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さて、久しぶりの政治に関するテーマですが、今回は賛否両論あるポーランドの中絶問題についてお話しします。
実はこの問題、EU全体で指摘されている超重要なテーマ。特に「ポーランドの中絶禁止法案」については、日本も含めて(左翼による)間違った報道ばかりで非常に腹立たしいです。
そこで今回は、この問題に対する正しい見解を分かりやすく理解していただくため、時系列で真相を解説することにしました。国民はメディアによって騙されていることがよく分かると思います。
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間違った報道内容を知りたい方は、「ポーランド 中絶禁止法案」で検索してください。私もすべての報道をチェックしたわけではないですが、誤った記事が圧倒的です。しかし、これから私が書くのはれっきとした事実です。
1. ある団体が中絶禁止を叫ぶ

中絶問題を叫ぶ Ordo Iuris 出典 interia.pl
事の発端は Ordo Iuris という団体が “STOP ABORCJI”(中絶ストップ)という言葉を掲げて、中絶に関する現在の法律を指摘したことから始まりました。
この Ordo Iuris は健全な団体で、メンバーには法律家が数人います。設立された目的は、「ポーランドの中絶に関する法律の改正を呼びかけるため」であってそれ以外の活動は特にしていません。
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現行の法律 中絶できる場合 ・レイプや犯罪による妊娠 ・胎児に身体・知的障害が発覚した ・母体に危険を伴う可能性がある
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日本では相手の男性や家族が同意さえすれば中絶できますが、ポーランドはそうではありません。またこの現行の内容ですら、禁止法案反対派のポーランド人は理解していない人が多いようです。
では、 Ordo Iuris はどのような法律に改正したいのか見てみましょう。
改正法案 中絶できる場合 ・中絶は原則できない ・母体が危険である場合は中絶可能 ・中絶した場合は刑罰を与える
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随分と厳しいように見えますね。
これだけを見ると、「反対するのも無理はないな」と思う方もいるでしょう。しかし、ポーランドではこちらの禁止法案に賛同している人の方が多いのです。
また、3つ目の「中絶をした場合は刑罰を与える」ですが、これについては教会からも「厳しすぎるのではないか」という非難があり、現在はなくなりました。
ポーランドは去年、1,812件の中絶がありました。その内、レイプによる中絶は1件のみです。
ちなみに平成26年度の調査で、日本では181,905件の中絶がありました。人口比が異なると言えど(ポーランドの人口は約4000万人)、ポーランドの100倍とはポーランド人にとってはかなりショックな数字です。
2. 団体が署名活動をスタート

署名活動 出典 dziennikparafialny.pl
そして半年前にスタートしたのが、団体による “STOP ABORCJI” の署名活動。
国民が法律改正案を政府に審議してもらうためにはまず、署名を提出する必要があります。ポーランドでは最低でも10万の署名が必要ですが、なんと約45万もの署名が集まりました。ちなみに私も夫も署名しました。
注目してほしいのは、活動に参加している多くが学生や若者であること。
また、これに対抗するように禁止法案反対派も署名活動を始めます。集まったのは約20万の署名で賛成派の半分にも満たないものでしたが、政府に書類を提出するためには十分な数でした。
3. 政府が審議を開始する

ポーランドの国会 Sejm
書類を受理した政府は審議を開始することになるのですが、ここで大きな問題に発展。政府は、多数である賛成派を審議に持ち込み、禁止法案反対派の意見を議論しようとしなかったのです。
すると、当然納得のいかない禁止法案反対派が大胆な行動に出ました。
ポーランドは2015年春から「法と正義」が政権を握っています。この政党はポーランド人によって選ばれたのであって、それが頻繁に独裁政権と表現されているのは失礼な話。
