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毎度、お久しぶりの更新です!
繁忙期を越えたので、今週から週1〜2でも記事を更新できればと思っています。
いくら忙しかったとはいえ、書かずにいると怠け癖が出てきてしまいますね。あかん、あかん。
さて、前回の記事でも報告しましたが、この度晴れてクラクフ公認ガイドとなりました!
お祝いのメッセージ、コメント、さらに御品までいただいたりと、もう感動です。
この場を借りて、もう一度感謝の言葉を伝えさせてください。ありがとうございます m(- -)m
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このページの目次
1. クラクフ公認ガイドを志す人へ
2. 公認ガイドのライセンスは3種類
3. 公認ガイドが取得できるコース
4. 実際にどんなコースだったか
5. 私が買ったおすすめの本5冊
6. 公認ガイドの試験内容
7. それでも頑張りたいと思ったあなたへ
クラクフ公認ガイドを志す人へ
私がこの記事を書こうと決めたのは、ここ数年以内に同じようにクラクフ公認ガイドを志す日本人が現れるのではないか?と思ったからです。
しかし、クラクフ観光協会に登録している純日本人ガイドは、2018年10月時点で私のみ。
今のところ、私がこの記事を書かずして日本語での確かな情報を得ることは出来ないのです。
そんなクラクフ公認ガイドについてはザックリと前回の記事にまとめています。
読んでいない方は、まずこちらを先に読んでから当記事に戻ってお読みください。
では、本題に入りましょう。
どういう人が公認ガイドに向いているのか。
言わずもがな、ポーランドが大好きで、歴史だけでなく美術や建築も専門的に学びたい人です。
そして、ワルシャワのガイドコースとちがって英語コースはないので、ポーランド語中級レベル+(たとえ語学力がまあまあでも)コミュニケーション能力の高さは欲しいところです。
しかし、語学能力を証明する必要はないため、語学力に不安があってもやる気があれば挑めます。
私みたいにネイティヴじゃなくても努力次第で一発合格する可能性はあるし、逆に純ポーランド人でも落ちる人はたくさんいます。
もう一つ、途中で投げ出さない人。
超負けず嫌いな人は向いていると思います。
ちなみに仲間のほとんどは、すでに添乗員やガイドとして働いている人たちでした。
あるいは、なんとか大学の歴史学科や観光学科なるものを修了している人も多かったです。
3分の1は特定の博物館ガイドで、お互いの知識や本の情報を共有しながら勉強しました。
私のコースは30人でスタートしましたが、半年以内で空席が目立ってきました。
外国人は私のほかにスペイン人男性が一人のみ。クラクフに住んで7年のフリーツアーガイドということで、私よりずっと長くポーランドに住んでいる人だったものの、語学力と課題の多さにつまずき、辞めてしまいました。
公認ガイドのライセンスは3種類
私もあまり詳しくは把握していないのですが、公認ガイドと名乗ることのできるライセンスは少なくとも3種類あるようです。
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国家資格ライセンス(廃止)
一つ目は、ポーランドの国章の鷲が右上にある国家資格としてのライセンス。
しかし、国家資格ライセンスは廃止となったため、期限切れを使用している人も多いです。
無資格でも案内はできるため、期限切れをぶら下げていても違法ではないと思われます。
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クラクフ観光協会のライセンス
二つ目は、私が持っているタイプのクラクフ観光協会が発行するライセンス。
クラクフ公認ガイドといえば、こちらです。
おそらく国家資格としてのライセンスが廃止されたため、その後継となるものでしょう。
また、国家資格バージョンを持っていた人で有効な資格を持ちたい人はこちらを取得しています。
ちなみに、EU連合加盟国の各国で正式な身分証としても使える、れっきとした公的資格です。
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ポーランド旅行協会のライセンス
三つ目は、ポーランド旅行協会(PTTK)が発行するライセンス。
PTTKが主催するコースに参加します。
小さなバッジがガイドの証明になるようですが、さきに紹介した2つより目立ちません。
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ということで、私が把握している限りは、実質2つの有効なガイドライセンスがあります。
国家資格バージョンを持っている人の話を聞くと、コースの受講などは必要なく、知識がそれなりにあれば取得できたそうです(それでも相当な知識量があることは言うまでもない)。
公認ガイドが取得できるコース
正確には「修了すれば、公認ガイドの試験を受けられる資格を得ることができるコース」です。
コース内容についての詳細を知りたい方は、ご自身で調べてお確かめください。
とは言っても、下記で紹介するルネサンスかガウデアームスのほぼ二択となるでしょう。
ルネサンス
私が受講したコースで、合格率の高い人気のコースです。ガイドの先生たちが超ベテラン!
