これからポーランドへ行く方が知っておきたい情報

ポーランドの伝統的なクリスマスを徹底紹介♪チキンじゃなくて鯉を食べる

ポーランドのクリスマス
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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サッと5分程度で読めます

 

夫ピオトル
ポーランド語でクリスマスは “Boże Narodzenieボジェ・ナロヂェニェ“。ここ最近は日本で過ごしてるけど…。ポーランドで過ごしたい!
あやか
いや、クリスマスと年末年始くらいは日本で過ごしたい!(日本人なので本場の厳かなクリスマスより派手に祝いたい)
サンタクロース

クリスマスは太陽神の誕生日?

 国民の大多数がキリスト教の最大教派であるカトリックを占めるポーランド。カトリックで2番目に大きいイベントといえば、復活祭/イースターに次いでクリスマスです。まず、12月25日がクリスマスとなった理由について解説しますね
 
 クリスマスはキリスト教の救世主、神であるイエスの誕生を記念して祝う日。イエスの誕生と復活なしにしてキリスト教は存在しえないものです。しかしイエスの誕生日は分かっておらず、そのため、12月25日が本当の誕生日というわけではありません。この日をクリスマス(イエスの誕生を記念する日)として祝うようになった理由は、太陽崇拝の強かったローマ帝国の習慣から来ています。
 
 イエスが生まれた場所は現在のイスラエル、パレスチナにあるベツヘレム。当時、その辺りはユダヤ王国(パレスチナ)と呼ばれており、ローマ帝国によって支配されていました。そのローマ帝国ではローマ暦の冬至であった12月25日を【太陽神の誕生の日】として祝っており、そこから「正義の太陽」「世の光」と呼ばれるイエスの誕生を祝う日にすり替わっていたようです。ちなみに12月24をイヴと呼ぶのは、古代やイエスが生まれた時代、一日は日没から始まっていたことに由来します。そのため、伝統的なカトリックでは日曜日や祝日など特別な日は前の日の日没以降から祝うことがあります。

最大教派カトリックについて徹底解説
復活祭/イースターにやること徹底紹介
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あやか
実際にパレスチナのベツヘレムに行ったことあるけど、イエスが生まれたと言い伝えられてる場所はめっちゃ狭かった!
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クリスマスの準備

クリスマスに向けて色々準備中。右下はクリスマスが誕生日のママに作った地味なメッセージ入りクッキー。あげた瞬間にキスとハグをされるほど喜んでくれて、親戚に見せびらかし、キャビネットに飾り…。ちゃんとほかにもプレゼントをあげたんですが、こういうのが一番嬉しいんですね

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ポーランドのクリスマスの習慣

クリスマス
11月下旬/12月〜最長1月6日前後
クリスマスマーケット
クリスマスマーケット クリスマスマーケット(ポーランド語では „Jarmark Bożonarodzeniowyヤルマルク・ボジョナロヂェニョヴェ”)の起源は13〜14世紀のオーストリアとドイツ。ポーランドでは16世紀頃、当時首都だったクラクフから始まりました。クリスマスマーケットは各市町村で開催され、早いところでは11月の最後の金曜日から始まり、クリスマス〜翌年1月6日前後で終わります。ポーランド名物やご当地の食べ物、お菓子、装飾品や工芸品、服やアクセサリーなどなんでも売っていて、週末はコンサートで盛り上がります。そこにいるだけでワクワクするような空間

ヴロツワフのクリスマスマーケット

 
12月上旬〜クリスマスまでの間 待降節たいこうせつ
アドベント – Adwent
アドベント カトリックではクリスマスの4つ前の日曜日から12月24日までの期間を待降節たいこうせつ(アドベント)と呼び、12月に入って間もなくクリスマスの準備を始めます。教会や街の広場にはクリスマスツリーやイエスの生誕場面を模したクリスマスハウスszopkaショプカ)が飾られ、ミサではクリスマスの聖歌(kolędyコレンデ)を歌ったり…。数週間とイエスの降誕を待つ中で、ジンジャークッキーなどのお菓子を焼いたり、子どもたちはクリスマスツリーに飾り付けをしたり、クリスマスプレゼントを用意したりとやることは盛りだくさん!

ポーランドのクリスマスソング

 
12月6日 聖ニコラウスの祝日
ミコワイキ – Mikołajki
サンタクロース サンタクロースのモデルはカトリックの聖人である聖ニコラウス。聖ニコラウスは4世紀のリュキア(今のトルコ)に実在した司教で、貧しい人々や子どもたちに施しや贈り物を与えることで幸せにしてくれる聖人として慕われています。12月6日は聖ニコラウスの記念日であり、ポーランドでは19世紀までこの日は祝日でした。ふつうクリスマスプレゼントはクリスマスに貰うイメージですが、ポーランドでは、特に子どもたちの場合はこの日にサンタさんからプレゼントを貰います。朝起きたら枕元にプレゼントがあるというパターンもあれば、幼稚園・学校にサンタさんが訪れてくれることも…。私が住む地区では、サンタさんがプレゼントを持って子どもたちのいる家にやって来てくれます!(プレゼントは事前に親が用意しておく)
 
