これからポーランドへ行く方が知っておきたい情報

【必読】ヴァヴェル城の歴史と見どころ全部紹介!開館時間、チケット情報

ヴァヴェル城
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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この記事の内容
 ヨーロッパ観光といえば、立派なお城を思い浮かべる方も少なくないはず。ポーランドにも数々のお城がありますが、その中でも歴代国王の居城として最も深い歴史があり、観光地としても見どころたっぷりなのは古都クラクフにあるヴァヴェル城で間違いありません。
 
 そんなヴァヴェル城、クラクフに滞在するならしっかりと観ておきたいですよね? でも、見どころが多いだけに見学方法がやや複雑であり、何も知らずに行ってしまうと結局中に入れなかったということも…。そこで、クラクフ公認ガイドの筆者が「ヴァヴェル城見学に必要な知識」を一挙まとめました!
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まったり
この記事の目次
ヴァヴェル城の歴史を1分で紹介
城にある9つの見学スポット
  6つの城内常設展示スポット
  3つの期間限定スポット
  ダ・ヴィンチの名画は移転しました

各見学スポットの開館時間と料金
  チケット売り場の営業時間と注意
  6つの城内常設展示スポット
  3つの期間限定スポット

観光する前に知っておくべきこと
ヴァヴェル城のチケット予約代行
ヴァヴェルをガイドいたします
この記事のまとめ
ヴァヴェル城を効率よく見学!所要時間は?周る順番は?よくある質問8つ


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ヴァヴェル城の歴史を1分で紹介

ヴァヴェルの丘ヴァヴェル城は、クラクフ旧市街の南にある小高いヴァヴェルの丘に建つお城。
ヴァヴェル(中世ではヴォンヴェルとも)という呼称の起源は諸説あり、一般的には湿地にある乾いた場所を意味すると言われます。

ポーランドが建国されたのは10世紀、その中でクラクフが首都として栄えたのは11世紀から17世紀までの約570年間でした。

当初、丘に建っていたのは大聖堂や複数の宗教的建築物が主でしたが、政治の中心地がクラクフに移ってからは何世紀にもわたり、ポーランド君主の居城として栄えます。

特に、14世紀の国王ヴワディスワフ1世から15世紀の国王ヤギェウォの時代にかけて次々と翼廊よくろうや塔、門、要塞が完成し、城は幾度もの拡大と改修を繰り返してきました。

ヴァヴェル城 そして現在見られる荘厳なルネサンス様式の城は、国王ジグムント1世(在位1506〜1548)の代にさかのぼります。

イタリア出身の建築家フランチシェック・フロレントチェックの指揮のもとに城が再建され、当時のヴァヴェル城はポーランドで最もファッショナブルな建物となりました。

しかし17世紀初頭、国王ジグムント3世ヴァザがワルシャワ遷都を決定。
その後はスウェーデン軍の侵略やポーランド分割での占領によってヴァヴェルは衰退し、やがてオーストリア軍兵舎へと成り果てます。

ヴァヴェル城 1905年に軍が去るとポーランド人建築家たちによって城と大聖堂が修復され、第二次世界大戦の波乱も乗り越え、ようやく500年前の姿を取り戻すことができました。

現在のヴァヴェル城は博物館となっており、隣接する大聖堂も見逃せません。
壮大なポーランド史と文化を代表する豪華な調度品や国宝の数々、王族が使用していた部屋や礼拝堂をたっぷりと観ることができます。
ポーランドの歴史

 

城にある9つの見学スポット

ヴァヴェル城には9つの見学スポットがありますが、それらがすべて見学できるのは4月から9月/10月までとなっています。

9つすべてを制覇すると一日がかり!
時間の許す限り、中世から500年前のポーランドにタイムスリップした気分でじっくりとヴァヴェル城観光をお楽しみください。

 

