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ポーランドは親日国とよく言われますが、確かに日本に興味のあるポーランド人は多いと実感しています。
ではなぜ、親日国と呼ばれるのか。
個人的に親日というキーワードはあまり出したくないのですが(なにをもって親日というのか曖昧なので)、日本が好きか好きでないかといえば、好きと言う人の割合が多いのがこの国でしょう。
さて、それでは、「え、そうなの?」と言いたくなるようなポーランドと日本の深い関係を紹介していきましょう。
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このページの目次
1. 日本を学ぶ熱意がスゴい
。ポーランド人の国費留学生
。日本語を学ぶポーランド人
。日本語学科の倍率もスゴい
2. 日本アニメを見て育った
。放送されたアニメのタイトル
3. 日本の関連施設が多い
。文化機関の数はなんと40!
。日本関連イベントも多い
4. ポーランドを支援する日本
。返済義務のない資金協力
。ポーランド日本情報大学の設立
。青年海外協力隊の派遣
5. この記事のまとめ
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日本を学ぶ熱意がスゴい
皆さん、日本で勉強している留学生の出身国はどこが多いと思いますか?
中国、韓国…と主にアジア地域を思い浮かべた人がほとんどだと思いますが、では、非漢字語圏の国ではどの国からの留学生が多いのでしょうか。
答えを言ってしまうと、アメリカやフランスなどが大半を占めています。ここで「なーんだ、ポーランドじゃないのか」と思ったあなた、でも私たち日本人がビックリするような事実があるんですよ。
ポーランド人の国費留学生
なんと文部科学省の日本語・日本文化研修留学生の試験(国費留学)には毎年20名前後のポーランド人が合格し、その合格者数は非漢字圏の中で1位(2014年・2015年)となっています。
これって、結構すごいことです。
アメリカもフランスも非漢字圏ですが、それらの国よりもポーランドの成績が良いのは意外ではありませんか?
しかも、2014年以前も常にポーランドの成績はトップクラス。これらの事実だけでも、ポーランドの日本語教育レベルがどれだけ高いかは一目瞭然です。
それなのにポーランドの留学生があまり目立たないのは日本への私費留学をする人が少ない(経済的負担は日本人の英・北欧留学以上)のと、他欧米諸国では日本にルーツを持つ日系2世の留学生が目立つことも要因にあるでしょう。
日本語を学ぶポーランド人
2004年から日本語能力試験がワルシャワでも実施されるようになりましたが、第1回の受験者は約80名だったにも関わらず、10年後には約790名と10倍も受験者数が増加しました。
この数字の変化から日本に関心のある、ポーランド人日本語学習者が年々増加傾向にあることが分かります。
2015年末時点、ポーランドには55以上の日本語教育機関があり、4,400人がそれらの機関で日本語を勉強中。独学の人達も含めると、学習者は1万人を軽く越えるのではないでしょうか。
日本語学科の倍率もスゴい
ちなみにポーランドが日本にどれだけ興味を持っているかというテーマでよく話題に出される、ワルシャワ大学日本語学科の倍率についてですが、実は30倍を越えたのは2006年のみ。
当時のどの専攻よりも倍率が高かったため、日本人も嬉しくて話題にしてしまったようですが、翌年の2007年は23倍でした(それでも2番目に人気)。
近年の倍率は15〜20倍で落ち着いており、2015、2016年度も2番目に人気の専攻となっています。しかし、国内1位の名門ワルシャワ大学で日本語学科が大人気とは驚きですよねぇ。
日本語学科の倍率が他の専攻より高い理由は、日本語学科の定員が他の専攻よりも少ないことにあります。
例えば最も高い倍率を記録した2006年では、定員が16人なのに対し484人が志願したため倍率が30.25倍にもなりました。しかし5番目に人気だった英語(言語学では日本に次いで2位)では、定員が125人、それに対して3241人が志願したので倍率25.93倍となっています。
ただし定員が日本語学科のように少ない学科は他にも多くありますし、一概に定員が少なすぎることによって人気に見えるだけ、とは言えません。
ポーランドの大学で日本語・日本研究の学科やコースがあるのは他に、国内2位のヤギェウォ大学(クラクフ)、国内3位のアダム・ミツキェヴィチ大学(ポズナン)、ウッジ大学、グダニスク大学、コペルニクス大学(トルン)、ヴロツワフ工科大学などがあります。
ちなみに日本語が話せない私の夫は、ポーランドの異常ともいえる日本語学習の人気についてこんな発言をしています。
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ほとんどの語学を真剣に学ぶポーランド人は移住先の言語を学ぶから、ドイツ語とかスペイン語、イタリア語を学んでいる人の方が断然多いよ。
ただ、エキゾチックな言語としては、中国語や韓国語、アラビア語よりは日本語が人気。
日本語を学んだからといって中国語みたいにビジネスチャンスが広がるとか、日本に移住したいとかそんな野望を持つ人はあまりいないだろうけど、日本語自体、学んでいて楽しいから勉強しているんだと思う。
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なるほど。でもなんでそんなに日本語を学ぶのが楽しいのでしょうか?
