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ルブリン郊外マイダネク強制収容所の情報・行き方

一度入ったらもう終わりの世界
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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ウクライナ支援活動のご報告
ルワンダの教育支援団体設立

 

ワルシャワから南東へ170キロ、そこにルブリンという街があります。

ルブリン近郊にはマイダネク強制収容所があり、私と夫はここを訪れることにしました。その時のようすはまた別の記事で紹介します。こちらでは基本情報、そして行き方をまとめました。

ポーランドの移民事情2021

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このページの目次

1. マイダネク強制収容所
失われた命は約8万人
アウシュヴィッツより広大
2. 博物館の基本情報
開館時間 4〜10月
開館時間 11〜3月
ガイドと見学する
主な展示物
その他注意事項
3. マイダネクへの行き方
ワルシャワからルブリンへ
2016年8月現在の列車
ルブリンからマイダネクへ
2016年8月現在のバス

 

マイダネク強制収容所

ナチス・ドイツがポーランド国内に建設した強制収容所は全部で9つ。

その内の1つが今回紹介する、ルブリン郊外にあるマイダネク強制収容所(正式名称:ルブリン強制収容所)です。

 

失われた命は約8万人

マイダネクのシンボル「門」
マイダネクのシンボル「門」
マイダネク強制収容所は、ナチス・ドイツ親衛隊全国指導者ハイリンヒ・ヒムラーの命を受けた親衛隊オディロ・グロボクニクによって建設されました。

ヒムラーは1941年7月にルブリンを訪れ、グロボクニクに2.5〜5万人の囚人を収容するための施設を建設するよう言い渡します。そして同年秋に建設が始まり、1942年冬に完成しました。

そこに収容される者は主に独ソ戦のロシア人捕虜やポーランド侵攻時のポーランド人捕虜とされていましたが、最終的には絶滅収容所と化し、総計8万人ものポーランド人、ユダヤ人、そしてロシア人が虐殺・殺害されたといいます。

36万人以上が亡くなった?

2016年8月現在、日本語版ウィキペディアの情報では、マイダネク強制収容所では50万人以上もの人々が収容され、内36万人が亡くなったとありますが、最近の調査では15万人が収容され、内約7万8千人が亡くなったとされています。現地の博物館でも「おおよそ8万人近くが亡くなった」と訂正されていました。

記録に残されず命を落とした人も数えきれない程いるでしょうし、戦時中の混乱の中での出来事で、しかもナチス・ドイツが表にはあまり出ないようにやっていたことです。ハッキリした数字は未だに分かりません。

強制収容所と絶滅収容所

強制収容所の中でも、ホロコーストを目的として建設された施設は絶滅収容所といいます。絶滅政策の総仕上げとして建てられ、ポーランドにはアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所、へウムノ強制収容所、ベウゼツ強制収容所、ソビボル強制収容所、トレブリンカ強制収容所、そしてマイダネク強制収容所の6つが存在しました。

これらの収容者はユダヤ人やポーランド人、ロマを収容する目的ではなく、到着した囚人達をすぐに選別してガス室に送り込み、効率よく大量殺戮できるよう作られたと言われています。

 

アウシュヴィッツより広大

スタッフ曰く一周すると5キロ
スタッフ曰く一周すると5キロ
ヨーロッパ最大規模の絶滅収容所といえば誰もが知るアウシュヴィッツですが、実はこのマイダネクこそが最も大きい絶滅収容所とされる計画でした。

しかし、経済的な理由と東ヨーロッパをソ連に占領されてしまったことにより、この計画は失敗に終わりました。

ここで死亡した者はポーランド人が最も多いとされ、次にユダヤ人とされていますが、ほとんどのユダヤ人はポーランドに住んでおり国籍もポーランドだったことから、やはり結局はユダヤ系の人々が最も命を落としたと考えられます。

またマイダネクではアウシュヴィッツ同様、銃殺も多く1941年12月(建設されたばかりの頃)にソ連捕虜が約1900人銃殺され、最も規模が大きかったのは1943年11月に行われた1万8000人ものユダヤ人の銃殺でした。

1944年8月のソ連の報告

私はマイダネクで今まで見たことのないおぞましい光景を見た。ヒトラーの悪名高き絶滅収容所である。ここで50万人以上の男女、子供が殺された。これは強制収容所などではない。殺人工場だ。ソ連軍が入った時、収容所は生ける屍になった収容者が千人程度が残されているだけだった。生きてここを出られ た者は殆どいなかったのである。連日のように何千人もの人が送り込まれてきて残忍に殺されていったのだ。ここのガス室には人々が限界まで詰め込まれたため、死亡したあとも死体は直立したままであった。私は自分の目で見たにもかかわらずいまだに信じられない。だがこれは事実なのだ。

