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この記事の内容
ポーランドでは毎年、5月下旬〜6月の初夏になると、教会の周りで真っ白な衣装を着た子どもたちを見かけることがあります。女の子は頭に花輪をのせて花びらを撒いていたり、もうその可愛らしい姿は天使にしか見えません!
このイベントは初聖体拝領式と呼ばれ、ポーランド語ではピエルフシャ・コミュニア・シフィエンタ(pierwsza komunia święta)といいます。カトリックの通過儀式の一つで、式後は盛大なパーティーが開かれるほどの重要イベント!日本では馴染みがありませんが、当記事で詳しく紹介していきます。
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この記事の目次
❶ 聖体とは「イエス・キリストの体」
❷ 初聖体は初夏、9歳頃に迎える
❸ 初聖体を迎える子どもの気持ち
❹ 特別な衣装、アルバとコムザ
❺ 初聖体のパーティーは誕生日以上
❻ 次の重要な通過儀礼は堅信式
❼ この記事のまとめ
【信者が徹底解説】キリスト教の最大教派・カトリックってどんな教え?
聖体とは「イエス・キリストの体」
カトリック教会では “イエス・キリストの体” を “聖体” と呼び、ポーランド語でボジェゴ・チャワ(神の体)あるいは エウハリスティア(ミサの聖餐=聖体)といいます。
ポーランドにはコシチュウ・ボジェゴ・チャワ(聖体教会)という教会が多くありますが、こちらはリアルな体を指しています。
一方、”エウハリスティア” は “象徴的なイエスの体” という意味で使われるのがポイント。
キリスト教やカトリックに詳しくなくても、ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』という絵画を思い浮かべられる人は多いはず。
真ん中にイエス、左右に弟子が座って食事をしているようすを描いたあの有名な絵です。
イエスはこの晩餐の中でパンを「私の肉」、ぶどう酒を「私の血」と呼んで弟子たちにパンとぶどう酒を分け与えました。
そして晩餐後、イエスは不当な裁判ののちに十字架にはりつけられて亡くなったのです。
教会ミサでは何百年も前からこの晩餐でのイエスの行いを記念し、神父が信者にパン(見た目は薄い煎餅でホスティアと呼ばれる)を与える場面 “聖体拝領” があります。
ミサのメインとなる重要な部分ですが、誰でもそのパンを授かれるわけではありません。
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初聖体は初夏、9歳頃に迎える
毎回のミサで聖体拝領が行われますが、小さな丸いパン、つまり聖体を授かることができるのは洗礼と初聖体を迎えた信者だけ。
聖体をいただくというのはイエスの体をいただくということでもあります。
そのため、その意味が理解できる年になってから授かるべきだと考えられているのです。
初聖体拝領式は毎年決まった時期に行われ、カトリックの祝祭日 “聖体の祝日” に合わせて5月下旬〜6月の日曜日となります。
どの日に行われるかは地域や教会地区により異なり、多いところでは日を分けることも。
ポーランドでは9歳で初聖体を受けるのが一般的ですが、親の考えや都合によっては7歳、11歳で受けることもあるようです。
また国によって13歳だったり、日本は意外と6歳で行うこともあるらしいのでビックリ!
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初聖体を迎える子どもの気持ち
カトリックの家庭に育った子どもたちは物心つく前から教会に通っています。
親が敬虔な信者であれば、教会へ通う日数は年間70日前後といったところでしょうか。
幼い子どももミサに参加する度に聖体拝領の場面を目にしますが、初聖体を迎えていない子は人差し指を口の前に立てて「私はまだ授かれません」という合図をします。
すると、パンを与える代わりに神父さんは子どもの頭の上に手を置いて祝福してくれます。
幼い頃からミサや教会のイベントに参加し、学校でも宗教のレッスンを受ける子どもたちは聖体の有り難みをよく知っているはず。
だからこそ、初聖体の日は家族にとっても、本人にとってもこの上なく感動的で特別な瞬間であることは間違いありません。
さらに式後の盛大なお祝いパーティーではケーキにご馳走、プレゼントが貰えるので、単純にパーティーも楽しみにしているでしょう。
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個人的に、初聖体の重要度や盛り上がり具合は日本の成人式に相当すると思います。またこの時期の教会では前席に白い布が掛けてあり、小さなブーケや花も置いてありますが、そこは初聖体を迎える子どもたちの特等席。初聖体を迎える前の幼い子どもたちにとっては憧れの席かもしれませんね!
特別な衣装、アルバとコムザ
初聖体では伝統的に、男の子も女の子もアルバと呼ばれる長いローブのような衣装で身を包み、胸元に小さなケープを着けます。
女の子のアルバは裾がふんわり広がったものもあり、シックなウェディングドレスのようなデザインでとても可愛らしいです。
国によってはベールを被って花嫁さながらですが、ポーランドでは頭に花輪をのせます。
男の子にはアルバとは別にチュニック風のコムザと呼ばれる衣装もあり、コムザを着用する場合はその下にスーツを着ます。
コムザにはケープ代わりに蝶ネクタイを組み合わせることが多く、腰に紐を巻くことも。
いずれのタイプでも初聖体の衣装には胸元に金色の糸で縫われた円があり、その中に JHS という文字が刻まれています。
JHS はラテン語 “Jesus Hominum Salvator”(人類の救い主、イエス)の頭文字で教会ではよく見かけるシンボルです。
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初聖体のパーティーは誕生日以上
式後は親戚一同が集まり、家やレストランでパーティーをするのがお決まり。
本人も純粋に子どもなので、ケーキにプレゼント、お金がたくさん貰えてハッピーです。
また 人生においての重要なイベントであるため、親は一日中写真撮影に大忙し!
それだけに子どもの衣装はもちろん、パーティーの準備にも結構気合いが入るのだとか。
プレゼントは基本的に教会関連のものですが、長く使えそうな高価な万年筆や時計、ジュエリー、アクセサリーも定番。
お手頃なスイーツボックスでも教会らしいデザインだったり、かなり特別感があります。
現金を渡す場合、後見人でもある代父母は500PLN(1PLN=30円)ほど包み、近年では叔父母でも300PLNは渡すようです。
子どもたちはこの日、およそ1,400PLN(約42,000円)くらいゲットできるとか!
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次の重要な通過儀礼は堅信式
カトリックの個人的な大イベントといえば生後間もなくの洗礼式、9歳頃に迎える初聖体拝領式、次に思春期に迎える堅信式です。
信仰心を神の前で表明し、信者として歩むことを改めて誓う儀式が堅信式。
通常14〜18歳に迎えますが、国や地域によっては10〜12歳頃に迎えることもあります。
ポーランドでの堅信式の衣装は初聖体より引き締まったものとなり、男子はネクタイを締めて黒のスーツ、女子は黒のワンピースに白のボレロを合わせるのが一般的。
また派手なパーティーはせず、式後は家で特別感あるディナーを家族と楽しむ程度です。
その次に何かめでたいイベントがあるとすれば、婚姻の秘蹟 “結婚式” でしょう。
こうして今度は自分の子どもや後見人/代父母として祝う立場になり、お金をたくさん使うことになるので別貯金が必要になります
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初聖体拝領式は「象徴的なイエス・キリストの体」であるパン(ホスティア)をいただくための儀式です。毎回のミサで聖体拝領があるものの、この式を迎えてようやく口にできる有り難いもの。子どもたちは緊張しながらもワクワク、とっても嬉しいに違いありません。当日は自分が主役の盛大なパーティが開かれ、プレゼントもお金もたくさん貰えます。まさに、子どもにとっては夢のような日でしょうね