気になるその理由は、次の項目で見ていきましょう。勘の鋭い人はもう何がモチベーションであるかお分かりのはず…。
日本アニメを見て育った
日本に興味のあるポーランド人の大半はアニメファンかもしれません。最近、30歳のあるポーランド人男性に会ったのですが、その人はアニメオタクでした。
会う前は彼がアニメ好きだとか、まったく知らなかったんですけどね。でも私はあまりアニメを見ないので、彼の話に全くついていけませんでした(泣)。
それでは、ポーランドで過去に放送されたアニメの一部タイトルを一挙ご紹介しましょう。100タイトル以上なので全部はとても書ききれませんが。。。
放送されたアニメのタイトル
以下に挙げるものの8割は、私自身はアニメで見た記憶がありません。
- エースをねらえ!
- 愛と勇気のピッグガール
- 赤毛のアン
- 赤い光弾ジリオン
- キャンディー・キャンディー
- 地球少女アルジョナ
- デジモン
- Dr. スランプ
- デュエル・マスターズ
- 魔法使いサリー
- 魔女っ子メグちゃん
- セーラームーン
- 鉄腕アトム
- 科学忍者隊ガッチャマン
ほか、Valkiria.net を参照
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いやー、これだけ多くのタイトルがポーランドで見ることができたとは。
平成3年生まれの私にとってはあまりピンと来ないものばかりですが、そうでなくても聞いたこともないようなタイトルが多いのではないかと思います。
夫もドランゴンボールやキャプテン翼、ポケモン、名前は忘れたけど家族がテーマのアニメを見たことがあると言っていました。家族がテーマ…。
サザエさん?
ちなみにポーランド語に翻訳されたマンガはあまりないです。そういえば、本屋さんでも見たことはありません。将来的にはぜひ、マンガの翻訳で食べていきたいですね(笑)。でも大変そう。
参考:アニマツリ
日本の関連施設が多い
日本に興味のあるポーランド人の皆がアニメ好きではありません。
それこそ私の夫のように建築を通して日本を好きになる人もいれば、もっと文化的な理由で日本に好意を持った人も数えきれない程いることでしょう。
文化機関の数はなんと40!
ポーランドにある日本文化を学べる施設のある街はワルシャワを中心に、
ウッジ(6つ)、クラクフ/ポズナン/ヴロツワフ(各3つ)、カトヴィツェ(2つ)、シュチェチン/ビドゴシチュ/タルノフスキェ・グリ/ベウハトゥフ/プシェミシュル/チェルヴィオンカ=レシチニ(各1つ)となります。
アニメやマンガ関連はもちろんのこと、合気道や空手、柔道など武道関連も多く、また折紙協会、盆栽センターなんていうのもあるんですよ。
- 日本文化広報財団さくら
- 日本クラブ
- 日本文化センター
- ワルシャワ生花会
- ポーランド盆栽協会
- 日本語教育文化センター
- ポーランド囲碁協会
- ポーランド相撲協会
- ポーランド柔道連盟
- ポーランド日本交流センター
- ポーランド折紙協会
ほか、30施設
ある日本のテレビ番組で、ポーランドの相撲女子人口は日本よりも多いと言っていました。日本の文化が海外に根付いているなんて嬉しいですよね。
2008年時点で柔道では約5000名、空手では約6万名、相撲では1200名ものポーランド人が練習に励んでいます。国内ばかりではなく、国外で活躍する武道選手もたくさんいますよ。
日本関連イベントも多い
毎週必ずどこかで開催される日本関連イベントはこちら(ヤポニャ・オンライン)から確認できるので、興味のある方はちょっと見てみてください。
ヤポニャ・オンラインはポーランド語のみ対応のサイトですが、イベントの日付を見てもらうとどれだけ頻繁にイベントが開催されているか分かると思います。
また、2013年から始まった日本人会・ポーランド商工会・日本ポーランド大使館主催の “日本祭り” では、約2万人もの来場者を突破したそうです。
ポーランドに住む日本人は1,255人(2015年現在)なので、圧倒的にポーランド人の方が多いですよね。
