これからポーランドへ行く方が知っておきたい情報

【なぜそこに?】グルジアで出会った渡辺さんの話

Stroganova / Pixabay
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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久しぶりにポーランドと関係のない話をします。その国とは、グルジア。

渡辺さんって誰だよ!と思った方も少なくないでしょう。しかし、グルジア旅行者がグルジアのことをネットで調べてみると、8割くらいの人は「渡辺さん」というキーワードを見つけるはずです。
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画像引用:外務省ODAメールマガジン

グルジアは、南コーカサスにある国家でトルコとロシア、そして黒海とカスピ海にはさまれた位置にあります。

2015年4月までは日本での正式名称は「グルジア」でしたが、現在は「ジョージア」という名称になりました。

グルジアといえば何でしょう。
※それでも私はグルジアと呼び続けます

カスピ海ヨーグルト(別名グルジアヨーグルト)、ワイン発祥の地、グルジア出身の力士(栃ノ心や臥牙丸)、最後にネガティブな南オセチア紛争ですね。

旅行前に調べるまではジョージアコーヒーのイメージしかありませんでしたが、こっちのジョージアはアメリカのジョージア州から来ていました。つまり、私は何も知らなかったということです。

首都トビリシの景色
さて、この記事のテーマはトビリシに住む渡辺さんのこと。なので、グルジアについてはここまでにしておきます。

私は20歳の終わりかけから長期休暇を利用し、色んな国へ旅しました。

グルジアに行ったのは2014年2月、22歳の頃。グルジアだけでなく周辺のアゼルバイジャンやアルメニアにも行きましたが、このグルジア旅行は今の夫との初めての旅行であり、初めて誰かと行く海外旅行でもありました。

しかし私は彼と1日中いっしょだとは思ってもおらず、自分だけでひたすら情報収集をしていたんです。そこで見つけたのが「渡辺さん」の存在でした。

渡辺さんについては、こんな情報がネット上で飛び交っていました。
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  • トビリシで唯一の在留邦人である
  • 息子と二人で極貧生活を送っている
  • やぶ蚊というハンドルネームを持つ
  • 渡辺さんは亡くなったという噂
  • と思ったら、「なぜ、そこに日本人が?!」に出演していた
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詳しいことは「世界ナゼそこに?日本人〜知られざる波瀾万丈伝〜」の番組紹介文を読んでいただければと思います。
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渡辺さんは大学卒業後輸入図書の会社に就職し、海外へ本を買い付けに行くのが主な仕事だった。渡辺さんは30歳の時に出張で訪れたグルジアの景色に心を奪われ「いつかここに住みたい」と考えた。

渡辺さんは40歳で脱サラしてグルジアへ。

現地の大学で日本語教師の仕事をし、のちの妻となるタムリコさんに出会った。2003年に2人は結婚。2005年に笙太郎くんが誕生。

順風満帆だったが、タムリコさんの脳に悪性腫瘍が見つかり、医師から余命10か月と宣告された。渡辺さんは仕事を辞めて妻を看病した。都会の大病院に転院させたが、2008年に南オセチア紛争が勃発し、病院のある首都にも危険が迫っていた。

渡辺さんは妻から離れるわけにはいかないと逃げなかった。しかし妻タムリコさんは35歳で亡くなった。

妻が最後に残した言葉は「笙太郎を守って 」だった。すべてを失った渡辺さんは日本に帰ろうと何度も思ったが、「妻に息子の元気な姿を見せてあげたい」と妻の墓があるグルジアに居続けている。

引用:goo テレビ番組

 

私はいつの間にか、グルジアより渡辺さんの情報を探しまくっていました。

ここまでして誰かに会いたいという衝動に駆られたのは初めてで、思い切って渡辺さんに直接メールを送りました。好奇心とかではなく、直感で「この人に会ってみたい」と思ったんです。

渡辺さんは私と会うことを快く了解。

せっかく会うので何か日本から持っていきたいと思い、欲しいものを聞いてみると意外なリクエストが…。てっきり食べ物ばかりがくるかと思いきや、笙太郎くんのおもちゃも欲しいとのこと。

人気シリーズのおもちゃ(名前は忘れた)でしたが、その子が欲しいシリーズは店頭にはなく、アマゾンや学校の子達にも協力をしてもらいました。

旅へ出る前、スーパーでスーツケースの空いたところに入るだけの食料をたくさん買いました。インスタントラーメン、カレールー、ほかは覚えていません。

笙太郎くんの喜んだ顔が見たくてガンプラまで買っちゃいました。でも彼が本当に欲しかったのは妖怪ウォッチでした(笑)。喜んでくれましたけどね (^o^)

 

トビリシ空港にて撮影
私はトビリシ空港でポーランド人(今の夫)と待ち合わせをしていたのですが、私のほうが早く到着しました。

ちなみに私はお気に入りのトルコ経由で入国し、彼はポーランド航空の直行便でやってきました。ポーランドとグルジアの間の直行便がある限り、また近い内に訪れたいですね〜。絶対行くなぁ。

最初に衝撃を受けたのは文字。

文字に関してはギリシャもなかなか奇抜ですが、グルジアのほうが「ええ?!」という感じ。そこで撮影したのが上の写真でした。面白い形ですよね!

