詳細プロフィールはココ YouTube はじめました
最新記事 by Ayaka (全て見る)
※コンテンツの無断転載禁止(リンク歓迎)
.
前回の記事では、コペルニクス科学センターの基本情報を紹介しました。
450もの体験型展示の中でも私たちが実際に体感したのは、その内の半分にも過ぎないかもしれません。しかし、学びつつも楽しく時間を過ごせて本当に素晴らしい科学館だと思いました (^ ^)
ではでは、どんなものが展示されているのか実際に見ていきましょう。
.
地球は確かに自転している
この装置、理科の実験ビデオなどで見覚えがあるのではないでしょうか?19世紀のフランスの物理学者レオン・フーコーは、パリのパンテオン寺院にて振り子の公開実験を行い、地球が自転していることを証明しました。
その再現が上の写真にある、巨大な装置「フーコーの振り子」です。
地球は1日1回の回転(自転)をしながら、365日かけて太陽の周りを回っています(公転)。厳密に言うと、365日と4分の1ですが、そこを年に一度のうるう年で調整しています。
で、このフーコーの振り子は時計回りに少しずつ向きを変え、周囲のピンを倒していきます。これがまさに地球が自転している証拠です。ちなみに緯度によって振り子の見え方は変わってくるので、南半球だと半時計回りになります。
じゃあ、1日そこにいたらピンは全部倒れるのか?というと、実はそうではないんですね。北極点で観察したら1日1回転なんですが、面白いことに南に行けばいくほど周期が長くなっていくのです。
大昔の絵を解き明かせ!
これは最終的に解き明かすことができなかったのですが、時間があればずっとやっていたかもしれません。動物のシルエットが無造作に描かれた絵があります。これは1〜2万年前もの大昔にスペインのアルタミラ洞窟(ウィキペディア)に描かれたもので、狩りのようすを表しているそうです。
この絵に描かれている「人」を見つけてシルエットをなぞっていくのですが、青色だったら正解、黄色だったら気のせいみたいです(笑)。でも、私たちは1人しか見つけられませんでした(泣)。もしすべて見つけた方がいましたら、ぜひ写真におさめてください m(_ _)m
身体を通じて音を聞く?
さて彼は何をやっているのか?一見、ただ頭を抱えて悩んでいる人ですが…。ここには、細長いテーブルに黒いスポットが2つあります。そして、そのスポットに両肘を当てて指をできるだけ耳の中に入れます。すると指を入れる前はまったく音が聞こえなかったのに、なぜかハッキリと低音が聞こえてくるんです!
この展示のテーマは「宗教の音」。
キリスト教、仏教、イスラム教、ユダヤ教、神道と様々な宗教の音やリズムを聴くことができます。宗教自体は科学ではないですが、こういった展示の見せ方ってすごくユニークだと思いませんか。
身体で感じる音について調べてみると、やはり知覚は耳だけでなく身体全体で感じることができるとありました。
実際、耳の聞こえない人でも振動によって音を感じたり演奏することができるそうです。すごく感動的な話ですよね。
ただ、耳の形の問題もあってうまく指が耳の中に入らない人もいます。ちょっと聞こえにくいという方は、この黒い棒を使って聞いてみてください。この先端にある丸いボールのような部分を耳に当てると音が聞こえてきますよ。
船荷を安全に積むには?