ポーランドは国民の90%以上がカトリックです。この時点で西欧とはまったく異なる特徴を持つポーランドですが、「法と正義」はカトリックよりであるために、右翼だの独裁だのと他国を中心に批判されてきました。しかし、カトリックの国であるポーランドがカトリックの考えを支持する政党を支持して何がおかしいのでしょうか。
もちろん、ポーランド人皆がカトリックではありません。左翼だと言われているような人の意見も尊重はすべきです。しかし、すべての人が納得する政治なんてそもそも不可能でしょう。だから投票を行い、より多い支持を得たものが政権を握るのです。そしてポーランド国民の大多数は「法と正義」を支持した、それだけの話です。
4. 禁止法案反対派の抗議

チャルネ・プロテスト 出典 tv-kwidzyn
ここで登場したのが、チャルネ・プロテスト(黒い反抗)の人々。
10月3日(月)、ポーランド各地で中絶禁止法案に反対する女性や男性達が黒い服を着て抗議デモを行いました。ワルシャワでは「法と正義」の本部前に約2000人の女性が集まったそうです。
彼らの一部は、唇を真っ黒に塗ったり、子宮や女性性器の絵をモチーフにして禁句を表したり、汚い言葉を使ったりと色んな意味ですごく過激的でした。
全体で約10万人の禁止法案反対派(女性だけではなく男性も含む)がデモに参加したそうですが、ポーランドの成人人口比率からすると0.3%未満。報道では大げさに表現されがちですが、割合から考えるとそうでもありません。
おそらく、”piss off” と “PiS off” をかけているのでしょう。”PiS ” は「法と正義」です。”piss off” は罵り言葉で「くたばれ」「ほっとけ」「むこうへ行け」という意味です(ポーランド人がよく使うイギリス英語での意味)。
つまり、彼女はこの政権が嫌いなのでしょうね。分かりやすい批判…。
5. 禁止法案反対派の嘘

今回の1番の問題は「嘘」があること
禁止法案反対派の論点はズレています。
女性の権利ばかり主張して、”殺される胎児” のことはそっちのけ。随分自分勝手な意見です。”Ordo Iuris” は胎児に焦点を当てすぎているのかもしれませんが、どちらが人間らしい考えなのか、答えは言うまでもないでしょう。
しかし、私は禁止法案反対派を真っ向に否定しようとは思いません。彼らにどんな意見を言おうが、油に火を注ぐようなものなので。でも嘘はいけません。
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禁止法案反対派の嘘
・禁止法案は政府のプロジェクト
→ Ordo Iuris のプロジェクト
・禁止法案では、妊娠や出産によって母体が危険にさらされる場合でも胎児の命が最優先
→その場合は、禁止法案でも例外的に中絶が可能である
・主に年齢層の高い人や教会、男性が禁止法案を支持している
→まったくの嘘(後で説明)
・大多数は禁止法案に反対
→まったくの嘘(後で説明)
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ところで、ワルシャワ日本語学校校長のモニカ・ザハイさんの発言にも呆れましたね。本当にもうガッカリ。
こちらの記事によると、彼女は「中絶を完全に禁止することについて賛成している国民はたった6%」と言ったそうです(動画もあるので事実でしょう)。
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ではなぜ政府は6%しか支持されていない中、法案を通そうとするのか。
ザハイさんは「今の政権が野党だった頃、保守派に対して『中絶を完全に禁止にする』と約束していた。そして、保守派のおかげで選挙に勝ち、与党になることができた。与党になった今、”中絶禁止法案”を実現するという約束を果たそうとしている」と分析した。
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仮に本当に6%だとしましょう。
では、なぜ「中絶を完全に禁止する」と分かっていて、大多数の国民(中絶の禁止に賛成していない人)は今の政権を支持したのでしょうか。矛盾しています。
彼女の言っていることは、嘘です。確かに、前の政党と中絶について議論はしたようですが約束などしていません。
その数字がどこから来たものなのか問いただしたいくらいです。日本のメディアは、「日本語学校の人なら日本語を話せるだろうし」と安易にインタビューをお願いしたのかもしれませんが、ね。
6. 国民の本当の意見

これが国民の本当の声
