詳細プロフィールはココ YouTube はじめました
最新記事 by Ayaka (全て見る)
※コンテンツの無断転載禁止(リンク歓迎)
.
この記事の内容
カトリック教徒は少なくとも年に1回は、神父さんの前で告解(ゆるしの秘跡)を受けなければなりません。
神父さんを通して自分の罪を神に告白し、ゆるしを得る儀式を「告解」と言います。何も恐れることはなく、準備は必要ですが特に難しくもありません。
しかし、成人洗礼の人にとっては分からないことだらけ。だれかに、「どんな罪を告白しましたか?」なんて聞けるものでもなく…。そんな悩めるカトリック教徒の方に、告解をするにあたっての知識を共有したいと思います
.
.
この記事の目次
❶ 告解(ゆるしの秘跡)とは?
❷ 告解すべき主なタイミング
❸ 告解の前にやるべきこと
❹ 告解式次第 日本語&ポーランド語
❺ 面会式の告解もオススメ
❻ 神父さんの守秘義務について
❼ この記事のまとめ
【信者が徹底解説】キリスト教の最大教派・カトリックってどんな教え?
告解(ゆるしの秘跡)とは?
告解(ゆるしの秘跡)とは、神父さんを代理人として神に罪を告白し、そのゆるしを請うことで教会と和解する儀式をいいます。
社会的な罪は当然のこと、他人を不快にさせるような言動や行動、人を貶めたいと思う心、制御できなかった自己満足、そういったものはカトリックでは罪と呼びます。
罪の告白は決して進んでやりたいようなものではありませんが、告解に求められるのはそういった後ろめたい気持ちと後悔。
でも実際のところ、大小問わず過ちを犯さずに生きていくのは非常に難しいですよね…。
しかし、神さまは「完ぺきな人生を送りなさい」とはひと言も言っていません。
回心が重要なのであり、その機会として与えられたものが “ゆるしの秘跡” だと思います。
告解すべき主なタイミング
告解は年に一度行うべきとされますが、頻度が多いに越したことはありません。
毎月、毎週するという人もいるほどです。
罪を告白するのに頻度が多いほうがいい、というのは矛盾しているようにも聞こえますが、要するに反省すべきことが罪。
反省すべきことがない人はいないでしょう。
どんなに性格のいい温厚な人でも、自信に満ちあふれた人でも、反省すべきことのない一週間を送るのは無理に等しいですよね。
ローマ教皇も月に数回と告解するそうです!
ただ実際のところ、大多数の信者は年に1〜3回だけ告解していると思います。
無理して頻繁に行う必要はないですが、最低限のすべきタイミングは知っておきましょう。
.
告解すべき重要なタイミング |
復活祭/イースターの前(四旬節中) 降誕祭/クリスマスの前 自分が秘跡を受ける前(結婚式など) 代父母として洗礼式に参加する前 証人や家族として結婚式に参加する前 |
告解の前にやるべきこと
教会には告解室があり、たいていミサの時間帯は告解室に神父さんがおられます。
しかし、こころの準備もしないまま、いきなり告解室へ入る人は滅多にいないでしょう。
準備そのものは大がかりなものではなく、通常は数十分程度で済むと思います。
自分だけの静かな空間で心を落ち着かせ、【良心の糾明(リンク先PDF参照)】に目を通して日頃の行いを振り返りましょう。
.
具体的な告解の手順 | |
❶ | 犯した罪を思い出し、良心と向き合う |
❷ | 犯した罪を回心する |
❸ | 改善するにはどうしたらよいか考える |
❹ | 司祭の前で罪を告白する |
❺ | 司祭に指示された償いを実行する |
.
・主日のミサに何度か遅刻してしまった
・ミサの説教中にほかのことを考えた
・夫とケンカして謝ってくれたのに無視した
・子どもがいるのに夜更かししすぎた
・家族イベントを面倒に感じて文句を言った
・何度かまとめ買いした食品を腐らせ捨てた
.
.
告解式次第 日本語&ポーランド語
上の写真は欧米のカトリック教会によくある据え置き型の告解室(固定されているので動くことはない)ですが、日本では小さな部屋が告解室になっている場合が多いです。
しかし、どんな告解室であっても告解のやり方は同じなので安心してください。
告解室に入ったら足元の台にひざまずき、神父さんが小窓を開くまで待ちます。
神父さんは左右交互で告解を授けており、小窓が閉まっている場合は反対側で告解をしていると考えられるので順番を待ちましょう。
式次第は下記の通りとなります。
一言一句この通りに進むわけではありませんが、基本的にはだいたいこのかたちです。
.
