正しい発音ができるように…音声学の基本 後編



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ここは、ポーランド語の先生でもない私がレッスンをするコーナーです。ん?と思った方はこちらをどうぞ。
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前回の「音声学の基本 前編」の続編として書いています。音声学についての基礎的な知識がないと分かりづらい内容になっているので、前編を読んでいない方は先にこちらをご覧ください。

正しい発音ができるように…音声学の基本 前編

2015.12.04

 

前編では「発音練習は音声のルールを学習してからの方が絶対に楽になる」と断言しましたが、あまり首を深く突っ込みすぎるとかえって余計な知識になりかねません。「全部覚えて実践しよう」というスタンスではなく、「あ、だからポーランド人が言っている時はそう聞こえるのか」「本当にそうかな?今度ポーランド人と話したら、ちょっと観察してみよう」くらいの気持ちで読んでください。

 

このページの目次
1. 前回のまとめ
2. 共鳴音の発音のしかた
阻害音の発音のしかた
3. 閉鎖音/破裂音
4. 摩擦音
5. 破擦音

 

前回のまとめ

こまかい説明は省略して必要最低限の要点だけまとめました。ちょっと曖昧な方は前編で復習してください。

ポーランド語の母音:a, e, i, y, o, u/ó
硬子音:軟子音以外の子音
軟子音:i の音がある音や拗音
共鳴音:鼻音、流音、半母音の総称
鼻音:m, n 流音:r, l
半母音:ł, j
阻害音:有声音と無声音に区別ができ、またこれとは別に閉鎖音、摩擦音、破擦音に分けることができる
有声音:声帯が振動する音
無声音:声帯が振動しない音
閉鎖音/破裂音: p, pi, b, bi, t, d, k, ki, g, gi
摩擦音:f, fi, w, wi,
s, z, sz, ż, rz, ś, ź, ch, h, chi

破擦音: c, dz, cz, dż, ć, dź

これらの知識を踏まえた上で、今回の記事で私がまとめたのは、より正しくポーランド語を発音するためのコツです。ただし繰り返し言いますが、すべてを一度に実践しようとはしないでください。ポーランド人になりきりたい人は別として、根本的に異なる国の言語なので発音を100%正しく出来る方がすごいことです。日本語訛りのポーランド語でも正しく文章が作れれば十分。

それでも「正しく発音して」と言われたとき、それが出来る能力があるのに越したことはありません。普段からポーランド人のように話そうと無理に矯正していると、キャパシティ不足になって文を作る正確さやスピードが疎かになりがちです。それならば「正しい発音は一応できるけどもし聞き返されたら、今度は意識して正しい発音で答えられるようにする」くらいで丁度いいのではないでしょうか。特に上級者でなければ…。

ちなみに私の場合、b/w, r/l , f/ch は日常的に使い分けられますが、他は指摘されれば正しく発音して答え直します。でもポーランド人もそこまで意地悪ではないので、ほとんど指摘されません。

それでは実際に見ていきましょう。

 

共鳴音の発音のしかた

共鳴音 m, mi, n, ń/ni, r, l, ł, j
鼻音 m, mi, n, ni/ń
① m/n は i の前では軟音
② m/n は y や子音の前、語末では硬音
③ mi/ni + 母音のとき、i は軟音化記号
④ mi/ni + 子音のとき、i はハッキリ発音
※ ń は子音の前か語末に綴る

鼻音 m/n はどんな音?

発音方法
m/n は日本語と同じように発音しても問題ありませんが、mi/ni + 母音の組み合わせではこの i は j の発音になります。例えば、miecz(ミエチュ:剣)と miska(ミスカ:お椀/ボウル)では前者の i の方が軟らかい音。この違いがよく分からないという方は半母音の発音方法の欄を読んでください。また、子音+i+母音の発音で真ん中が j の発音になるのはすべてのアルファベットに言えることです。

流音 r, l
① r/l は i の前では軟音化する
② ri/li + 母音は rj/lj + 母音と同じ発音
③ 通常、外来語にのみ r の後に i が来る
④ l は硬化子音なので後に y は来ない

流音 r/l はどんな音?

