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【5分で分かる】ポーランドが安全でテロ脅威度が低い理由をデータで解説

ポーランドの国旗
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クラクフ市公認ガイドのカスプシュイック綾香(本名)です。2014年以降、ポーランド在住。ガイド・通訳業の傍ら、旅行や生活に欠かせないポーランド情報をお届け中!
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この記事の内容
 近年ヨーロッパでのテロは増加傾向にありますが、標的になりやすい国となりにくい国はハッキリしています。まだイスラム過激派によるテロが一度も発生していないポーランドは後者のほう。
 
 当記事ではエリアをヨーロッパに絞り、テロ関連情報を分かりやすくお伝えします。テロが起こりやすい国の特徴を知れば、ポーランドでテロが起こりにくい理由が見えてくるでしょう。
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危険
この記事の目次
ポーランドのテロ脅威度はゼロ
ほか欧州でのテロ発生状況
移民の多い国が狙われやすい?
ポーランドでテロが発生しない理由
ポーランドのテロ防止対策
ポーランドは本当に安全なのか
この記事のまとめ


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ポーランドのテロ脅威度はゼロ

ポーランドの旗 ポーランドは欧州各国の中でも特に治安が良く、テロの脅威度は限りなく低いです。

国内でのテロ組織や反政府組織、イスラム過激派なども確認されていません。
テロ脅威度が引き上げられるとしたら、(万が一の事態に備え)国際的大イベントや会議などが行われる期間のみとなっています。

5年以上ポーランドに暮らす私から見ても、「ほかのヨーロッパと比べて、なんて平和で穏やかな国なんだろう」という印象。

ただ平和ボケしているところもあり、EU加盟国間は国境移動が自由という面からも危機管理が必要なのは言うまでありません。

(1)ポーランドのテロ情勢
 テロ組織,反政府組織,国際的テロ組織に関連する組織の活動は確認されていません。
ポーランドの治安機関は,平時の国内のテロ脅威レベルを最低ランクのゼロと評価しており,COP24(2018年,於:カトヴィツェ),第二次世界大戦開 戦80周年記念式典(2019年8月)などの大規模国際会議がポーランド国内で開催された際に一時的にテロ警戒レベルがALFA(5段階の内のレベル1) に引き上げられたことはありましたが,いずれも具体的な脅威情報に基づかない予防的措置でした。
 
 一方,ポーランドは,米国などと協調して「テロとの戦い」に参加しており,アル・カーイダ(AQ)やイラク・レバントのイスラム国(ISIL)等のイスラム過激派組織から攻撃対象として名指しされています。また,ポーランド出身の外国人テロ戦闘員の存在も確認されており,ISILのイラク,シリアでの勢力退潮に伴い,出身地への帰還が懸念されています。
(2)誘拐情勢
ポーランドで発生する誘拐事件は身代金目的のものが大半であり,テロ組織や反政府組織による誘拐,拉致事件は発生していません。
EU加盟(2004年)以降,EUの支援を受けた治安機関が取締を強化したことなどから,状況は改善しており,当地で外国人が誘拐事件に巻き込まれる可能性は低いといえます。
2019年に邦人を標的とした誘拐事例は確認されていません。富裕層は身代金目的の誘拐の潜在的標的となっており,過去には,違法なビジネス等に関与した外国人(中国人,ベトナム人,パキスタン人,バングラデシュ人等)が誘拐事件に巻き込まれた事例もあります。
 
引用元 外務省海外安全ホームページ

2016年12月19日夜、ドイツの首都ベルリンのクリスマスマーケットで大型トラック1台が突っ込むというテロ(死者12名、負傷者56名)が発生しました。事件の4日後である23日、テロ組織ISに忠誠を誓うチュニジア人のアニス・アムリ容疑者(24)がミラノで射殺されています。

そして記憶に新しいこのテロ、最初の犠牲者はもともと大型トラックを運転していたポーランド人男性だったと推測されています。遺体にはトラックを奪った実行犯の行動を阻止するために争ったとみられる形跡があり、運転手は何度もナイフで刺されたあとに銃で射殺されました。