12月24日夕方 クリスマスイヴ
ヴィギリア – Wigilia
クリスマスディナー この日の過ごし方で今後の1年が決まるとも言われる日。大晦日のように、大掃除やクリスマスディナーの準備で家の中は朝からバタバタしています。最初の星が空に現れる前にすべてを終わらせなければならないそう。日没後、伝統的なクリスマスのお祝いが始まります。まず、白いウエハース(opłatekオプワテク)を割って、家にいる人たちみんなでそれを分け与えながら健康と繁栄を祈り合います。ここまでは断食をしていますが、この儀式?のあとはいよいよクリスマスディナー!いただく前に聖書のイエスの生誕の箇所(ルカの福音書)を朗読し、伝統的に12種類の料理がテーブルに並びます。また、そこにいる人たちの分のお皿+思わぬゲストのためのお皿1人分を用意するという面白い風習も

12という数字はイエスの弟子である12使徒を象徴し、また1年の月の数にちなんでいます。クリスマスに食べる典型的な料理といえば、赤ビーツのスープであるバルシチ、鯉の揚げ焼き、鯉をゼリーで固めたもの(肉は食べずに魚を食べる!)、ポーランド風水餃子ことピエロギ、ケシの実で作られたケーキなど。真っ白なテーブルクロスの下には、イエス誕生の演出として少しの干し草を置いておきます。

 
12月24日日没以降〜深夜 クリスマスミサ
パステルカ – Pasterka
クリスマスミサ クリスマスソングを歌いながら食事を楽しみ、プレゼントも渡して、家族や親戚との談笑もひと段落ついたら、真夜中から始まる教会のミサに行きます。ディナー前の早めの時間帯からミサをやっている教会もありますが、伝統的には24日から25日かけてのミサに参加します。ちなみに夫の家族は教会へ行く前にみんなシャワーを浴びるのですが、この日のためにバスルームを家に3つ設置したそう(たぶん冗談)。ミサは通常よりやや長めで90分ほど続きます。教会にはクリスマスハウスが置いてあり、この24日の日没以降のミサでそこに赤ん坊のイエスの人形が置かれます。ミサが終わったら赤ん坊のイエスを見るためにクリスマスハウスに人だかりが出来て、ひざまずいてお祈りします。
 
12月25日 クリスマス
ボジェ・ナロヂェニェ – Boże Narodzenie
クリスマスツリー 前の夜が遅くなりがちなため、クリスマスの朝は遅めです。この日は肉を食べてもよいので、いつもより豪華な朝食やブランチを楽しみます。クリスマスのミサに行ったあとの過ごし方は自由で、集まった家族や親戚と前日の残り物を食べながら談笑するのが定番(まるで正月)。12月のポーランドは15時には日没で暗くなり始めてしまうので、街まで出かける人はそんなにいません。観光地であれば開いているお店も多少あるでしょうが、12月25日と26日は祝日のため、多くのお店はお休みです。12月26日は特に何をするというわけではありませんが、敬虔な人はこの日もクリスマスのミサに行きます。

 

▲ クリスマスの次にやって来るイベント

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夫ピオトル
こうやって見てみると、なんとんなくイースターの雰囲気に似てる。でもやっぱりイースターのほうが盛り上がるなぁ。
あやか
クリスマス前、教会内の端っこに行列ができてることも…。これは告解と言って、清らかにクリスマスを迎えるために神父さんを通して神に罪を告白するというカトリックの風習です。
告解
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 当記事で紹介したクリスマスの風習や伝統はカトリックとポーランドの慣習によるものです。カトリックであれば祝い方に大きな差はないはずですが、国や教派によって独自の祝い方があります。

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メリークリスマス
 

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あやか
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3件のコメント

2年前からこのサイトを閲覧しています。今回の記事もとても興味深かったです。クリスマスにフライドチキンを食する習慣があるのは日本だけらしいですね。クリスマスの習慣が本格的に広まった1970年代当時、ヨーロッパ圏でクリスマスに食べられる七面鳥は日本ではなかなか入手できないものだったので、ケンタッキーがそれを逆手に取り「代わりに自社のフライドチキンを食べよう」と宣伝したことがきっかけだそうです。

コメントありがとうございます (^ ^)

同じカトリック教会でも、日本とポーランドではクリスマスの雰囲気も異なります。日本では神父さんがサンタさんの帽子を被っていたり、帰り際にお菓子がたくさん入った袋をくださったりしますが、こちらではあり得ないですね。

日本のクリスマスの興味深いお話、ありがとうございます。今や、モスやファミマでもクリスマスチキンを売っていたりしますが、私も確かにKFCのイメージです。ケンタッキーがクリスマスディナー商戦に参入してチキンを食べる習慣が根付いたというのは腑に落ちます!

お返事ありがとうございます。私はキリスト教徒ではないので、神父や牧師のことはほとんど知りませんが、が、ポーランドと日本でクリスマスの様子がかなり異なることがわかりました。

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