ゆるしの秘跡/告解の式次第 | |
司祭 信者 |
父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。 |
司祭 | 回心を呼びかけておられる神の声に心を開いてください。〜 神のいつくしみに信頼して、あなたの罪を告白してください。 |
信者 | (最後に告解した時期[例:去年の四旬節]を告げ、罪を告白する) きょうまでの主な罪を告白しました。ゆるしをお願いいたします。 |
司祭 | (必要であれば信者に助言し、罪を悔い改めるように勧めたあと “罪の償いと生活の改善のために償いのわざ” を指示) それでは、神のゆるしを求め、心から悔い改めの祈りを唱えてください。 |
信者 | 神よ、いつくしみ深くわたしを顧み、豊かなあわれみによって、わたしの咎をゆるしてください。悪に染まったわたしを洗い、罪深いわたしを清めてください。 |
司祭 | 全能の神、あわれみ深い父は、御子キリストの死と復活によって世をご自分に立ち返らせ罪のゆるしのために聖霊を注がれました。神が教会の奉仕の努めを通して、あなたにゆるしと平和を与えてくださいますように。わたしは、父と子と聖霊のみ名によって、あなたの罪をゆるします。 |
信者 | アーメン。 |
司祭 | 神に立ち返り、罪をゆるされた人は幸せです。ご安心ください。(この言葉のあと、信者は告解室を退去する) |
信者 : Niech będzie pochwalony Jezus Chrystus.(イエス・キリストを讃えます)
司祭 : Na wieki wieków. Amen.(永遠に)
信者 : (十字を切りながら)W imię Ojca i Syna, i Ducha Świętego. Amen.
(父と子と聖霊のみ名によって。アーメン)
司祭 : Bóg niech będzie w twoim sercu, abyś skruszony w duchu wyznał swoje grzechy.
(あなたが自分の罪を告白するために、神があなたの心の中にありますように)
信者 : Ostatni raz u spowiedzi świętej była/em w zeszłym roku przed świętami Wielkanocy. Pokutę zadaną wypełniła/em.
(私が最後に告解を行ったのは去年の復活祭の前です。告げられた償いは果たしました)
Obraziła/em Pana Boga następującymi grzechami (〜罪を告白〜)więcej grzechów nie pamiętam, za wszystkie serdecznie żałuję, postanawiam poprawę proszę o naukę, pokutę i rozgrzeszenie.
(これ以上の罪は覚えていません。私はそれらのすべてを心から後悔し、正すことを決心します。私は更正し、償いとゆるしを求めます)
司祭:(必要であれば信者に助言し、罪を悔い改めるよう促したあと償いの指示を与える)
Bóg Ojciec Miłosierdzia, który pojednał świat ze sobą, przez śmierć i zmartwychwstanie swojego Syna i zesłał Ducha Świętego na odpuszczenie grzechów, niech ci udzieli przebaczenia i pokoju, przez posługę Kościoła. I ja odpuszczam Tobie grzechy, w imię Ojca, Syna i ducha Świętego.
(慈悲深い父は御子の死と復活を通して世界を和解させ、罪のゆるしのために聖霊を遣わされました。教会のはたらきを通して、あなたにゆるしと平和をお与えになりますように。私は、父と子と聖霊のみ名によって、あなたの罪をゆるします<信者は「父と子と〜」のところで十字を切る>)
信者:Amen.