6つの城内常設展示スポット

以下の6つのスポットは年間を通して見学することができます(時期によって保存作業のために休館としている展示もあり)。
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城の大広間
State Rooms
Reprezentacyjne Komnaty Królewski
1階はかつて使用人の住居となっており、つづいて上階で王族や貴族らが使用した部屋を見ることができる。調度品は17世紀前後のイタリア製家具コレクション、オランダやドイツの著名画家が描いた絵画、国王の肖像画などがあり、最大の目玉は16世紀に国王ジグムント2世が注文したタペストリー。最後の部屋は、国王の結婚式や国王選出の議会が開かれた宴会場。
王族の私室
Royal Private Apartments
Prywatne Apartamenty Królewskie
最大9人のツアー(英語あり)でガイドとともに見学する。王族の居住スペースやゲストの寝室、クジャ・ストパ(鶏の足)と呼ばれる14世紀にさかのぼる別棟、18世紀にリニューアルされた「柱の部屋」を見ることができる。最後の部屋に展示されているマイセン磁器は、それらの内1枚だけでもポーランドに一生暮らすことができるほどの価値があるという。
国宝と武具の展示
Crown Treasury and Armoury
Skarbiec Koronny i Zbrojownia
城の東翼と北翼の地上階一部を占める展示。16世紀に城が再建されてから18世紀末頃まで、同じ場所に「王宮の財宝」が保管してあった。第二次世界大戦後に寄贈された数々の武器コレクション、重騎兵フサリアの鎧、王族の宝石や調度品、中世の聖容器などがあり、目玉は14世紀からおよそ450年、戴冠式で使用されたシュチェルビェツと呼ばれる剣。
ヴァヴェルの遺構
The Lost Wawel
Wawel Zaginiony
20世紀前半に行われたヴァヴェルの大規模改修と発掘調査の際に発見された遺構や出土品を見ることができる。主な遺構は聖母マリアのロタンダ(円形建築物)/聖フェリックスと聖アダトゥクスのロタンダであり、その歴史はポーランド国王がヴァヴェルを居城とする前にさかのぼる。またかつて城を構成していた石の断片、初期大聖堂のモデルなど展示品多数。
東洋美術の展示
Oriental Art
Sztuka Wschodu
戦前、国王ヤン3世ソビエスキによって勝利した第二次ウィーン包囲(1683)250周年を記念した展示会が開かれ、多くのコレクションがヴァヴェルに集まった。展示物はその当時購入されたものや残された貸出品であり、第二次ウィーン包囲の戦利品であるオスマンの軍旗、野営テント、オスマンのタペストリー、馬具、王族への寄贈品などを見ることができる。
近代改修の記録
Wawel Recovered
Wawel Odzyskany
2020年に新しく公開されたヴァヴェル城の近代改修に関する展示。1796年、ポーランド分割によってクラクフはオーストリアの占領下となり、城はオーストリア軍の兵舎となった。やがてヴァヴェルは荒廃するが、1880年にオーストリア皇帝が訪問したことを機に “皇帝の居城” として改修することを許される。城と大聖堂の大改修は1914年まで続いた。
あやか
2020年7月現在、「❺東洋美術の展示」は見学することができません。個人的には「❶城の大広間」と「❹ヴァヴェルの遺構」はぜひ見学していただきたいです!

 

3つの期間限定スポット

次に紹介するのは、4月末から9月/10月末のみ見学できる場所となります。
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ロイヤルガーデン
Royal Gardens
Ogrody Królewskie
ツアー形式でガイドとともに、城東側にある庭を見学することができる。21世紀の考古学調査により発見され、ポーランドで最も古い装飾庭園として保存作業が行われた。当時の庭のようすが見事に再現されており、様々な植物を鑑賞できる。16世紀の国王ジグムント1世の時世、イタリア出身の王妃ボナによって野菜や果物、花がイタリアから輸入され育てられた。
サンドミエルスカ塔
Sandomierska Tower
Baszta Sandomierska
15世紀に新たな要塞として建てられ、かつてはヴァヴェルの丘を囲む壁に接していた。16世紀頃、ポーランド南東部サンドミエシュ周辺の貴族を投獄していたと言い伝えられており、それが名前の由来となっている。137段の階段を上った先に広がるのは、ヴァヴェル城の全貌と城のふもとを流れるヴィスワ川。ヴァヴェルの丘にある絶景スポットの一つである。
ドラゴンの洞窟
Dragon’s den
Smocza Jama
ポーランド建国前から、ヴァヴェルの丘の地下にはドラゴンが潜んでいるという伝説があった。家畜や少女をさらっては食べていたドラゴンは靴職人スクバによって退治され、以後クラクフには平和が訪れたという。出発地点から狭い階段を降りた先には自然洞窟が広がり、全長270mのうち81mを歩くことができる。出口にある火を吹くドラゴンの大きな彫像が名物。
ピオトル
ヴァヴェル城見学は「❾ドラゴンの洞窟」で締めくくるのが定番!もしココを先に訪れてしまうと、ぐるっと丘の周りを半周して再び坂を上ることになるので気を付けて〜。

