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イギリスがEU脱退!ポーランド人の反応は?

PeteLinforth / Pixabay
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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日本でも随分と話題になっているらしいですね、イギリスのEU離脱騒ぎ

さて、日本よりもEUに密接しているポーランドではどのように報道されているのでしょうか。そして反応は…?

EU脱退、これからどうなる?
EU脱退、これからどうなる?

ではでは、超身近なポーランド人の夫の反応をご紹介しましょう。

多くのポーランド人がそうであるようにとても政治に関心の強い彼ですが、「イギリスの離脱騒動、どう思う?」と聞くと予想外の答えが返ってきました。
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私の夫
別にイギリスがEUを抜けたってわけじゃないし、そんなに驚いている人いないと思うよ。だって、先のことなんてまだ分からないし騒いだって仕方ない。

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私たちはイギリスどころか日本に住む予定もありません。なんだか他人事のように感じられる夫の台詞です。
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イギリスに住むポーランド人

多くのポーランド人はなぜイギリスがEUを離脱したいのか理解しています。

しかし今回の件で最も不安なのはイギリスに出稼ぎのために移住しているポーランド人ではないでしょうか。

イギリスへ向かうポーランド人達
イギリスへ向かうポーランド人 by BBC

ポーランドがソ連の共産主義時代から解放され、EUの仲間入りをしたのは2004年のこと。すると、200万人ものポーランド人が出稼ぎ目的でイギリスへ向かいました。これは当然です。

だって4倍もの高い給料ですよ。

私は出稼ぎをする人はまったく非難しませんが、少なからずポーランドが嫌いで出て行く人もいるわけで、そんなポーランド人がよそに行くのは大歓迎です。

今はビジネスを立ち上げるために移住する人も多いですけどね。

みんな一斉にロンドンへ
みんな一斉にロンドンへ

そして2016年現在、イギリスに暮らすポーランド人の数はなんと

850,000人

イギリスに住む非イギリス人の中で2番目に大きな人口を占めるのがポーランド人となってしまいました。ちなみに1位はインド人なのですが、中国人よりもポーランド人が多いとは意外です。

内63%は35歳以下の若者(!)、29%は学生という統計がありますが、全体の75%はやはり出稼ぎ。

また、ポーランド人が母国へ送金する金額はもうすごいですよ。

72億ポンド/1年

2016年6月現在、1ポンドのレートは130円ですから、これだけの額がポーランドに送り込まれているとしたら私も驚かずにはいられません。

 

離脱後のポーランド人の行方

イギリスが本当にEUを離脱してしまった場合、ポンドが一気に弱くなることが予想されるので、その打撃を受けて20〜30%のポーランド人が自国に帰ることになるだろうと言われています。

ポーランド人が得意な仕事の1つ
ポーランド人が得意な仕事の1つ

彼らの多くはつい3、4年前にイギリスに来たばかり。無理して居座るよりポーランドの家族や友人のもとに帰った方が精神的に楽なのかもしれません。

では、残された70〜80%のポーランド人の行く末はどうなるのでしょう。

数年前に来た人とはちがい、彼らはイギリスで既に家庭を築き、子どもは現地の学校に通っているのでそう簡単にイギリスを離れるわけにもいきません。

実際、イギリスに住みながらもポーランド語の新聞を読み、ラジオを聞き、スーパーでは簡単にポーランドの食材が手に入る。今さら母国に帰っても誰も歓迎してくれないのならば、そこで暮らした方がいいに決まっています。

イギリスのポーランドのお店 by
イギリスのポーランドのお店 by thenews.pl

 

ただし焦るのはまだ早い

まだイギリスは離脱をしていませんし、これから約2年間、EUとの新しい関係について交渉を進め、その内容次第でポーランド人の運命が決まるのです。

どう転ぶかはまだ分かりません。

現地の新聞では不安を掻き立てるかのように「将来的にポーランド人はイギリスで働くにあたって労働許可やビザが求められるだろう」と言いますが…。

イギリスの労働ビザ
イギリスの労働ビザ

もしそうなった場合、ポーランド人だけではなくすべてのEU国籍を持つイギリスで働く外国人が困るでしょう。

ただイギリスだって困るはずです。

現在のイギリスのレストランやホテル業は44万人弱もの非イギリスEU国籍保持者が担っており、彼らの大半が自国へ帰るとなれば、最終的にはイギリスは弱小経済国でしかも高い税金をとるだけの国になってしまいますからね。

EU加盟国のメリット

加盟国の国籍や永住権を持つ者は自由に加盟国間の国境を渡り、働き、住むことができます。つまり、ポーランド人がいきなりイギリスに行ってそのまま仕事を探すのも、住むのも自由ということ。こういったことは非EU加盟国に住む日本人はできません。

他にも税金の免除や輸入規制の緩和などのメリットもあります。

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これから予想されること

イギリスがEUを離脱することによって考えられる主なデメリットは

  • 労働許可の申請、ビザの必要性
  • 教育機関の学費値上げ
    EU国籍保持者がイギリスに留学する場合、学費が大幅に免除されます。
  • 輸入の規制、関税免除廃止
  • イギリス〜EU間の航空券値上げ
  • スコッチウィスキーが高くなる
    これはジョークだと思うんですが、BBC(日本でいうイギリスのNHK)がそう言っていたので。

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2004年にポーランドがEUに加盟し多くのポーランド人が押し寄せてきたとき、イギリス側はせいぜい13,000人/1年と見積もっていました

今や3番目によく話されるポーランド語
今や3番目によく話されるポーランド語

しかし実際には50,000人/年の勢いでやってきたポーランド人。

彼らの今後がどうなるかはまだ決定していませんが、今のところ反応はそれほど大きくないように感じます。

EUを離脱するという動きは今に始まったことではなく、もう随分前から言っていましたからね。それよりも大事なのは、これ以上脱退をするという国がでないように努力をすることでしょう。
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今日のポーランド語

szafka/półka

今日は単語の紹介です。ポーランド語の単語を覚えている方は、szafka/półka(シャフカ/プウカ)のちがいをご存知でしょうか。szafka はキャビネットを指し、półka は棚を指します。

私の新居はまだリフォーム中ですが、キャビネットは1つだけ。棚はまったくないので困っています…。

 

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あやか
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1件のコメント

den den より:

日本国内では知ることが出来ない現地在住の方の発信は、とても貴重で聴く価値があります。是非発信をお願いします。また、ポーランドから見る日本のニュースも視点が変わると意味が違うでしょうから、お伝え頂ければ幸いです(^^)

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