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【脂の木曜日】ポンチュキ=ドーナツ食べ放題!由来と文化を詳しく紹介

ポンチュキ
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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この記事の内容
 ポーランドで大人気のスイーツ「ポンチュキ」は「穴の空いていないドーナツ」です。ここ数年でポンチュキ専門店(pączkarniaポンチュカルニャ)も軒並み増えており、私もお客さまから「おすすめのあのポンチュカルニャ行きましたよ!」と言われることが多くなりました♪
 
 しかし、ポンチュキはただの甘いふかふかスイーツではありません!ポーランドには「ポンチュキ食べ放題の日」が存在するほど、老若男女問わず愛されてやまない国民的スイーツなのです。当記事ではそんな興味深い文化とともにポンチュキの由来をお話ししましょう。
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ポンチュキ
この記事の目次
ポンチュキはこんなスイーツ
かつてポンチュキは惣菜パンだった
脂の木曜日はポンチュキ食べ放題
  脂の木曜日が存在するワケ
  なぜ木曜日に食べまくる?
  全国消費量は1日でおよそ1億個

ポンチュキのおもしろ豆知識
向こう5年間の脂の木曜日
この記事のまとめ
裏技でカンタンに!お母さん秘伝の世界一美味しいポンチュキの作り方


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ポンチュキはこんなスイーツ

ポンチュキ 冒頭でも紹介したように、ポンチュキとは「穴の空いていないドーナツ」です。

日本でも似たようなドーナツがよく売られていると思いますが、ポーランドのポンチュキと比較してみると、そのふわっとした食感や味のバリエーションは異なるもの。

ローズジャム 発酵させた生地にちょこっとローズジャムをのせて包み、油でこんがりと揚げ、最後に粉砂糖をまぶした甘いあま〜いスイーツ。

最近は中にチョコやカスタードクリームが入ったものも見られますが、伝統的には甘酸っぱいローズジャムと合わせます

あるいは、杏子の風味がきいたマーマレード
marmoladaマルモラダ)で代用されることも。

1個あたり70グラム前後と軽く、約300キロカロリーでも案外パクパクッといけちゃうので食べ過ぎには注意したいですね。

ポンチュキみたいな娘 ちなみに、ムチムチふっくらな私の娘は家族から愛を込めて「ポンチェック(ポンチュキの単数形)」と呼ばれています。笑

と、少し話がズレましたが、もし甘いものが苦手でなければ「魅惑の甘いポンチュキ」をぜひぜひポーランドでお試しください!

あやか
夫曰く、「娘は “ポンチュキみたいにふっくらして丸いからポンチェック” じゃなくて “ポンチュキみたいにスイートだからポンチェック”」らしいです。笑
ポンチュキ

 

かつてポンチュキは惣菜パンだった

ベーコン ポンチュキ、いわゆるドーナツの原型は古代ローマ時代にまでさかのぼります。

ただ私たちがイメージする甘いスイーツとはほど遠く、中にベーコンやスパイスなどが入ったお惣菜系の揚げパンだったそう。

ポーランドでポンチュキが作られるようになったのは15世紀末頃ですが、やはり当時は甘くない揚げパン(諸説あり)でした。

現在のような丸くて甘いポンチュキとなったのは、18世紀に入ってからのこと。
古いポーランド語では krepelクレペル と呼ばれ、ドイツ語 krapfenクラップフェン(揚げパン)が語源です。

試しにクラップフェンと検索してみると、美味しそうなポンチュキが出てきますよ!

krapfenクラップフェンを検索してみる

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脂の木曜日はポンチュキ食べ放題

当記事は、年に一度の「脂の木曜日」の前後にかなりアクセス数が増えます。

せっかくなのでポンチュキそのものだけでなく、数百年以上も続くこのポーランドでの興味深い文化について学んでみましょう

 

脂の木曜日が存在するワケ

ポンチュキ パン屋さんやスーパーには必ずあり、ポンチュキ専門店(pączkarniaポンチュカルニャもあるくらいなのでポンチュキは年中食べられます。

そんな誰もが見慣れたポンチュキですが、ポーランド人は四旬節しじゅんせつ直前の木曜日(通称:脂の木曜日|Tłustyトウゥステ Czwarteチュファルテク)になるとこぞってポンチュキを食べまくるのです!

