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皆さん、前回のコンクール解説記事は読んでいただけでしょうか。
こちらの記事では、観客として、そして通訳アシスタントとして(名目上は報道関係者)のコンクールの感想を書いていきます。やっぱり長くなりました (^ ^;)
仕事を引き受けたきっかけ

ブログへの訪問者は現在600人〜840人ですが、今年の6月を越えたあたりからだんだん観光地のご案内以外のお仕事も入ってくるようになりました。
今回のお仕事もブログ経由で、以前にも案件をいただいたイタリアの番組制作会社からの案件。でも本件に関しては、実際に番組を制作するのは日本の制作会社でイタリアの方は仲介です。
番組制作会社ということはもちろん、テレビ番組に関わるものですがまだ放送日など詳細は確定していないので現時点では秘密にしておこうと思います(決定すれば、お知らせします!)。
最初は番組コーディネーターのお仕事と言われていたのですが、聞けば聞くほどに通訳としての仕事内容でした。
しかし私なんてポーランドに住んで2年ぽっちですし、日常会話ができると言ってもあまり難しい話をされたらテンポよくついていけません。なので、やる前は結構不安だったんですが、いざやってみると意外とできた気がします!
でもディレクターさんが誰かに私を紹介する時、「ペラペラなんで!」みたいな風に言っちゃうのでちょっとプレッシャーを感じました(笑)。ここだけの話。
10月6日 現地ポズナン入り

この日のお仕事はシンプルで、日付が変わる前に到着するディレクターさんを空港まで迎えにいって少し打ち合わせをするといった程度でした。
翌日に空港での撮影が控えていたので、そこでかんたんに空港のようすもチェック。空港には前もって撮影許可を取っていました。ポズナン空港ではセキュリティやチェックイン、バッゲジクレームなどそういった場所は撮影不可ですが(それはきっとどこでも同じ)、到着ホールでの撮影はOKだそうです。

これまでにカトヴィツェ、クラクフ、ヴロツワフ、ワルシャワ、グダニスクの空港を何度か利用してきましたが、ポズナン空港はそういえば初めてです。すっごい地方空港で、規模としてはグダニスクやヴロツワフと似ていました。
ちなみに今回のロケでは7日間で4回ほど空港を訪れたので、もうポズナン空港マスターになったつもりです!
この日は1時過ぎにベッドへ。明日からいよいよ本格的な業務内容になるので、ちょっとドキドキしながら眠りました。とにかく、ディレクターさんはとても親しみやすい人だったので安心。ちなみに彼はカメラマンも兼ねています。
そして、その番組制作会社は全国放送で視聴率もすごく高い人気番組を制作している会社でした。テレビをあまり見ない私でも知っています。ディレクターさんはやっぱり、色んな著名人や芸能人とお会いしたことがあるようでした。
10月7日 著名人との対面

今回のロケはスキャンダルのせいでコンクールの部分は放送されないかもしれないそう。だから空港に行った時の話をするのはやめておきます。それでなくても、たぶん話さないでしょうが…。
ところで、写真はこの日のディナー。
ディレクターさんが「綾香ちゃんが食べたいところ、どこでもいいよ!」と言ってくれたので、初スフィンクスを体験してきました。スフィンクスはポーランドのガスト的なチェーンレストランですが、ガストより敷居は高いです。
この日は金曜日だったので、カトリックである私はお肉を食べられません。
ポーランドのカトリックルールです。お肉が食べたいディレクターさんには悪いと思ったのですが、いっしょにお魚メニューを注文してくれました!

そうそう、この日、私は何気にサラッとスゴい人とご挨拶し、握手を交わしていました。その方がこの写真の男性、クシェシュトフ・ペンデレツキ。奥さまともご対面し、同じように握手をしました。
それは、シェラトンホテルである出場者のチェックインを手伝っていた時。
横でチェックインをされていたのがペンデレツキご夫妻で、出場者のお母様は「この方はコンクールで最も偉い人」と言っていたのですが、私は名字すら初耳で10秒で忘れてしまう始末。
ポーランド語でああだこうだと言っている私を見た奥さまは、「何か手伝いましょうか?」とまさに天皇陛下のような微笑みで声を掛けてくださいました。
そしてロケから戻った後に、「そういえば私が握手をした偉い人って誰だ?」とカタログでチェックし、「この人、知ってる?」と夫に聞いてみたところ
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そんなにスゴいの?!
問題のチェックインの後にもう一度お目にかかりましたが、ペンデレツキご夫妻も部屋に問題があったようでスタッフと一緒に部屋へ向かっていました。
スタッフ、もしかしたら始末書を書かされたかもしれませんね(笑)。
10月8日 事務局での歓迎

前夜になぜか名指しで私宛に「君と至急電話がしたい」的なメールをコンクール事務局から受け取り、その話が衝撃的すぎて思わぬ展開になっていました。
だって、会場では動画が撮影できないと言われたんですよ。番組制作で動画が撮影できないって残念すぎます。
前々から、今日の交渉が鍵だとずっと言われていました。この撮影許可がうまく取れなかったら、第2弾ロケのメンバーも変わってくるほどに重要な交渉だったんです。でも前日に「動画は撮影できない」とバッサリ切られたため、やや落ち込んだようすで事務局へ。

