当にもうガッカリ。

こちらの記事によると、彼女は「中絶を完全に禁止することについて賛成している国民はたった6%」と言ったそうです(動画もあるので事実でしょう)。
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ではなぜ政府は6%しか支持されていない中、法案を通そうとするのか。

ザハイさんは「今の政権が野党だった頃、保守派に対して『中絶を完全に禁止にする』と約束していた。そして、保守派のおかげで選挙に勝ち、与党になることができた。与党になった今、”中絶禁止法案”を実現するという約束を果たそうとしている」と分析した。

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仮に本当に6%だとしましょう。

では、なぜ「中絶を完全に禁止する」と分かっていて、大多数の国民(中絶の禁止に賛成していない人)は今の政権を支持したのでしょうか。矛盾しています

彼女の言っていることは、嘘です。確かに、前の政党と中絶について議論はしたようですが約束などしていません。

その数字がどこから来たものなのか問いただしたいくらいです。日本のメディアは、「日本語学校の人なら日本語を話せるだろうし」と安易にインタビューをお願いしたのかもしれませんが、ね。

 

6. 国民の本当の意見

これが国民の本当の声

これが国民の本当の声

まず、CBOS というポーランドで最も大きなアンケート調査会社が5月に行ったアンケートを見てみましょう。

ただこのアンケートの内容が重要なのではなく、この CBOS によるアンケートと、次に紹介する IBRIS によるアンケート結果との差に注目してほしいのです。

CBOS こんな場合は中絶が可能

・母体の命が危険な場合
 はい 84% いいえ 8%
・胎児の命が危険な場合
 はい 62% いいえ 21%
・胎児に障害がある場合
 はい 61% いいえ 23%
・妊婦が18歳未満の場合
 はい 20% いいえ 65%
・妊婦に経済的困難がある場合
 はい ?   いいえ 81%
・妊婦が子どもを望まない場合
 はい 12% いいえ 78%

出典 www.rp.pl

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次は6月に、IBRIS という別の大手アンケート調査会社が行ったもの。

質問内容を変えると、結果に大きく差が出ることがよく分かります。CBOS の漠然としたアンケートよりもこちらを参考にした方が良さそうですね。

IBRIS 母体の命を優先する以外の点で、あなたは中絶禁止法案に賛成しますか?

はい 58% いいえ 30%

◆「はい」と答えた人の内訳
女性 57.9%
男性 59.5%
18〜24歳 79.2%
65歳以下 48.7%

出典 www.rp.pl

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余計な解説を加えずとも、このアンケート結果がすべてを物語っています。

禁止法案反対派や左翼メディアが噓をついていることが一目瞭然。おそらく彼らは禁止法案反対派というより、現在の政府を支持したくないのでしょう。

参考程度に Ordo Iuris の “STOP ABORCJI” を代表する人達を紹介しましょう。気付くことがあるはずです。

Joanna Banasiuk 出典

Joanna Banasiuk 出典 dorzeczy.pl

Magdalena Korzekwa 出典

Magdalena Korzekwa 出典 blogspot.com

Kinga Małecka 出典

Kinga Małecka 出典 youtube.com

見ての通り、若い女性3人です。

主に年齢層の高い人や教会、男性が禁止法案を支持していると禁止法案反対派は言っていますが、法案を最初に主張した人達自体がそれに当てはまりません。

 

7. 若者が中絶を反対する訳

ふつうに考えて中絶はダメ

ふつうに考えて中絶はダメ

もしかしたら、こういった発言によって傷つく人がいるのかもしれません。

でもせっかくブログという、公の場で自分の意見や賛同できる意見を表すことができるのに、それを「賛否両論があるから」という理由で押し殺すのは嫌です。

ヘイトスピーチと言われようが。

今はなんでもかんでもちょっと自分の意見を言うだけでヘイトスピーチと非難されることがありますね。言論の自由とか言いつつ、息苦しい世の中です。

最後に、私の夫が考える「若者が中絶に反対する理由」を載せておくので、彼の声にも耳を傾けてみてください。
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私の夫
僕が驚いたのは20代の多くが中絶禁止法案賛成派で、主に30代以上や親の世代が反対派であること。僕の友人もまともな考えを持つ人ばかりだ思っていたのに、反対派が何人かいた。

なぜ若い人が賛成派かというと、どう考えても「命」は大事だから。それしか見えてないから反対する。そしてもう1つ、彼らはヨーロッパ(西欧)に対してコンプレックスがないからだ。

30代以上の人達は、共産主義時代のかなり貧しいポーランドで生まれ育った。当時は自由で金持ちな西欧、ヨーロッパはまさにポーランドの憧れだったんだ。

ヨーロッパの仲間入りをすればポーランドは豊かになる、経済的に支援してもらえる…。だから共産主義時代から脱出して、EUの仲間入りを果たしたときは誰もが喜んだよ。「これで僕たちの国も憧れのヨーロッパだ」って。