まず、CBOS というポーランドで最も大きなアンケート調査会社が5月に行ったアンケートを見てみましょう。
ただこのアンケートの内容が重要なのではなく、この CBOS によるアンケートと、次に紹介する IBRIS によるアンケート結果との差に注目してほしいのです。
CBOS こんな場合は中絶が可能 ・母体の命が危険な場合 はい 84% いいえ 8% ・胎児の命が危険な場合 はい 62% いいえ 21% ・胎児に障害がある場合 はい 61% いいえ 23% ・妊婦が18歳未満の場合 はい 20% いいえ 65% ・妊婦に経済的困難がある場合 はい ? いいえ 81% ・妊婦が子どもを望まない場合 はい 12% いいえ 78% 出典 www.rp.pl
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次は6月に、IBRIS という別の大手アンケート調査会社が行ったもの。
質問内容を変えると、結果に大きく差が出ることがよく分かります。CBOS の漠然としたアンケートよりもこちらを参考にした方が良さそうですね。
IBRIS 母体の命を優先する以外の点で、あなたは中絶禁止法案に賛成しますか? はい 58% いいえ 30% ◆「はい」と答えた人の内訳 女性 57.9% 男性 59.5% 18〜24歳 79.2% 65歳以下 48.7% 出典 www.rp.pl
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余計な解説を加えずとも、このアンケート結果がすべてを物語っています。
禁止法案反対派や左翼メディアが噓をついていることが一目瞭然。おそらく彼らは禁止法案反対派というより、現在の政府を支持したくないのでしょう。
参考程度に Ordo Iuris の “STOP ABORCJI” を代表する人達を紹介しましょう。気付くことがあるはずです。

Joanna Banasiuk 出典 dorzeczy.pl
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Magdalena Korzekwa 出典 blogspot.com

Kinga Małecka 出典 youtube.com
見ての通り、若い女性3人です。
主に年齢層の高い人や教会、男性が禁止法案を支持していると禁止法案反対派は言っていますが、法案を最初に主張した人達自体がそれに当てはまりません。
7. 若者が中絶を反対する訳

ふつうに考えて中絶はダメ
もしかしたら、こういった発言によって傷つく人がいるのかもしれません。
でもせっかくブログという、公の場で自分の意見や賛同できる意見を表すことができるのに、それを「賛否両論があるから」という理由で押し殺すのは嫌です。
ヘイトスピーチと言われようが。
今はなんでもかんでもちょっと自分の意見を言うだけでヘイトスピーチと非難されることがありますね。言論の自由とか言いつつ、息苦しい世の中です。
最後に、私の夫が考える「若者が中絶に反対する理由」を載せておくので、彼の声にも耳を傾けてみてください。
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なぜ若い人が賛成派かというと、どう考えても「命」は大事だから。それしか見えてないから反対する。そしてもう1つ、彼らはヨーロッパ(西欧)に対してコンプレックスがないからだ。
30代以上の人達は、共産主義時代のかなり貧しいポーランドで生まれ育った。当時は自由で金持ちな西欧、ヨーロッパはまさにポーランドの憧れだったんだ。
ヨーロッパの仲間入りをすればポーランドは豊かになる、経済的に支援してもらえる…。だから共産主義時代から脱出して、EUの仲間入りを果たしたときは誰もが喜んだよ。「これで僕たちの国も憧れのヨーロッパだ」って。
でも今、そのEUではフェミニストが活躍し、しきりに「女性に自由を」って叫んでいる。
そして、中絶を広く認めさせようとしている。それを聞いた西欧に憧れたままの30代、40代のポーランド人達はEUの言いなりにならなかった時の見返りが怖いという思いも心底にあって、必死にEU側についている。
一方、20代の若い世代は西欧コンプレックスがないから、「ふつうに考えて」中絶を反対する。若い人達と30代後半以上の人達が中絶問題で対立している大きな理由はそれ以外に見つからないね。
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西欧コンプレックス、ありますね。