発音方法
l は上の歯茎に舌先を付けて「ラ」と発音し、r は舌をどこにも付けないようにして発音します(英語と同じ)。多くの日本人は両者の区別ができないため、ここを間違えると笑われたりすることもしばしば…。ポーランド人も日本語の「ラ」が苦手ですが。しかし、r/l に関してはこれらの区別が出来ないと単語の意味が変わることもあるので必ずマスターしましょう。もし、l の 「上の歯茎に舌先を〜」というのがピンと来ないのであれば、まず舌を上の方向にまるめ、そのとき硬口蓋に接近する舌の裏側の部分を硬口蓋にべったり付けるようして「ラ」と発音してみてください。こちらの方が簡単に l を発音できるかもしれません。r は日本人の「ラ」の発音がさらに強くなって巻き舌のような音になります。ただ日本人の「ラ」はいずれにしても r なので無理に矯正をする必要はありません。

半母音 ł, j
① ł の後には i は来ない
② ł は「ウ」と発音される
③ j は、日本語のヤユヨの頭の子音

半母音 ł/j はどんな音?

発音方法
ł は英語やローマ字の w の音です。もし日本人が「ワイウエオ」と言うと、ポーランド人には “ła/i(łi の組み合わせはない)/u=ł/łe/ło” に聞こえます。ポイントははっきり「ワ/イ/ウ/エ/オ」の音を出さないこと。あくまで流れるように「ワイウエオ」と発音してみると、母音のみ発音した「エ/オ」とは違って「ウェ/ウォ」のような発音なっていると思います。これが “łe/ło” の音。鎌倉時代辺りまでは日本人もこの「ウェ」と「ウォ」を使い分けていたそうですが、今では「エ/オ」の音に変わってしまいました。特に難しい発音ではないのですぐに習得できるでしょう。
j は i とほぼ同じ音。ただ、j が子音であることを覚えておいてください。j と i の発音の使い分けは意識をしなくても自然と出来ている人が多いようですが、方言などクセによっては出来ない人もいます。例えば、mianownik(生格)の “ia” は i が母音の前にあるので “ja” の音になります。これを「ヤ」とみなして「ミヤノヴニク」と言うのは不正解、「ミァノヴニク」と言った方がポーランド語的には正解です。日本語で「ニァーニァー」という文字を見せられて「ニャーニャー」と同じような発音になってしまう人は要注意。

 

閉鎖音/破裂音

阻害音:閉鎖音/破裂音
p, pi, b, bi, t, d, k, ki, g, gi

無声音 p – 有声音 bpi, bi
① p/b は i の前では軟音
② pi/bi + 母音のとき、i は軟音化記号
③ pi/bi + 子音のとき、i はハッキリ発音
◆日本語のパ行/バ行と同じです。子音のみの発音にだけ注意しましょう。

無声音 t – 有声音 d
通常、外来語にのみ t/d の後に i が来る
◆日本語のタ行/ダ行とほぼ同じです。子音のみの発音にだけ注意しましょう。

無声音 k – 有声音 gki, gi
① k/g は i の前では軟音
② ki/gi + 母音のとき、i は軟音化記号
③ ki/gi + 子音のとき、i はハッキリ発音
◆k/g は日本語のカ行/ガ行と同じです。子音のみの発音にだけ注意しましょう。

 

摩擦音

阻害音:摩擦音
f, fi, w, wi, s, z, sz, ż, rz, ś/si, ź/zi, ch, h, chi

無声音 f – 有声音 wfi, wi
① f/w は i の前では軟音
② fi/wi + 母音のとき、i は軟音化記号
③ fi/bi + 子音のとき、i はハッキリ発音

阻害音・摩擦音 f/w はどんな音?

