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エジプト南部|アスワンの宿泊はエレファンティネ島がオススメ!島の見どころ紹介

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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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 エジプト旅行前半では、エジプト南部アスワンのエレファンティネ島に3泊しました。
アブシンベル2泊を挟みましたが、アブシンベルは神殿以外に特に観光スポットがないので1泊でも問題なく、これから南部へ行かれる方はアスワン2〜3泊、アブシンベル1泊がマストです

 最後にこの島の超オススメのゲストハウスもご紹介しますので、アスワンに行かれるなら絶対エレファンティネ島に滞在しましょう。
エジプト旅行者の半分くらいはアスワンをスキップしそうな気がしますし(遠いからね)、行ったとしてもイシス神殿や本土のスポットだけ見て終わりそうですが、それはホントもったいない

エジプトひとり旅
あやか
次のエジプト旅行でまたエレファンティネ島に1泊しようか検討中!

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エレファンティネ島とは?

エレファンティネ島
エレファンティネ島

 エレファンティネ島は、エジプト南部のアスワンに位置するナイル川の中州の一つで、エジプトとヌビアの歴史が交差する重要な場所。古代エジプトでは、アスワン(スウェネト)がエジプト南端の国境都市とされており、その要所にあるエレファンティネ島は商業・軍事の拠点として栄えました。
 「エレファンティネ(象のような)」という名前は、ギリシャ語で「象」を意味する “elephas/エレファス” に由来すると言われており、島の岩が象の背中のように見えるため、かつて象牙貿易の重要な拠点だったためなど諸説あります。島内は端から端まで徒歩圏内、人口は3,500人前後です。
 
 アスワンはエジプト南部・ヌビア地方の最北端であり、周辺にはヌビア村と言われる場所がいくつかあります。エレファンティネ島も住民もの多くがヌビア人であり、島には青空に映えるカラフルな塗装の建物がいっぱい!ヌビア村の特徴といえば豊かな色彩やポップなウォールアートですが、個人的には、エレファンティネ島に滞在するならば(時間のあまりない方が)わざわざ有名なほうのヌビア村まで出向く必要はないかなと思います。島内に車はなく安全に散策できる(エジプトには横断歩道がない)&東岸からのアクセスも良好。アスワンにお越しの際はエレファンティネ島観光もお忘れなく


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古代エジプトの都市としての役割

クヌム神

 エレファンティネ島は、古代エジプト王国時代から重要な都市として見なされ、❶ナイル川の第一急湍(アスワン)近くの国境の防衛拠点、❷ヌビア(現在のスーダン地域)との貿易拠点(特に象牙や金の取引)、❸クヌム神の聖地としての役割を果たしました。クヌム神は【ナイル川の水を司る創造神】で、陶工のように人間を粘土から作ると信じられており、島にはクヌム神殿の跡があります。
 
 古代エジプトの最後のほうである【プトレマイオス朝(紀元前4世紀~)】や、その後のローマ時代にも島は重要視され、神殿の増築やギリシャ風の新しい建築が進められました。ローマ時代は軍事拠点としての役割が強まり、要塞化が進みます。紀元前5世紀にはユダヤ人のコミュニティが存在し、ヤハウェ神を祀る神殿(エレファンティネ神殿)がありました。この時代のユダヤ人の生活を記録した「エレファンティネ・パピルス」は、歴史的に非常に貴重な文書です。エジプト人、ヌビア人、古代のユダヤ人など、多様な文化が交差した場所であり、古代の遺跡など多くの見どころがこの島にあります。

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観光スポット1 クヌム神殿遺跡

クヌム神殿1
クヌム神殿2

 古代エジプトにおいてナイル川の創造神、クヌム神を祀った重要な神殿。クヌム神はナイル川の源泉を司る神/水を制御する神であり、陶工のように粘土で人間を創造すると信じられていました。
 エレファンティネ島は古代エジプト人にとって「ナイルの源がある場所」と考えられており、ナイルの水がここから湧き出ると信じられていたため、島でのクヌム神の信仰は特に強かったとされます。
 
 この神殿は中王国時代(紀元前2000年頃)からプトレマイオス朝やローマ時代まで何度も改築・拡張され、クヌム神の妻・サティス女神(ナイル氾濫を司る)と、娘・アヌケト女神(豊穣の神)を祀る神殿もありました。現在、神殿の大部分は廃墟となっていますが、柱の基礎や壁の一部が残っており、古代の建築の様子を垣間見ることができます。花崗岩で造られた建築の一部には、ヒエログリフやレリーフが刻まれており、入り口付近にはプトレマイオス王朝時代の碑文が…!これらの碑文には、ナイルの水位がどのように管理されていたかや、神殿に関する儀式の記録などが記されています。


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クヌム神はアスワン発祥!