シンプルですが、小さな子どもだと頭を使う必要があるかもしれませんね。積み荷に見立てた白いブロックがたくさんあるので、こうやって写真のように船の下の方に入れていきます。もし重量バランスがおかしくなると、赤いライトが点灯して警告してくれるという仕組み。
なんでもバランスを考えることは大事なんだと実感し、ふと「人生と似てるな」なんて思ったりもしました(笑)。
水圧を身体で体感してみよう
ご存知の通り、私たちは色んな意味で水がないと生きていけません。しかしこうやって水に生かされながらも、川や海レベルの水となると人間数百人、数千人の力ではまったく手に負えないほどの凄まじい破壊力を持ちます。
その水の脅威の一つが水圧。
そういえば、学校で水圧の計算を習ったときその力には驚きました。10メートルごとに1気圧(空気の層500キロ分の重さ)増えるといいますが、空気の重さも加わるのでダイバーは平気なの?と疑問を抱いたのを覚えています。
ただ幸いにも水中では重力は感じませんし、地上でも私たちは空気の気圧に押しつぶされることなどありませんよね。
だからこそ、こうやって圧力を体感するのは貴重な体験なのです。
上の写真では、夫がロープを引っ張って水槽の中にある潜水艦を沈めようとしています。私もやってみましたが、重すぎて半分くらい下がるとビクともしませんでした…。まあ私は握力20キロとかなので元から力はありませんが(泣)。
こちらもかなり面白かったです。目の前に、それぞれ容積の異なる数メートルの高さを持つ水槽があります。その水槽の下に手を入れて、圧力を体感するというなんとも恐ろしい実験!
この赤いボタンを押すと、ゆっくりと手に水圧が加わっていきます。個人差はあるかと思いますが、限界までやると案の定かなり押しつぶされたような感じで「こんなの子どもがやって本当に大丈夫なの?」と思うほどでした!
表と裏の区別がつかない帯
このタイトルを見ただけでハッとした人がいるかもしれません。そうです、メビウスの帯です!これは科学者ではなく数学者が発見したもの。科学は数式なしでは解けないので、素人にとっては科学者も数学者もいっしょのように見えることがありますね〜。
この帯の何が不思議かというと、細長い帯を1回ねじって両端を合わせたとき(つまりメビウスの帯の状態)表裏の区別ができなくなってしまうんです。
表をたどっているるもりが、いつの間にか裏をたどっているという…。
ものには表裏がある、そんな誰もが知る常識を覆したメビウスの帯は非常に興味深いですよね。ちなみに、この謎は2007年に解き明かされたそうです。
experyment
experyment(エクスペリメント:実験)は、英語の “experiment” から来た単語です。ちなみにラテン語だと、”experimentum”(エクスペリメントゥム)といいます。
英語はラテン語の影響を受け、ポーランド語もラテン語由来なので英語の単語を知っておくと覚えやすい単語がポーランド語にはたくさんあります。
前回の記事のつづき、ワルシャワのコペルニクス科学センターで私と主人が特に楽しんだ展示や実験を紹介します。
.
砂遊びの感覚で地形が学べる
こちらはサラサラの砂を集めて砂山をつくり、いろんな高さの地形を見てみようというもの。学ぶ以前に久しぶりの砂をつかむ感覚に喜んでしまいました。。
皆さん、このグニャグニャになった曲線をなんと呼ぶか覚えていますか?
等高線ですね。中学校の地理で習いますが、私は酔いそうな地形図が本当に苦手でした。でもこんな実験用の砂場があったら、絶対に楽しく学べたと思います!
ロボットでピラミッドを探検
前回の記事で紹介したアルタミラ洞窟もそうですが、古代のものを発掘する調査はかなりの緊張が伴う作業です。
そこで活躍するのがビデオカメラを搭載した小型ロボット。場所が科学館だとしても、自分がこんなものを操作できるなんて夢にも思っていませんでした!(^o^)
ギザのピラミッドで小型ロボットが使われたとき、そのロボットはミステリアスなトンネル(シャフト)を通り抜け「女王の間」と呼ばれる部屋に潜入しました。シャフトはなんと、高さ・幅ともに20センチ角しかなかったそうです。
女王の間の南向きのシャフトの奥には謎の扉が発見され、当然その向こうには何があるのか誰もが興味を示しました。
このようすは日本でも生中継され、世界中がもう大興奮。しかし、調査は残念ながらここで一旦ストップしたのです。
それから幾つかの調査団がこの謎を解明しようと挑戦権(ピラミッドを調査する権利)を獲得しました。
