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【よくわかるポーランドの医療システム】医療レベルは高いけど医療費が結構高い?!

ポーランドの医療システム
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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この記事の内容
 ここ半年で医療費うん十万円は軽く超えている私が、ポーランドの医療システムを赤裸々にお伝えします。ちなみに先日、2日間の専門治療で3,850ズロチ(15万円弱相当)を支払いました。タイトルにもあるように医療レベルは高いので治療には満足していますが、いかんせん…高い!
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病院
この記事の目次
医療制度と保険制度の概要
医療サービスのしくみ
先進医療は日本より普及している
処方箋や薬の購入方法
歯科治療もレベルが高くて早い
病気やケガをしたときの休業補償
この記事のまとめ
知っておけば安心!ポーランドの薬と医療システム(ブイキュレでの執筆記事)

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医療制度と保険制度の概要

病院, 診察

 ポーランドの医療制度は、公的セクター私的セクターの主な2パターンに分けられます。
公的セクターは原則無料で費用がかかったとしても低コストですが、私的セクターでは全額負担となるため基本的には高額だと思ってください。

 この国では、ほとんどの人が国民健康保険 NFZ に加入しており(義務ではない)、毎月の給与から9%が健康保険料として引かれます。
至るところで NFZ(Narodowy Fundusz Zdrowia:国家保険基金=国民健康保険)のロゴを見かけますが、保険適用可ということです。
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公的セクター Publiczny(プブリチュネ)

 NFZ を通じて資金提供される公的医療制度。
予防医療含めて基本的な医療サービスはこの公的保険によってカバーされ、患者は無料または非常に低額の自己負担で医療を受けることができる。一方で待ち時間が長く、特に専門医の診療を受ける場合、数ヶ月から1年待たされることもしばしば。

 

私的セクター Prywatny(プリヴァトネ)

 公的医療が混雑しているため、ポーランドでは私的医療機関も広く利用されている。国内の私立医療サービスの最大手は外国人にも人気の LUXMED。公的医療と比べて迅速で質の高いサービスを提供するが、全額負担となる。事前に特定民間医療保険に加入することで高額負担を避けることができる。

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あやか
私的セクターの医療費は確かに高いけど、先生と個人的にやり取りもできたりサービスは手厚くて安心。
ポーランドの妊娠・出産事情

 このような医療制度は、ヨーロッパでは一般的です。予防医療が浸透しているので、診察時に定期検診として次の予約も済ませておくのがお決まり(公的医療だと定期検診も半年〜1年後になるのでちょうどいい)。午前は公的セクター、午後は私的セクター、と分けて診察する先生がほとんどです。

民間医療保険について(大使館HP)

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医療サービスのしくみ

病院, 診察

 風邪や一般的な感染症、慢性疾患の治療などはまず、診療所(przechodnia:プシェホドニャ)の一般診療医に診てもらうのが基本です。
これも公立と私立がありますが、やはり公立だと待ち時間が長く、私立は早く診てもらえます。

 公立の診療所を利用する場合、予め、最寄りの診療所で NFZ の保険証や ID を提示し、家庭医(GP)を登録しなければなりません
診療前に事前予約を済ませますが、数日で診療予約が取れるケースもあれば数週間と待たされることもあるので、急ぐ場合は私立の診療所へ…。

  診療所では健康診断、予防接種、血液検査、超音波検査などができるので、大まかな診断は下せますが、専門医に診てもらったほうがいい場合は家庭医に紹介状を書いてもらいます
特に、病院で公的医療=無料で診察してもらいたい場合は紹介状なしでは門前払いとなります。

 なお、緊急医療は NFZ でカバーされ、急病や緊急性を要する場合は無料で救急車を呼んで治療してもらえるので一応、安心です。
ただ重症患者の搬送や治療の初期対応に限られるため、継続的な治療において良質な医療を受けたい場合は医療費を覚悟しなければなりません。
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夫Piotr
内科で診てもらうような症状ならだいたい診療所での治療で間に合うから、まずは診療所に相談しよう。

