必読!ポーランド旅行で知っておくべきこと

【働く人必見】ポーランドの基本の雇用形態6つ|個人事業主は会社という認識

ポーランドの雇用形態
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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ウクライナ支援活動のご報告
ルワンダの教育支援団体設立

 

サッと5分程度で読めます

 
  ポーランドの雇用形態について調べたので、これからポーランドで働くかも?という方のためにシェアしたいと思います
この国で働かずとも、外国の雇用形態と日本のそれを比較してみるのは面白そうです。

 私の夫は正規雇用で給与をもらいつつ、選挙や任命による特別な雇用契約(大統領と同じ!額が少ないだけ…笑)でも収入を得ているのですが、ここでは副業も盛ん
当記事を書く中で、ポーランドで最近よく聞くワードの謎が解けてスッキリしました

夫ピオトル
最近はB2B契約が人気。僕もボスから提案されたけど、あえて正規雇用のまま働いてるよ。
あやか
なんだかんだ公務員とかと同じで、安心感という面では正規雇用が一番強いのかも。
雇用契約の種類

これだけ知っておけばまずはOK

❶ umowa o pracę 正規雇用
❷ umowa zlecenie 委託契約
❸ umowa o dzieło いわゆる単発バイト
❹ umowa B2B 業務委託
❺ działalność nierejestrowa フリーランス?
❻ działalność gospodarcza 個人事業主
❼ 開業する踏ん切りがつかない場合…

ポーランドのお財布事情
ポーランドの税制度
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umowa o pracęウモヴァ・オ・プラツェン 正規雇用

 最も一般的な雇用形態であり、基本的にフルタイム勤務(週40時間&1日8時間)です。
 日本と同じで通常は3ヶ月の試用期間がありますが、雇用期間が明確に決められることもあれば無期限の契約もアリ。しかし、無期限=終身雇用ではありません。総支給額の約14%は社会保険(ZUS)として引かれ、その額からさらに9%が健康保険料として引かれます。月の最低賃金(2024年7月以降は4,300PLN/約16万円・2023年の平均給与は7,370PLN/約27万円)が保証され、年間20日または26日の年次有給休暇、有給の病気休暇、有給の出産・育児休暇も取得できる権利があります

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 私の夫は、週4日・8時間勤務で正規雇用契約を結んでいます。欧米では西欧を中心に少しずつ週休3日が浸透しつつあります。ちなみにポーランドはEU諸国の中でも一、二を争う働き者。夫は地区の評議員でもあり、評議会出席で月数回程度は早退していますが、それでも給与が安定しているのが正規雇用のいいところ(甚だしいとマイナス?)!

ポーランド人の国民性
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umowa zlecenieウモヴァ・ズレツェニェ 委託契約

 学生がバイトするとき、いわゆるフリーターのお仕事はこちらのタイプが多いです。委託者は勤務時間や期間を特に定める必要はありません。
 最低時給(2024年7月以降は約1,000円)は保証されていますが、毎月の給与が安定していないのが❶の正規雇用とは大きく異なるところ。またこちらの雇用形態は労働法ではなく、民法に基づくため、休暇に関する取り決めは委託者によって変わり得ます。病休、出産休暇などは得られますが、それらが有給となることはほとんどありません。

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umowa o dziełoウモヴァ・オ・ヂェウォ いわゆる単発バイト

 継続した仕事ではなく、単発で仕事を受けるタイプの雇用形態です。簡単な副業もこれに当てはまる場合が多いでしょう。基本的には一度限りの短期間業務(多くの場合は一日)に対して結ぶことができるため、同一の雇用主から継続的にこちらの雇用形態で報酬を受け取ることは違法になり得ます。一度限りではなくても不定期であり、それほどの高頻度でなければOKまたはグレーゾーン。社会保障はもちろん福利厚生、最低賃金もありません。

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 アーティストやジャーナリストといった職業の方は、このタイプの雇用形態で報酬を得ることが多いようです。これだけで頑張って生計を立てる人もいるようですが、確かにアートやクリエイティブ系だと単発依頼が主の人も珍しくなさそう。

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umowa B2Bウモヴァ・ビーツービー 業務委託

 B2Bは „Business 2 Business” の略で、最近では割とポピュラーな雇用形態です。メリット・デメリットに関しては派遣社員と似たようなところがあり、いきなりの契約解除はないにしても、福利厚生や年金などの面では不安要素があります。
 
 よくあるパターンは、最初は正規雇用(umowa o pracę)だった従業員が会社や雇用主からB2B契約を切り出されるというもの。雇用主にとって、従業員を正規雇用で雇うのは労働基金や労災保険、社会保険に加えて税金など色々とコストがかかります。しかし、B2B契約にすることで被雇用者に社会保険や税金を支払わせ、その代わり被雇用者はその分高い給与を受け取ることになります。また、ほとんどのケースでは在宅OKとなるため、働く場所を選ばない&大きなオフィスを構える必然性がないというのは双方にとってメリットがあります。
 
