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ポーランドでは、11月1日は「諸聖人の日/万聖節(ばんせいせつ)」というカトリックの祝日であり、翌2日は「死者の日」になります。
この2日間は日本でいう、お盆の日なんです。
ということで、普段はなかなか聞けないポーランドのお葬式や埋葬方法について、ちょっと気になったのでリサーチしてみました。
よく考えれば、私もポーランドにずっと住みつづけるのであれば土葬なんですよね…。いくら死んだ後の話とはいえ、暗闇の中でただただ白骨化していく自分を想像するとゾッとします!
今回のテーマは多くの読者の皆さまには直接関係ないですが、豆知識としてどうぞ (^o^)
死者の日については、こちらをご覧ください。
Q&A形式で見ていきましょう
お葬式をするまでの疑問
私は今のところ、一回お葬式に参列しました。
ポーランドに来てからだったのですが、やはり実際に亡くなった人を目にするまでは「死」というものはなかなか認識できないものです…。
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たいてい、墓地や大きな病院の近くには “Dom Pogrzebowy”(ドム・ポグジェボヴェ)という建物があります。「ポグジェブ」は「埋葬」や「葬式」を意味し、つまり遺体安置室です。
墓地内の霊安室に安置されたとしても、必ずしもそこに埋葬されるわけではありません。遺体は建物内で冷蔵保存され、面会することも可能です。
夫の祖母が亡くなった時ですが、埋葬前の遺体と対面する時、棺の前で「主の祈り」と「ロザリオの祈り」を唱えました。「主の祈り」を1回唱え、その後に「ロザリオの祈り」を10回唱える、これが5セットです。
たいてい、亡くなった人が生前に気に入っていた服や、教会へ行く時によく着ていた服を着せたりします。
葬式のために服をわざわざ買うことはありません。また、棺の中にモノを入れることは基本的にありません。
先祖が代々埋葬される場所としての家族墓地はほとんどありません。
資産を多く持っていれば一家が埋葬される場所を予め購入するケースもあるかもしれませんが、珍しいです。
ふつう、墓地内に夫婦でワンセットの土地を買うのが定番で、生涯独身だと一人だけのスペースに埋葬されます。子どもが亡くなった場合は子どもだけで埋葬され、大きな墓地には子どもだけが埋葬されるスペースがあります。
先祖代々の墓がないため、墓参りでは数ヵ所にある家族の墓を訪れます。
お葬式そのものについて
日本でのお葬式はドラマや映画でしか見たことがありませんが、みんながしくしくと泣いていたり、とにかく暗いイメージがあります。
しかし私にとっての初のお葬式(下記記事参照)は、そこまで暗いものではありませんでした。
カトリックの祝日、土曜日、日曜日はなるべく避けます。土曜日は教会で結婚式を挙げることが多く、日曜日は礼拝の日(ミサの多い日)なので葬式をする時間枠がなかったりします。
土葬が7割、残りは火葬です。
正直、火葬が3割も占めるのにはびっくりしました。墓地での土地代を安くしたいなど経済的な理由であったり、棺の中で虫に食べられたり無惨な姿になっていくのが嫌、怖いという精神的な理由であったり、そういった人たちが火葬を希望しているようです。
では、そもそもキリスト教圏で土葬が一般的なのはなぜか?
キリスト教の教えによると、全人類はいずれ、神の裁きによって「最後の審判」を受けます。そこで天国行きか、あるいは地獄行きかが決まります。
そしてその時、全人類は蘇ることになっているのですが、遺体がなければ墓から出てくることができません。体がなくては蘇って裁きを受けることができない、だから土葬なのです。
もちろん象徴的な考えであり、ゾンビのように死者が墓から出てくるとは本気で思っていません。しかし、かつてのキリスト教圏では遺体を焼くことが禁じられていましたし、昔からの風習として焼かないのが一般的です。
信者じゃなかったらどこでするの?
