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この記事の内容
クラクフでの滞在期間にまる1日の余裕があれば、ぜひ行ってほしいところ。それがクラクフから北東へ約80キロほど向かった場所にある「ザリピエ」という小さな村です。ここでは、家の外壁や柵など外から見える場所だけでなく、建物の中も家具も食器も花模様!
私は個人的に、そしてガイドのお客さまと一緒に数回訪れたことがありますが、子どもから大人まで夢中にさせてくれるような暖かくて素敵な村です。当記事ではザリピエの魅力+ふつうに周るだけでは見逃してまう情報をマウォポルスカ県ガイドが徹底紹介します
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この記事の目次
❶ 彩られた村、ザリピエを3分で紹介
豆知識1…きっかけは1枚の花の絵
豆知識2…最初は3色、ブラシは尻尾
豆知識3…最初はドットを描いていた
❷ コンクルス・マロヴァナ・ハタ
Felicja Curyłowa(1904〜1974)
❸ ザリピエの主な立ち寄りスポット
文化センター ドム・マラレック
フェリツィア・ツリウォヴァ博物館
ショプカ(プライベート博物館)
花婿の聖ユゼフ教会と消防署
観光マップ&営業時間・入場料
❹ すごく可愛い!ザリピエのお土産
❺ 訪れる前に知っておきたい5つのこと
ペイントアートだけじゃない
徒歩の観光は結構体力を使う
個人宅の見学はチップを渡す
ザリピエアートに挑戦できる
民宿に泊まってゆったり観光
❻ クラクフからのアクセス方法
❼ この記事のまとめ
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彩られた村、ザリピエを3分で紹介
„Zalipie” とポーランド語で画像検索すると、カラフルな花のモチーフで描かれた田舎の小さな家をたくさん見ることができます。
ザリピエでは19世紀末頃から家や小屋などの建物、壁や天井、台所用品などあらゆるものを花柄で彩るようになりました。
もともとは煙の煤でくすんだ壁を明るく見せるために色を塗っていたのですが、それが村中に受け継がれる伝統になっていったのです。
最初は室内の一部分を飾っていただけだったのに、華やかなモチーフを気に入った村の女性はどんどんその範囲を広げました。
炉の周り、窓の上、寝室にある絵の下、ストーブ、壁、天井、そしてついに家の外壁を彩るようになり、教会や学校までもが花模様!
ザリピエは人口700人前後の小さな村で歴史的なモニュメントは多くありません。
しかし昔ながらの茅葺き屋根、白塗りの壁に美しく描かれた花、そして人懐っこいザリピエの人たちはどんな観光客をも魅了します。
今でこそツアーバスも見られるほど知名度が上がり、特にポーランド南部の観光都市クラクフから訪れる人たちが増えました。
一方でポーランド人にはあまり知られていないようで、知る人ぞ知る穴場の観光スポット・文化遺産であると言ってもいいでしょう
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もともと貧しかったザリピエの村人たちは農業で生計を立てており、クラクフへ出稼ぎに行く若者も多かったのだそう。そんなある日、久しぶりにクラクフから村に帰ってきた少年が、1枚の紙に描かれたカラフルな花の絵を持ち帰ってきました。家族はそれを大変気に入り、ベッドの上に貼ることにしました。こうして、明るい花柄で家を飾るという習慣が生まれたとも言われています。1900年初頭にはザリピエだけでなく、周辺の小さな村でもカラフルな絵が描かれた紙で壁を飾っていたり、食器棚のお皿やカップを花模様で彩っていました。