 私的セクターの診療では、眼科や耳鼻科での10分程度の診療でだいたい100〜150ズロチ(約4,000円〜6,000円)となります。歯医者で1時間くらい丁寧に歯石取りやクリーニング(美容目的のアレではない)してもらったとき、1,200ズロチ(約45,000円)で驚きました。もしかしたら、ほかの治療もあったのかも。公的セクターの診療ならもちろん無料ですが、オプションで料金が発生する場合は先生に直接支払うパターンが多いです。

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先進医療は日本より普及している

薬

 日本の医療レベルもそれなりに高いとは思いますが、先進医療や処方される薬に関してはポーランド(EU諸国)のほうが進んでいます。
おそらく、日本は独自の基準があるため導入に時間がかかりがちで、一方、ポーランドはEU諸国で承認が下りればすぐ使用できるからでしょう。

 とは言っても、公立と私立で格差があり、公的医療機関では古い機械が使われていることも珍しくないので単純比較は難しいところ…。
ただ自分自身、新しい治療を受けるときは日本語での情報をネットで探していますが、だいたい日本ではまだポピュラーではない先進医療です。

 妊娠中の、ちょっと応急処置が必要になったときも、日本ではまだ珍しい薬や処置法で迅速に対応していただき無事に出産できました。

 それと日本だと審美性による治療は保険適用外となるようですが、ヨーロッパでは歯科矯正にも保険が適用され(こちらで歯並びが悪い人は見たことないかも)、がんの先進医療でも保険が適用されるのは大きなメリットと言えます。
日本のがん死亡者は年々増えていますが、先進医療の導入が進めば改善されるかもしれません。
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あやか
ただし公立病院の病室はプライバシーがないので、それなりの設備を期待するならやっぱり私立病院…。
ポーランドでの入院レポ

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処方箋や薬の購入方法

処方箋

 診察後に薬が処方される場合、たいてい先生がその場で処方箋(recepta:レツェプタ)を発行してくださるので、それを持って薬局(apteka:アプテカ)へ薬を買いに行きます。
必ずしも診療所や病院のすぐ隣に薬局があるとは限らないですが、薬局ならどこでもいいです。

 処方箋は紙と電子処方箋(e-recepta)の2パターンがあり、電子処方箋なら SMS に処方箋コードが送られてくるのでそれを薬局で提示、紙の処方箋はそのまま見せれば問題ありません。

 基本的な薬は NFZ が適用されるので安く購入でき、子どもの薬はさらに安いです。
ただし、特別な治療による薬や最新治療薬、美容や生活改善目的、あるいは私的セクターでの診療で発行された処方箋は完全自己負担になることがほとんどで、比較的高額になってしまいます。

 ふつうに市販薬を購入したいときは同じく薬局か、ドラッグストア(ポーランドではドイツ資本の Rossmann が定番)で買いましょう。
なお、こちらのドラッグストアには日本ほど大量の薬は置いていないので、薬局で症状を伝え、薬剤師に選んでもらうほうが早く購入できます
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夫Piotr
処方箋を発行してもらうときに、薬の飲み方や飲む頻度を一気に説明されるからちゃんとメモしとこう!
のどがおかしい
ポーランドでおすすめのもの
ドラッグストアで買えるもの(ポーランド語)
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歯科治療もレベルが高くて早い

歯医者

 私は歯科治療も私的セクターで済ませていますが、公的セクターも含め、よほど症状が深刻でない限りは何回も通院する必要はないです。
日本の歯科診療システムは逆に時間をかけなければ利益がでないようですが、こちらでは一日に複数本治してくれるので単発治療で済むのが楽

 そして実は私、歯磨きは1回2セットやらないと気が済まない性分で、そのせいか歯茎がやや弱く(磨きすぎを指摘される…)、自分の血液を使った再生医療をやったことがあります。
それも注射器2本分くらい抜くので少し驚きましたが、ふつうにかかりつけの歯医者さんでそのままやってもらえて、採血も手慣れていました。

 ちなみに日本でよくある銀歯の被せ、あれはこちらでは30年以上前の治療法なので、なるべく歯の色に合うセラミックなどで治療します。
銀歯に使われる金銀パラジウム合金が身体によくないとされるため、使用禁止されているそう。

