詳細プロフィールはココ YouTube はじめました
最新記事 by Ayaka (全て見る)
※コンテンツの無断転載禁止(リンク歓迎)
.
この記事の内容
ポーランドの人口はおよそ3,800万人。国外に住むポーランド人も合わせると世界中におよそ6,000万人いると言われています。その中にはディアスポラといって、ルーツはポーランドという意識を持ちながら国籍は移住先の国となっている移民2世らも含まれます。
そんなポーランド人にとって「移民」や「移住」という言葉は日本人よりもずっと身近であるはず。当記事ではポーランドの移民事情を探ってみました!
.
.
この記事の目次
❶ 2020年末は224万人が国外滞在
❷ イギリスのEU離脱で移民減少
❸ 憎まれ口を叩かれる移民の本音
❹ ウクライナからの移民が増加中
❺ ポーランド移民といえばアメリカ
❻ そういう私も移民という事実
❼ この記事のまとめ
シリア難民・移民問題|ポーランドがレイシストと言われても国を守る理由
2020年末は224万人が国外滞在
2004年のポーランドのEU加盟以降、ドイツやイギリス(現在はEU離脱)など国外に移住するポーランド人が増加しました。
しかしここ数年は減少傾向にあり、中央統計局によると、2020年末時点では224万人が国外に3ヶ月以上滞在していたとのこと。
これは推定人数であり、短期の国外滞在では全員が移民とは言い難いので「224万人が国外に移住している」という意味ではありません。
国外滞在者の数は前年より176,000人も減少しており、イギリスへの移住が難しくなったことから今後も減少傾向だと思われます。
移住先として人気があるのはお隣ドイツはもちろん、オランダ、ノルウェーなど広範囲に及び、中でも目立つのがイギリス。
義務教育では必修の英語のほか、選択外国語科目としてドイツ語が学べるので、ドイツに住んでみたいと思うのも不思議ではありません。
.
イギリスのEU離脱で移民減少
2020年にイギリスがEUから離脱した件については日本でも報道された通り。
離脱が騒がれ始めた2016年頃、当時はまだまだポーランド人の多くが半信半疑でした。
しかし直近4年でイギリスから帰国したポーランド人は数万人以上、さらに3年以内に最大30万人がポーランドへ戻ってくるという予測もあります(Rzeczpospolita.pl)。
ポーランド国籍を持つ人が帰国すれば、ポーランドも受け入れないわけにはいきません。
EUの恩恵を受けて移住していた人々もいきなり追い出されたわけではなく、多少の猶予期間が与えられたものの、多くのポーランド人が母国に帰ることを決意しました。
労働ビザ申請にも最低約10万円はかかり、給料はよくても生活費が高いため、イギリスでの生活基盤を維持するのは楽ではありません。
またポーランドの景気もEU加盟当初と比べれば格段に良くなっており、賃金も上昇、失業率も低下していることから単純に母国へ帰りたくなった人も増えているはずです。
ポーランドは労働力不足をウクライナ移民で補っていますが、今後、もしかするとポーランドへの移住が厳しくなるかもしれませんね。
.
憎まれ口を叩かれる移民の本音
ポーランドは長い歴史の中で国家が100年以上も消滅した時代があり、やっと独立したと思ったら第二次世界大戦でドイツとソ連に占領され、幾度もの危機に直面してきました。
そんな激動の歴史の中、強い愛国心と民族意識を失わなかったポーランド人がいたからこそ、今のポーランドがあるのです。
そのためか、特に出稼ぎ目的で国外移住するポーランド人を裏切り者と呼ぶ人もいるとか。
しかし出稼ぎ目的で移住した人も移住先ではそれなりに苦労しており、嫌々ポーランドを離れた人ばかりではありません。
また、移民が母国に送金する莫大な金額(最高で年160億ズロチ、4,500億円相当)はポーランド経済に大きく貢献しており、彼らがポーランドを支えているという面もあるのです。
そしてイギリスのポーランド移民はよく「イギリス人の職を奪っている、出て行け」と叩かれますが、イギリス人がやらない仕事を移民がやっているという現実もあります。
とは言っても、もうかなりのポーランド人がイギリスから出て行くことになるのですが…。
.