どこか西欧へ移住するポーランド人達は、出稼ぎという切実な理由で国を出る人も少なからずいる一方、大半が西欧コンプレックスのためだと思います。
あと、この中絶禁止法案問題ではよく「敬虔なカトリックの国だから」なんて言われていますが、なんでもかんでもカトリックのせいにしないでください。
中絶は、倫理的に考えていけないことです。胎児は人間です。中絶は人を殺すということです。女性の権利を主張することは、人の命を奪う行為(中絶)よりも大事なことなのでしょうか。
中絶をした多くの人がそのことを後悔し、いつまでも罪悪感に負われているそうです。たとえ、レイプによる望まぬ妊娠であったとしても。だから、中絶で後悔するくらいであれば産んでほしい。
養子に出したり、そういった施設に預けるなり、命を救う手段はあるので。
日本では中絶する人が多いだけに、こんなことを書くとバッシングが来るのかもしれませんが、私は誰がどう言おうと、それで友達を失おうが中絶には反対です。ポーランドが間違った方向に進まないことを祈るばかりです。
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aborcja
この記事を読んだ方ならもうご存知でしょうが、aborcja(アボルツィア)は「中絶」という意味です。
STOP ABORCJI の “aborcji” は与格です。また “STOP” は英語の “STOP” のようですが、実はポーランド語にも “stopować”(ストポヴァチ)という動詞があり、その後ろは対格を取ります。”STOP ABORCJI” で与格を取っているのは例外でしょう。
最後までお読み頂きありがとうございます☆


お若いのにしっかりとした意見をお持ちですね。よく勉強なさっていて偉いと思います。でも、一方的な方面からしか物事を見られていないようで、残念です。チャルネ・プロテスト(プロテスタントではありません)に参加している女性達はただ単に中絶禁止法案だけに反対しているのではありません。ポーランドという国が、沢山の犠牲を払ってやっと手に入れた自由を今の政権に奪われようとしている、その状況に対して怒っているのです。(今の日本も同じような道を進んでいますが)PISが与党になってからどれだけのジャーナリストが職を奪われたか知っていますか?
記事を読んでいただき、ありがとうございます。
kageさんと私では反対の意見のようですが、私なりにコメントに対する返信をさせていただきます。
もし他の政党が政権を握っていたとして、ポーランドが今の状況より良くなる保証なんて1つもありません。
記事でも、中絶禁止法案反対派がただこの法律に対して抗議しているわけではなく、政党に対して抗議をしているということにも触れたつもりです。
それに恐らく、中絶禁止法案だけではあんなにカッカしないでしょう。
しかし、そういった方達には残念ですが、ポーランドの大多数の国民が今の政党を選びました。
記事でも書いた通り、万人が納得いく政治というのは不可能でしょう。
大勢のジャーナリストが解雇された件は知っています。しかし、なぜポーランドがここまでメディアの規制に踏み切らなければならかったか、その理由を考えることも大切です。
なぜかという、ポーランドとしての自由がなかったからでしょう。
法と正義が政権を握る前、ポーランドメディアの内約60%がドイツのメディアでした。
政治はドイツやEUの都合のいいように解釈しなおされ、誤ったニュースが世界中に流されていました。
ポーランドは他の欧州とはどこか違う方向を向いているようで、それで嫌われやすいですが、どれだけ嫌われようが自国を守る態度は他国も見習うべきところがあると思います。
そんなに西欧のいう自由が欲しいのなら、もう彼らはポーランドを出て行くしかありません。
と、それは言い過ぎですが…。
メディアの規制に踏み切らなければならない?ポーランドとしての自由?ただPIS、与党とは違う考えのジャーナリストを排除しただけですよ。
もうすでに沢山の若者達(だけではありませんが)がポーランドを出ていきました。
私は今の政治、外交の状況が時代に逆行しているとしか思えなく、ポーランドに十数年在住する日本人として危惧しています。
では、ドイツやEUの誤った情報に犯されたポーランドでよいということでしょうか。理由はそれだけではありませんが。
そして出て行った若者達は出稼ぎや単にEUに加盟して他国に移住しやすくなっただけ、というのが大きいでしょう。
もちろんポーランドが嫌いな人もいるでしょうが、そんな人はどこの国でもいます。
日本人でも日本が嫌いで出て行く人がいるでしょう。