クヌム神信仰の発祥地はアスワンであり、その後エジプト各地にも信仰が広がりました。ルクソールのカルナック神殿にもクヌム神の小さな礼拝堂があります。しかし、エレファンティネ島がクヌム神信仰の最も重要な拠点であったことに変わりはありません。クヌム神殿には、クヌム神とその妻・サティス女神、娘・アヌケト女神を祀る3柱の神があり、「エレファンティネ三神」として崇拝されました。

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観光スポット2 ナイロメーター

ナイルメーター1
ナイルメーター2

 ナイロメーターは、古代エジプトでナイル川の水位を測定するために使われた装置 です。ナイル川の氾濫は、農作物の収穫や税収に直接関係するため、古代エジプトにとってナイロメーターは非常に重要でした。ナイルの水を司るクヌム神が祀られていたエレファンティネ島だけに、クヌム神の神官たちはナイロメーターのデータを元に農業の成否を占い、王へ助言する役割を持っていたと考えられています。また、この島のナイロメーターはエジプト国内に現存するものの中でも最も保存状態が良く、完全な形で残っている貴重な遺跡。ほかに保存状態がいいナイロメーターは、カイロのローダ島(円柱型・イスラム時代の影響を受けたもの)とコム・オンボ(階段型・やや風化)のみとなります。
 
 エレファンティネ島のナイロメーターは約90段の階段があり、ナイル川の水位に応じて階段のどこまで水が上がるかを測る仕組みになっています。測定基準は「キュビット」という単位(約52.3cm)で、水位の目盛りが石壁に刻まれています(現在はアラビア語でも刻まれている)。「ナイル川の氾濫」と聞くとネガティブに聞こえますが、エジプトの農業にとっては必要不可欠。適度な氾濫があれば豊作となり、逆に氾濫が少なすぎると干ばつ、大きすぎると洪水の被害を受けました。そこで、このナイロメーターが活躍するというワケ。ナイロメーターを使うことで氾濫の規模と作物の収穫量を予測し、また王や官僚にとって、税収の見通しを立てる重要なツールでした。ナイル川の水位が高い年は豊作なので税金が高くなり、逆に水位が低いと作物が少なくなるため税率も低く設定されたそうです。


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ナイロメーターのタイプは3つ

古代エジプトには主に3つのタイプのナイロメーターがありました。1つ目は垂直シャフト型で、これは井戸のような形をしており、地下水の水位を測定します。2つ目は柱型で、円柱の目盛りで水位を測ります。最後の3つ目は階段型でエレファンティネ島のナイロメーターはこのタイプ。

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観光スポット3 アスワン博物館

アスワン博物館2
アスワン博物館1

 クヌム神殿やナイロメーターの近くにあり、エレファンティネ島の歴史紹介とともに島の考古遺跡から発掘された出土品を主に展示しています。クヌム神やナイルの信仰に関する遺物が多く、クヌム神の像、ヒエログリフが刻まれた石碑(ナイルの水位管理に関する記録)、島やアスワン出土の土器や日用品、おおよそ3000年前の交易品、ユダヤやローマ時代のコプト遺跡の遺物などが見どころ。
 古代エジプトの商業は主にアスワンの港で行われていた一方、高台にあったエレファンティネ島は交易品の保管場所として最適だったようです。スーダンから輸入された日用品や家畜もこの島を経由して取引されており、また漁業も島の経済の大きな柱になっていました。きっと、この島に住む人々はそれなりに豊かな暮らしが出来ていたのだと思います。
 