❶12月19日午後12時頃
ポーランド人のトラック運転手はイタリアからベルリンの倉庫へ到着。倉庫は事件現場に近いベルリンの地区にあり、運転手はそこに資材を届けるよう言われていた。しかし、倉庫を管理していたとされるドイツ人が「今は特別な期間だから倉庫は閉まっている。1日待たなければここには入れない」と言うので、運転手はそのことをポーランドの運送会社のオーナーに電話で伝えた。
 
❷12月19日午後16時頃
妻が運転手に電話をかけるが繋がらない。このため、殺害されたのは同日午後12時〜16時と推定。トラックに搭載されていたGPSの記録によると、午後3時45分頃、何度もトラックが発車した形跡があり、これはトラックを奪った容疑者が運転の練習をしていたためと考えられる。
 
❸12月19日午後20時頃
資材を積んだ40トントラックが時速60キロで屋台をなぎ倒し、買い物客を巻き込んでマーケットに突っ込む。実行犯はポーランド人運転手(突っ込んだのは実行犯)を殺害し、そのまま逃走。

 

ほか欧州でのテロ発生状況

ヨーロッパの旗 テロが懸念される国といえばフランス、イギリス、ドイツ、ベルギーなど日本人の海外旅行先としても人気の高い国が挙がります。

その中でも断トツでテロ発生件数が多く、かつその規模も大きいのがフランス
いずれの国も大規模なテロが発生した場合にはテロ脅威度が一時的に暫く上げられます。

下記、2020年6月時点での過去5年分の情報をもとに、テロが複数回発生した国をまとめたので参考までにご覧ください。

テロ発生件数が多いヨーロッパの国
(政府がテロの可能性が高いと発表した事件を含む)
発生国 発生件数 負傷者/死者合計
フランス 18 約600人/230人
イギリス 7 258人/37人
ドイツ 7 約25人/約80人
ベルギー 6 約350人/32人
オランダ 4 7人/4人
スウェーデン 2 15人/4人

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移民の多い国が狙われやすい?

パスポート一般的な事実として、イスラム系の移民が多い国はテロの標的になりやすいです。

欧州で発生するテロはイスラム国に関連する事件が多いですが、イスラム聖戦主義者と戦っている国でかつ多様な人種が目立つ国だと狙われやすい、これは明らかなこと。

外国人が目立つような国より誰が敵かも分からないような国で計画する方が仲間も集まりやすく、実行しやすいからでしょう。

テロ実行および未遂/計画を理由に逮捕された人は2017年で975人(うち705人はイスラム教徒)、2016年は1,002人(うち718人はイスラム教徒)でした。

主なヨーロッパの外国人の割合
(出典:Share of foreign nationals in EU 2018
国名 2012 2018
オーストリア 11.2% 15.7%
ベルギー 11% 12%
ドイツ 9.1% 11.7%
スペイン 12% 9.8%
イギリス 7.6% 9.5%
イタリア 7.9% 8.5%
フランス 5.9% 7%
ピオトル
上記のデータはあくまで外国籍を持つ人の割合であり、移民の割合を示すものではありません。特にフランスやイギリス、ドイツは帰化した移民も含めるとかなりの(元)外国人が住んでいるはずです。
あやか
イスラム教徒といっても宗派が多くあり、テロで問題となっているのは過激派です。過激派のイスラム教徒(アルカイダ系とイスラム国系)とそうでないイスラム教徒を混同しないようにしましょう!

 

ポーランドでテロが発生しない理由

ポーランド テロが発生しやすい国は中東やアフリカからの移民が多いですが、一方、ポーランドは外国人の割合がとても少ない国です。

2018年のポーランドにおける外国人の割合はなんと、EU加盟国28ヵ国中27番目でおよそ0.6%(2020年時点の加盟国数はイギリスが脱退したため27ヵ国)!

イスラム教徒過激派の人々の外見は大多数が中東系となりますが、確かにポーランドでは中東系の人たちを滅多に見かけません。

先にも書きましたが、外国人が多い国はそうでない国と比べてテロ計画が容易であり、結果的に狙われやすくなります。
国民の96%以上がスラブ系であるポーランドでの犯行は困難と言わざるを得ません。
ポーランドがシリア難民を受け入れない理由

 