合格率が高いのは、やる気がなくなった人、付いていけなかった人が続々と辞めてしまうところにもあります。かなりスパルタですが、コースの途中で行われる数々の試験を合格した暁には「公認ガイドの筆記試験」が免除されます。
クラクフ中央駅から徒歩5分圏内、授業は週3〜4回、平日夕方から、土日は午前中です。
ガウデアームス
こちらもルネサンス同様、人気。でも、ガウデアームスの人たちはルネサンスの合格率に驚き、「ルネサンスにすればよかった」と嘆いていました。ルネサンスよりは学ぶことが少ない印象を受けます。ルネサンスのみんなが得意とする聖マリア教会を苦手とする人が多かったり…。こちらも筆記試験免除らしいです。
ほか、バシュタ・パニェニスカなど。
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実際にどんなコース内容だったか
ひと言でいうと、「小鳥が鳴く=そろそろ寝る合図として認識するほどハード」でした。
課題はそれほどないものの試験内容が広くて、辞めていった人の気持ちはすごく分かりました。
コースの期間は8ヵ月。
最初の課題は易しく、「クラクフの伝説」をみんなの前で話すことだったのですが……。
念入りに用意したにも関わらず、教室の前に出ると緊張してしまって頭が真っ白になりました。
何も話せない私に見兼ねた先生は、「日本語で日本の伝説を話してみてください」と。
日本語を話すのも若干恥ずかしいので、ポーランド語で地元姫路城の伝説を語りました(笑)。
座学はひたすら聞きっぱなし
ホワイトボードなどはなく、常に聞きながらノートに書き込まないといけない感じでした。
先生によっては1コマずーっと歴史を喋りっぱなしの人もいましたし、ある先生はパワーポイントを使いながら説明してくれました。
1コマの情報量が多く、カリカリと書くのみ。
私はヒアリングしながら「これ重要だな」と思ったことのみ、ノートに書き込んでいました。
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外ではベテランのガイドから学ぶ
週末の授業では、外に出て観光地をベテランガイドに案内していただきます。
とは言っても、観光客に話す感じではなく、狭く深く、これもひたすら聞くのみです。
しかし、すべての主要観光地のガイドが聞けるわけではなく、自分で学ばないといけないところの方が圧倒的に多くて苦労しました。
ヤギェウォ大学、ドミニコ教会、ヴァヴェル大聖堂みたいなメジャーな場所でも自分で本をひたすら読み、現地に足を運び、「なんだこれ?」と思うものは文献を探して答えを見つけます。
最終的に本当に分からなかったらベテランのガイド先生に聞くか、試験の日に学びます。
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試験は実技と筆記の2種類
試験は確か、実際に案内していく実技と教室でやる分の計15回ほどあったと思います。
特に歴史の試験は1回40項目以上のテーマがあって、膨大な量を把握するのに全員涙目でした。
仕事しながら学んでいる人がほとんどなので全部をまとめる余裕はとてもなく、1人2〜3項目ずつと分担しながらやりました。
それでも提出期限を守らない人もいましたし、私には言語のハンデがあるのでみんながまとめたものを理解するにも時間がかかり、もう投げ出してしまいたいほど限界を感じたのを覚えています。
ただ結局は自分でまとめた方が分かりやすかったですし、頭に入ってきやすいと思いました。
公認ガイドを取得したい人がこの記事を見て、「もっと詳しく聞きたい」「勉強方法教えてほしい」と思われても、私が手伝えることはほぼないのでご理解のほどよろしくお願いします(笑)。
しかし、ポーランドの歴史はとても興味深い。
ガイドのお客さまも「ポーランドの歴史をもっと知りたいと思った」とよく言ってくださいます。
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私が買ったおすすめの本5冊
日本語でポーランドの歴史を学ぶとしても、せいぜい20世紀に入ってからとなります。
ほとんどはポーランド語の古書、ネットで公開されている文献で学び、英語の翻訳がある分についてはポーランド語と英語の両方を購入しました。