 一方でB2B契約の被雇用者は自営業者扱いとなるため、社会保障をはじめ年次有給休暇や有給の病気休暇といった、正規雇用の場合に労働法で保証される権利を受け取ることができません(超優良企業なら話は別)。被雇用者は毎月自分で社会保険をかける必要がありますが、正規雇用と比べて受け取る給与が高いとしても、その代わり将来の年金受給額はかなり低くなります。また、被雇用者は会計士を雇わない場合には請求書(faktura)を発行する必要があり、決済申告書の提出および税務署への所得税の支払いなど会計業務も行う必要があります

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działalność nierejestrowaヂャワルノシチ・ニェレイェストロヴァ

 直訳すると「未登録の活動」。いわゆるフリーランスのような感じですが、この状態では比較的低収入です。インターネット上で何かを販売したりブログなどで広告収入を得るなど、自身の活動によって営利目的で収入を得る場合、一定額(2024年7月以降は毎月3,225PLN/約12万円)を下回る収入であれば事業登録を行う必要はありません。
 
 つまり、個人事業主として開業しなくても問題ないということです。VAT(付加価値税)の支払いは基本的に免除され、また社会保険や健康保険の支払いが義務ではなく、❹のB2Bのように所得税を前払いする必要もありません。複雑な会計業務は求められませんが、所得税(PIT)納付においては収入に応じた納税が必要なので簡易的にでも記録を残しておきましょう。なお、特定の業務に関しては収益が認められないため、詳細は 規制されている事業(ポーランド語)をご確認ください。

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działalność gospodarczaヂャワルノシチ・ゴスポダルチャ

 いわゆる個人事業主です。毎月、自身の活動や事業によって一定額(2024年7月以降は毎月3,225PLN/約12万円)以上の収入を得ている場合、その一定額を超えた日から7日以内に事業登録しなければなりません。個人事業主は所得税(PIT)に加えて社会保険(ZUS)やVAT (付加価値税)を支払う必要があります。ただし、年間収入が20万PLN(約740万円)を下回る場合や免税品などを扱う場合はVATの支払いが免除されます。
 
 年間所得が3万PLN(約110万円)未満であれば所得税は免除されますが、個人事業主はまずこれには当てはまりません。免除額を超えて所得が12万PLN(約450万円)の場合、所得の12%から3,600PLNを差し引いた額を納税します。年間所得が12万PLNを超えると、10,800PLN+12万PLN超過分の32%が所得税となります。
個人事業主は上記の計算で所得税を納めるか、あるいは一律19%か選択できるので、20万PLNの収益が見込める場合は検討の余地があります。
 
 VATを支払わない場合でも、社会保険料や所得税も含めれば全体収入のおおよそ30%くらいは国に納めなければなりません。しかし、たとえば妊娠中は妊娠1ヶ月から働かずとも一定の収入が保障され、有給の育児休暇も得ることができます。正規雇用のように年次有給休暇はありませんが、最低限の福利厚生があるという面ではメリットがあります。

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 身近にいるポーランド人が「会社立ち上げたんだよ」と言ってもそんなに驚く必要はありません。本当に法人化しているケースもあり得ますが、ほとんどは個人事業主のことです。また、会社を経営できる程度の収益を得られていたとしても、税制面から個人事業主のままでいる人も多いです。

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❼ 開業する踏ん切りがつかない場合…

 私は2017年頃からポーランドで一定の収入を得られていますが、必ずしも私自身が働く必要がないというのと、一時帰国や他の活動などでポーランド長期不在の期間があり、さらにとある国ですでに会社を設立しているため(ただのビジネスの勉強がてら&納税は居住国)、あえて今は事業登録を行っていません。このように開業する踏ん切りがつかない場合は Twój StartUp というサービスを利用して様子見するのもいいかもしれません。形式的には Twój StartUp と umowa o współpracy という契約を結ぶことで、その会社によって報酬が支払われるというかたちになります。
 
 2024年現在の月々の利用料金は収益に関係なく一律350PLN(約13,000円)です。社会保険や年金などは別で支払う必要があるので、長い目で見ると決して得ではありません。私は社会保障も受けられますが、特に外国人は別で対策が必要なケースもあるので要注意。しかし、一時的にポーランドに滞在している外国人(もちろん合法にポーランドで働けることが前提)、毎月の収入が一定額(2024年7月以降は毎月3,225PLN/約12万円)を超えるけど開業するまでもない…と踏みとどまっている人、いつ休むかも分からないような状態で働いている人にとっては結構いいサービスだと思います

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ちょっと、つぶやいていい?
アイコン これらの中でもB2Bはよく聞くので気になっていました。なんとなく知っているだけで、よく調べてみると、私の夫が正規雇用を貫くのも性格的に納得。また夫が務めているところ、会社だと思ってたんですが個人事業主だそう。ショッピングモールや商業施設の設計が主なので、それなりのビッグマネーが流れ込んでいるはずですが…。ポーランドでは本当に、日本でいう会社を設立するメリットがあんまりないんですね
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あやか
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