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当ホームページはポーランド情報が主ですが、11月28日から12月9日の投稿分は番外編としてイスラエル旅行の記事を書いています。
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エルサレムで十字架の道行き(苦難の道)を辿る…。もし意味のある観光にしたいのであれば、その前に新約聖書の内容を知っておく必要があります。
なにも新約のすべてを読む必要はありません。理解するには福音書を読むだけで十分です。では、いったいどんな内容なのか。当記事では、聖書を持っていない人に向けて分かりやすく解説しました。
新約聖書とは
キリスト教の経典である新約聖書は全27巻で構成されています。前回お話した旧約聖書は全39巻でしたね。
キリスト教ではこれらがセットで経典として用いられますが、なんと旧約が全体の75%を占めます。そのため、初めて聖書を読む際は旧約から入るより新約を読んでからの方がいいでしょう。
新約も旧約と同様、27巻の書物をさらに5つに分類することができます。
福音書4巻、歴史の書1巻、パウロの手紙13巻、公同書簡8巻、そして最後にあの有名な人類の最期を示した書「ヨハネの黙示録」― 預言の書1巻です。
ここで説明するのは「福音書」。
最初にある、マタイ/マルコ/ルカ/ヨハネによる福音書です。次回のエルサレム観光記事で紹介する十字架の道行きは、「ヨハネによる福音書」だけでも十分概要を掴むことができるはず。
何が書かれているかというと、具体的にイエス・キリストの生涯が描かれています。マタイはユダヤ人を対象として、マルコは主の僕としてイエスを示し、ルカはイエスを歴史上の人物として、ヨハネはキリストの神性に焦点を当て、それぞれ異なる著者が書き上げました。
いったいどんな内容か、8つの場面に分けてザッと確認してみましょう。
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マタイとルカによれば、イエスはユダヤの町ベツヘレム(現在のパレスチナ)で処女マリアから生まれた。イエスを授かったという知らせは、天使ガブリエルからのお告げによる。
ルカによると、住民登録のために夫ヨセフはマリアとともに先祖の町ベツヘレムへ赴くが、宿が混んでいたために泊まれず、イエスを飼い葉桶に寝かせた。その後、東方の三博士が星に導かれてイエスを礼拝しにくる。
ユダヤ人の男子は13歳でバル・ミツバという成人式を迎える。しかし、この儀式を迎えるために男子は12歳の頃から準備をせねばならず、それが過越の祭りと七週の祭り、仮庵の祭りをエルサレムで守ることであった。
過越の祭りでは、巡礼者たちはエルサレムへ行き、そこで最低2泊することを義務づけられている。12歳のイエスは両親とエルサレムを巡礼し義務を果たすが、帰り道でイエスがいなくなった。3日後、両親はエルサレムの神殿でラビ(ユダヤ教の聖職者)と語り合うイエスを見つける。知るはずもない旧約の内容や知識を学者達に語るイエスに、ユダヤ人達は驚いていた。
マタイによると、洗礼者ヨハネはヨルダン川の河畔の荒野で「神の国」が近づいたことを人々に伝え、悔い改めをするようを求めていた。ヨハネが説くところによると、罪のゆるしをもたらすには悔い改めの洗礼を授からねばならない。そして西暦28年頃、イエスがヨルダン川に現れ、ヨハネから洗礼を受けようとされた。
ヨハネはイエスが神の子であることを悟り、「わたしこそあなたから洗礼を受けるはずですのに、あなたが私のところにおいでになるのですか」と尋ねた。イエスが洗礼を授かると、天が開け、神の御礼が鳩のように自分の上に下ってくるのをご覧になった。その時、天から「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」という声があり、ヨハネは神から望まれた使命を果たしたとされている。
ヨハネから洗礼を受けた後、イエスは悪魔に試みられるために御霊によって荒野に導かれ、四十日四十夜、断食をし祈っておられた。イエスは荒野で三つの誘惑を受けることになるが、それらの誘惑を退くことでメシア(救世主)であることを証明する。