そんな話をすればキリがありません。
例えば、難民問題はもしあのままドイツの言いなりになっていればどうなっていたでしょうね。メルケルは、自国の難民受け入れについて後悔していましたが。
ポーランドは自国の意見を貫いて本当によかったと思います。
そして、当記事は中絶法案について書いたものです。私の意見が気に入らないのはわかりますが、ここで議論したくありません。だからといって、メールして話し合う時間もありませんが、こういう意見もあるということでご理解ください。
私は、中絶法案に対する事実を述べるために当記事を書きました。
『たとえレイプによる妊娠だとしても生むべき』という言葉にゾッとしました…。ちょっとそれは…。自分が“普通に”考えたら、それは残酷過ぎる事だと思います。
私も女性ですから、もし自分がレイプされたら計り知れないほどのショックで苦しむに違いありません。
ただ、もしそれで妊娠した場合に「レイプで出来た子どもだから中絶する」というのも残酷なことです。
意見が分かれる問題なので、個人の方に対してレイプと中絶のどちらが残酷と決めつけようとは思っていません。
ただ、ポーランドと日本ではあまりに死に対して考え方がちがいます。
それはカトリックという宗教観から来るものでもありますが、カトリックでは自殺や中絶は最も重い罪の一つです。
もし、それに同調する者が現れれればこういった運動がポーランドで起こることは無理もありません。
ポーランドのことはよく分からないので、なんともいいようはありませんが。。
妊娠中絶を法律で禁止させるのには、反対です。ただし、妊娠中絶を積極的に推進する気もありません。
あくまで「禁止」を法律として認めるのに反対します。
理由は、中絶はあくまで、妊娠した人の意思決定であり、法律で意思決定を妨げる必要性が存在しないと思うからです。
「殺人」がすべて悪いから中絶禁止が必要だ、という論理だと、死刑を完全廃止する必要もありますし、世界中から軍隊をなくす必要もあります。
おそらく論理的に整合性が取れないと思います。
確かに妊娠中絶がいいことだとも思ってません。中絶って言葉は中立的ですが、実際には、気持ちがいいことではありませんし。。
しかし、個人を尊重するという立場からすると、その個人の意思決定を妨げるのはある相当の理由が必要になると思います。
はっきり言って、私から言わせれば法律を作るということは税金を使うということです。そして、税金をつかって妊娠中絶を禁止した場合の利益を考えると存在しないことが明らかです。今は中絶が18万件?あったとして、私への不利益はありませんから。
例えば窃盗は法律で禁止されていますが、窃盗罪は私の利益になっています。
そういう意味で、妊娠中絶があったからと言って、私の生活は特に変わりません。
すべてを利益で考えているわけではありませんが、税金を使う割に、特にいいことがないのは明らかです。
ということで、「禁止する理由としては足りない」というのが中絶禁止法案への反対理由です。
処罰としての死刑や任務という軍隊においての「人を殺す」と、中絶の「人を殺す」は大きく異なります。
意思決定が出来ない胎児の命を「大人の理由で」捨ててしまうことを中絶といいます。
子どもがまだ育てられる年齢ではないから、子どもがすでに十分いるから、身体障害が見られるからなど、そのような理由で命を捨てることができるのです。
そんなことはお分かりかと思いますが、中絶禁止法案を提案している団体は「殺人が悪い」ということに論点があって中絶を反対しているわけではありません。
「胎児の命を尊重せよ」と訴えているのです。
禁止法案の反対者と賛成者の温度差は、胎児の命あるいは大人の事情のどちらを尊重しているかにあるのでしょう。
もちろん、反対者全員が中絶に完全賛成というわけではないのは分かっています。
しかし、罪のない胎児の命を人として尊重すればするほど賛成者となり、女性の権利というものや大人の意思決定を尊重すればするほど反対者になってしまいます。
中絶禁止法案を税金や私たちへの利益と関連させるのであれば、(私には特にそういった考えはないのですが)中絶禁止法案は利益になると思います。
今はポーランドもですが、日本など多くの国が少子化で悩まされています。
少子化によって、年金支給額の減少、経済力の衰退、世代間格差による社会問題など深刻な影響がもたらされています。
これらは私たちにとって明らかに不利益ですから、中絶によって多くの子どもを失うことは不利益だと考えられます。
