これからポーランドへ行く方が知っておきたい情報

クラクフ近郊 ティニエツ修道院の歴史と行き方

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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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クラクフは旧市街だけでも、じっくり見ていると3日あっても足りません

遠出すれば行ける範囲にはヴィエリチカ岩塩坑にアウシュヴィッツ、ザコパネに古城巡り、ザリピエ…。そして今回ご紹介するティニエツ修道院があります。

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しかし、ガイドブックに載っていても実際に足を運ぶ人はそう多くない。

という訳で、この記事を通して「ティニエツ修道院っておもしろそう!」と興味を持っていただき、また実際に行くきっかけになればとても嬉しいです。

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このページの目次
1. ティニエツ修道院とは
2. 市街から修道院への行き方
3. 見学可能時間・料金
4. 修道士がつくった◯◯◯

 

ティニエツ修道院とは

ティニエツ修道院の正式名称は、Opactwo Benedyktynów w Tyńcu(オパツトヴォ・ベネデクテヌフ・ヴ・ティニツ)。ポーランド最古の修道院です。

クラクフ中心地から12キロ、ヴィスワ川を越えたところのティニエツ地区にある崖に建っており、その姿は勇ましいながらとても美しく一見の価値あり。

ヴィエリチカ岩塩坑
ヴィエリチカ岩塩坑

ちなみにティニエツ修道院は世界遺産となったヴィエリチカ岩塩坑と同じ古さを持ち(ヴィエリチカ岩塩坑も1044年創業)ます。11世紀はクラクフ近郊が発展した時代だったんですね。

 

かつては城と呼ばれた修道院

現在のティニエツは市民が新鮮な空気と緑を求めてサイクリングで訪れる、静かで美しい場所です。そしてポーランド国内でも最も歴史ある地の一つ。

photo by ポーランド外務省
photo by ポーランド外務省

9世紀、ティニエツに聖ベネディクト会というカトリック教会の修道会が辿り着き、彼らはヴィスワ川を臨む崖の上に修道院を建てました。それがこのティニエツ修道院の長い歴史の始まりです。

修道会とは

カトリックの修道会は、同じ信仰を持った教会内におけるグループ。カトリック教会は非常に大きな教派のため、さらに固有の目的にしたがって福音宣教を行っているのです。修道会に属するのは神父や修道士、修道女ですが、すべての神父が修道会に属しているわけではありません。

修道会は最も歴史のある聖ベネディクト会を始め、フランシスコ・ザビエルによって創設されたイエズス会、神学を中心として教育に力を入れるドミニコ会など数多く存在しています。

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中世ではヴィスワ川が他国との国境となったこともあったため、政治的にもこの修道院は重要な役割を果たしました。

過去には「城」と呼ばれ、それは崖の上という見晴らしの良いロケーションにあること、今もなお立派な門と壁跡を持っていることから、中世の城としての姿も容易に想像することができます。

とても高い壁でした
射撃用の小穴を持つ高い壁

ただ「城」といっても君主や貴族が住んでいたわけではありません。修道士が住んでいた(現在も住んでいます)、そこが他の城との大きな違い。

今、この城と呼ばれる場所はゲストハウスになっていて、一般観光客も宿泊することが可能です。興味のある方はぜひ!

 

長い年月をかけて復元された

1044年、ロマネスク様式で建設されたティニエツ修道院ですが、その後は何度も破壊されては建て直され、現在はバロック様式の外観となっています。

近代では第二次世界大戦によって、破壊されてしまった修道院。

修道院の隣に建つ教会
修道院の隣に建つ教会

1947年、クラクフ市民や信者による寄付金を集めながらの修復が始まり、長い年月をかけて復元されました。また、内部の装飾は2007〜2008年の間にやっと完成したそうです。

