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キベラは「貧しい」の一言では語れなかった|アフリカ最大級のスラムを訪れて感じたこと

キベラは「貧しい」の一言では語れなかった|アフリカ最大級のスラムを訪れて感じたこと
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クラクフ市公認観光ガイドの綾香です。旅行や生活に欠かせないポーランド情報を発信中! 2025年、東アフリカ・ルワンダでの教育支援に向けて【財団法人MOST】を設立。興味のある方はご連絡ください
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キベラスラム
 数ヶ月前、ケニアの首都ナイロビにあるキベラというアフリカ最大級のスラムを訪れました。
【 KCOOP(Kibera Community Outreach Organization)】というキベラ出身の人たちが運営する支援団体の方が案内してくださり、決して貧困を見世物にしているわけではなく、そのツアーに参加すること自体が子どもたちへの支援に繋がります

 近年は「スラムツーリズム(貧困観光)」への批判もあるそうですが、確かに、貧困地域を “観光” として消費することへの違和感は理解できます。
ただ一方で、実際に現地へ行かなければ分からないことがあるのも事実で、私自身がルワンダで教育支援をやろうとしているからこそ、「どのように貧困に立ち向かっているのか」というのに関心がありました。

・自分は何を見に行くのか
・何を感じたいのか
・相手をどう見ているのか

 実際に現地へ行って子どもたちともふれあいつつ感じたのは、貧困ゆえの苦しさも、矛盾も、活気も、人間らしさも全部そこにはあるということ
訪れたのはキベラの中でも穏やかなエリアで、たかが数時間で広大なキベラのすべてを感じ取るのは難しいですが、何人かの人は日本語で挨拶してくれて、ここで活動されている日本人がいることも知りました。

17日間のルワンダ&ケニア滞在
エチオピア滞在記
 

アフリカ最大級のスラム:キベラ

◆ ケニアの首都ナイロビにある低所得居住地域
東京ドーム約40〜50個分の広さ
◆ 正確な人口統計は難しいが、数十万人規模
◆ 非公式住宅(土地権利が曖昧な住宅)が多い
◆ 失業率や貧困率が高く、その日暮らしの人が多い
◆ 小規模商店や屋台など経済活動も非常に活発
◆ NGOや教会、支援団体の活動が盛ん
◆ 地域によって雰囲気や治安状況がかなり異なる
 

時系列で訪れたときの記録を記します

キベラスラム

▲ 実はこの日、早朝から参加していたナイロビ国立公園のサファリが思ったより長引いて大遅刻。それでも融通を利かせてくださって、とあるショッピングモールの駐車場で案内人の方と待ち合わせしました。若いドイツ人男女もご一緒で、こちらも友人がいたので、参加者は合計4人です。ぎゅうぎゅうの Uber に乗せられ、さっそくキベラへ向かいます。トタンの建物が並んでいるエリアに入ると、そこはもうキベラ。約10分後、今回お世話になる【KCOOP】の事務所に到着しました


キベラスラム

▲ 【KCOOP】は、キベラを拠点に活動する地域支援団体。キベラの現状を外部の人々に知ってもらうためのコミュニティツアーも実施しており、そのツアー代金の一部は、子どもたちの教育費、女性の自立支援、若者への職業支援、運営費などに充てられています。実際に地域の人々と交流しながら、キベラで暮らす人々の現実や課題、そして日々の営みを知ってもらうことを目的としており、「見世物」としてではなく、地域理解と支援につながる活動として運営されているとのこと


キベラスラム

▲ こちら、路上で販売されていたサトウキビ。
 私は現地通貨を一切持っていなかったので買いませんでしたが、ドイツ人の方が分けてくれました。サトウキビを食べるのは初めてで、食べ方もよく分からず、2本目を勧められたけど1本でやめておくことに…。ナイフで皮を剥いて、食べやすく切って、ビニール袋に入れて渡してくれます。小さいカットは数十円、長めの1本で100円くらい。ずっと外国人向けのモールで買い物&食事していたので、いきなり物価が安くなりました。


キベラスラム

▲ 私たちが案内していただいたエリアの治安は比較的穏やか。アイスを食べている制服を着た中高生?ともすれ違いました。建物は強風が吹いたら崩れそうなトタンばかりで、路上で売られているものもあまり質は良くなさそうでしたが、道ゆく人たちの身なりは極めてふつうです。不潔さはありません。ちょっと良さそうなカバンを持っているオシャレな女性もいたりして、思ったより悪くは見えなかったのが第一印象。でもこのあと、厳しい現実を目の当たりにすることになりました。


