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この記事の内容
1989年の共産圏脱却以来、ポーランドは順調に経済成長を遂げ、1人あたりのGDPはおよそ150%増加!
ついに先進国市場の仲間入りを果たしました。世界金融危機での景気後退を回避した唯一のEU加盟国という事実から見ても【経済力は本物】でしょう。
ポーランドは今やEU諸国の主要パートナー。ここ数年でも物価は目に見えて上がり、鉄道インフラも驚くほど向上しました。当記事でポーランドの経済事情やEUでの立ち位置を分かりやすく説明するので、この国がどれだけ発展しているか知ってもらえると嬉しいです。
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この記事の目次
❶ ポーランドの経済データ
❷ 今後も期待される経済成長
❸ 主な輸出産業と国内消費
❹ さらなる成長の鍵はゲーム業界
❺ EUからの支援はウィンウィン
❻ 通貨ユーロを導入する可能性
❼ この記事のまとめ
7分で分かるポーランドの歴史!建国から社会主義脱却までの千年を総括
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ポーランドの経済データ

ポーランド | 日本 | |||
国土面積 | 312,679㎢ | 377,915㎢ | ||
人口 | 3,840万人 | 1.262億人 | ||
通貨単位 | złoty・PLN | 円・JPY | ||
EU加盟 | 2004〜 | – | ||
GDP (USドル) | 5658.5億 | 5兆2,200億 | ||
GDP成長率 | +4.03% | +0.5% | ||
インフレ率 | +2.3% | +0.5% | ||
債務残高比率 | 46% | 238% |
※数字部分は2019年末のデータ


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今後も期待される経済成長

毎年好調なスピードで伸びており、過去30年間でGDPは実質3倍にもなりました。 。世界の経済成長率は平均3%、EU全体では平均1.5%と言えば、その目覚ましい発展がよく分かるのではないでしょうか。
うまく対策していけば、あと10年で経済力が今の2倍になるという予想もあります 。また近年行われたリサーチによると、8割以上のポーランド人が平均的または良好なレベルで生活していると回答しました。
ちなみに、アンケート開始当初の1993年では半数以上が貧しいと回答しています…。
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EU GDPランキング&債務残高対GDP比 |
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順位 | 国名 | 百万US$ | 債務残高 | |||
1 | ドイツ | 3,861,550 | 59% | |||
2 | イギリス | 2,830,764 | 85% | |||
3 | フランス | 2,715,818 | 98% | |||
… | … | … | … | |||
8 | ポーランド | 592,401 | 46% | |||
9 | スウェーデン | 530,884 | 35% | |||
10 | ベルギー | 529,665 | 98% |
※2019年末時点のデータ

❶鉱業・農業・製造・エネルギー分野で生産性ギャップを埋めて賃金を上昇させること(現在の生産性レベルは西欧の半分)、❷2030年までに生産年齢人口が200万人以上減少するため外国人労働者や移民を受け入れること、❸民間および公的投資のレベルを見直して十分な投資資金を確保し、イノベーション能力を大幅に向上させること(現在は世界38位でEU諸国25位)、これら3つが主な課題です。
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主な輸出産業と国内消費

前年度と比べて増加率は1%未満ですが、2015年以降35.8%も増加しています。 。そんなポーランドの最大の輸出先は、全体の30%近くを占める隣国ドイツ。
輸出産業を最も支えているのは電子機器・部品やバッテリーで、特に自動車部品はポーランドが世界全体の5.4%を占めています。
。近年はソラリスという大手車両メーカーが絶好調で、国内はもちろん世界32ヵ国に輸出されているというのだから驚き。2014年頃、ドバイでバスに乗ったらソラリスでポーランド人夫が嬉しそうでした。笑


この苦しい期間も、国民の高い購買意欲で世界的な経済不況を乗り切ってほしいですね。


参考:World’s Top Exports, Trading Economics
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さらなる成長の鍵はゲーム業界

時価総額は60億ドルを超えており、なんと過去3年間でほぼ10倍も増えています。 。2020年の世界ゲーム市場規模は1,749億ドルと予想され、一方で映画業界は422億ドル、音楽業界は202億ドル。
つまり、これからの時代はゲーム市場が今後の経済の大きな支えになるということ。 。ビデオゲーム大手調査会社の Newzoo によると、近年のポーランドのビデオゲーム収益はEU諸国の中では7位と好調です。
ポーランドには現在300以上のゲーム開発会社があり、今後も増えていくでしょう。 。私がかつてご案内したお客さまの中にもゲーマーの方がいらっしゃり、ポーランド生まれのゲームの中で最も人気を誇るウィッチャーについて何度も聞いたことがあります。
ゲームに出てくる場所を訪れるためにポーランドに来たという方もいらっしゃいました。
EUからの支援はウィンウィン

この莫大な資金は、主に公共インフラの整備費用として様々な用途に使われてきました。 。EUからの援助がなければポーランドがここまで発展しなかったのは事実です。 。ただしこの支援金は、西側諸国にもある程度の利益が見込めるよう計算されたうえで特定の事業に対してのみ使用されます。
つまり財政支援が慈善事業ではない以上、お互いに利益を享受しているということです。 。例えば、バルト諸国を横断する高速鉄道はスペイン、ドイツ、フランスの企業によって設計され、最初の大規模な建設プロジェクトの契約はベルギーの会社に委託されました。

それだけを見るとすごく援助されている印象ですが、実はウィンウィンの取引なのです。


ユーロを導入する可能性

ポーランドは2012年からの導入を検討していましたが、まだ導入予定はありません。 。EU加盟条件の1つに “統一通貨ユーロの導入”(ただし導入期限なし)というものがあり、厳しい基準をクリアすればユーロ圏にステップアップできることになっています。 。ポーランドはその基準をすでにクリアしていますが、まだ導入に至っていません。
ギリシャ財政破綻や欧州債務危機を受け、ポーランド国民の過半数以上はこのまま自国通貨を維持するべきだと考えているようです。 。政府も今はユーロ導入に消極的であり、最短でも2030年以降となる見込み。
その頃にはポーランドの経済力がもっと伸びていると予想されるので、取り巻く環境が変われば世論も導入に前向きになるでしょう。
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ユーロ導入のメリット ・為替リスクと取引コストの削減 ・中小企業の欧州進出がしやすくなる ・ユーロ圏内での貿易が増える ・ユーロ圏内から旅行者が訪れやすい デメリット ・物価上昇における人件費の増加 ・現行通貨からユーロ移行時の負担 ・ユーロ圏内のインフレによるリスク ・導入後に経済が傾くと最悪国が破綻する

当時の一人当たりのGDPはラトビアに次いで2番目に低く、失業率はなんと19%…。控えめに言っても “落ちぶれた国” であったことは認めざるを得ません。
しかし今やEUで8番目に高いGDPを誇る国となり、EU諸国の中ではかなりの成功を収めています。単純に経済成長率だけを見れば日本の5倍。まだまだ伸びる要素があるところを見ると、明るい未来が待っているでしょう。ただ、一方で生産性ギャップの向上、労働力不足など解決すべき難しい問題もあります。5年、10年先のポーランドがさらに前向きな成長を遂げ、それがヨーロッパの明るい経済発展につながることを期待しましょう。