彼と無事に合流した後、タクシーでホステルへ。そしてグルジアに到着したその日、私は渡辺さんとお会いしました。

わざわざ宿泊先まで迎えにきてくださったのですが、初めてお会いしたときは「あ、どうも」みたいな気さくな感じだったのをよく覚えています(笑)。

それからポーランド人も連れて、とあるグルジア料理のレストランへ。

1ℓ以上ものワインを飲み干してしまう姿に唖然。グルジア文化をいきなり生粋の日本人に見せつけられました

正直、渡辺さんとどんな話をしたのかはアルコールのせいか覚えていません。

渡辺さんに書いてもらったアゼル情報
レストランのトイレの洗面所
ただ、アゼルバイジャンへの行き方を教えてもらい、紙に「マナト」(アゼルの通貨)と書いてもらったのはハッキリ記憶しています。そのレストランの、妙にオシャレなトイレもよく覚えています。

それから日本食品が売っているお店へ連れて行ってもらい(結構おもしろかった)、タクシーに2回ほど乗りました。

タクシーもお食事も渡辺さんがぜんぶ払ってくれたのですが、「あれ?極貧生活だったんじゃないの?!」とあまりの羽振りの良さにびっくり(笑)。

日本からたくさんのお土産を持ってきてしまったからかもしれません。。。

あと、渡辺さんとは滞在中に3回くらい会ったような…?レストランには2回ほど連れて行ってもらった気がします。

笙太郎くんと遊ぶ私
私は亡くなった奥さんとの出会いだったり、ここに来るまでの話などは聞きませんでした。ただ、渡辺さんがどういう風に生活しているか見たかったんです。

アパートにもお邪魔させてもらいましたが、噂通り1LDKの少し狭い家。

笙太郎くんは複雑な事情があって学校には通っていないのですが、お父さんが日本人だけに日本語は当然もうペラペラでした。ちょっと甘えん坊な感じで、笙太郎くんがお父さんのことが大好きなのもすごく伝わってきました!

何も事情を知らない人からすると「学校にも行かさないで甘やかして…将来どうするの?」という感じかもしれませんが、笙太郎くんはパソコンでちゃんとしっかり勉強して、お父さんの仕事のお手伝いもしている立派な男の子です。

思わず、渡辺さんが笙太郎くんを厳しく叱っているところも目撃。

叱られて笙太郎くんが拗ねてしまったとき、渡辺さんはしっかり彼を抱きしめてあげていました。亡くなった奥さんも渡辺さんと結婚して本当に良かったと天国で思っているにちがいません。いつまでも幸せな親子でありますように!

渡辺さんとはギターで日本の歌を歌ったり、グルジアでの面白い話や役立つ話も教えてもらったり、笙太郎くんもすっかりなついて一緒に遊んだりしました。

首都トビリシの夜景
番組情報によると、渡辺さんはグルジア人より低いお給料で生活し、友人やお隣さんから食事を分けてもらうほど。

節約しているのは、亡き奥さんと住んでいた街、サチュヘレに行くためでした。

笙太郎くんは幼い頃に亡くなったお母さんとの思い出を忘れてはおらず、お父さんと同じくらい愛しています。

そんな渡辺さんと笙太郎くんと実際に会って、本当によかったと思いました。

今ではトビリシ企画という会社を立ち上げ、ガイドやツアー、翻訳業務などを行っています。のちに番組企画?で笙太郎くんは初めて日本に訪れることもできました。FBでも、お父さんと仲良くしているようすが伝わってきます。

きっと、私のように渡辺さんを訪れる人はあとを絶たないでしょうね。

私も海外に住む日本人として、渡辺さんと同じように在住国をアピールする人間として、そしてこれから新しい家族をつくっていく上で、改めて渡辺さんから学ぶことがたくさんあります。

皆さんもぜひ、グルジアへ来ることがあれば渡辺さんに会ってみてください!

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今日のポーランド語

szczęśliwy

szczęśliwy(シュチェンシリヴェ)は「幸せな」という意味ので形容詞です。発音がちょっと難しいですね。

ついでに、”na szczęście”(ナ  シュチェンシチェ:幸いなことに)というフレーズも覚えておきましょう。

 

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あやか
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