 

ダ・ヴィンチの名画は移転しました

2017年5月7日までヴァヴェル城内にはレオナルド・ダ・ヴィンチの作品『白てんを抱く貴婦人』が展示されていました。

その後はクラクフ国立美術館に移りましたが2019年12月以降、旧市街北のチャルトリスキ美術館で鑑賞することができます。

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各見学スポットの開館時間と料金

以下の情報は2020年7月時点の公式ホームページの情報に基づいています。

開館時間や休館日などは統一されていませんが、城が建っているヴァヴェルの丘の入場時間は毎日午前6時から日没までです。

ヴァヴェルの丘の開放時間
4月・9月 06:00〜19:00
5月〜8月 06:00〜20:00
11月〜2月 06:00〜17:00
3月・9月 06:00〜18:00
あやか
チケット売り場や各見学スポットは時期により営業/開館時間、料金が異なります。時期によってはすべてが無料開放となったり、冬期の数ヶ月間だけ閉館14時となる展示もあるため、正確な情報は公式ホームページでご確認ください。

 

チケット売り場の営業時間と注意

オンラインでのチケット購入はできないため、ヴァヴェルの丘に2ヵ所あるチケット売り場でチケットを購入します。

無料の展示を見学する場合でもチケットは必要であり、またすべてが枚数限定
特にシーズン中は長蛇の列であったり、閉館前に売り切れる可能性があるのでご注意を。
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メインチケット売り場
営業時間 場所
月曜日
09:00〜12:15
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メインチケット売り場
火曜日〜日曜日
09:00〜16:15
西側にある長いレンガ造りの建物中央部
中休み 12:15〜12:45
4月〜10月限定 Bramaブラマ Herbowaヘルボヴァ
開館日・時間 場所
月曜日
09:00-15:15
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期間限定チケット売り場
火曜日〜日曜日
09:00〜16:15
旧市街側からヴァヴェルの丘へ上った先
中休み 12:15〜12:45

※2020年夏期シーズン

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城内すべてが休館となる日
復活祭期間の土・日・月(2021年は4月3日〜5日)、11月1・2日(諸聖人の日)、12月24・25日、1月1日はすべて休館となります。
ポーランドの祝日

 

6つの城内常設展示スポット

少し複雑ですが、各展示スポットの開館時間とチケット料金は4つに分けられます。

※記載のない曜日は見学できません
※7歳未満無料、ISICカード保持者は割引料金

❶城の大広間 ❷王族の私室
開館日・時間 最終入場 チケット料金
火曜日〜日曜日
09:30〜17:00
16:15 25PLN
割引15PLN
中休み 13:00〜13:30(❶❷のみ)
❸国宝と武具の展示
開館日・時間 最終入場 チケット料金
月曜日
09:30-13:00
12:15 無料
火曜日〜日曜日
09:30〜17:00
16:15 25PLN
割引15PLN
 ❹ヴァヴェルの遺構 ❻近代改修の記録
開館日・時間 最終入場 チケット料金
月曜日
09:30〜13:00
12:30 無料
 ❺東洋美術の展示
開館日・時間 最終入場 チケット料金
2020年7月現在、見学不可

※2020年夏期シーズン

 

3つの期間限定スポット

記事執筆時点の公式ホームページには明確な開放期間の記載はないですが、以前の情報をもとに予想開放期間を記載しています。

※記載のない曜日は見学できません
※7歳未満無料、ISICカード保持者は割引料金

❼ロイヤルガーデン
開館日・時間 最終入場 チケット料金
月曜日
09:30〜16:00
15:30 5PLN
割引2PLN
火曜日〜日曜日
09:30〜17:00
16:30
開放期間 4月30日〜9月30日(雨の日×)
❽サンドミエルスカ塔 ❾ドラゴンの洞窟
開館日・時間 最終入場 チケット料金
月曜日
09:30-16:00
15:45 ❽ 5PLN
❾ 7PLN
両方割引料金なし
火曜日〜日曜日
09:30〜17:00
16:45
開放期間 4月30日〜10月31日
❽のみ10月は雨の降っていない土日のみ