※「50万人以上の男女、子どもが殺された」は当初の見積もりです。

Wikipedia マイダネク強制収容所

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この強制収容所はルブルン南東に位置し、ザモシチとリヴィヴ(現ウクライナ領)をつなぐ道の隣に作られました。

敷地は、270へクタール。

なんと、マイダネクはビルケナウ(アウシュヴィッツⅡ)よりもまだ、79ヘクタールも広かったのです。アウシュヴィッツとビルケナウの2つの収容所施設を合わせてもまだマイダネクの方がずっと広かったとは、驚愕の事実でした。

補足説明
現在、博物館として公開されている範囲は90ヘクタールとなります。
ガス室 - 青い部分は毒ガスの変色
ガス室 – 青い部分は毒ガスの変色
マイダネクの近くには、ソビボル強制収容所、ベウジェツ強制収容所、そしてトレブリンカ強制収容所の3大絶滅収容所があり、それらもナチスが効率的に大量殺戮を行う目的で建設されました。

マイダネクで殺害された人々の出身国は30ヵ国近くにものぼり、その殆どがポーランド人とユダヤ人です。

 

博物館の基本情報

開館時間、地図、展示物など。入場料は無料、ガイドは有料です。

同じ強制収容所博物館のアウシュヴィッツよりも人が少なく、通常混み合いそうな夏でも見学はしやすいでしょう。

 

開館時間 4〜10月

敷地内見学 9:00〜18:00
※最終入場は閉館1時間前
※常設展示入場は閉館30分前
歴史資料展示物(バラック62)
     9:00〜17:00
ビジターセンター(案内)
。     9:00〜17:00

月曜日と祝日は休館日ですが、敷地内の見学は時間内であれば可能です。

 

開館時間11〜3月

敷地内見学 9:00〜16:00
※最終入場は閉館1時間前
※常設展示入場は閉館30分前
歴史資料展示物(バラック62)
     9:00〜16:00
ビジターセンター(案内)
。     9:00〜16:00

月曜日と祝日は休館日ですが、敷地内の見学は時間内であれば可能です

 

ガイドと見学する

個人見学も可能ですが、現地のガイドといっしょに見学することも可能です。

言語はポーランド語、英語、ドイツ語…となり、日本語はありません。所要時間は2.5時間で1週間前までに予約が必要です。直前で申し込んだ場合はガイドと見学できる保証はありません。

料金は英語の場合、150PLN/〜10人、200PLN/〜30人(割り勘)です。詳細はこちらへどうぞ。

 

主な展示物

現在のマイダネク強制収容所には、1941〜44年の間に実際に使われていた70の施設があります。

  • バラック43
    ゲットーに到着し、見知らぬ地へ…
  • バラック44
    占領下のルブリン
  • バラック45
    収容所のスケールモデル 現在と過去
  • バラック47
    Shrine マルチメディアエキシビション
  • バラック52
    収容された人々の靴の展示
  • バラック62
    マイダネクの囚人 歴史展示物
  • バラック14、15
    生活環境

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マイダネク強制収容所公式サイトで施設内の地図を確認できます。ただし、バラックの番号は振ってありません。

 

その他注意事項

バラック62とビジターセンターは月曜日と祝日が閉館日となっています。

訪れる前にこちら(Plan your visit)で開館情報を確認してください。

見学所要時間はガイドなしの個人見学の場合、3時間程度は見ておいた方がいいかもしれません。敷地内をぐるっと一周するだけで5キロあります。

英語やポーランド語での説明文なので、読まない方は1時間半程度でしょう。

 

マイダネクへの行き方

マイダネク強制収容所の列車の最寄り駅はルブリン駅(Lublin)です。

ここではワルシャワからルブリンへの行き方、そしてルブリン駅からマイダネク強制収容所への行き方を紹介します。

 

ワルシャワからルブリンへ

ワルシャワ中央駅(Warszawa Centralna)からルブリン(Lublin)はPKPポーランド鉄道の列車1本で行けるのでアクセスは非常にしやすいです。

列車は約2時間毎にあり、所要時間は2時間10〜30分。列車の種類はTLKまたはICとなります。

ワルシャワの駅
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注意事項
2017年6月〜2020年までワルシャワ〜ルブリン間の線路工事があります。この影響で、通常よりも所要時間が長くなり、また列車もTLKのみになる可能性があるのでご注意ください。線路工事の間は列車ではなく、バスでの移動をおすすめします。
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2016年8月平日現在の一部スケジュールを参考程度に載せますが、ダイヤ変更の可能性もあるので乗車前に必ずご自身でお調べください。