いかなる理由でも中絶が法律によって禁止されてるいる他の国で薬による人工中絶と自然流産の区別がつかず、自然流産の女性が投獄されるケースが多々あるとありました。
法制化するのならば、このケースもきちんと判断できないと、それこそ女性の人権が危険にさらされると思います。
またレイプによっても出産しなければならないとして、その子供は出産した女性が育てていかないといけないのでしょうか。本人が希望した妊娠でもなく、これから何年も養育の義務が付きまとうのかと思うと、実際自分に起きた場合を考えるとゾッとします。
考えをお聞かせください。
私は中絶について議論をするために当記事を書いたのではありません。
女性の人権と、中絶によって命を落とす子どもの人権のどちらが大事か、これについてはさまざまな意見があるでしょう。
私のお腹に赤ちゃんがいたとして、その赤ちゃんを産めば自分の命が危ういといった場合、私は間違いなく子どもの命を選びます。
私はそういう考えの人間ですので、中絶賛成派になることはないでしょう。
またレイプによって出産し、どうしても子どもを育てられない場合、施設に預けることが可能です。
それなりに覚悟のいる手続きが必要ですが、本人が絶対に養育しないといけないという義務はありません。
レイプというのは考えただけでも恐ろしいことですが、子どもには何の罪もありません。
レイプという悲劇に、さらに子どもを殺めるという悲劇を重ねる方が一人でも減ることを願います。
私が女性の人権と書いたのは、自然流産(女性に落ち度がなくてもある一定数の妊娠下で受精卵の異常などでおこります)と人口中絶の区別がつかず、他国に置いて実際に自然流産や死産の後に投獄され、服役中のケースがあると聞いたからです。
ポーランドではその後のこの中絶反対議論はどのように進んでいるのでしょうか。
実際に流産や死産を経験されたことがない方には想像がつかないかもしれませんが、やはり正常な妊娠化でも一定数起こりえることですし、胎児を守れなかったという理由でやはり母体は罰せられる対象になるのでしょうか。それともここまで踏み込んだ議論は起きてないのでしょうか。
レイプ出産後の件は理解しました。社会が育てる制度や仕組みが整っていれば、新たな被害者(中絶される胎児)を生まないようにできるのかもしれませんね。
ご返信ありがとうございます。
私事で申し訳ありませんが、現在試験勉強中で新たなリサーチをする時間もありません。来週後半にコメントできればと思いますので、もうしばらくお待ちください。
お忙しいときに、重ねて質問してすみません。ポーランドのことは全く知りませんでしたが、こんなことから世界が広がった気がします。コメントお待ちしております。
Momoさん
お返事が出来ていないままになっており、申し訳ありません。
今回新たなコメントをいただいて気付いたのですが、Momoさんにコメントをお返ししたつもりが操作ミスかネットが一時的に不安定になっていたのか反映されていなかったようです。
パソコンでお返事を返すときに限ってこのようなことが何度か起きているので、今回は確実なスマホから書きます。
理由は何であれ、お返事をお待たせしまって本当に申し訳ありません。
現在も落ち着く日がなく新たなリサーチが出来ないままでいますが、結論、まだこの件は解決していません。
現状は、最近いただいたコメントへのお返事にも少し触れていますのでお読みいただければと思います。
正常な妊娠でも流産や死産の可能性があるというのは私も理解しています。
身近でも妊娠を喜んだのも束の間、数週間で流産した人を見てきました。
そしてこの法律は中絶者を罰するためというより、胎児を守るための法律ですから、健康上の理由や胎児に何らかの問題があって流産・死産した場合に罰するというものではありません。
西欧では知的障がい者の方を見かけることが日本より少なく感じ、それについて夫に質問したことがあります。
その答えがあまりにも衝撃的でした。
西欧では、胎児に何らかの障害や病気が見られたら中絶する、というのはごく自然な考えなんだそうです。
よくあるのは「ダウン症」を理由にした中絶です。
今、ポーランドでは病気や障がい、遺伝子異常などを理由に中絶することを禁止すべきだという法案で議論を進めています。
まだ結果は分かりません。
【10月6日 AFP】 ポーランド下院は6日、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する法案を、賛成58票、 反対352票、棄権18票で否決した。
実際は圧倒的多数によってこの法案は否決されてますよね。まるで、ポーランド内では賛成派が多数であると読み取れてしまう記事。酷い。