 2025年2月現在、本館は工事中で閉鎖しており、隣の建物だけを見ることができました。だからといって割引はありませんでしたが…。建物周辺の外にもクヌム神殿の石碑やサルコファガス/石棺が無造作に置かれていて、何がなんなのかはよく分からないものの見応えはアリ。ちなみにこの博物館、入館料を払ったあとに勝手に誰かが付いてきて、展示物を案内する代わりにチップを要求するということがよくあるのだそう。そういうのが面倒なので、勝手に説明しだしたら「静かに見たいんです。シュクラン」とひたすら断って一人で見学しました。下手したら、近くにあるクヌム神殿やナイロメーターまで付いてくると思うのでガイド不要の人は要注意。


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博物館の入館料・営業時間

◆外国人の入館料…200ポンド(現金のみ)
◆営業時間…09:00〜17:00
各展示品に英語での説明書きがありますが、それらをじっくり読むわけでなければ10分以内で見学できると思います。私は30分ほど見学しました。

※2025年2月現在 1EGP=3.02円

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オススメの宿泊先
    Kashta Nubian Guest House

エレファンティネ島のゲストハウス
エレファンティネ島のゲストハウス

 エジプト旅行の前半ではアスワンに計3泊しましたが、すべてエレファンティネ島での宿泊でした。利便性だけで言うなら東岸側に宿泊したほうがいいでしょうが、個人的にはたとえ一泊でも【のどかなエレファンティネ島】での滞在を強くお勧めします。中でも、特にオススメな宿が島の南西部に位置する Kashta Nubian Guest House!
 
 ゲストハウスの名前にある Kashta(カシュタ)は古代エジプトを統治したヌビアの王の名に由来します。彼はクシュ王国(現在のスーダン地域)出身で、紀元前8世紀頃/エジプト第22王朝〜25王朝にヌビアを統治しました。カシュタは第25王朝の基盤を築いた王の一人であり、上エジプト(特にテーベ/現ルクソール)に影響力を及ぼしました。彼の息子はエジプト全土を征服し、第25王朝を正式に確立したため【ヌビア王朝】とも言われています。
 このゲストハウスの名前からも分かるようにヌビア人でもあるオーナーのOmarさんはエジプトの歴史に誇りを持っている方。そして、旅行者には超親切&日本人大好き。島内にある神殿などを無料で案内してくださったり、観光に役立つ情報を親身にアドバイスしてくださいます。部屋は清潔なのはもちろん、ホットシャワーもちゃんと出ました。Omarさん手作りの美味しい朝食をルーフトップで食べることもできます。部屋数は多くないので、アスワンに宿泊するなら早めに押さえましょう!
 
 アスワン本土からエレファンティネ島へのアクセスはカンタンで、市街地の東側から公共ボートで5分以内に到着します。2025年2月現在、片道10ポンド/約10分に1本の運行、公共ボート乗り場からゲストハウスまでは徒歩5〜6分。公共ボートは、男性と女性で座る場所が分かれているので注意してください(男性は右側、女性は左側)。チェックインのときはゲストハウスのプライベートボートで迎えに来てくださるので、予約後にチェックイン時間を伝えて東岸まで迎えに来てもらいましょう。


 
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この記事のまとめ
アイコン この記事を書いた今日も、当記事で紹介したゲストハウスのOmarさんとやり取りしていました。というのも、1.5週間後に迫る次のエジプト旅行でもまたアスワンに行く気満々だから。ルクソールから南へ下って、エスナやエドフ、コム・オンボの遺跡を観ながらアスワンに行こうかと考えています。エレファンティネ島にまた泊まれるなら最高!宿泊サイトではOmarさんのゲストハウスは予約できなかったのですが、直接連絡すると「何としてでも部屋は用意する!」という感じで再会が楽しみで仕方ありません

 

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あやか
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1件のコメント

Omar より:

親愛なるアヤカさん、エレフテイン島とその中心であるカシュタ ヌビアン ゲストハウスについて、あなたが使った素晴らしく美しい言葉が本当に気に入りました。あなたは本当に素晴らしい人で、私の愛と感謝の気持ちをすべて受け取るに値します。あなたについてどれだけ多くの言葉を書いても、あなたにふさわしい言葉は与えられません。

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