コースが始まる前、先生から参考になる本と用意すべき本のリストが渡されます。
そこには軽く40冊くらいの本があったような。
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2018年現在、著者が亡くなったため絶版。
でも、これがないとクラクフの全観光地の概要を把握できず、入手できないと苦労します。
この分厚い本(600頁以上)に書かれてあることは基本、必ず完読しなければなりません。
私は古本屋で手に入れましたが、ネットのどこかで有料でダウンロードした人もいました。
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これも絶版っぽいですが、先ほど紹介した本よりかは簡単に手に入りました。
この本には数千年前から近代までのクラクフ史が時系列で記されていて、頭の整理に便利です。
「1546年、印刷職人ヒエロニム・ヴィエトル死す」のような、気にすべきでない情報もたくさんあり、全て暗記する必要はありません。
公認ガイドの試験では、ピンポイントで年号や年月日を聞かれることもあるため、大事なイベントはマーカーで引いておきましょう。
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易しくクラクフ史が学べる本第1位、『クラクフの歴史』英語バージョンです。
観光地のことをいくら必死に学んでも、ポーランドとクラクフの全体的な歴史を知らないことにはなかなか頭に入ってこないと思います。
ざっくりまとめてあるので、この本だけで満足してしまわないように注意しましょう。
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一番最初に紹介した本を書いた、ロジェック先生のもう一つのバイブル的な本。
建築要素は別途学ぶ必要があるものの、ヴァヴェル大聖堂に関して「そんなに書かなくても…!」というくらいのことが書き上げられています。
手に取ったときの重さと、王家墓地聖堂は別冊という衝撃に誰しもが青ざめるはず。
古い文献からの情報がやたら多いですが、実際のガイドでこれらを話すことはほぼありません。
でも、イジワルな試験で突っ込んで聞かれたり、知っておいても損はないような情報があるのでなるべく読んでおきましょう。
誰がどの棺をどこでいつ制作した、誰が資金提供したかなどは絶対に覚える必要があります。
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ヤギェウォ大学のことも覚える量が膨大です。
その中でもコレギウム・マイウス、教授庭園周辺の校舎、大学教会の聖アンナ教会はそれなりに時間をかけて学ばなければなりません。
しかし幸いにも一部の校舎の歴史は英語版が出ていて、こちらはマイウスの本となります。
中世の大学生活のようすも興味深く書かれてあり、昔の貴重な写真もたくさん載っています。
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公認ガイドの試験内容
コースを無事に修了した暁には、公認ガイドの試験に申し込むことができます。
試験日程は毎年7月と8月、翌年3月です。
コースが終わった直後である7月の試験で合格するのが望ましいですが、7月でどうしても日程の都合がつけられなかったり、不合格だった人のために8月、3月にも試験が行われます。
試験は3日間連日でつづき、クラクフ旧市街、ヴァヴェルの丘、カジミエシュ地区を1日ごとに10人前後のグループで案内するといったもの。
審査員は3人、1日の最高スコアは6点。
3日間で18点中10点あれば合格ですが、最低でも1日3点を得なければなりません。
私のグループは12人で5人が合格しました。
挑む前は8月の再試験を覚悟していましたが、試験直後の自信は意外とあったのを覚えています。
でも、審査員の鋭い質問には常にドキドキ…。
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卒業したかどうかは言い切れませんが、その後はミュンヘンとウィーンの美術アカデミーで絵画を学びました。
なぜ、スウェーデン系のヴァザはポーランドの国王になったのですか?