※2020年夏期シーズン

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観光する前に知っておくべきこと

ヴァヴェルのトイレ
ピオトル
悪気はなくてもルール違反してしまったり、知らないゆえに時間やお金を無駄にしたり、そういったトラブルは外国での観光に付きもの。そこで、知っておいたほいいがことを5つまとめてお伝えします!
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大きな荷物やリュックは事前に預ける
大きなリュックや傘、ベビーカーなどは事前に荷物預かり所(マップ)で預けましょう。預け料はチケットを見せると無料。飲食物も城内持ち込み禁止です。
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各展示は共通チケットで見学
9つ(冬期は6つ)の見学スポットがありますが、複数人で複数の場所を見学してもチケットは1枚。そこに見学開始時間と順番が記載されます。
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城内展示は原則撮影禁止
特別展示などで撮影が許可されることがありますが、基本的に城内は写真・動画撮影禁止です。スマホ操作も撮影行為と見られ、注意されることがあります。
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隣接する大聖堂と城は別の管轄
城の隣にはヴァヴェル大聖堂がありますが、大聖堂の見学には別のチケットが必要です。また大聖堂見学のみでは荷物を無料で預けられません。
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トイレは城内見学者のみ無料
ヴァヴェルの丘にあるトイレは有料(2ズロチ)となっています。城の共通チケットがある場合、チケットのバーコードをスキャンすると無料になります。

※公式ホームページの規約はこちら

 

ヴァヴェル城のチケット予約代行

手紙 ヴァヴェル城各見学スポットのチケットは枚数限定のため、当日購入では必ずしもチケットを確保できるとは限りません
また、ホリデーやシーズン中は開館直後から長蛇の列に並ばなければいけないことも…。

そこでお城見学がスムーズにいくよう、私が前もって予約代行いたします。
代行手数料は750円、こちらのページからどうぞお気軽にお申し込みください!
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お申し込み時の注意

❶ 見学日3週間前までにお申し込みください。
なお、見学日が 4月30日〜10月31の月曜日となる場合、また無料開放されている日はお申し込みをお受けいたしかねます。

❷ 見学開始時間を指定することはできますが、必ずしも希望通りの時間となるわけではありません。また、展示ごとの時間指定はできません。
❸ 見学日当日、ヴァヴェル城予約デスクにてチケット代金のほかに発行手数料を別途お支払いいただきます(9人までは16PLN)。

 

ヴァヴェルをガイドいたします

公認ガイドID ここまで読まれたあなたは、ヴァヴェル観光に興味深々ではないでしょうか。
私がここに書いたことはほんの一部で、ヴァヴェルには面白い歴史がもっとあります!

さらに観光が楽しくなるような話、ガイドブックには載っていない魅力を知りたい方はぜひガイドをお申し込みください。
公認ガイドである私がポーランドで最も歴史のある場所を分かりやすく解説します。

城内に入ってのご案内は致しかねますが、ヴァヴェルの丘と城の歴史や魅力をお伝えし、隣接する大聖堂内部もご案内します (^ ^)
旅行

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この記事のまとめ
アイコン  世界遺産第1号・クラクフ旧市街を代表する観光名所、それがヴァヴェルです。ポーランドの歴史と文化を築いた歴代国王や王族、廷臣が住んでいた城、建国当初から存在する「ポーランド史のダイジェスト」とも呼べる大聖堂が建つ地…。この場所なしにしてポーランドを語ることは出来ません。ヴァヴェルがあったからこそ、ワルシャワ遷都後もクラクフはポーランドの精神的な首都であり続けました。

 博物館となった城はワルシャワ王宮とはまた異なり、中世ポーランドの威厳を当時の姿で感じることができます。そして、ポーランドが地図から消えた1世紀以上と第二次世界大戦中、ポーランド人が命をかけて守り抜いた国宝の数々を間近で見ることができるのです。チケットが枚数限定なのもその裏返し。貴重な遺産だからこそ、ゆっくりと見学なさってください。

ヴァヴェル城

 

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あやか
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2件のコメント

まり より:

綾香さん
ご無沙汰しています。ポーランドめは、大変お世話になりました。
ヴァヴェル城は、1人で夕刻訪れたので、お庭をちょこっと歩いただけでした。この記事を読むと、また行きたくなりました。

ご無沙汰しております!
もうすぐポーランドでお会いして3年くらい経つでしょうか?まだ2年前くらいの感覚ですが、気付けば私も在住6年目を迎えました……(^ ^)
コメントを読んで思い返しましたが、ボナの庭園とは別にキレイな中庭もありますね。パッと見ただけでは、丘の真ん中は緑の芝生ですが、奥のほうはお花が植えてあり整っています。きっと、そこを歩かれたのでしょうね (^ ^)

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