実はおもしろい?”名詞の性”の考察と見分け方



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ここは、ポーランド語の先生でもない私がレッスンをするコーナーです。ん?と思った方はこちらをどうぞ。

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名詞の性?もう知ってるよ!と思った学習者の方もいるかもしれません。

しかし初級者の方はもちろんのこと、ある程度ポーランド語を学習している方もこの記事を読んでもう一度スタートラインに立ってみましょう。そしてこの記事では文法だけではなく、名詞の性についての面白い話もしようと思います。

 

このページの目次
1. 世界言語の “名詞の性”
2. 名詞の性の見分け方と例外
3. 男性名詞の複雑なルール
4. 形容詞と名詞の性を克服

 

世界言語の “名詞の性”

ポーランド語には一見ややこしく感じられるルールがたくさん存在します。

最も学習者が頭を抱えるのは “格変化” だと思うのですが、「もし名詞の性さえなければ、格変化を覚えるのも楽だったろうな…」なんて思ったりしませんか?多くの方は格変化というより、この名詞の性に悩まされているはずです。

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さて、皆さんもうっすらとご存知のように、名詞の性がある言語はなにもポーランド語に限ったことではありません。ポーランド語のように、男性名詞/女性名詞/中性名詞と3種類の性を持つ言語もあれば、フランス語のように、男性名詞/女性名詞の2つしか持たない言語もあります。どちらにしても日本語にはない特徴なので、「なんでこんなややこしいルールをつくったんだろう」と思われる日本人は多いでしょう。
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名詞に "性" を持つ国

ピンチアウトで拡大

では、この地図を見てみてください。

これは、世界中(地域)の言語がどれだけ ”名詞の性” というルールを持っているのか一目で分かる世界地図です。

の地域の言語には名詞の性という概念が存在しません。であれば2つ、は3つ、は4つ、そして●は5つかそれ以上の性を名詞によって使い分ける国ということになります。

ここから分かるのは、「たくさんの国や地域の言語は日本語のように名詞に性を持たないが、それに負けないくらいまた他の言語も名詞に性を持っている」ということ。つまり、”名詞の性” というルールがあること自体はヨーロッパの言語だけが持つ奇抜なルールではないのです。

 

なぜ、名詞に性があるのか

そこで次に上記のような疑問が浮かんで来る人もいるでしょう。

まず、”性” というのは “名詞カテゴリーの一種” と捉えてください。名詞に性を持つ言語がすべて、”男性” と “女性” の2種類しか持たないのであれば、完全なる名詞の擬人化による区別でしょう。ただポーランド語のように中性というどちらにも属さない性別を加えたり、それどころか4つ、5つ…と明らかに “性” の概念を超えた “名詞の性” というルールを持つ言語があることから、実際には “性” によって名詞が区別されているというより、 “属性=カテゴリー” によって区別されていると言った方が良さそうです。

そして実はなぜ、名詞に性があるのかという理由は分かっていません。

ギリシャ神話にも見られるよう、昔のヨーロッパではモノに対して性を当てるのは極めて自然なことであったからという説が有力です。しかしそれが次第に、男性と女性の概念だけに収まらず、どちらにも属さないようなモノに対しては中性とし、またポーランド語のように男性名詞の中でもさらに生物か無生物か、人間かまでを区別する言語も現れました。果たして、そこまでして名詞を区別しなければならないものなのか、そんなことをつい呟きたくなりますね。

でも、このように名詞をカテゴライズ(分類すること)することは大して不思議なことではありません。

私たち日本人も日頃から無意識に、言葉をカテゴライズしています。例えば「腹が痛い(お腹が痛い)」、「飯を食べる(ご飯を食べる)」では、前者は主に男性が使っているようなイメージがありますよね。このように “女性が使う言葉” と “男性が使う言葉” を区別したり、”やわらかい響き” と “かたい響き” を使い分ける日本語ですが、これもカテゴライズしている証拠でしょう。なので、世界中の多くの言語が名詞に特別なイメージを持っていること(=”名詞の性”)はいたって自然な現象ともいえます。

 

名詞の性の見分け方と例外

それでは、実際にポーランド語の性について詳しく解説していきましょう。
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男性名詞
(męski)
語尾が子音
女性名詞
(żeński)
語尾が -a または -ość
中性名詞
(nijaki)
語尾が -o, -e, -ę -um

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ポーランド語の名詞は、男性/女性/中性の3種類に分けることが出来ます。

それぞれ例外はあるものの基本的に名詞の最後の文字で区別することができるので、難しくはありません。例外だけ少し押さえておきましょう。

 

男性名詞の例外

★ -a で終わる男性名詞がある
1. kierowca(運転手), artysta(芸術家), satelita(従者), sprzedawca(販売人), parlamentarzysta(国会議員), pracodawca(雇用者), sędzia(裁判官), poeta(詩人) など職業を表すもの。
2. -ista で終わるイデオロギー的な名詞
komunista(共産主義)
3. その他
kolega(男性の仲間), tata(お父さん)

女性名詞の例外

★子音で終わる女性名詞がある
kolej(鉄道), mysz(ねずみ), myśl(考え), noc(夜), pieśń(歌), podróż(旅), rzecz(物), twarz(顔), wieś(村), sól(塩), nić(糸), gęś(ガチョウ), więź(紐),  wesz(シラミ), krew(血),  marchew(人参), jesień(秋)など。