なぜかと言うと…?
ピオトル
四旬節しじゅんせつは、復活祭イースターの46日前から復活祭前日までの期間のこと。キリスト教で最も重要な祝日である復活祭を迎える前に、祈り断食慈善を通じて悔い改めを行う時期だよ。
あやか
今でこそそこまで厳しくないけど、昔は砂糖や卵、果物も贅沢と言われていて四旬節の間は食べられなかったとか。だから、甘いお菓子を作って食材を使い切っていたのかもね。
復活祭/イースターにやること徹底紹介

 

なぜ木曜日に食べまくる?

なぜ木曜日? 前項で説明した四旬節しじゅんせつですが、その初日となる水曜日を「灰の水曜日」と言います。

この灰の水曜日から復活祭明けの40日間は断食となるため、その前までにポンチュキやご馳走を食べなければなりません。

だとしたら、前日の火曜日に食べればいいと思うところですが、ご馳走を前日になって準備するのはちょっと忙しすぎます。
それに、たった一日や二日のために大量の脂を溶かしてお菓子を揚げるのは勿体ない!

月曜日でも準備は終わり切らず、第一、水曜日までにご馳走が食べ切れません。

伝統的に安息日は土曜日の夕方から日曜日の夕方のため、土日は家事を休む日
金曜日はイエスが十字架にはりつけにされた日のため、年中を通して断食する特別な曜日。

最初は特に決まっていなかった食べ納めの日ですが、こうして前倒しになっていき、次第に木曜日で定着してしまったようです。

 

全国消費量は1日でおよそ1億個

全国消費量は1億個 ポーランドではこの日、一体どれほどのポンチュキを食べるのでしょうか。

調べてみると意外にも1人平均2.5個と少なめ?だったのですが、全国消費量(=生産量)は1億個にも及ぶそうです。

それらを重さにすると7,000トン、砂糖は500トン、卵は2,500万個。
一般的なポンチュキの大きさは、日本で売っているドーナツとほぼ同じだと言えます。

私は、お義母さんが作る最高に美味しいポンチュキなら3個くらい食べれますよ!

ピオトル
ちなみに謝肉祭カーニバルは、四旬節しじゅんせつで肉が食べられなくなる前に行う “肉に別れを告げるための祭り”。でもポーランドでは肉ではなく、ポンチュキを食べるってこと!あなたはどっちが好み?
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ポンチュキのおもしろ豆知識

ポンチュキ豆知識 ますますポンチュキが気になるあなたに、知る人ぞ知る豆知識を6つ紹介します!

この記事を書いている本人である私も、まさかポンチュキについてこんなに書けるとは思っておらず、ビックリしています(笑)。
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15円のポンチュキ

「ポーランドは西欧諸国と比べて物価が安い」とは言っても、さすがに1個15円(1ズロチ=30円|0.5ズロチ/50グロシュ=15円)のポンチュキを見たら驚きますよね?
でも、スーパーだと結構あり得る価格設定。

しかしパン屋さんだと1個2ズロチ〜(小さな町では1ズロチ〜)、ポンチュカルニャでは3ズロチはします。クラクフ旧市街だと6ズロチするものもあり、価格は購入する街、立地、時間帯にも左右されがち。極端に安いものは材料が古い可能性もありますし、スーパーなら他の商品を値上げしているのかもしれません。
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ジャム

伝統的なポンチュキのフィリングは、ローズジャムかマーマレード(marmoladaマルモラダ)。しかし、ポンチュキに使われるマーマレードは濃い赤色なので、「イチゴジャムみたいなのにマーマレード?」と思うかもしれません。日本でマーマレードというと、オレンジやグレープフルーツなど柑橘系のものなので違和感がありますね。

実は、マーマレードとは果物の皮が含まれているジャムを指します。柑橘系のジャムのみをマーマレードというわけではありません。ポーランドで手に入るマーマレードの多くはアンズ、リンゴ、クロスグリ、イチゴ、ラズベリーなどフルーツがたくさん含まれており、ジャムよりも扱いやすい質感なのでフィリングに最適です。
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アメリカンドーナツ

ここ近年はポンチュカルニャが増え、これまでのポンチュキのイメージを覆すようなタイプのものも見かけるようになりました。真ん中に穴が空いたもの、チョコやキャンデースプリング、グミをトッピングしたもの、フィリングにカスタードやチョコを入れたものなど、これらは本来のポンチュキの原型を留めていません!