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今でこそ鮮明な赤や青、緑がたくさん使われていますが、かつては石灰(白)、茶色の粘土(ベージュ)、煤(黒)で色付けしていました。ふつうに塗装するだけでは落ちやすいため、粉や砂糖なんかを入れて工夫していたとか。粉末塗料が手に入るようになってからはカラーバリエーションが増え、今はアクリル絵具で装飾しています。また、昔は木の枝の先を潰したものや藁、馬や牛の尻尾の毛で作られたブラシで細かい部分を描いていました。今でも昔ながらの技法で描く人たちはいますが、私が実際に作業しているようすを見せていただいときは普通の筆を使っている方が多かったです。
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今でこそザリピエ=花柄ですが、昔はシンプルなドットを描いていました。煙突のない家で石炭を使って料理をしていたため炉の上や壁が汚れやすく、黒と白の水玉模様を描くことで誤魔化していたそうです。それがドットから幾何学模様となり、動物や鳥、花が描かれるようになりました。幾何学模様は文化センター/ドム・マラレックで見られますが、動物や鳥などは定着しなかったようす。それでもごく限られた建物で花に溶け込むようなかたちの動物の絵が見られるので、もし植物以外のモチーフを見かけたらシャッターチャンス!ちなみに現在のスタンダードデザインは “花は同系色を用いて彩り、茶色または黒で縁取ったもの” です。
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コンクルス・マロヴァナ・ハタ
毎年6月、ザリピエではコンクルス・マロヴァナ・ハタ(ペイントハウス・コンペティション)というコンテストが開催されます。
2021年で第58回を迎え、国内で最も歴史のある民芸コンテストの1つだとか。
なんと第1回は1948年に開催されており、今では毎年約100人ものフォークアーティストがコンテストに参加しているのだから驚き!
このコンテストのおかげでザリピエの伝統が今でも守られ、また芸術的・技術的にもスキルが向上したと言われています。
コンテストといっても開催期間内で競い合うのではなく、アーティストたちが審査の日に向けて家の外壁を彩るというもの。
審査員は聖体の祝日という移動祝日後の週末に村を訪れ、日曜日に結果が発表されます。
ザリピエを訪れる最も良いタイミングはコンテスト後の6月であるというのがポイント。
ただこの時期を逃したからといって花の家が見れないわけではなく、私が5月頭に訪れたときも多くの家が綺麗に彩られていました!
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ザリピエに最も貢献した人物といえば、フェリツィア・ツリウォヴァ/Felicja Curyłowa(1904〜1974)】。彼女の描く独特な花のデザインによって、ザリピエは「彩られた村」として一躍有名になりました。毎年開催されるコンテストも、そもそも、ツリウォヴァの見事な作品を受け継ぎたいという思いから始まったものです。彼女が家族とともに暮らした家は現在博物館として公開され、他の村の作品や民族衣装も展示されています。
ザリピエの主な立ち寄りスポット
ザリピエは小さな村なので観光スポットも少なく、文化センターのドム・マラレック、博物館となっている画家の家、もう一つの小さな博物館と教会など主な4ヶ所となります。
個人宅にお邪魔させていただいて中を見学できる場合もありますが、公に室内見学が可能な場所は片手で数えて収まる程度…。
しかし、装飾された建物を眺めながら歩くだけでもザリピエに来る価値あり。
村には30以上の建物や犬小屋までもがザリピエ・モチーフで埋めつくされており、それらを見てまわるだけで満足できるはずです。
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ザリピエで最初に向かうべき場所は、文化センター “Dom Malarek”(ペインターハウス)。1978年、 村のペイントアートを保護し、その伝統を学んだり広めるために「観光案内所」として設立されました。こちらで村の地図を入手でき、館内ではザリピエ模様をそこら中に見ることができます。展示会、文化イベント、ワークショップ、土産の制作もこちらで行っており、外と中の両方に休憩スペースあり。ザリピエのアーティストによるお土産もたくさん売っていますが、気に入ったものがあったら買うべき!描かれた模様はすべてハンドメイドなので一つとして同じ作品はありません。