またポーランド各地にジャパンデーなるものがあり、それらの行事は全国15件以上、約7万人が参加しています。
それにしても、私の住むグリヴィツェは日本人が割と多いにも関わらず日本のイベントはほぼありません。これはもう私がやるしかないんでしょうか(笑)。
ポーランドを支援する日本
実は日本、影でいろんな途上国を大規模な経済支援によって支えています。
日本人からは「ほかの国に援助する余裕があるなら、我が国を先にどうにかしろ!」と批判されがちですが、他国を支援することによって日本企業が海外展開しやすくなったり、日本製品が普及したりと良いこともあるんですよ。
そして日本はまだ先進国とはいえないポーランドにも経済支援を行い、ポーランドとの友好を深めています。
返済義務のない資金協力
ポーランドへの文化無償協力は1991年に開始され、これまでに大学や図書館などの学習施設を中心に17の文化・学術機関に対して総額6億円以上もの経済支援が行われました。
例えば、最初の1991年ではオペラ座に4,500万円の音響視聴覚機材を、翌年にはワルシャワ大学に4,400万円のLL機材、最も高額なものではヤギェウォ大学と国立交響楽団にそれぞれ5,000万円を供与しています。
これらの経済支援は、途上国における教育及び研究の振興、文化関係の公演及び展示の開催などに使用する資機材の購入に必要な資金を提供するというもの。
実のところポーランドが途上国と言われてもあまりそんな感じはしないのですが、そう思うのも日本の経済協力があってからこそなのかもしれませんね。
また89年には、ポーランドに対し34億円分もの小麦粉を供与しており、その売却利益の積み立て資金はポーランド国内における地域活性化、森林保護、日本文化・研究施設に利用されています。
ポーランド日本情報大学の設立
かつてはソ連の衛星国として共産主義をとっていたポーランド。
1989年のソ連独立と市場経済以降に伴い、ポーランドが経済成長を遂げるには情報工学分野の発展が必須でした。
しかし当時のポーランドはその経験に乏しく、十分な人材育成が困難であったため、ポーランド政府は日本に対して大学設立の支援援助を要請。
そして日本がコンピュータ技術の開発を経済的に支援することが決まり、1994年10月、ワルシャワにポーランド・日本情報工科大学が開校したのです。
設立当初の学生数はわずか90名でしたが、現在の生徒はなんと約4000名だとか。情報工科大学としては最大規模を誇り、中東欧におけるIT教育の拠点としての地位を築きつつあるそうです。
青年海外協力隊の派遣
青年海外協力隊は、途上国の国づくりに貢献するため海外各地に日本の青年を派遣する事業。任期は原則2年です。
1992年10月、日本はポーランドへの協力隊の派遣を開始し、2007年11月の隊員帰国に伴ってこの派遣事業は終了しました。それはポーランドが日本の隊員に頼らなくても自国で伸びる力を付けたことを意味します。
ポーランドに派遣された合計106人の日本人隊員は主に地方都市で活動し、日本語教師が全体の34%、スポーツが43%を占めていました。その成果もあってか、柔道、空手、剣道は今や子どもから大人まで大人気のスポーツです。
ただスポーツ部門で派遣人数の最も多かった野球は、なぜかあまり普及していません。肌が合わないんでしょうね。メジャーのアニメを放送していればまた違っていたかもしれません(笑)。
この記事のまとめ
本当は歴史的なポーランドと日本の関係にも触れるつもりでしたが、思った以上に記事が長くなってしまったため、今回はここで一旦区切ることにします。
私も調べながら書いたことが多かったのですが、ポーランドと日本ってこんなにも繋がりがあるんですね。
在住者としては嬉しい限り。
ちなみに私が通っていた高校では、2015年、ワルシャワのカトリック系女子高校と姉妹校提携(なんと日本初!)を結び、近々ポーランド語コースも設置予定だそう。校長先生はポーランド名誉領事に任命されました。スゴいです。
なんだかつくづく、私はポーランドと縁があるんだなと感じます。
