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この記事の内容
日本の番組制作会社や放送局からのご依頼で、リサーチやコーディネーター業務をやらせていただいたことが何度かあります。私はコーディネーター専業ではないので頻繁にお受けすることはないものの、だからこそ「コーディネーターってどんな仕事?」という疑問があり、ネットで調べたこともありました。
しかし私が検索する限りでは、番組コーディネーターに関しての詳しい情報はあまりありません。特に私と同じ立場である海外在住日本人の話は…。実際にやってみると分かるのですが、コーディネーターはやることが多くて大変な仕事です!でもどう大変なの?
ということで、当記事では私の経験談や未熟ながらアドバイスをお伝えします。
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この記事の目次
❶ コーディネーターが主にやること
❷ 大会系やコンクールはやさしい
❸ 番組の骨組み、リサーチ業務
❹ 交渉とスケジュール調整がヤマ
❺ 大切なのはコミニュケーション力
❻ それなりに人脈がある人は有利
❼ コーディネーターとしての責任
❻ とにかく大変だけどやり甲斐はある
❾ ベテランから聞いたびっくり話
❿ 報酬は自分から提示するのが基本
⓫ この記事のまとめ
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◆私のコーディネーター歴
第15回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール(2016年)、NHK world UCIトラック世界選手権ポーランド大会(2019年)、NHK BS「突撃!ストリートシェフ クラクフ編」、NHK BS「ドキュメント クラクフ中央駅〜ウクライナ避難民の日々〜」、日経新聞でのウクライナ避難民支援(未公開企画)、TBS「メイドインジャパン!」
コーディネーターが主にやること
私はコーディネーター専業ではなく、このような記事が書けるほど経験豊富なわけではないですが、前回のお仕事を通して学んだことがたくさんあるのでシェアしたいと思います。
まず、海外ロケの番組コーディネーターがやることは下記の主に6つあります。
❶ 現地の状況を把握するためのリサーチ
❷ 出演者や場所など撮影対象を探す
❸ 出演者に連絡、撮影交渉や撮影許可を取る
❹ 出演者と撮影チームのスケジュール調整
❺ 撮影中(ロケ)の通訳
❻ 滞在先や食事、車両手配など細々したサポート
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そもそも日本の制作会社が私のような現地在住日本人に依頼するワケは、言語はもちろん、現地のしきたり、土地勘がないから。
専門会社に依頼する場合もあれば、個人のHPやブログを見て「この人になら任せられる」と判断できれば専業でなくとも依頼します。
そして何度かこのお仕事を受け、また自身が民放に出演したこともあるという経験から言わせていただくと、撮影が始まる前の交渉段階やスケジュール調整が一番大変です。
いざロケが始まると、普段通りのコミニュケーションでなんとかなりますし、臨機応変に行動しながら通訳できれば問題ないと思います。
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大会系やコンクールはやさしい
構成ありきの海外ロケ番組では、現地のコーディネーターが提供する情報をもとに制作側が構成を考えるため、どうしても最初のリサーチ段階から任される仕事が多くなります。
一方、大会やコンクールといった最初からスケジュールが決まっているものが撮影対象となる場合、割りかし楽だと言えます。
主催者側がメディア向けの情報をきちんと提供してくれますし、自分がいなくても撮影そのものはできるので任される業務も少ないです。
経験豊富なディレクターさんも「大会やコンクールはすごく楽」と仰っていたので、大会系と通常のテレビ番組のコーディネーター業務は別物と言っていいかもしれません。
私も大会系しかやったことがない状況でテレビ番組コーディネーターを受けたところ、共通点は感覚的にわずかしかありませんでした。
ただし、構成ありきの番組と比較すれば楽というだけであって、大会系ならどんな人でもできる仕事というわけではありません。
私も移住2年で初めて大会系コーディネーターを経験しましたが、やはり現地の言葉がそれなりに分かっていないと厳しいと思います。
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番組の骨組み、リサーチ業務
大会系コーディネーターは別ですが、通常のテレビ番組のコーディネーターだとリサーチや撮影に伴う交渉も任されたりします。
専業じゃない人にとってはリサーチをどういう風にやるかも手探り状態ですし、どのように報告すべきか、どこまで情報を盛り込むべきか迷うことがあるかもしれません。