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❷で触れた、ザリピエを一躍有名にしたフェリツィアさん(故1984)のお宅。建てられたのは1908年、今は完全に博物館として保存されています。1920年から約50年以上に渡ってフェリツィアさん本人が描いたという外壁、家の中の天井、オーブン、ストーブなど見どころはたくさん!また室内の版画、宗教画、切り絵などもフェリツィアさんによるものです。私が行った時は孫にあたる方がガイドしてくださいましたが、「祖母は生涯を通してコンテストや刺繍のコンテストにたくさん参加し、優勝賞金はすべて村の発展のために使ったのよ」と誇らしげに教えてくださいました。当時の電気代は彼女が払っていたんだとか!村の英雄ですね♪
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こちらは個人が運営する博物館となり、ショプカというイエスの生誕場面がメインの展示となっています。ショプカそのものはクリスマスにポーランド各地の教会や家で見られるものであり、ザリピエ独自の伝統ではありません。しかし、象られた木に描かれた鮮やかな生誕場面は村ならではの芸術作品。ほか約50年前に使われていた農具や作業着、おもちゃまでもが所狭しと飾ってあり、オーナーの女性の方が1つずつ丁寧に説明してくれました。英語は話せないようですが、実際に手に取って見せてくれたり、ジェスチャーで教えてくれるのでなんとなく理解できるかもしれません。室内の壁や天井に花模様は見られなかったものの、お土産売り場はザリピエ・モチーフが溢れていました!
教会の正式名称は “Kościół św. Józefa Oblubieńca w Zalipiu” と言います。村の唯一の教会。外から見るとシンプルなレンガ造りの教会ですが、内部は伝統的な花のモチーフで明るく彩られています。2008年、文化センター(ドム・マラレック)のアイデアがきっかけとなり、村のアーティストたちによって装飾されたのだそう。ただ、ベースとなるデザインは1960年代にフェリツィアさんの監督の元で制作されました。壁だけでなく内部にある小さな礼拝堂、洗礼盤、神父さんの祭服までもが花の刺繍で美しく覆われています。教会の近くには、ザリピエ・モチーフと消防士の守護聖人フロリアンが描かれた消防署がありますよ。
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観光マップ&営業時間・入場料
▲営業時間や入場料、公式HPはこちらで確認
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すごく可愛い!ザリピエのお土産
女性ウケが良いポーランド土産といえばボレスワヴィエツ陶器ですが、ボレスワヴィエツが好きならザリピエ模様も気に入るはず♪
上の写真は私が購入したもので、右側の „Herbaty Świata/世界の紅茶” と書かれたティーボックスは80PLN=2,400円(文化センター購入)、イースターエッグは1個8PLN/240円(ショプカ購入)でした。
箱の隣のお花は、30PLN=900円(ショプカで購入)くらいだったような?
ほかヒマワリやユリがあった気がしますが、どれも見とれてしまうほど鮮やかな色合いとデザインでとにかく可愛らしかったです。
こちらの十字架(60PLN=1,800円/ショプカ購入)は玄関に飾っています。
もうこれを1つ置くだけで玄関が華やかになるというか、とっても美しいモチーフです。
そんな感じであれもこれも購入すると、値切ってもないのに数割引きになり、ショプカでは入場料までタダにしてくれました。
さらに黄色い鶏と花が描かれたマグネットまでオマケしてくれたり、すごく気前がいい!