キベラスラム

▲ 路上には中古の教科書や辞書が売られていました。ルワンダでは、首都キガリでさえ、まだ地元民向けの本屋さんを見かけたことがありません。それくらい本は貴重で、学校に通える子どもたちもで本を持っていない子がかなり多いんです。なので、路上でふつうに本が売られているのにはビックリしました。そこはスラムと言えども、さすがナイロビ。ちなみに、私がルワンダでやりたいことの一つは【懸賞問題付きのオリジナル学習本の配布】です。想像以上に難しい挑戦とは思うけど…


キベラスラム

▲ スラムの象徴にもなっているゴミ捨て場…。これは人々のモラルの問題というより、インフラや行政サービスが十分に整備されていないことも理由だそう。
 キベラは道路や下水道、ごみ収集システムなどが不十分で、定期的なゴミ回収はほとんど行われていません。人口密度も高いのでゴミの量も多く、さらに道幅が狭く車が入りにくいことから、回収そのものが難しいとか。加えて、排水設備が弱いため、雨季にはゴミと泥、汚水が混ざって流れ、衛生状態がさらに悪化します。


キベラスラム

▲ 小さな丘のような場所を上り、キベラの街並みを見下ろしました。共同トイレやシャワーの場所を教えてくれたのですが、その説明を聞きながら、ここで暮らす人々の日常がどれほど大変なものかを改めて実感しました。各家庭に水道やトイレがないのは想像通りではあるものの、トイレやシャワーを数百人でシェアしているのは驚き。利用するのにもお金を払わないといけないし、シャワーの時間もちゃんと決められています。男の人は雨で体を洗うこともしばしば。水はとても貴重です


キベラスラム

▲ トタンで作られた建物が並ぶ中に、宿泊施設や食堂、美容院、送金サービス?など色んなお店が集まっています。スラムというと危険、犯罪、無秩序、堕落といったネガティブなイメージを抱きがちですが、一方でそこには普通に生活を営む人々がいて、みんな支え合いながら生きています。ここはスラムの中でもまだ恵まれたエリアのようですが、訪れる前はもう少し殺伐とした空気があると思っていたので、やっぱり来なきゃ分からないものですね。教会もあり、信仰深い人も多いです


キベラスラム

▲ この黒い塊は調理用燃料として広く使われている木炭です。電気やガスが十分に普及していないので、木炭は日常生活に欠かせない存在。小分けにしてバケツ単位で販売しており、案内人によると一杯約2ドルとのことでした。大きな企業ではなく、こうした個人レベルの小さな商売が地域経済を支えているのです。1日の収入源が数ドル〜十数ドルくらいなので、この2ドルは重い。木炭の煙による健康被害もあり、貧困やインフラ不足、環境問題が複雑に結びついていることも分かりました。


キベラスラム

▲ なんか臭うな…と思っていると、女性が小魚を下処理していました。こうした小魚はケニアでは一般的な食材の一つで、比較的安価で手に入りやすく、貴重なタンパク源となるそうです。ティラピアに見えるけど、なんだろう?ティラピアはアフリカではよく食べられていて、エジプトでも結構食べたような気がします。
 家が狭いので調理や下処理は屋外や半屋外のスペースで行われることも多く、水道や十分な調理設備が整っていない環境の中で家事を行わなければなりません


キベラスラム

▲ キベラツアーのハイライトは、この団体が支援している子どもたちとの交流です。よくあるパターンと言えばそうですが、でも自分が逆の立場なら、こういう異文化交流の機会があるのは嬉しいかも。ツアー申し込みページに「文房具や教育関連の寄付大歓迎」と書いてあったので、事前にノートやペンをたくさんスーパーで買って持って行ったところ、もっと買えばよかったと後悔。「お菓子とノートどっちにする?」と言われて、小さな子でもノートのほうを選んでいました。これには感心!


キベラスラム

▲ 子どもたちは英語が理解できるようで、私たちの名前も元気に呼んでくれました!次から次へと、部屋に入りたがる子たちがやってきて、外国人訪問者に興味津々。私服を着てるい子はおそらく学校に行っていないと思われますが、体操服?制服?を着た子たちもいました。学校に行ける子も行けない子も、平等に集まれる場所があるのはいいな〜。こういう場所をルワンダにも作ってみたいけど、ルワンダでは土地所有がリース(国家管理型の土地制度)になっているのでやや複雑です