私は何も嘘は書いていません。
ポーランドの事情をあまりご存知ではないようですが、疑問を感じるのであればきちんと質問をしてください。
この問題は非常にややこしく、またリベラル化の進む西欧やフェミニストから批判されているため、多くの政治家が議論を避けようとしています。
どの政党も国民が公共の場でプロテストを起こすことは望みませんし、PISですら揉め事を避けるために法律改正に反対しているのが現状です。
否決だからといって中絶賛成派とは限りませんし、否決=中絶禁止法案に全面的に反対していると考えるのはあまりにも単純すぎます。
多くの方が誤った解釈をしていますが、中絶問題はどこかの政党や政治家が言い出したことではありません。
団体が声を上げているのです。
ポーランドでは法律上、10万人以上の署名を集めると法律改正を呼びかけるために議会に嘆願を提出することができます。
国会で大きく議論されるほどに署名が集まったのですから、ポーランドではそれだけ中絶禁止法案を支持している国民がいるということです。
では、なぜ反対者がいるか。
それは中絶禁止法案が厳しすぎるからでしょう。
団体はいかなる理由でも中絶を禁止すべきだと叫び、多くのポーランド人がその案に同調しましたが、やはり「いくらなんでもレイプで出来た子どもを必ず産めというのはやりすぎだ」と考える女性はポーランドにもいます。
反対者が中絶に全面賛成しているわけではなく、基本的に中絶はよくないことだという認識はあっても部分的にこの法案に賛成できない人も多くいるのです。
この中絶禁止法案は現在も議論されていることです。もし本当に単純に反対者が多いのであれば、このような問題はとっくの前に片付いているでしょう。
今度は「胎児の病気や身体障害を理由に中絶するのは禁止」という法案で進めていますが、議会がどのような決断を下すかはまだ分かりません。
ドイツや日本の“リベラル”すぎる報道には私自身疲れ果てています。
一部の過激派フェミニストにもうんざりしていますが、フェミニストがいたからこそ、社会が改善されたことも事実です。
西洋や西洋化にずいぶん目くじらを立ているようですが、インターネットやブログもバリバリの西洋(アメリカ)から始まりました。あなた自身のビジネスや結婚も西洋化やリベラル化があったから、実現した事です。愛国心の強い国ではその反動として純血思想や異分子の排除がおこりやすいことは、社会学を学べばわかることだとおもいます。
自分は嘘をついていない、議論をするつもりはないというとおっしゃられていますが、あなたの意見が必ずしも受け入れられるばかりではないし、政治的スタンスや、価値観が違う人たちにとっては実際はどうあれ“うそ”に見えてしまう事は、あなたでなくてもありうることです。綾香さんの意見が気に入らないという子供っぽい理由でコメントを残している人だけではないと思います。
多くの人は、あなたの意見に賛成はできないけれど、わざわざコメントを残すというのは、あなたと真剣に向き合おうとしているということが分かるといいのですが。
そして、大々的に情報を発信している場合、嫌でも議論は生まれてしまうと思います。ブログでお金を頂いている場合、それはある程度の義務ではないのでしょうか。ブログには流行り廃りがあります。そこで反応が薄かったら寂れてしまうと思います。
自分が賛成する内容だけ垂れ流し、批判的なコメントをスパム認定してしまったブロガーさんは、今は閑古鳥が鳴いています。
さて、レイプの被害者で精神が崩壊してしまった方、その間に妊娠が進んでしまい、生まざる負えないが育てられない、施設の中しかしらない子ども、中には自殺をしてしまう被害者、、、そういう人たちのことも、いつか冷静にものを考えられるようになったら考えてください。団体が声をあげたといっても集団だから正しい訳ではないとも思います。これはデモも同じですが。
最後にあなたに問います。
あなたがレイプされたとして、警察に行けるでしょうか?裁判を起こせますか?
性犯罪は何処の国でも相談することすら戸惑う人が多いです。なぜならとてもプライベートな事だからです。被害届や訴訟になればなにをかいわんや、です。
私はレイプではありませんが、性暴力の被害者です。被害にあった事すら認識できず、長い間うつがつづき、今やっと自分と向き合っています。治療はまだまだ続きます。
私のお友達(ポーランド人、20代女性)は、年上の男性の卑劣な男性にだまされ望まぬ妊娠をしてその結果流産といっていましたが、おそらく中絶だと思います。そういった人の声はいつか母になりたいあなたには届かないのでしょうか?