こんなに可愛いのでネット販売したら成功しそうですが、すべてハンドメイド装飾ゆえに大量生産はできないのだそうです。
ボレスワヴィエツもハンドメイドではあるものの、ザリピエはアーティストが数十人しかいないので希少価値はかな〜り高いですよ。
訪れる前に知っておきたい5つのこと
目玉のペイントアート以外にも切り絵、テーブルクロスやベッドカバーの刺繍、食器の柄、そして小さなポンポン(よく見ると色画用紙や布で作られた花)をくっ付けたよなうな華やかな天井飾り「パヨンク」もザリピエアーティストの作品です。ちなみに「パヨンク」はポーランド語で「蜘蛛」という意味ですが、蜘蛛には似ても似つかない鮮やかな装飾。村の人たちはとても手先が器用で、ペインターの多くは刺繍も得意なんだそうです。
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ザリピエは家々が離れて点在する田舎の村です。車で移動しながら観光しても滞在時間はおよそ2時間〜2時間半なので、徒歩だと最低3〜4時間は見ておいたほうがいいでしょうません。また、休憩スポットとお手洗いは基本的に文化センターのみとなり、レストランやカフェはありません。自販機やコンビニもないところなので、徒歩で観光する場合は飲み物、軽食を用意しておくと安心です。また、ミニバスでザリピエを訪れる場合、最終バスを逃さないように余裕をもって行動しましょう。
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ほとんどの彩られた家は【個人の住宅】です。家の人が手招きしてくれることがあるので、ぜひ上がらせてもらいましょう。フレンドリーな家主が迎えてくれます。またその家で作られたお土産などを買わない場合、訪問者の数に合わせて別れ際に5〜10PLNのチップを渡してください。こうした伝統を守り続けるにもお金がそれなりにかかりますし、旅行者のために時間を割いてもてなしてくれたことへの感謝の気持ちを表しましょう。
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文化センター/ドム・マラレックでは要予約のペイントアートレッスンを開催しています。短いコースで90〜120分、長期コースは1ヶ月(1ヶ月コースを受講した日本人女性の作品がありました)で受講者が泊まる場所も用意されています。ワークショップは子どもと大人向けがあり、ザリピエのアーティストに教わりながらザリピエモチーフの塗り絵をしたり、イースターエッグやクリスマスグッズなどの色付けを楽しむことができます。月〜金の午前8時〜午後4時に開催されるので、興味のある方は文化センターに直接問い合わせてください。
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ザリピエには „Gościna u Babci”(おばあちゃんのゲストハウス)という小さな民宿があります。ザリピエ・モチーフに囲まれた可愛らしい部屋で過ごせるのはココしかありません。ペイントアート体験、ザリピエ観光ツアー、チーズ作り体験、庭に成っている野菜・フルーツの収穫など宿泊者だけが参加できるアクティビティもあります。宿泊料金は季節によって変動があるようですが、1泊40〜90PLN、朝食15PLNと大変お手頃。支払い方法は現地での現金払いのみとなります。
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クラクフからのアクセス方法
ザリピエを観光する人の99%はクラクフも前後に観光していると思います。
クラクフからであれば日帰りで行くことができるので、興味のある人はぜひザリピエへ!
クラクフからのアクセス方法は主に2通りあり、どちらにも共通するのは、クラクフ中央駅からタルヌフ駅(ザリピエの最寄りとなる小さな街)まで電車で行くということ。
バスもありますが、1時間に1〜4本ほど走っている電車のほうが分かりやすいでしょう。
タルヌフ駅からはミニバスを利用するか、タクシーをチャーターして行きます。
ミニバスだと安く抑えられる一方、1本でも見逃すと大慌てするほど1日あたりの本数が少なく、旅慣れた人でもドキドキするかも…。
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2021年 クラクフ⇔ザリピエの交通費 | |||
❶ | クラクフ⇔タルヌフの移動/片道 | ||
A | ローカル列車KML | 14.50PLN | |
B | ポーランド鉄道PKP | 18PLN | |
❷ | タルヌフ⇔ザリピエの移動/片道 | ||
A | ミニバス | 6.50PLN | |
B | タクシーチャーター (約4時間の貸切往復) |
260〜300PLN |
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ザリピエの花模様は写実的に描かれていないからこその美しさというか、本当に目を見張るものがあります。可愛いものや花が好きな女性ももちろん気に入るでしょうが、男性の方々も興味があればぜひ観光してください。ポーランド人観光客だと家族連れも多く、もしお子さんといらっしゃるなら1泊してアクティビティを思い切り満喫されることをおすすめします♪
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