葬式は教会のミサからはじまります。
教会に棺が運ばれ、前のほうに置かれます。ざっくりとした流れは通常のミサと似ていますが、亡くなった人の生前の話であったり、神父による「出棺の祈り」というものがあります。
キリスト教徒ではない場合は、ドム・ポグジェボヴェ(遺体安置室)で葬儀が行われます。葬儀だけを行うセレモニーホールはありません。
日本ほどさまざまな葬儀の形はなく、そこまで高額ではありません。
カトリックでの葬儀では2000PLN(約6万円)前後、火葬だと3000PLN(約9万円)前後が相場のようです。加えて棺代ですが、900PLN(約2万7千円)〜3800PLN(11万4千円)とピンキリ。
火葬だと特に棺にこだわる必要もないので、トータルでは火葬のほうが安く済ませられると思います。
その他、お葬式について
以下、おそらく日本人の皆さんが「へぇ〜!」と思うようなことを箇条書きでまとめます。
①墓地の土地代は原則20年毎に払う
②葬儀の歌がある
③香典など金品はあげない
④教会での葬儀ミサの後は墓地へ行き、埋葬されるまでしっかり見届ける
⑤埋葬後、棺の中で起きてしまった場合のことを想定して作られた棺がある(中世の話)
葬儀費用を調べていて分かったのですが、墓地での土地は恒久的なものではないようです。
考えてみれば、家族もずっと生きているわけではないですし、遺体も棺もやがては土に還るので永久にキープしておくわけにもいきませんよね。
ちなみにこんなタイプの墓もあります。
しかし、地下にわざわざ部屋をつくってそこに埋葬するというのは一般的ではなく、家族代々の資産家や貴族の墓地を思わせます。
ふつうは棺が入る程度の穴を掘り、そこにロープで棺を下ろし、上に土を被せます。
夫の祖母の葬儀では、最後に家族が棺の上にスコップで土を被せていき、全体的に埋めるといった作業は葬儀屋さんがやっていました。
葬儀の歌についてですが、とても綺麗なメロディーなので夫がよく歌っています(笑)。
短い歌なので、ぜひ聴いてみてください!
Niech Aniołowie zawiodą cię do raju Niech Aniołowie zawiodą cię do raju, A gdy tam przybędziesz, niech przyjmą cię męczennicy I wprowadzą cię do krainy życia wiecznego. Chóry Anielskie niechaj cię podejmą I z Chrystusem zmartwychwstałym miej radość wieczną. 【歌詞(意訳)】 天使があなたを天国に連れていきますように そこへ辿り着いたとき 殉教者があなたを迎え入れ 永久の地へ連れていってくれますように 天使の聖歌隊があなたを歓迎し キリストの復活と永遠の幸福があるように
この記事を書いてみて…
記事を半分くらい書いたところで、「こんなこと記事にしてもよかったのかな、興味ある人いるのかな」と思ってしまいました。
しかし、「死」というのは誰もが通る道であるにも関わらず、なかなか知る機会がありません。
ポーランドの習わしを改めて知るという意味でも、いい勉強になりました。
かなりグーグルにお世話になったので、しばらく葬式やら墓石の広告がでてきそう…(笑)。
キリスト教の死生観については過去の記事でもたっぷり触れているので、時間のある方はこちらも読んでくださると嬉しいです。
nagrobek
“nagrobek”(ナグロベック)は「墓石」という意味の名詞です。複数形は “nagrobki”(ナグロブキ)といいますが、夫婦ペアの墓でも単数系で「ナグロベック」と言います。
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はじめまして。
遠距離交際中の彼(Polish)のお父さんが亡くなり、まさに本日葬儀みたいなのですが、どのように行われ、思いを寄せようかと思って調べたらこちらのページに辿り着きました。
とても為になりました。
11月2日についての記事も勉強になりました^_^ありがとうございます!
はじめまして、管理人の綾香です。
お葬式にはその国の文化や考えがよく反映されますから、りよさんにとって新鮮に感じられた部分もあるかと思います。
彼氏さんにとって今は哀しみでいっぱいの時ですが、そっと支えてあげてください。
初めまして。義弟のお嫁さんがポーランド人ですが数ヶ月前に亡くなられました。亡くなられてから初めてのクリスマスを彼女達は迎えますがプレゼント送るとしたら何が無難でしょうか。
管理人の綾香です。
コメントのチェックが遅くなり申し訳ありません。
クリスマスプレゼントについて特に私から案はないですが、日本のように喪中といった考えはないのであまり気にされる必要はないと思います。
ご自身が素敵だと思われるプレゼントを贈ってください。