リサーチ専門会社もありますが、ポーランドや撮影地としてマイナーな場所になってくるとそれもコーディネーターの仕事になります。
私も最初は要領が分からないまま、求められた情報を自分なりにリサーチして報告しましたが、それで問題ありませんでした。
不足情報があればあちら側から追加で質問があるので、リサーチはとりあえず自分のやりやすいようにやり、報告すればよいと思います。
またリサーチ内容によってはネットでただ調べるだけでなく、現地に赴いて直接調査する必要があったり、資料として写真を撮ってこなければならないこともあります。
リサーチといっても番組によって調査内容は大きく変わり、これも大変といえば大変です。
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交渉とスケジュール調整がヤマ
コーディネーターの仕事の中で最も苦労するのは撮影交渉や撮影許可、出演者と撮影チームとのスケジュール調整など、まさに文字通りのコーディネーター業務だと思います。
相手が団体や組織であればスムーズにいくかもしれませんが、個人相手となるとなかなか話が進まなかったり、返信ペースがかなり遅かったりするので気苦労するでしょう。
やっと撮影交渉が通っても、今度はスケジュール調整で翻弄することも少なくありません。
ベテランのコーディネーターさん曰く「スケジュール調整が一番大変、決定後も絶対誰かがどこかでスケジュール変えてって言う」とのことで、本当にその通りでした。
取材対象が一つだけならいいんですが、ほとんどの場合は複数となるので覚悟が必要です。
特に海外ロケはそれなりの予算がかかっており、またロケの延長が難しいので、日本での撮影よりも調整難易度が高いかも。
スケジュール調整はパズル、ぎっちりめの一見余裕がないスケジュールでも万が一に備えて予備日を必ず作っておかなければなりません。
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大切なのはコミニュケーション力
撮影交渉もスケジュール調整もすべてコミニュケーションがあって成り立つので、現地の言葉はおろか会話にもあまり自信がないという人にコーディネーターは務まりません。
すごく偉そうに書いているようですが、これもやはりベテランさんの話です。
撮影をスムーズに進めるためには信頼関係を築かなければならず、コミュニケーションが欠けていると撮影側も対象側も不安になります。
言語能力はペラペラじゃなくても構わないですが、逆に言うとペラペラでもコミュニケーションが苦手となると大問題です。
限られた期間でどれだけ相手に心を開いてもらえるか、どれだけの情報を引き出すことができるかで構成も撮影内容も大きく変わります。
撮影対象が組織であっても相手が人である以上は会話しなければなりません。
どんなに相手の返事が遅くてもこちらはなるべく迅速に返事し、自分が出演者だったらどういう人に担当してほしいかということを考えながらやり取りする必要があると思います。
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それなりにコネがある人は有利
人脈がそれほどなくてもコーディネーター業務は可能ですが、やはり撮影内容によっては顔が広い人のほうが情報も入ってきやすく、撮影スピードが早くなることもあります。
私の場合は特に顔が広いというわけではないですが、市の公認ガイドとして融通が利く場面も多々あり、ガイドコミュニティを通しての情報提供に何度も助けられました。
正直、もし自分がガイドじゃなかったら前のコーディネーター業務は難航したと思います。
また取材や撮影交渉、撮影許可を取るときもよく知らない人がいきなり話を持ちかけてくるより、外国人でも信頼できる肩書きがあれば相手も不信感を抱かず接してくれます。
さらに共通の知人がいたり、何かしら自分と繋がりがあればもっと心を開いてくれるはず。
前回のお仕事でも通常だともっと時間がかかるところ、「市のガイドなので特別に早く処理しますね」と言っていただけたり、ガイドでよかったと思う場面がありました。
どのような分野でもコネがある人は、コーディネーター業務が合っているかもしれません。
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コーディネーターとしての責任
撮影チームにはカメラマンや音声といった技術担当、現場で指揮するディレクター、そして現地コーディネーターがいますが、誰一人欠けても番組を作ることはできません。
→ 番組によっては予算の関係でディレクターがカメラマンと音声もこなし、現地コーディネーターと二人三脚で仕事をすることもあります。
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その中でもコーディネーターは最も現地事情に精通していると見なされ、通訳として間に立ち、言わば要のような存在です。
また普段使わない言葉でもなるべく早く正確に訳さなければならず、誤った言葉やニュアンスで伝えないよう通訳にも責任が伴います。