 

2016年8月現在の列車

列車は最低でも年に1回のダイヤ変更があります。随時更新するつもりです。

  • ワルシャワ→ルブリン
    ①07:50 Warszawa Centralna
    10:15 Lublin
    ★IC 所要時間 2:25
    ②09:50 Warszawa Centralna
    12:03 Lublin
    ★TLK 所要時間 2:13
    ③12:10 Warszawa Centralna
    14:20 Lublin
    ★IC 所要時間 2:10
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  • ルブリン→ワルシャワ
    ①13:50 Lublin
    16:03 Warszawa Centralna
    ★IC 所要時間 2:13
    ②16:00 Lublin
    18:25 Warszawa Centralna
    ★TLK 所要時間 2:25
    ③18:08 Lublin
    20:25 Warszawa Centralna
    ★IC 所要時間 2:17

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バスで行く方は、Polski bus のサイトでスケジュールをお調べください。

 

ルブリンからマイダネクへ

ルブリン駅または旧市街からはバスやトロリーバス(電気バス)で、マイダネク強制収容所へ行くことができます。

ルブリンは非常にバスが多いので、下の記事で紹介している jakdojade のアプリを活用して調べてみてください。

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2016年8月現在の乗車料金は、最安の30分間有効で3.20PLN、ドライバーから直接購入する場合は4PLNです。なるべく事前に買いましょう。

そしてバスに乗車したら、必ず、車内にある刻印機で切符に乗車時間を刻印してください。忘れたら、罰金です!

刻印のようす 引用 FAKT24.PL
刻印のようす 引用 FAKT24.PL
.また、ルブリン駅からは車で10分程なのでタクシーもおすすめ。ただしマイダネク周辺にタクシー乗り場はないので帰りはバスになるかと思います。
タクシー

 

2016年8月現在のバス

バスの方面はすべて Felin、そして下記のバス番号を控えておけば停留所はすぐ見つけられるでしょう。停留所に番号があるので、そこで確認してください。

◆ルブリン駅 161番
“Dworzec Gł. PKP 02″ 乗車、”Majdanek” 下車(約11分の乗車)

◆バスターミナル 156番
ルブリンバスターミナル(Dworzec Gł. PKS)からはルバルトフスカ通り(ul. Lubartowska)にある停留所、”Probostwo 02″ 乗車、 “Majdanek” 下車(約14分の乗車)

◆旧市街 23番156番158番
いずれも方面は Felin、”Majdanek “下車(約20〜25分乗車)

ただし、バス番号が変更されたり増えたり減る可能性もあるので、jakdojade での事前チェックはお忘れなく!
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補足説明
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img_2597.jpg停留所 “Majdanek”の前は “Majdanek Pomnik” ですが、博物館の入り口により近いのは “Majdanek” です。

駅・旧市街方面への停留所は、このバス停の道路向こう側からちょっと離れたところにありますが、右または左に進んでいけば見つかります。

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※今日のポーランド語はお休み

 

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あやか
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2件のコメント

池田よう子 より:

はじめまして!
先週 ワルシャワとルブリンに行ってきました。 ポーランドに行くことが決まってから、このページを見つけ、とても楽しくそして興味深く読ませていただいてました。
ワルシャワはともかく、ルブリンはガイドブックの情報も少なかったのですが、そこで、あやかさんのこの記事がとても役にたちました。 というか、ルブリンはあやかさんの記事のみで回った感じです✨ ほんとうにありがとうございました!
いつかあやかさんのご案内でクラクフも回ってみたいと思います。

はじめまして、管理人の綾香です。
コメントいただきありがとうございます。

ポーランドの情報は少ないと言われがちですが、当ブログを参考に少しでも充実した時間が過ごせたのであれば非常に嬉しいです!
ルブリンは私もまた行きたい街の一つで、次回また旅行する機会があればもっと詳しい記事を書きたいと思っています (^ ^)
もしポーランドへ再訪される機会がありましたら、ぜひ古都クラクフの美しい街並みをたっぷりと案内させてくださいね♪
きっとますます、ポーランドという国を心から気に入っていただけると思います。

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