私が最初この事実を知らずに訪れた時は「大昔に建てられたというのに、今でもこんな立派な姿で残っているなんてすごいなぁ」とただ眺めていました。

無知で訪れた時とその後で訪れた時では感じるものがまったく違います。

また、ここから眺めることの出来るヴィスワ川に映える景色も一見の価値ありです。屋外カフェもあるので、晴れた日にここでのんびり過ごすのもおすすめ。

ヴィスワ川とのどかな風景
ヴィスワ川とのどかな風景

 

市街から修道院への行き方

この記事を読んで「行ってみたい!」と興味が沸いた方のためにクラクフ市街からの行き方をまとめました。

2016年8月現在の情報
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公共交通機関 バス・トラム

まずはマンガ博物館付近の Rondo Grunwaldzkie(ロンド  グルンヴァルヅキエ)というバス停留所へ。

クラクフ漫画博物館
クラクフ漫画博物館

停留所までの行き方はどこから出発するかによって異なりますが、クラクフ中心部から向かう場合は179番のバスまたは52番のトラムが便利です。

バスは Oś. Krudwanów(オシェドレ  クルドゥヴァヌフ)方面、トラムでは Czerwone Maki P&R(チェルヴォネ  マキ  パーク&ライト)方面です。

参考までに、クラクフ中央駅付近から乗車する場合を載せておきますね。

◆179番バスの場合

179番のバスでの経路
179番のバスでの経路

中央駅併設のショッピングモール内の出口から Pawia 通りに出てください。

Pawia(パヴィア)通りに面する Dworzec Główny Zachód 停留所(プロホテルの近く)からRondo Grunwaldzkie 停留所まで行くことができます。

Dworzec Główny Zachód乗車
② Politechnika
③ Nowy Kleparz
④ Grottgera 08
⑤ Plac Inwalidów
⑥ AGH(アゲハ大学)
⑦ Cracovia
⑧ Jubilat
⑨ Konopnickiej
Centrum Kongresowe IC 下車

所要時間17分なので、2.80PLNのチケットで大丈夫です。

Centrum Kongresowe IC 停留所から Rondo Grunwaldzkie は60m。バスの本数は平日で2〜4本、土日祝で1〜2本となります。

◆52番トラムの場合

トラム
52番のトラムでの経路

中央駅併設のショッピングモールメイン入り口に出てください。メイン入り口は中央駅とは反対方向にずっと進んでいったところにあり、乗車する停留所は Lubicz(ルビチュ)通りにあります。

Dworzec Główny 乗車
② Poczta Główna
③ Starowiślna
④ Stradom
⑤ Orzeszkowej
Centrum Kongresowe IC 下車

所要時間10分なので、こちらも2.80PLNのチケットで大丈夫です。

Centrum Kongresowe IC 停留所から Rondo Grunwaldzkie は90m。バスの本数は平日で3〜4本、土日祝で2〜3本となります。

◆Rondo Grunwaldzkie から
ここからティニエツ修道院までは112番のバス(方面:Tyniec Kamieniołom)で21分。チケットは20分乗車を越えているので、3.80PLNとなります。

チケットについて

うまく乗り継ぎができれば、出発地によっては40分以内の乗車時間で済むので40分間有効の3.80PLNを購入し、それを最初に有効化すれば2枚のチケットを用意する必要はありません。中央駅付近から出発する場合、2.80PLNと3.80PLNのチケットを往復分用意してください。

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下車は終点なの安心してください。そこから修道院までは徒歩14分の距離、ヴィスワ川方面に北へ進めば到着です。

これらのバスやトラムのスケジュールを知るには “jakdojade” のアプリやウェブサイトが便利です。下の記事で紹介しているのでぜひ活用してください。

 

夏限定!クルーズで

夏の繁忙期のみとなりますが、毎年ヴァヴェル城からティニエツ修道院までクルーズで行くことができます。

所要時間は1時間、料金は60PLNとちょっと贅沢な旅。途中でクラクフ市街からは見ることのできない風景を楽しむことも出来ますし、実際に行った人によるとクルーズは最高だそうです!

