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海外在住者の終活|自分が死んだら外国人配偶者は何をすべき?手続きや相続など

海外在住者の相続問題
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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サッと5分程度で読めます

 
 数ヶ月前に尊敬する友人を亡くし、漠然と死について考えることがありました。
そんな中で、自分が死んだ場合にポーランドに残された家族がすべきことを把握していないことにハッとして「まずい」と思ったり…

 まだ若いのに!と言われそうですが、生きている限りは常に死と隣り合わせです。
日本側での必要な手続きはもちろん預金口座もあるため、もし私が先に逝った場合に外国人夫がいらぬ苦労をしないよう調べてみました。

夫ピオトル
僕は日本語が分からないから、日本の相続のことは確かにちゃんと知っておきたい!
あやか
日本人同士で話してても相続問題は本当に難しいし、ややこしい(現在進行形で協議中)。
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逆に若い人こそ考えるべきかも

相続問題や手続きはココがポイント

❶ 自分が受け取る相続を把握する
❷ 自分自身の財産などを確認する
❸ 余分な預貯金は持ち出しておく
❹ 直筆の公正証書遺言を作成する
❺ 大使館などに死亡届を提出する
❻ 預貯金を引き出して口座を解約

※すべて参考程度にご覧ください

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❶ 自分が受け取る相続を把握する

 日本に住民票がなくても、仮に国籍がもう日本ではなくても、日本の家族の相続を受け取る権利は当然あります。もちろん負の遺産も…。現時点での法定相続人と法定相続分を確認しておくと◎。
 場合によっては、生前贈与(非課税額は年間110万円以内)を受けておいたほうがいいでしょうし、土地や家は誰が継ぐのか、売却する場合のことも確認しておきましょう。私の場合、父名義の土地の地番の中に没100年以上の祖先の名義の地番があり、法定相続人を特定するのはかなり煩雑です

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 相続問題はそれぞれの家で大きく異なるでしょうが、私の家系は私の代で途絶えてしまうので特に大変!永代供養や墓じまい含め、相続関連は近いうちに片付けておかなければなりません。数年前に家と土地の売却問題について話し合い、官民境界(個人の土地と公共用地の境界)の立ち会いまで行ったのですが、そこでストップしてしまいました…。

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❷ 自分自身の財産などを確認する

 私の場合、日本に自分名義の不動産は持っておらず、今のところは一つの銀行の預貯金(非居住者向けのサービス)のみが財産。ローンはないので負の相続は発生しません。あと、このブログは知的財産になります。向こう5年分くらいのサーバー代とドメイン代は払っていますが、このブログにアクセス出来なくなったときは私が死んだも同然です。このブログを託せそうな人がいれば別ですが、たぶん、そのまま閉鎖になるでしょう。
 Googleのサービスやサブスクなど、日本側で契約しているものもまとめておいた方がいいかも。

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❸ 余分な預貯金は持ち出しておく

 これは、預貯金の額はもちろん、今後日本に住む可能性があるかどうかにもよるでしょう。
 私の場合、毎年の一時帰国の際、ポーランドへ帰る前に空港ATMで一定の額(通常、初期設定の限度額は50万円/1日)を引き出しています。残高ゼロにするつもりはないですが、私たち家族はおそらく日本に住むことはなく、毎年日本に滞在するとしてもポーランド通貨やユーロに変えてキープしておくのが得策だと思っています。ちなみに日本からポーランドなどEU諸国に現金を持ち込む場合、1万ユーロ以下であれば税関での申告は必要ありません。

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❹ 直筆の公正証書遺言を作成する

 遺言書には法定相続人のそれぞれにどのように遺産を分配するか記載しておく必要があります。遺言書の書き方については、海外在住者のケースも含めて下記HPにかなり詳しく記載されています!
遺言書の書き方&文例集
 
 しかし、特に海外在住者で、配偶者が外国籍の場合は遺言執行者を配偶者にするのは難しいかもしれません。私は姉にお願いすることになると思うのですが、さもなければ、行政書士に依頼することになります。高齢の両親や祖父母を遺言執行者とするのは現実的ではありません。行政書士への報酬相場は20万〜40万円だそうで、遺産が多いほど高くなります。公正証書遺言は日本の公正役場や各国の日本大使館・領事館でも作成することが可能です。

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❺ 大使館などに死亡届を提出する

 もう死んだあとの話ですが、海外在住でも日本国籍の人が亡くなった場合、在外公館あるいは日本の役所に死亡届を提出する必要があります。先に死亡届を入手して見本を用意してあげると親切かもしれません。死亡届は届人が書く必要があるので、実際には配偶者や子ども、日本の家族が書くことになるでしょう。また日本で亡くなった場合は死亡の事実を知ってから7日以内に提出する必要がありますが、海外で亡くなった場合は死亡の事実を知った日から3ヶ月以内が期限となっています。

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❻ 預貯金を引き出して口座を解約

 落ち着いたら、公正証書遺言や死亡事実と本人との関係が確認できる被相続人=亡くなった人の戸籍謄本(死亡届が反映されるまで1週間ほど待つ)を持って、なるべく早めに銀行の窓口へ行きます。事情を伝えて、預貯金を全額引き出しましょう。これが出来るのは法定相続人のみなので注意。
 
 外国籍の配偶者が被相続人の戸籍謄本を取得するためには、日本人配偶者の家族(親や兄弟)か、日本国籍の子どもがいれば子どもに取得してもらいます(同じく法定相続人の子どもが日本国籍を放棄していると厄介)。本人が手続きできるならば、年齢制限はありません。配偶者が外国籍でも名前そのものは被相続人や子どもの戸籍謄本に記載されているため、関係性を証明できます。しかし、外国籍だとそれだけでは不十分で、在外公館や公証人などに相続関係を示す書類を発行してもらう必要があります。詳細は下記HPを確認してください。
外国籍の相続人がいる時の手続き・注意点・
必要書類がない場合の対処法について解説

 
 無事に預金を引き出したら、その銀行口座は解約されます。いったん凍結されると相続人全員の同意を得るまで引き出すことができないため、凍結前にやっておくとスムーズ。また、遺産が3,600万円以下であれば相続税は発生しませんが、家や土地が絡んでくると相続分が跳ね上がってしまう可能性があるので、ここも注意が必要です。日本側の財産については日本のルールが適用されるため、たとえ海外在住の外国籍の人でも納税の義務が発生します。

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 数年前に叔父が亡くなった際、叔父の銀行口座から預金を引き出すために7つくらいの銀行をハシゴしました。非居住者がキープできる銀行口座はそんなに多くないと思いますが、複数持っている方はなるべくまとめておきましょう。本当に大変です。

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ちょっと、つぶやいていい?
アイコン  こうしてまとめてみると、ちゃんと備えておけば外国人夫もなんとかやれそうな感じです。ここ数年で私が死ぬ可能性は低いですが(この記事が死亡フラグになりませんように)、でも、日本側でおいおい相続する土地と家問題は早く解決したい。。ところで、私たち夫婦の金融資産は3割近くが日本円です。ほかの人はどんな感じで分けているんだろう…? 最終的に日本円は全体資産の1割くらい残しておけばいいと思っていますが
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あやか
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