発音方法
fa/fi/fe/fo の場合 ファ/フィ/フェ/フォ と日本語のように発音しても若干発音が違うだけで通じますが、f/fu の場合は要注意。日本語の「フ」は ch/h の音です。「ハヒフヘホ」と発音してみると上の歯と下の歯は触れていないことが分かりますが、f では前歯を下唇の裏側または乗せるようにしてに軽く触れるようにし、そのすき間から「フ」という音を出します。ファ/フィ/フェ/フォを発音するときは自然に前歯を下唇に付けている人が多い(日本語のハ行の口ではやや発音しにくいため)ので、この要領であまり口を大きく開けないようにして発音してみてください。w は f の有声音なので発音の仕方はいっしょです。f と同じ要領で「ヴ」と発音します。

無声音 s – 有声音 zsi/ś, zi/ź
① s/z は i の前では軟音
② si/zi + 母音のとき、i は軟音化記号
③ si/zi + 子音のとき、i はハッキリ発音
※ ś/źは子音の前か語末に綴る

阻害音・摩擦音 s/z はどんな音?

発音方法
s は日本語のサ行の発音でも問題ありません(他に似ている音がないため)が、z をザ行で発音すると dz に聞こえてしまいます。というわけで、s は特に矯正する必要はありませんが、z を矯正するためには s を正しく発音できてからにした方がいいでしょう。まず、日本語の「ス」を発音すると唇は突き出すような形になりますが、これはポーランド語の s でも同じ。これと同じ唇の形になるようにして、歯を軽く閉じ舌先を前歯の裏に付け「スーー」と息が続く限り発音してみてください。このとき、寝ているときのスースーのような感じで声を出さないようにします。これが s の音。z は s の有声音などで同じ要領で「ズー」と発音してみてください。舌先に振動を感じればそれが z の音です。

無声音 sz – 有声音 ż/rz
① sz/ż/rz の後には i は続かず、y が来る
② sz/ż/rz は軟口蓋化が見られる

阻害音・摩擦音 sz/ż/rz はどんな音?

発音方法
ż/rz は両方同じ発音。sz と siu は同じ「シュ」に聞こえますが、日本人の「シュ」の音は siu に近いです。sz を発音するときは舌先の位置に注意。ふつうに「シュ」と発音するときの舌はどこにも当たっていません。しかし sz では舌先が硬口蓋〜歯茎後部に軽く触れ、英語の sh と同じ発音になります。有声音の ż/rz は sz の要領で「ジュ」と発音します。これもふつうに「ジュ」と発音すると dziu に聞こえてしまうので練習しておきましょう。ちなみに ż/rz は k/ch/p/t の後だと非常に発音しづらいので、この場合はポーランド人でも sz と発音します(有声音の無声化)。

無声音 ch/h – 有声音なし
◆日本語のハ行と同じです。子音のみの発音にだけ注意しましょう。

 

破擦音

阻害音:破擦音
c, dz, cz, dż, ć/ci, dź/dzi

無声音 c – 有声音 dzć, dź
① c/dz は i の前では軟音
② c/dz + 母音のとき、i は軟音化記号
③ c/dz + 子音のとき、i はハッキリ発音
※ ć/dź は子音の前か語末に綴る
◆日本語のツ/ヅと同じです。子音のみの発音にだけ注意しましょう。

無声音 cz – 有声音

阻害音・破擦音 cz/dż はどんな音?

発音方法
英語でも相当する音がない音ですが、これは出来なくても特に問題ありません。日本人がふつうに「チュ/ヂュ」と発音すると ciu/dziu の音。つまり czekolada:チョコレートと日本人が発音すると ciekolada に聞こえるわけですが、cz/dż を ciu/dziu と発音したところでコミュニケーション上はまったく問題がない場合がほとんどです。正確に発音するにはまず、sz と同じ要領で舌先を硬口蓋〜歯茎後部に付けておきます。そして次に舌先を付けておいた部分から「チュ」と言いながら下の方向へ思いっきり離します。これが cz の音。難易度が高いとは言いましたが、この音を一旦つかんで慣れてしまえば簡単です。 は cz の要領で「ヂュ」と発音します。

 

お疲れさまでした

発音に関してはこのレッスンで最後にしたいと思います。長かった〜!!

ポーランド語の発音について、ここまで詳しく説明しているのはおそらく、私の書いたこの記事くらいでしょう。皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

 

最後までお読み頂きありがとうございます☆
あやか
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