ルワンダでの支援活動報告

キベラスラム

▲ ところどころトタンが剥がれ落ち、内側の土壁がむき出しになっている家も少なくありません。木の骨組みに土を塗り固めたような簡素な造りで、強い雨や風にどこまで耐えられるのだろうかと思ってしまうほど、いかにも脆そうな印象を受けます。道幅は非常に狭く、もちろん舗装されていません。雨季になれば足元は深いぬかるみとなり、排水も追いつかず、生活環境がさらに厳しくなるであろうことは容易に想像できます。路地にはゴミが散乱し、衛生面の問題はかなり深刻です…。


キベラスラム

▲ 個人のお宅にもお邪魔させていただきました。
 まるでテントの中で生活しているかのような簡素な造りで、雨季には湿気や衛生環境の悪化、マラリアが蔓延するらしい。この写真にも黄色のポリタンクが写っていますが、案内人が「あなた達が飲んだらお腹を壊すけどね」と言いながら水を飲んでいました。だろうなぁ…。当たり前の日常にも多くの労力が必要で、それでも前向きに暮らしている人々の姿を目の当たりにし、自分がここへ来た意味について改めて考えさせられました


キベラスラム

▲ ツアーもいよいよ、終盤。またゴミ捨て場のようなところまで戻ってきました。すると、一日に数本しかここを走らないという電車がちょうど前を通り過ぎていきました。ナイロビ中心部と郊外を結ぶ通勤鉄道で、もともとは植民地時代に建設されたものだそうです。第二都市モンバサへ行く電車も通ると聞きましたが、観光客がモンバサへ行くときの鉄道はマダラカ・エクスプレスといって、ちゃんとした専用高架を走っていきます。ちなみにこの次の日、飛行機でモンバサへ行きました!


キベラスラム

▲ 最後はお土産屋さんで締めくくりです。
 ここでの売り上げは活動費に充てられるとのことでしたが、ドイツ人のお二人は色々買っていたものの、私たちは何も買わずにチップだけお渡ししました。アフリカの小物は木彫りが多く、センスもいいのでついつい欲しくなります。でもルワンダですでにそれなりに買っているのと、アフリカの小物はだいたい似ているので、冷静になると「買わなくてもいいかな」と。アクセサリーは似合わないしなぁ。にしても、木彫りスキル高い

 

そのほか、現地で撮った写真

キベラスラム
キベラスラム
キベラスラム
キベラスラム
キベラスラム
キベラスラム
キベラスラム

 スラム=危険地帯、貧困の象徴という単純なイメージでは語れない複雑さがあり、 実際に訪れることで住民の活力・自助努力も感じられました。
案内人の方が現在もここで暮らすキベラ出身の人だからこそ、外側からの解説のような説明ではなく、生活者としての実感が伴っていてとてもよかったです。

 少なくとも、今回お世話になった KCOOP の活動を見る限り、「かわいそうでしょう?だから助けてください」といった雰囲気は感じませんでした(もちろん支援は求めているが自立心もちゃんとある)。
むしろ印象的だったのは、こうした厳しい環境の中でも、それぞれが自分の役割や生活を持ち、懸命に生きているということ、そういう姿を間近で見ることができたのは本当に貴重な経験になったと思います

・自分たちは何を消費しているのか
・どんな社会構造の上で生活しているのか
・誰かの犠牲の上に便利さが成り立っていないか

 キベラはそういうことを考えるきっかけになる場所でもあったと思うし、改めて「自分はどうアフリカでの支援に関わっていくのか」を問いました。
グローバル化した社会の中では、キベラのように遠く離れた場所の問題も、決して自分たちとは無関係な話ではありません。これから訪れる人にも、「私たちの世界と完全に切り離された別世界」ではないということを意識したうえで見学してほしいなと思います。
 
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ちょっと、つぶやいていい?
アイコン ツアー中、案内人の方が、私の iPhone を見て「それ、iPhoneでしょ?いつかそれを買うのが夢なんだ」と話していたり、ネトフリにハマってると言っていたのも印象的でした。彼はキベラに暮らしているとはいえ、私たちとまったく別世界を生きているわけではなく、同じように高性能のスマホに憧れ、動画サブスクを楽しみ、日々の娯楽や夢を持ちながら暮らしているのです。とは言っても、スラムで暮らす人々の中でネトフリを楽しめる人はほんのひと握りでしょうし、iPhone も私たちの金銭感覚でいえば「車を買う」くらいの憧れに近い存在なのかもしれません。だからこそ、その何気ない会話からも、同じ時代のグローバルな文化に触れながら生きていても、置かれている経済状況には大きな隔たりがあるんだと改めて実感しました
17日間のルワンダ&ケニア滞在
エチオピア滞在記

 

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あやか
クラクフ公認ガイドとして観光案内もしています。 日本語ガイドやアウシュヴィッツでの通訳ガイドをご希望の方はこちらからお問い合わせください。
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