撮影交渉も現地で直接話したり、メールや電話だけで済めばまだいいもの。
ヨーロッパ、少なくともポーランドでは色んな場面で契約書が出てくるので、個人でも契約書がなければ撮影できないケースがあります。
具体的なケースを言うと、クラクフにある聖マリア教会のラッパ吹きの撮影は市役所、消防署、そして教会の許可が必要です。
市役所と教会で契約を交わし、市役所では市の弁護士と面会したり、撮影後にも双方に資料を送らなければならず思ったより複雑でした。
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とにかく大変だけどやり甲斐はある
コーディネーター業務は決して興味本位だけでは出来ない仕事であり、上記に書いたこと以外でも細々した仕事(撮影をスムーズに行うための作業や手配)がたくさんあります。
前回のコーディネーター業務ではリサーチ業務からロケハン(技術的な確認も含めた取材先の下見)、そしてロケまでやらせていただきましたが、山あり谷ありでした。
それでも制作会社、撮影チームの皆さんが本当に良い方たちだったので、素人コーディネーターの私でもなんとか役割を果たせました。
あまりの大変さにロケ直前で音を上げそうになったのですが、出演者の方々とも冗談を言えるほど打ち解けることができ、今ではこのお仕事ができてよかったと思っています。
もう一回やるか、と言われたら迷うかもしれないけど、やるんだろうな、という感じです。
1時間程度の番組でも何週間という時間をかけてみっちり撮影し、撮影に入る前もリサーチにかなり時間をかけたり、こうやって番組の裏側を知るのは実に興味深いこと。
そしてコーディネーター業務を通して新しい出会いや発見があり、やり甲斐は大きいです。
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ベテランから聞いたびっくり話
前回のコーディネーター業務では私のほかに3人の方といっしょに仕事をさせていただきましたが、皆さん並みではない人生経験を持っていて驚く話をたくさん耳にしました。
カメラマン、音声、ディレクターの皆さんがドイツを拠点に海外を飛び回っている方で、行く国によっては命がけだそうです。
コーディネーターが一分一秒を争う取材中に急いでいて事故死、感染病で油断して帰国後に死亡したという話、遺書の書き方講座やサバイバル講座に参加したなど本当に衝撃的でした。
またこれまでのところ、私は優しい方たちに囲まれてお仕事をしてきましたが、やはり中には怖い方もいらっしゃるようです。
とにかくキレるディレクターで周りの空気が張り付くとか、撮影対象に無理強いさせて雰囲気を悪くしたり、現地コーディネーターにすべて責任を押し付けて逃げる会社もあるとか。
どちらかというとレアな話もあると思いますが、皆さん尋常じゃない経験を何度もされているようで、私の本業のガイドがいかに平和的な仕事かを思い知らされました。
番組制作は編集側も体力勝負ですが、ロケも体力同様に忍耐強くないとできない仕事です。
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報酬は自分から提示するのが基本
最後に皆さんが気になっているであろう報酬の話をしますが、私のほうから具体的な報酬額や相場をお伝えすることはできません。
海外だと各国によって物価が大幅に変わるため、制作会社のほうからハッキリと額を提示することもおそらくないと思います。
ただしリサーチ業務のみの場合は時給換算で報酬をいただいたり、まとめて「この額でいかがでしょうか」といった提案もありました。
コーディネーター業務は任される仕事が多いのであまり安く見積もらず、仮にロケ日数が多くても基本は1日単位で計算し、日本人として納得いく額をまず提示しましょう。
もちろん制作側もいくらでも予算があるわけではないので、例えば、1日4〜5万円希望といえばビックリするかと思います。
常識的な範囲で提案し、あちらがその額では申し訳ないと感じた場合は増額していただけることもありますし、うまく調整してください。
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お金関係で言うと、何十万円にも及ぶ高額な経費の立て替えが発生するケースもあります。そちらも合わせて確認しておきましょう。大会系でも買い出しや食事代の立て替えがあったり、場合によっては100万円を超えることもあります。
コーディネーターは撮影前のリサーチを行い、出演者を探し、撮影交渉や撮影許可を取り、双方のスケジュールを調整、さらに撮影チームと出演者の間に立って通訳をするなどやるべきことはたくさん!想像するだけでも大変な仕事ですが、その分やり甲斐もあります。この記事を読むと躊躇する人もいるかもしれませんが、一番大切なのはコミニュケーション能力(+その間は本業を休むぐらいの時間も必要)。きっといい経験になるので、そのようなお声が掛かった際はぜひ挑戦してください
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