でも今、そのEUではフェミニストが活躍し、しきりに「女性に自由を」って叫んでいる。

そして、中絶を広く認めさせようとしている。それを聞いた西欧に憧れたままの30代、40代のポーランド人達はEUの言いなりにならなかった時の見返りが怖いという思いも心底にあって、必死にEU側についている。

一方、20代の若い世代は西欧コンプレックスがないから、「ふつうに考えて」中絶を反対する。若い人達と30代後半以上の人達が中絶問題で対立している大きな理由はそれ以外に見つからないね。

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西欧コンプレックス、ありますね。

どこか西欧へ移住するポーランド人達は、出稼ぎという切実な理由で国を出る人も少なからずいる一方、大半が西欧コンプレックスのためだと思います。

あと、この中絶禁止法案問題ではよく「敬虔なカトリックの国だから」なんて言われていますが、なんでもかんでもカトリックのせいにしないでください

中絶は、倫理的に考えていけないことです。胎児は人間です。中絶は人を殺すということです。女性の権利を主張することは、人の命を奪う行為(中絶)よりも大事なことなのでしょうか

中絶をした多くの人がそのことを後悔し、いつまでも罪悪感に負われているそうです。たとえ、レイプによる望まぬ妊娠であったとしても。だから、中絶で後悔するくらいであれば産んでほしい。

養子に出したり、そういった施設に預けるなり、命を救う手段はあるので。

日本では中絶する人が多いだけに、こんなことを書くとバッシングが来るのかもしれませんが、私は誰がどう言おうと、それで友達を失おうが中絶には反対です。ポーランドが間違った方向に進まないことを祈るばかりです。
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今日のポーランド語

aborcja

この記事を読んだ方ならもうご存知でしょうが、aborcja(アボルツィア)は「中絶」という意味です。

STOP ABORCJI の “aborcji” は与格です。また “STOP” は英語の “STOP” のようですが、実はポーランド語にも “stopować”(ストポヴァチ)という動詞があり、その後ろは対格を取ります。”STOP ABORCJI” で与格を取っているのは例外でしょう。

 

最後までお読み頂きありがとうございます☆
あやか
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8 件のコメント

  • kage より:

    お若いのにしっかりとした意見をお持ちですね。よく勉強なさっていて偉いと思います。でも、一方的な方面からしか物事を見られていないようで、残念です。チャルネ・プロテスト(プロテスタントではありません)に参加している女性達はただ単に中絶禁止法案だけに反対しているのではありません。ポーランドという国が、沢山の犠牲を払ってやっと手に入れた自由を今の政権に奪われようとしている、その状況に対して怒っているのです。(今の日本も同じような道を進んでいますが)PISが与党になってからどれだけのジャーナリストが職を奪われたか知っていますか?

    • Ayaka より:

      記事を読んでいただき、ありがとうございます。
      kageさんと私では反対の意見のようですが、私なりにコメントに対する返信をさせていただきます。

      もし他の政党が政権を握っていたとして、ポーランドが今の状況より良くなる保証なんて1つもありません。
      記事でも、中絶禁止法案反対派がただこの法律に対して抗議しているわけではなく、政党に対して抗議をしているということにも触れたつもりです。
      それに恐らく、中絶禁止法案だけではあんなにカッカしないでしょう。
      しかし、そういった方達には残念ですが、ポーランドの大多数の国民が今の政党を選びました。
      記事でも書いた通り、万人が納得いく政治というのは不可能でしょう。

      大勢のジャーナリストが解雇された件は知っています。しかし、なぜポーランドがここまでメディアの規制に踏み切らなければならかったか、その理由を考えることも大切です。
      なぜかという、ポーランドとしての自由がなかったからでしょう。
      法と正義が政権を握る前、ポーランドメディアの内約60%がドイツのメディアでした。
      政治はドイツやEUの都合のいいように解釈しなおされ、誤ったニュースが世界中に流されていました。

      ポーランドは他の欧州とはどこか違う方向を向いているようで、それで嫌われやすいですが、どれだけ嫌われようが自国を守る態度は他国も見習うべきところがあると思います。
      そんなに西欧のいう自由が欲しいのなら、もう彼らはポーランドを出て行くしかありません。
      と、それは言い過ぎですが…。

      • kage より:

        メディアの規制に踏み切らなければならない?ポーランドとしての自由?ただPIS、与党とは違う考えのジャーナリストを排除しただけですよ。
        もうすでに沢山の若者達(だけではありませんが)がポーランドを出ていきました。
        私は今の政治、外交の状況が時代に逆行しているとしか思えなく、ポーランドに十数年在住する日本人として危惧しています。

        • ポーランドなび管理人 綾香 より:

          では、ドイツやEUの誤った情報に犯されたポーランドでよいということでしょうか。理由はそれだけではありませんが。
          そして出て行った若者達は出稼ぎや単にEUに加盟して他国に移住しやすくなっただけ、というのが大きいでしょう。
          もちろんポーランドが嫌いな人もいるでしょうが、そんな人はどこの国でもいます。
          日本人でも日本が嫌いで出て行く人がいるでしょう。
          そんな話をすればキリがありません。

          例えば、難民問題はもしあのままドイツの言いなりになっていればどうなっていたでしょうね。メルケルは、自国の難民受け入れについて後悔していましたが。
          ポーランドは自国の意見を貫いて本当によかったと思います。

          そして、当記事は中絶法案について書いたものです。私の意見が気に入らないのはわかりますが、ここで議論したくありません。だからといって、メールして話し合う時間もありませんが、こういう意見もあるということでご理解ください。
          私は、中絶法案に対する事実を述べるために当記事を書きました。

  • Tomi より:

    『たとえレイプによる妊娠だとしても生むべき』という言葉にゾッとしました…。ちょっとそれは…。自分が“普通に”考えたら、それは残酷過ぎる事だと思います。

    • Ayaka より:

      私も女性ですから、もし自分がレイプされたら計り知れないほどのショックで苦しむに違いありません。
      ただ、もしそれで妊娠した場合に「レイプで出来た子どもだから中絶する」というのも残酷なことです。
      意見が分かれる問題なので、個人の方に対してレイプと中絶のどちらが残酷と決めつけようとは思っていません。

      ただ、ポーランドと日本ではあまりに死に対して考え方がちがいます。
      それはカトリックという宗教観から来るものでもありますが、カトリックでは自殺や中絶は最も重い罪の一つです。
      もし、それに同調する者が現れれればこういった運動がポーランドで起こることは無理もありません。

  • 加納 より:

    ポーランドのことはよく分からないので、なんともいいようはありませんが。。
    妊娠中絶を法律で禁止させるのには、反対です。ただし、妊娠中絶を積極的に推進する気もありません。

    あくまで「禁止」を法律として認めるのに反対します。
    理由は、中絶はあくまで、妊娠した人の意思決定であり、法律で意思決定を妨げる必要性が存在しないと思うからです。

    「殺人」がすべて悪いから中絶禁止が必要だ、という論理だと、死刑を完全廃止する必要もありますし、世界中から軍隊をなくす必要もあります。

    おそらく論理的に整合性が取れないと思います。

    確かに妊娠中絶がいいことだとも思ってません。中絶って言葉は中立的ですが、実際には、気持ちがいいことではありませんし。。

    しかし、個人を尊重するという立場からすると、その個人の意思決定を妨げるのはある相当の理由が必要になると思います。

    はっきり言って、私から言わせれば法律を作るということは税金を使うということです。そして、税金をつかって妊娠中絶を禁止した場合の利益を考えると存在しないことが明らかです。今は中絶が18万件?あったとして、私への不利益はありませんから。

    例えば窃盗は法律で禁止されていますが、窃盗罪は私の利益になっています。
    そういう意味で、妊娠中絶があったからと言って、私の生活は特に変わりません。

    すべてを利益で考えているわけではありませんが、税金を使う割に、特にいいことがないのは明らかです。

    ということで、「禁止する理由としては足りない」というのが中絶禁止法案への反対理由です。

    • Ayaka より:

      処罰としての死刑や任務という軍隊においての「人を殺す」と、中絶の「人を殺す」は大きく異なります。
      意思決定が出来ない胎児の命を「大人の理由で」捨ててしまうことを中絶といいます。
      子どもがまだ育てられる年齢ではないから、子どもがすでに十分いるから、身体障害が見られるからなど、そのような理由で命を捨てることができるのです。

      そんなことはお分かりかと思いますが、中絶禁止法案を提案している団体は「殺人が悪い」ということに論点があって中絶を反対しているわけではありません。
      「胎児の命を尊重せよ」と訴えているのです。
      禁止法案の反対者と賛成者の温度差は、胎児の命あるいは大人の事情のどちらを尊重しているかにあるのでしょう。
      もちろん、反対者全員が中絶に完全賛成というわけではないのは分かっています。
      しかし、罪のない胎児の命を人として尊重すればするほど賛成者となり、女性の権利というものや大人の意思決定を尊重すればするほど反対者になってしまいます。

      中絶禁止法案を税金や私たちへの利益と関連させるのであれば、(私には特にそういった考えはないのですが)中絶禁止法案は利益になると思います。
      今はポーランドもですが、日本など多くの国が少子化で悩まされています。
      少子化によって、年金支給額の減少、経済力の衰退、世代間格差による社会問題など深刻な影響がもたらされています。
      これらは私たちにとって明らかに不利益ですから、中絶によって多くの子どもを失うことは不利益だと考えられます。

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