中性名詞の例外

特になし

女性名詞の例外は暗記する必要がありますが、私が把握する限りはこの程度の例外です。女性名詞の “noc” は “dobranoc!” と言ったりするので、「そういわれると…」という感じですよね (^ ^)

補足説明
“dobranoc”(おやすみなさい)は “dobra noc”(いい夜)という形容詞+名詞の形を一体化させて生まれた単語。もし “noc” が見た目通り男性名詞であれば、”dobrynoc” だったでしょう。しかしそうならなかったのは、”noc” は女性名詞であり、”dobranoc” の “dobra” は “dobry” の女性変化形だからです。

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さて、この3つの名詞の性の中で最も注意したいのは男性名詞です。
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1. 男性人間名詞:męski osobowy
2. 男性有生名詞:
męski nieosobowy żywotny
3. 男性無生名詞:
męski nieosobowy nieżywotny

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男性名詞はさらに上記の3つに分けることが出来ます。ただし、これら自体は文字通りの分類なので何もややこしくはありません。例えば、人の名前/少年/男…は人間名詞、人間以外の生き物を指すライオン/犬/猫…はすべて有生名詞、そして家/パソコン/絵…など無生物はすべて無生名詞といった具合です。

それでは何が大変なのか…?次の項目で触れていきたいと思います。

 

男性名詞の複雑なルール

男性名詞特有の人間名詞/有生名詞/無生名詞は、どのようなシーンで区別する必要があるのでしょうか。

それは格変化のとき。

(1). 主語を表す主格 
(2). 所有を表す生格 
(3). 間接目的語を表す与格 
(4). 直接目的語を表す対格 
(5). 手段や方法を表す造格 
(6). 場所を表す前置格 
(7). 呼びかけを表す呼格

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この内、人間名詞/有生名詞/無生名詞が関係するのはまず、①主格の複数形、②生格の単数形、③対格の単数形と複数形、④呼格の単数形。

なんだか溜め息が出そうですが、ここさえ乗り越えられれば格変化の山は越えたといってもいいでしょう。

上記の①〜④の場合、人間名詞/有生名詞/無生名詞のどれであるかによって語尾の変化が変わってきます。もっとも、人間名詞と有生名詞は “どちらも生きている” ということで、同じグループに属することが多く常に3つも器用に使い分ける必要はありません。

ただ困ったことにこの語尾変化には例外が多数存在し、そのようなものは暗記しなければならないこと。例えば、無生名詞は語尾を変えないというルールを持つ対格では、”laptop”(無生名詞:ノートパソコン)は “laptop” のままであるべきなのに多くのポーランド人は “laptopa” と有生名詞かのように語尾を変えます。一部のポーランド人はそれがおかしいことに気付いており、「”laptop” は無生名詞だから “laptopa” ではない」と主張する人もいますが、やはり “laptopa” が普通。

他、ぬいぐるみを指す名詞は生き物のように扱いますが、”kotlet”(ポーランド風カツレツ)もなぜか有生名詞のように扱う人が多いです。私がそのことを敢えて指摘すると、「あぁ、そういえばおかしいね!」と言われたり…。

このレッスンは “名詞の性” についてなのでこれ以上格変化のことには触れませんが、男性名詞は注意して使う必要があることは覚えておきましょう。

 

形容詞と名詞の性を克服

ちょっとポーランド語の文が作れるようになってきた時、誰もがやる間違いといえば特に会話で「形容詞と名詞の性が一致しない」というケアレスミス。

ここまでは名詞にフォーカスを当ててきましたが、ポーランド語では名詞の性によってその前に来る形容詞も変化させる必要が出てきます。形容詞でよく使う単語といえば、英語の “the”(その:特定の意味) にあたる “ten(男性)/ta(女性)/to(中性)” ですが、これを例にすると、”Ta Książka”(その本)と言うべきところを “Ten Książka” と言ってしまったり、そんな単純な間違いは学習者の間ではよく見られること。私も未だにそのようなミスをすることがあります。

“名詞の性” の概念がない日本語を話す私たちは、最初のうちは性のルールについて理解するので精一杯。それに加えて、さらに形容詞にまで思考を回すのは結構大変です。やはり、間違えてしまうのは当然かもしれません。でも出来れば正しく使いこなせるようになりたいですよね。そこで、個人的に最も有効だと思う間違い対策を紹介しましょう。それは、

名詞を覚えるときは常に、Ten/Ta/To、この内のどれかを頭につけて覚える癖を付けること!

形容詞と名詞の性が一致しないのはそもそも形容詞から名詞の性を意識していないために起こる間違いです。これを防ぐには、名詞を言う前に既にその性を意識するしかありません。名詞を思い浮かべてから性を特定するのでは遅いです。だからといって、人間以外を指す名詞に無理矢理「ライオンは強うそうだから男性で、子豚は小さいから中性で…」なんていうのは限界にも程がある覚え方。

しかし、普段から  “Ten kubek” “Ta gazeta” “To mleko”、と常に形容詞を意識するようにしていればケアレスミスは一気に減ると思います。私も今はなるべく形容詞+名詞の形で名詞を使ったり、思い浮かべるようにする癖を付けてきたので間違いは減ってきました。ポーランド語を話していて、「形容詞と名詞が一致せず、言い直すことが多い」と言う方はぜひこの方法を一度お試しください。

 

最後までお読み頂きありがとうございます☆
あやか
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