最初、間違えて出場者の登録オフィスに入っちゃいました。ていうか、スタッフに「事務局はどこですか?」と聞いたらここを案内されたんですよ。
きっと私が出場者に見えたのかも。
この後も3回ほど出場者に間違えられたことがあって、ポーランドの国営テレビ某アナウンサーに「私は、あなたが記者だって信じないわよ」(記者カードをぶら下げていたため)とまで言われました(笑)。そんなこと言われても…。
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実は、出場者とそうでない人は超簡単に見分けられます。それは、ヴァイオリンを担いでいるか担いでいないか。
彼らが持つヴァイオリンは非常に高価で、中にはいくらお金を積んでも手が届かないような額のものを持っている人もいます。だからヴァイオリニストは、基本的に外出時でも絶対ヴァイオリンを担いでいるんです。

登録オフィスで「あなたの名前を探してね」と言われ探してみるも自分の名前がない…。いや、これは出場者名簿?!
ということで、「実は報道関係者です」と言うと、上の写真の2人がいる反対の部屋へ案内されました。超ウェルカムで、にこにこしながら「◯◯会社だね?君たちにプレゼントがあるよ!」と3キロくらいある紙バッグを渡されました。
中に入っていたのがこちら。総額100PLNくらいすると思います。

そして、前日にあんな話をされただけに恐る恐る「やっぱり動画は無理でしょうか?」と聞くと、「オッケーだよ!何言ってんの?」みたいなお返事が。電話では一階席での撮影の話をしていると思っていたらしく、バルコニー席からであれば動画撮影は問題ないとのこと。
よかった〜!こうしてディレクターさんと胸をなで下ろし、記者会見まで暇つぶし。しかし、ここで私は猛烈に気分が悪くなりカフェのソファーでぐったり。
ぐったりしているところを事務局のお兄さんに目撃され、記者会見まで寝てるサボり女に見られたくなかったので「薬局はどこですか」と聞いてみました。
和やかな記者会見

記者会見でディレクターさんは結構グイグイいっていましたが、私は後ろの方の席で記者会見を傍観していました。
写真の女性は去年の優勝者、韓国人のユン・ソヨンです。こうやって前回の優勝者を招いて記者会見をし、その夜に前回優勝者によるウェルカムコンサートを開くのがお決まりのよう。
ここであるエピソードを紹介。
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彼女が5年前、初めてポズナンを訪れた時のこと。
宿泊先はメルキュールだったので(事務局のあるホテル)、中央駅に降り立った彼女はオロオロしながらある男性に「メルキュールはどこですか?」と尋ねました。
男性は「タクシーですぐ行ける距離ですよ」と言ったので、彼女は「ユーロは使えますか?」と聞き返しました。すると彼は「これで足りるでしょう」と100PLN(3000円相当)を渡して立ち去ったのです。100PLNなら90PLNのお釣りがくるほどでしたが…。
そしてコンクールが始まり、彼女の演奏は見事1位に輝きました。その時、彼女は「いい賭けでしたね」と言って男性に100PLNを返しました。その男性は、なんと審査員だったのです。
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あなたは信じられますか?
そんな偶然もあるんですね!でもその男性はおそらく、彼女が出場者であることを知っていたのでしょう。ヴァイオリニストは肩にヴァイオリンケースを担いでいるので私でも気付くと思います。
またこの記者会見で感じたのは、主催側がかなり出場者に気を遣っているということ。出場者に不用意にプレッシャーをかけないように、と。特に報道陣は、この後も度々そう注意されました。
そんなに出場者に神経を尖らせるなんて「なんて出場者思いの良いコンクール!」と思ったのですが、結果アンフェアなコンクールだったのは残念。
審査委員長ヴェンゲロフの話が止まらず、記者会見は予定終了時刻を若干オーバー。そしてこの後は、いよいよ演奏順を決める出場者のくじ引きです!
運命のくじ引きがスタート

この目をつぶっているのが、後で問題を巻き起こす審査委員長ヴェンゲロフ。
記者会見後、一斉に出場者が入ってきてくじ引きが始まりました。1番だけは引きたくない…、少なくとも出場者はみんなそう思っていたでしょう。
出場者の名前がひとりひとり呼ばれます。なかなか1番が出ないので、後半になるほど緊張感も増してきました。


上の写真の女性は土岐さんです。
くじ引きは15分で終わり、1位は服部百音、最後は岡本誠司という結果に。百音ちゃんが1番と言われる前から、紙を開いた人のリアクションで「1番引いちゃったんだな」と分かりました。
彼女は口に手を押さえ、ショックを受けた面持ちで席へ。途端にカメラマンが彼女の顔を撮ろうと押し寄せます。もう心の底から「そっとしてあげて〜!」って思いましたよ。でも、1番ってなんにしても注目されるので仕方ないですね。

国営放送のドッシリとした体格の女性アナウンサーが、「ここに集まって〜!出場者のみなさ〜ん!」と声を掛けて撮影したのがこの集合写真。
ここに写っているみんながライバルなんですよね。でも、全員良い笑顔!
次の後編記事からコンサートや舞台裏の話をしていきます。ちなみに今回の記事で使わせていただいている RR studio agency の写真ですが、これらは報道陣向けに毎日のように配られた素材。記事を書くのには大変役立ちます。感謝。
skrzpce
skrzypce(スクシェプツェ)は「ヴァイオリン」という意味です。
男性ヴァイオリニストは skrzypek(スクシェペック)といい、女性ヴァイオリニストは skrzypaczka(スクシェパチュカ)といいます。