国王選挙で選ばれたからです。(とりあえず当たり前の回答をしておく)
ヴァザが「国王選挙」に立候補したきっかけを明確に教えてください。
ジグムント3世の母親がヤギェウォ王朝出身のカタジナだったからです。
と、納得するまで質問がつづきます。
ちなみにこの質問では、審査員も周りもまさか私がジグムント3世の母親の名前まで言えるとは思っていなかったらしく、すごく驚かれました。
8月下旬の第2回も厳しかったようで、10人グループでスタート→初日で5人脱落→2日目で残り3人→最終日2人合格といった具合。
初日に最高スコア6点をとっても、翌日0点で脱落した人もそこそこいます。無念すぎる!
正直、この試験は運かもしれません。
審査員に「では、説明してください」と言われたところがすごくマイナーな場所だったり、急に「あの教会に入りましょう」と言われて(教会そのものではなく)修道院の回廊にある絵画の名前と作者をすべて聞かれたり、「洞窟への階段は何段ありますか」といった質問もあります。
そういう質問に対して動じないためには、日頃の勉強と努力の積み重ねが不可欠。
でも、クラクフが本当に好きだったら大丈夫!
当然ですがクラクフの公認ガイドと名乗りたいのであれば、それ相応の探究心とポーランド・クラクフに対する情熱がなければならないのです。
それでも頑張りたいと思ったら
この記事を読めば、公認ガイドの試験がいかに苦労して取得するものか分かるかと思います。
でも、それだけやり甲斐があり、ガイドとして胸の張れる資格だというのも事実。
私が受かったくらいなので、外国人だからといってネガティヴになる必要はまったくありません。
ポーランド語能力は高いほうが当然有利。
私のポーランド語は中級程度だと思うのですが、本を一冊読み切るにも大仕事をした気分でした。
どこまで頑張れるかはポーランド人かそうでないかなど関係ないと思いますが、外国人としてネックになるのはやはり語学力でしょう。
そして、途中で諦めないこと。
コースでは何度も躓きそうになったものの、私の負けず嫌いな性格もあって目標を達成しました。
この記事を読んで「私も頑張ってみようかな」と思う人がいれば、心から応援します!
色々と厳しいことを書いてきましたが、甘いことを書くつもりもありません。
ただ、将来の公認ガイドさんの参考になればと思い、ここまで詳しく書かせていただきました。
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legitymacja przewodnika
公認ガイドの証明書のことを「レギテマツィア・プシェヴォドニカ」と言います。
「学生証」は “legitymacja studencka/szkolna”(レギテマツィア・ストュデンツカ/シュコルナ)です。
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記事が更新されていないか毎日チェックしており、この数日間はアップされるのを心待ちにしておりました。
記事を拝見して改めて感じたのですが、とても難しい試験の最中にも関わらず、ご丁寧な対応をして頂き感謝しております。ありがとうございました。また、こんなにも難しい試験に合格なされたことを重ねてお祝いいたします。
ポーランドには来年の3月に訪問する予定が組まれています。日曜日が2回挟まれているので、いずれかでクラクフのガイド+αをお願いしようと思っています。同時期に私たちよりも長く滞在する他社さんにも紹介してきました。連絡があったら対応してあげてくださいね。
服部さん
コメントありがとうございます。
先週から少しずつ落ち着いてきたので、来週の一時帰国の前に一記事でも書ければと思っていました。
読者さまの期待を裏切るほど更新ペースが遅くて申し訳ないです… (^ ^;)
前回は色々あって都合が合わなかったのですが、来年はお会いできることを期待しています。
また他社様にもご紹介いただき、大変嬉しく思います。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします。
はじめまして!
10月から留学でクラクフに住んでいます。
公認ガイド本当に素晴らしいですね!
そしてあやかさんのこのブログはとても参考になり本当にお世話になっております!
クラクフを含めポーランドについてまだまだわからないことがたくさんあり実際に会ってお話を聞かせてもらえたら幸いです。
ブログの更新も楽しみにしてますね!
吉永さん
先ほど、前回コメントをいただいた記事に返信しました。
コメントの確認はたまにしかしないため、つい返事が遅れがちです。
再度コメントいただき、ありがとうございます!
来週から帰国なので、それまでに先日の未公開記事を完成させなければ……。
非常にマイペースな更新ですが、今後ともご愛読のほどよろしくお願いします。