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ポーランドがなぜ?親日家と言うと・・日露戦争の頃から話さないといけません。日本がロシアに勝って、捕虜にしたロシア兵(と思われた)の中にポーランド人がおり、ロシアが負けて自分たちが捕虜になったのに日本の勝利を喜んだ逸話。日本の軍歌の中には「波蘭懐古」という歌があります。また、20世紀初めロシアから独立したポーランドでしたが、多くのポーランド人がシベリアに抑留されて。。実質的な意味でポーランド人孤児となった子供たちを日本赤十字が救ったこと。ボロニスワフ・ピウスツキのアイヌ民族の研究・・彼の兄弟のユゼフ・ピウスツキーは日露戦争時 日本を訪問し、ロシアからの独立支援を日本に願い出ました。 これだけあったら恩を感じずにはおれなかったでしょうね
杉原千畝さんの命のビザ発給がありました。ユダヤ系ポーランド人も救われました。覚えている方は、少数でしょうが
杉原千畝さんについても、コルベ神父のように知られていくといいですね。共産主義の影響もあり、第二次世界大戦の裏で活躍した人々はポーランド人でも21世紀に入ってからだんだん注目されるようになりした。
にゃっしゃんさんへ
コメント・詳しい補足をありがとうございます (*^^*)
歴史的なことを書くと記事が更に長くなるのと、ポーランド・親日のキーワードで調べると歴史的なことのみを中心に書いている記事が多いため、当記事では書きませんでした。
また、なぜ一部のポーランド人が日本に強く親しみを持っているかというと、やはり当記事に書いたアニメやスポーツなどがきっかけという人が半数近くを占めると思います。
多くの日本人は歴史的観点からポーランド人は日本が好きだと思っているようなのですが、残念ながら多くのポーランド人はその事実すら知りません…。
むしろ戦時中のことを話すと、ドイツ側だったことを強調する人もいます。
共産主義時代は日本がシベリア孤児を助けたなんて事実は学ぶ機会すらなかったようですし、私の夫も夫の両親も私が教えるまで歴史的なポーランドと日本との関係は知りませんでした。
また孤児を助けたのは日本だけではないので特別日本だけに感謝をしているという訳ではないと思います。
ただ、歴史的観点から日本を友好的に思うポーランド人がいることは否定しません。また、時間がある時に歴史的事実からのポーランドと日本の関係も書く予定です ^_^
エースをねらえ!
赤毛のアン
魔女っ子メグ
魔法使いサリー
鉄腕アトム
科学忍者ガッチャマン
キャンディキャンディ
ドクタースランプアラレちゃん
は、70年代生まれの私たちには馴染みの深いアニメです。
しかも、キャンディキャンディ、赤毛のアン、ガッチャマンあたりは、日本文化を輸入するのに躊躇していた韓国でも放送されていたそうです。もちろん、日本のものとは知らずに国民は見ていたようです。
30代の日本語学習者の中にアニメからという人が多く、そこから日本を知ってもらえるなら、きっかけはなんであれ良いのではないかと思いました。
ましてや、道具としての語学ではなく完全なる趣味として、日本語を学ぶ人たちがいることに驚きと嬉しさを感じます。
はじめまして、管理人の綾香です。
仰るように、アニメやマンガなど最初は趣味的なものであったとしても、それを通して日本について興味や関心を持ってもらえるのは嬉しいことですよね。
私は90年代生まれですが、70年代アニメの中には2000年代にリニューアルされたアニメも多く、とても親しみを感じます。
今のアニメと数十年前のアニメではやや趣向が異なるような気もしますが、これからもアニメを通して日本に興味を持つ外国人は増えていくでしょう。
素晴らしい。親日国、孤児の受け入れ等ステレオタイプの知識しか持っていませんでしたが、ご主人やご家族の意見を通しての考察は現在のポーランドの人々の考えを知るのに大いに参考になります。若いのに良く勉強されているのにも感心しています。先月、初めてポーランドを訪ねてきた77歳のバックパッカーです。綾香さんのレポートを見てまた行ってみたくなりました。投稿を楽しみにしています。