 私はここで歯医者に行く前、麻酔ナシと聞いていたので怖かったんですが、別料金を払えばちゃんと打ってもらえるので大丈夫でした。
歯が痛くなってから行くのではなく、予防歯科を徹底している人が多いので、麻酔ナシでもサクッと治せるパターンがほとんどなんでしょうね
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あやか
日本の歯医者は通院も長いうえに怖かったけど、ポーランドに来てから歯医者アレルギーがなくなった♪

 私は、数年前までは公立診療所の歯医者さんに歯を診てもらっていました。治療が早いので麻酔ナシでも我慢できますが、麻酔が必要な場合、”Proszę o znieczulenie.”(麻酔をお願いします:プロシェン・オ・ズニェチュレニェ)と言えば打ってくれます。公的セクターの場合、虫歯なら麻酔は有料、抜歯なら麻酔は必須と判断されて無料のようです。また虫歯で詰め物が必要な場合、良質なものや色が目立ちにくいものは別途料金を支払います。


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病気やケガをしたときの休業補償

病気, 体調不良

 日本の場合、体調不良で仕事を休むときは有給や会社独自の病休制度を使いますよね。
一方、ポーランドでは、調子が悪ければとりあえず医者に診てもらい、病欠証明書を発行してもらえれば L4(zwolenienie lekarskie)という休業補償を取得できて、会社や国(ZUS)から給与の 80% が補償されることになっています。

 私の場合、L4 を活用するのが難しいので補償を受けることはあまりないですが、事業者でも疾病保険(任意加入)に入っていればちゃんと国から 70% または 80% の額が補償されます。

 インフルエンザだと一週間はこの方法で休むことが多く、この病欠補償の支給は最長で半年(特定のケースでは270日間)もつづくというのだから、日本人からしたら… 驚きですね。
ポーランド人が体調を崩すと L4 を貰うために風邪でも診療所に行き、むしろ先生から「L4、1週間分出しとくね」と言ってくださいます。笑

 さらに女性だとメリットが大きく、妊娠すると産休とはまた別で L4 を取得することができ、通常の病欠よりも有利な 100% の補償!
ちなみに私が妊娠したとき、妊娠発覚時から臨月間近まで働いていたので、先生から「女性は妊娠するとすぐ L4 もらって休もうとするから、あなたみたいなタイプは珍しい」と驚かれました。
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夫Piotr
ちなみに休業補償の最初の33日間は会社が払って、34日目以降は国が払うことになってるよ。
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この記事のまとめ
アイコン ポーランドの医療は公的セクターと私的セクターで分けられていて、基本的には無料で医療を受けられます。しかし、公的セクターは常に混雑しているので、私立病院に行かざるを得ないことも多々。民間医療保険に入っていればある程度は補償されるので検討してみてください。医療レベルは高く、先進医療も当たり前のように受けられる点は素晴らしいです。病気での休業補償に関しては、申し訳なさそうに申請する必要もないので(それくらいみんな当然のように補償してもらっている)体調不良のときは素直にお医者さんに行きましょう。自営業や事業者の方は、疾病保険に入るのをお忘れなく!
 また、ポーランド移住1年も満たない頃に書いた【完全保存版】知っておけば安心!ポーランドの薬と医療システムの知識5選という記事が “海外メディアサイト・ブイキュレ” で掲載されています。当記事で触れた内容と一部重複していますが、ポーランド語での症状を表す単語などもたくさん載せているので、ぜひそちらもご一読ください

 

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あやか
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2件のコメント

コウヘイ より:

いつもポーランドについての記事を読ませていただいてます。私もポーランドに住むので、大変参考になります。特に医療について行く前にしらべなければならないことがあり、困っています。もし可能であれば、質問をしたいのですが、Eメールにメッセージをいただけたら幸いです。ポーランドの情報が非常に少なく、困っています。よろしくお願いします。

ポーランドなび管理人 綾香 より:

いつもご愛読ありがとうございます。先ほどメールを送りましたので、ご確認ください。

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