結論、扉の役割はコウモリや虫の侵入を防止するためのフタであったということ。それでもまだ隠し部屋があるとか色んな説がありますが、私が生きているうちに明らかになってほしいものです。
反応時間を測定しよう
これはただのゲームなんですが、ルールがシンプルであるだけに余計真剣になって主人と競い合いました(笑)。
床には0〜4の目盛りがあり、テンポよくモニターに表示された数字の場所へ移動しなければなりません。自分の動きは黄色の曲線となって表れ、移動するときの動きが鈍ければ鈍いほど白色のラインからズレてしまうというもの。
グラフの縦の数字は距離を表し、横は反応時間を表しています。
上の結果だと、最初の3から2の移動のみいい感じですよね。ジャンプすれば白のラインのように直線を描けると思いますが、0から4は少し距離があるので普通の人は無理だと思います…。
一般的に刺激強度(音や光など)が強いほど反応時間は短く、反応時間が長いほど複雑で多くの心的処理を要します。
自動で詩をつくるロボット
皆さんはポーランドSFの第一人者、スタニスワフ・レム(1921〜2006)という作家をご存知でしょうか。
彼は世界的に有名なSF作家であり、著書は41の言語に翻訳されています。また彼の想像力はとても奥深く、未来に発明される数々のものを具体的に予知していたことでも知られているそう。
このロボットは彼の作品から生み出されたもので、どんなテーマやスタイルからでも詩を作り出させるといいます。
ここで俳句を発見。お題は”kaczka”(アヒル)にしてみました。
一羽のアヒル
あなたはベンチの端に座った
私は暗闇の中で踊る
主人はかなり笑っていましたが、意味はまったく分かりません。でも詩は読んですぐに意味が分かるものではないですよね(笑)。はい、次いきましょう。
傷ついたアヒル
靴底から逃げている
最初の一杯をぐいぐい飲む
やっぱり、”Nie ma sensu”(ニェ マ センス:意味がない)としか言えません。
主人はそれでも「俳句っぽい」と言って笑うので、「俳句知ってるの?」と聞くと「知らない」とのことでした (^ ^;)
構造にかかる圧力を調べよう
数種類ある透明のプレートを柱に見立てた木の上に置き、それを指で押さえつけることによってどれほどの圧力がかかっているかを見ることが出来ます。
主人は建築家なのでこういったものは既に学習済みだと思いましたが、実は建築学ではあまり詳しく学ばないそう。
彼は土木工学と建築学の両方の修士を取得しているので知識はあるみたいですが、建築家はこういう物理とか数学を用いて計算することは滅多にないというのです(日本はどうか知りません)。
建築家が設計した図面を物理的に実現可能であるか調査し、計算するのがエンジニア(土木工学や電気の技術者)の仕事なんだとか。ただし、避難設計や建築法に基づいてデザインするので、単純にアートの世界ではないですけどね。
圧力が直接かかっている部分に最も力が加わっていることは分かりますが、これを計算する方法が分からなければ安全な構造を生み出すことはできません。
昔の建築物は、こういった計算が分からないままに建設されたので倒壊事故がよく起こったんだそうです。
ヨーロッパには古い建物が多く残っていますが、16〜19世紀に建設されたものだと今の建築基準法に引っかかってしまうものだらけです。そのため、改修のときは法律に基づいて莫大な予算をかけながら修復しなければなりません。
以上、いかがでしたか?
他にも興味深い展示物はたくさんありましたが、ほんの一部を紹介しました。
館内の子どもや大人はみんな夢中になって楽しく科学を学んでいて、本当にその場にいるだけでも笑みが溢れそうな場所です!次回は1日中、ここで過ごすつもりで行こうと思います (^o^)/
実は、ポーランドには日本のようにテーマパークと呼べるような場所がありません。ディズニーランドやUSJ、日本のような大きな遊園地はないんですね。
だからこそ家族で楽しむ場所といえばこういった科学館であったり、博物館や歴史的建造物、動物園、植物園だったりします。日本の子どもたちにはちょっと退屈かもしれませんが、ポーランドの子どもたちは十分満足しているようです♪
.
wystawa
wystawa(ヴェスタヴァ)は「展示」という意味です。複数形の “wystawy” で用いられることが多いです。
Copyright secured by Digiprove © 2017