一つ目は「石をパンに変えること」、二つ目は「神殿の頂上から飛び降りて『神の子』であることを証明すること」、最後は「地上の栄華と引きかえに悪魔を礼拝すること」であった。悪魔は聖書の言葉を巧みに用いて、イエスが神の子であることを疑わせるように仕向けたが、イエスもまた聖書の言葉を用いて悪魔の誘惑をはねのけた。
イエスは弟子を連れ、ユダヤ各地で宣教のために説教された。その中でも有名なものは「山上の説教」である。
「自分の貧しさを知る々は幸いである。天の国はその人たちのものである。悲しむ人は幸いである。その人たちは慰められる。―わたしのために人々があなた方をののしり、迫害し、またありとあらゆる、いわれのない悪口をあなた方に浴びせるとき、あなた方は幸いである。喜び踊れ。天におけるあなた方の報いは大きいからである。あなた方よりも前の預言者たちも、同じように迫害されたのである」
また民衆の病気を治したり、ガラリヤ湖の水の上を歩いたり、5つのパンと2匹の魚を5千人の群衆に分け与えるという業も行った。ヨハネの「カナの婚礼の奇跡」によると、結婚式でぶどう酒が足りなくなったことを聖母に伝えられたイエスは水をワインに変えるという奇跡を行っている。
イエスは最後の一週間をエルサレムで過ごされた。これを受難週と言う。
日曜日、イエスはロバにまたがってエルサレム神殿の12の門のうちの1つ、黄金の門から入城した。月曜日、イエスは境内に入るなり神殿で商売をしている者に向かって「わたしの家を強盗の家にするな」と彼らをきつく叱り追い出した。これは、宮きよめの日と言われる。また、イエスは宮の中では盲人や足のなえた人をいやされた。
三日目にあたる火曜日、イエスは神殿にとどまり2日後に捕らえられ十字架にかけられることを預言する。弟子たちはイエスの語りを聞いておられたが、イスカリオテのユダはユダヤ教の大司祭のもとを訪ね、銀貨30枚でイエスを引き渡す約束をしていた。
木曜日、イエスは弟子たちと過越の祭りを祝う準備をされる。これが最後の晩餐である。この翌日に十字架にかけらることになるが、イエスは当然そのことを知っておられた。「あなた方によくよく言っておく。あなた方の一人が、わたしを裏切ろうとしている」―
イエスは十二使徒とともに夕食をとり、パンとぶどう酒を祝福して弟子たちに与える。パンは「自分の体」、ぶどう酒は「自分の血」と教え、また「これをわたしの記念として行え」と命じた。これが現代の教会でも行われる聖体拝領(エウカリスト)である。
イエスは弟子たちとともにゲツセマネの園で祈っておられた。すると、松明をもった集団がイエスを逮捕するために近づきいてきた。その集団の中には最後の晩餐を途中で抜け出したイスカリオテのユダもいたが、弟子たちはそれが何を意味するのかすぐに理解することができなかった。
金曜日の朝、ユダヤ人会議のもとイエスへの尋問が行われた。取り調べの後、ローマ皇帝に対する反逆者として有罪の判決を下されたが証拠となるものは何ひとつない。そこで大祭司はイエスの「わたしはユダヤ人の王である」という発言を冒涜の言葉とし、死に値するとした。人々はイエスの顔につばを吐きかけ、こぶしで殴った。
夜が明けると、祭司長たちはイエスをどのように殺そうか協議した。縛られたイエスは総督ピラトに引き渡され、再び尋問を受けることになる。ピラトはイエスを死刑にする理由はないと判断したが、民衆はイエスを殺すよう強く願った。そしてイエスは鞭に打たれ、侮辱され、やがて十字架につけられ息を引き取った。このイエスの十字架の死をもって、イエスは神の子としての使命をまっとうされる。
この後にもまだ続きはありますが、次の記事で見ていきましょう。
十字架で息を引き取った後の出来事は、キリスト教徒がイエスを信仰する理由そのものです。エルサレムでは、イエスの最期を14の場面に分けて訪れました。
Biblia
Biblia(ビブリア)は「聖書」という意味です。頭文字は常に大文字となるので気をつけましょう。
旧約は Stary Testament(スタレ テスタメント)、新訳は Nowy Testament(ノヴェ テスタメント)といいます。こちらも大文字で始まることに注意してください。テスタメントは英語とまったくつづりが一緒ですが、発音はやはりポーランド語読みです。
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