そうであってほしい。
.
.
.
ウクライナからの移民が増加中
私自身、クラクフでタクシーやUberを利用していて思うのですが、3〜4人に1人がウクライナ人なのでは?と思うほどウクライナ人ドライバーが多くてビックリしています。
ポーランドの企業の1/4がウクライナ人労働者を求めているという情報もあり(forbes.pl)、ポーランド人よりもウクライナ人に多く払うケースもあるのだとか。
2021年の夏時点でポーランドには約85万人の “国内で合法的に働くことのできる” ウクライナ人がいると言われていましたが、おそらく全体で100万人以上はいるでしょう。
母国より平均して3〜4倍も稼げるうえ、言語も同じスラヴ語ならそりゃ惹かれますよね。
しかし隣国で同じスラブ人と言えども、ウクライナはEU圏ではありません。
ここ数年で滞在許可証の発給スピードが信じられないほど遅れていますが(最悪半年以上)、合法的に働くためのビザを求めて押し寄せるウクライナ人が影響しているのは確かです。
.
ポーランド移民といえばアメリカ
ワルシャワ、クラクフ、ポズナン、ヴロツワフなどアメリカの地名の一部がポーランドに由来し、最も多いワルシャワ(英語ではウォーソー)となるとなんとその数は10以上!
今や1,000万人近くのディアスポラ(国籍は違ってもルーツはポーランド=ポーランド系アメリカ人)と言われるポーランド人がアメリカに住んでおり、シカゴやボストン、デトロイトなど東部に集まって暮らしています。
一番最初の移民がニューヨーク港を目指してやってきたため、北東寄りなのかもしれせん。
最初のポーランド人入植地はテキサス南部にあるパンナマリア(意:聖母マリア)という町で、1850年代、オポーレ地方からやって来たカトリック聖職者により設立されました。
アメリカがヨーロッパからの移民を歓迎していた19世紀、当時のポーランドは国家消滅であらゆる苦難に満ちた時代でした。
多くのポーランド人が希望を抱いてアメリカの地を踏み、遠い異国にいてもポーランド人としてのアイデンティティを失わなかったという事実、思い浮かべただけでも感慨深いです。
.
そういう私も移民という事実
私は、ポーランド人との国際結婚でポーランドへ移住した結婚移民者です。
ふつうにポーランドで暮らす分には「自分は移民なんだ」と思うことは滅多にありません。
小学生までの子どもたちに「アジア人だ」と言われることはたま〜にあるので、珍しがられているような感覚はあります。
子どもなので当然の反応だと思いますし、大人からはふつうのポーランド人と同じように接してもらえるのでそれほど気にしていません。
そんな私もポーランドに住んで7年以上になり、永住権を持つようになりました。
それでも選挙権だけはポーランド国籍者のみに与えられるので、今後何十年と住んでも日本国籍を捨てない限りは選挙に参加できません。
私の中では、移民=同じルーツを持つ人々の集団なので、「あなたも移民の一人」と言われてもあまりピンと来なかったり。
ポーランドに住むアジア人といえばベトナム人ですが、ベトナム人はベトナム人同士で結婚する人が多いので移民という感じがします。
.
.
.
そして2004年のポーランドのEU加盟以降、何十万人ものポーランド人が新しい環境を求めて母国を離れ、他国の移民となりました。最近ではイギリスのEU離脱をきっかけにまた多くのポーランド人が母国へと戻り、一方で100万人近くものウクライナ人が景気の良いポーランドへ出稼ぎにやって来ています。これからも経済状況や情勢に伴って、ポーランドの移民事情が大きく変化していくかもしれません。
Copyright secured by Digiprove © 2016