 

見学可能時間・料金

修道院内部や博物館を見学する場合、料金が発生します。教会は無料。

実は、私は博物館には入ったことはないのですが、このようなもの(修道院公式ホームページの博物館ギャラリー)が展示されているようです。

◆博物館
月曜日〜日曜日は10時から16時の間。チケット料金は大人7PLN、子ども5PLN。

◆修道院・教会
月曜日〜金曜日は9時から12時の間、14時から15時の間。
土曜日は9時から12時の 間、または14時、日曜日は10時15分、または12時から15時の間。

こちらは修道士がポーランド語で案内する形となりますが、話している内容が分からなくても内部の見学はぜひしてほしいです。チケット料金は6PLN、6歳以下の子どもは無料です。

また博物館との共通チケットは、大人10PLN、子ども8PLN、家族であれば25PLNとなります。

英語のオーディオガイドもありますが、オーディオと引き換えにパスポートなど写真付きIDを預ける必要があります。

 

修道士がつくった◯◯○

なんだか意味深なタイトルに興味を持った方も多いのでは?

実はティニエツ修道院では修道士がつくったハンドメイドのあれやこれが買えちゃいます!工場で生産されたものもあるようですが、添加物などは極力抑えたヘルシーな食品、体にやさしいエコなものがたくさん売っていますよ。

その土地ならではの材料で作られたご当地品、スーパーでは買えない品ばかりなのでぜひぜひお土産にどうぞ。

修道院のオンラインショップからどんなものがあるか見ることができます。食品からビールやワインなどのアルコール、ボディケアにコスメなど様々!

見ているだけでも楽しいので、オンラインショップを覗いてみてください。

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今日のポーランド語

Pluszka

pluszka(プルシュカ)は名詞で「ぬいぐるみ」です。

寝室のベッドには恥ずかしながら日本から持ってきた複数のぬいぐるみがあるのですが、それらをポーランド語でなんと言うか気にしたことはありませんでした。しかし先日、女の子がぬいぐるみを抱いているところを見て「あれは何と言うの?」と夫に聞いて知った、今さら覚えた単語が pluszka。

日常生活での使用頻度は低いかもしれませんが、ポーランドのお土産屋さんで可愛いプルシュカを見つけたら、手に取ってみてくださいね♪

 

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あやか
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2件のコメント

nao より:

綾香さん、こんにちは!
以前、ティニエツ修道院について質問させていただいたモノです。

先日、2週間のポーランド旅を終えて帰国致しました。

交通機関・ホテル・観光、全てにおいて快適で過ごしやすく、とても素敵な旅を送ることができました♪

ティニエツ修道院へもクルーズで行ってきました。とってもお気に入りの場所になりました!

旅の途中、同じ様に綾香さんのブログを見ながら旅されてる方にお会いしましたょ!
我々のバイブルになってますっ(^^)

必ずまたポーランドへ行こうと思います!

お体に気をつけて、これからもポーランド情報のご提供よろしくお願い致します!

ありがとうございました♡

Ayaka より:

naoさん

こんにちは、管理人の綾香です。
以前ティニエツ修道院について質問されたとのことですが、コメント欄からメッセージを送っていただいたのでしょうか。
メールでは確認ができなかったものの、コメント欄の場合だと見逃していることがあります…。
もしきちんと回答できていなかったのであれば、申し訳ありませんでした。

さて、ティニエツ修道院への観光を楽しんでいただけたようで嬉しい限りです。
また、当ブログが参考になったとのこと、バイブルとまで仰ってもらえると照れてしまいます (^ ^)
現在は忙しくしているのでなかなか新しい記事が書けませんが、活動休止というわけではありません。
あと一ヶ月〜数ヶ月もすれば、落ち着いてくると思います。
ぜひ、引き続きこれからもブログ「ポーランドなび」をご愛読ください♪

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