愛する旦那さん以外の人との強いられた行為による妊娠でも、それでもその赤ちゃんを育てますか?そして旦那さんもその赤ちゃんを自分の子として認められますか?
遺伝子疾患などを理由にした中絶は基本的に反対ですが、実際重度の方の場合、
家族の犠牲は計り知れない物があることもたしかなので、完全に反対もできません。西欧に比べて日本で障害のある方を見かけるのが少ないというのは地域性もあるとおもいます。ポーランドの方が障害のある人に対して緊張度が少なく自然に接していることは、ポーランドを訪れ私も感じました。
さて、私は仕事が福祉系なので日本の法律のマズさと、いわゆる欧米の救いのある法律や社会システムの専門家です。
ドイツで障害のある子を中絶をするというのも必ずともそうとは言えません。だって、街に普通に歩いていますから笑優生思想が残っているのは否定しませんが。←ここポイント。
私はあなたの視野はとても広いと思いますので、ポーランド愛だけに固執せず隣国のいいところも学んでください。ドイツのドライさとせからしさに疲れて、ポーランドに留学したドイツ人を何人かしっています。
ご意見ありがとうございます。
いろいろな考え方があると思いますし、るるさんの考えや指摘を否定するつもりはありません。
ただ、当記事は議論するために書いた記事ではないので熱く討論するつりもありません。
それが「逃げている」と言われようとも、こういった終わりが見えないテーマは特にブログやネットで議論しようと思わないのです。
皆さんにもさまざまな考え方があるように、これが私の考え方です。
ただ、「ブログでお金を頂いている」「自分が賛成する内容だけを垂れ流す」という言い方には少し疑問に感じました。
後者はもしかすると私のことを直接指しているわけではないかもしれませんが…。
このブログを設立するまでに自分なりにかなり労力をかけましたし、この記事はともかくポーランドに関する記事もそれなりに時間を割いています。
「こっちは無料でこんなにもの情報を提供してるんだ!」とまでは思いませんが、もし広告を貼っているだけで「お金をいただいている」と思われているのであれば残念です。
ちなみに私はポーランドも好きですが、ほかにも好きな国がたくさんあります。
このブログは「ポーランドなび」だけにポーランドに焦点を当てた記事ばかりですが、普段からポーランドに固執しているわけではありません。
冷静なコメントありがとうございます。
もっと攻撃的なコメントが変えてくると思ったので安心しました。
ブログで垂れ流すは、書いたと思いますが別の方です。
確かにインターネットでの議論は水掛け論になりがちですが、中絶法案に賛成しつつも、性暴力や犯罪からの妊娠やその被害者の方に心を寄せていただけると嬉しいです。このお話はここまでにしましょう。
自分で閉めたのに書き忘れがありましたすみません汗。
前のコメントに適当に混ぜて、まとめてくださったらありがたいです。
ちょうどドイツの話がでたのでドイツに絡めてお話しさせていただきたいと思います。例の法律が大多数で否決されたとどなたかのコメントにありますが、ナチスドイツ下では多くのおぞましい法律が“大多数”によって可決されました。
これは、多くの方が集団主義や数の力の恐ろしさについて今も学ぶ根拠になっていると思います。
私は女性の中絶する権利には賛成ですが、私自身が妊娠したら中絶という選択肢は今のところありません。
日本は性教育やライフプランのたてかたが男女ともにまだまだだとおもうので、
いきあたりばったりで、性交渉をしてしまいその結果望まない妊娠→中絶というケースがとても多いです。
日本の年間の中絶数と出生数を比較してみると、結婚まで性交渉をひかえるというイスラムやカトリック、プロテスタントとユダヤ(の一部)に共通するよい知恵だと思います。ちなみにドイツではポーランド系とイスラム系移民の通婚が多いです。
理由は、お互いに神様を信じているから&家族思いだからだそうです。意外ですね。