アメリカンなポンチュキは、日本で展開しているドーナツショップでも楽しめるはず。ポーランドにお越しの際は、中にローズジャムやマーマレード(marmoladaマルモラダ)が入った【穴の空いていない】ポンチュキを食べてください♪
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美味しいポンチュキ

理想的なポンチュキはふっくらしており、内側がちょっと凹んでいます。このようなポンチュキは、生地の質が良い証拠。ただ、ほとんどの場合はシュガーで見えなくなってしまっているので、凹み具合は分かりにくいかもしれません。

また、ポンチュキの周りに明るい境界線が入っているかどうかもポイント。これは揚げた油が新鮮であることを示しています。ドーナツは油で決まると言っても過言ではありません。
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アーモンド

かつて、ポンチュキの中にアーモンドやナッツを入れることがあったそうです。そのポンチュキを食べた人はみんな幸せになれるというジンクスがあり、現代にも継がれていないのは残念。

まぁ、お店で買ったポンチュキがジャムの代わりにナッツ入りだったらガックリしますけどね(笑)。今は今で、「脂の木曜日には、最低でも一つのポンチュキを食べれなければならない。食べたら食べた分だけ、一年中幸せになれる」と言ったりしますが、アーモンド/ナッツ入りのポンチュキが言い伝えの元なのかもしれません。
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ポニャトフスキ

前項で「脂の木曜日」の起源はキリスト教文化にあり、四旬節しじゅんせつの断食前の食べ納めだと説明しました。しかし、実はほかにも諸説あり、ハッキリとした起源は分かっていないのです。。

まず一つ目はクラクフ起源説。
昔々、クラクフにコンブラという悪名高い市長がいました。彼は女性をののしり、髪を引っ張ったり、投獄や処刑なども残酷に行い、当然市民から嫌われていました。そしてある日、コンブラは四旬節しじゅんせつ直前の木曜日(脂の木曜日)に亡くなります。訃報を聞いた市民はその日から酒を飲みながらポンチュキをたくさん食べ、四旬節しじゅんせつ直前の日(灰の水曜日)まで彼の死を祝ったのでした。

次にワルシャワ起源説。
それは18世紀のこと。ワルシャワの王宮では、国王スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキと有力な政治家らの間で毎週木曜日に会食が行われていました(これは歴史的事実)。いつの日か、その会食ではふかふかのポンチュキが振る舞われているという噂がワルシャワ中に知れ渡ります。そんな噂があると知った国王は市民にポンチュキを配ることにしました。その日は偶然にも四旬節しじゅんせつ直前の木曜日(脂の木曜日)であり、その話を聞いた他の街の人々も
四旬節しじゅんせつ直前の木曜日にポンチュキを食べるようになりました。

どれもただの伝説のようですが、一部事実やそれにまつわる伝統が今も続いていたりして、ウソと言い切れないのも面白いところ。これを言うと身も蓋もないですが、「ポンチュキを売るためのパン屋の戦略」という説もあります。

あなたはどの説を信じますか?

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向こう5年間の脂の木曜日

未来の脂の木曜日 未来の脂の木曜日が気になる方のために、向こう5年間分の脂の木曜日+ついでに復活祭の日付を下記表に載せておきます。

機会があればぜひ、脂の木曜日に本場のポンチュキを存分に味わってみてください!

脂の木曜日 復活祭当日
2020年 02.20 04.12
2021年 02.11 04.04
2022年 02.24 04.17
2023年
02.16 04.09
2024年 02.08 03.31
2025年 02.27 04.20
あやか
脂の木曜日にポーランドの空港を利用したら、自由に食べられる小さなポンチュキ(ポンチュシェ)が置いてあったよ!
ポンチュキ

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この記事のまとめ
アイコン ポンチュキは「ただの甘いドーナツじゃない」ということがお分かりいただけたでしょうか。歴史的背景や、起源も知ったうえで口にするポンチュキはますます味わい深くなること間違いなし。そしてポーランドに来たとき、もうポンチュキを無視せずにいられなくなるでしょう。
 
 最後まで読んだあなたはもう立派なポンチュキ通。もし友人や知人にポーランド人がいたら、一番あなたが「へぇ〜」と思ったことを教えてみてください!

ポンチュキ

 

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あやか
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