司祭:Pan odpuścił tobie grzechy. Idź w pokoju.(主はあなたをゆるしてくださいました。 安心して行きなさい)
信者 : Bóg zapłać.(ありがとうございます)
参考:聖イグナチオ教会 信仰のしおり
面会式の告解もオススメ
信頼できる神父さんがいらっしゃるなら、面会式での告解もいいと思います。
私は告解室で告解するよりも、対面で堂々と話すほうが肩の力を抜くことができます。
面会式の場合は個室でふつうに神父さんとお話しするようにして罪を告白しますが、お互いの目を見て話をすることで告解独特のかたい空気が和らぐんです(あくまで私の場合)。
ただ、面会式は神父さんのお時間を個別である程度いただくかたちとなります。
聖職者が不足している日本ではあまり一般的ではないかもしれませんが、特に緊張している方はお願いしてみてはいかがでしょうか。
私はこれまで、洗礼に向けて個別レッスンを行ってくれた神父さんと、主任司祭さんにお願いして面会式で告解していました。
今はお二人とも別々の教会に移ってしまったため、告解室にも慣れねばなりません…。
神父さんの守秘義務について
カトリック教徒なら知っている人は多いと思いますが、神父さんは告解で打ち明けられた罪を絶対に他人に漏らしてはなりません。
極端に言うと、法で裁かれるレベルの罪を告白されたとしても守秘します。
その内容によっては神父さんも強い背徳感や罪悪感を抱くことになりますが、告解内容の口外は破門されるだけでは済まされません。
それほどまでに重い罪を告白する人がどれだけいるかはともかく、忘れてはいけないのは、【告解はキリストの代理人である司祭を通して神になされるもの】ということ。
神父さんは地上の人間として罪を聞いているわけではないため、「社会的な罪があると分かっていて通報しないのは絶対おかしい」と訴えるのは意味がないことです。
信徒以外からすると「?」でしょうが…。
そんな告解内容の守秘義務、なんと1215年に行われた第4回ラテラノ公会議から現在にわたるまで施行されているのだとか。
すべての信徒に年一回以上の告解が義務づけられたのも、この公会議からのことです。
教会法983条 第1項
〜秘跡上の秘密は不可侵〜
ことば又は他のいかなる方法をもってしても、またいかなる理由に基づいてもゆるしの秘跡を受ける者を決して裏切ってはならない
当記事では告解に関するあらゆる知識や手順を具体的に説明しましたが、これを読んだ信徒の皆さんが少しでも罪の告白に前向きになれたのであれば幸いです。かくいう私も年に1〜2回しか告解していないので(生まれつきカトリックの夫は年2回くらい)、次の告解の前はこの記事をまじまじと読むことになるでしょう…
Copyright secured by Digiprove © 2021
はじめまして。
カトリックについて調べものをしていたら、偶然このページを開きました。
神学についての固い本を読むのと違い、個々の信者さんが何を考えて生活されているのか、分かりやすく書かれていて、大変参考になりました。
ポーランドについて、時々カトリックについての記事を楽しみにしています。
コメントありがとうございます。
当記事やほかの記事も参考になったようで大変嬉しく思います!
神学というと少し構えてしまいますが、カトリックの国に住む私にとってはこの国の慣習、文化という感覚でもあります。ですので、カトリックカテゴリーの記事も「ポーランドの文化紹介」に近い感覚で書いています。
成人洗礼を受けた私だからこそ書ける記事もあると思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
以前、コメントを差し上げた者です。
このクリスマスに、プロテスタントからカトリックに改宗しました(プロテスタント時代の洗礼は有効と判断され、改宗式+堅信式。)。
本記事のおかげで、ゆるしの秘跡も無事に受けることができ、神様からの恩寵の大きさを実感できました。
本記事の執筆ありがとうございました。
お役に立ててよかったです。
ルター派の先生とお話ししたことがありますが、たとえば、カトリックとルター派の間には特別な取り決めがあるようで洗礼式のやり直しはないと仰っていました。そういったお話を聞くのも新鮮で興味深かったです。
中世の時代は告解をするのに料金が発生したと聞いたことがあります。
現在もそうなのでしょうか。
もし料金が必要であれば、どれぐらい用意したらいいのでしょうか。
中世の事情はよく分からないのですが、昔は免罪符があったくらいなので寄付を求められていたとしても不思議ではありませんね。
現在のカトリック教会では、告解するにあたってお金は必要ありません。仮に、個室での告解など特別に時間を割いていただいた場合でもお金を渡すことはないです。
今、ドイツ·バイエルンでカトリックの洗礼を受ける準備中です。とても参考になります。
告解のやり方など詳しく知ることが出来て、ほっと
しました。神父さんが罪を漏らさないって、大変だと
思いますが話す側からは、嬉しいです。これから先
告解しようと思います。
参考になったようで嬉しく思います。自分のためにも書いた記事なので、私自身も告解の前に読むようにしています。私も法的な罪ではなくとも、人前には言いにくいような失敗をすることが時々あります。反省なしで生きることは難しいですからね。いい告解ができることを願っています。
告解のやり方など詳しく知ることが出来て、ほっと
しました。