ポーランドのテロ防止対策

ポーランド警察 2016年夏に国内で開催されたワールドユースデー(カトリック最大規模の国際イベント)を機にテロ対策が強化されました。

2016年3月にベルギーで大規模な連続テロが発生した当時、国家防衛担当のブロホヴィチュ氏は「ポーランドは過激派の標的にはならないだろう」と発言しています。

それでもワールドユースデーでは世界各国から何十万人もの人々が一気に入国することが予想されたため(実際の参加者はおよそ300万人)、厳重な警戒態勢が敷かれました。

2016年4月には書類84頁に及ぶ新たなテロ対策法制が発表されています。
テロの可能性がゼロにならない限りは、今後も必要に応じて強化されいくでしょう。
ポーランド国内でのテロ防止において、
 
❶ 情報共有を防ぐため、特定の場所でのインターネットや電話の使用制限が可能。
❷ 裁判所の許可なしに個人データやブラウザの履歴、位置、活動を監視することができる。
❸ 特定の出身地や民族の外国人はいつでも盗聴または指紋採取の対象となる可能性がある。
❹ 国籍問わず、外国人がプリペイド式のSIMを購入する場合はIDを提示する。
❺ 容疑者の捜査は深夜・早朝も可能(従来は22時から6時までの捜査は禁止されていた)とし、確保すべきとなった際は14日間拘留する。
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ポーランドは本当に安全なのか

ポーランド ポーランドでテロが発生する可能性は極めて低いとされていますが、だからと言って100%安心できるわけではありません

油断ができないからテロ対策法制を整える必要があり、場所がポーランドであろうがフランスであろうが “いつどこにいても何が起こるかは誰にも分からない” のです。

ただポーランドはヨーロッパの中でも特に安全な国、これは一般的な事実。

「ヨーロッパに行ってみたいけどテロが怖い」と思う人がテロに遭遇するリスクを最小限に抑えたいのであれば、ポーランドを選んでみてもよいのではないでしょうか。

最後に、外務省の海外安全ホームページに記載されている注意勧告を転載します。

近年では,単独犯によるテロや一般市民が多く集まる公共交通機関等を標的としたテロが頻発するなど,テロの発生を予測し未然に防ぐことがますます困難となっています。このように,テロはどこでも起こり得ること,日本人が標的となり得ることを十分に認識し,テロの被害に遭わないよう,海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

引用元 外務省海外安全ホームページ

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この記事のまとめ
アイコン 一度ヨーロッパのどこかでテロが発生すると、遠く離れたところに住む日本人にとってはヨーロッパ全体が危ないように感じてしまうかもしれません。しかしデータで見ると、そのほとんどがフランスやイギリス、ドイツなど西欧諸国で発生しており、似た特徴があるのが分かります。

 一方、ポーランドは外国人が目立つ国であるため、イスラム過激派の標的にはなりにくいと言えます。それでも国境があってないようなシェンゲン圏である以上、テロ行為関係者の通り道になる可能性は否めません。今後のポーランドの安全はもちろん、ヨーロッパでこれ以上悲惨なテロが起こらないことを願うばかりです。

ポーランドがシリア難民を受け入れない理由

 

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6件のコメント

東條冨夫 より:

ポーランドはショパンの國として親しみを持った程度で國としての知識が少なかったのでポーランド行きの勉強になりました。

Ayaka より:

冨夫さん
当サイトはポーランド情報満載です!
これからのポーランド旅行に備えて引き続きよろしくお願いします m(._.)m

車谷 眞次 より:

漠然と、海外のこと見ていてこちらにたどり着きました
ポーランドってサッカーぐらいしか知りませんでしたが、魅力を感じる国ですね
いつかは行ってみたいと思いました

Ayaka より:

はじめまして、車谷さん。

私のホームページを偶然発見されたのですね!
私の書いた記事を読んでポーランドに魅力を感じていただけたとは嬉しい限りです! (*^^*)
それにしても、ポーランドといえばサッカーというのも珍しい組み合わせですね。もしかしたら前回の欧州選手権がきっかけでしょうか?
直航便も今年から飛んでいるので、ぜひいつかお越しください!

車谷 眞次 より:

返信ありがとうございます
日本に住んでいるとなかなかヨーロッパの複雑な状況が解りませんが(平和ボケ、、笑)
ポーランドの人達が、日本に好感を持っているのにも驚きました、
日本の良さをもっと大事にしないとだめだなと思います

サッカーは印象に残っているのが前回の欧州選手権ですね
もっと古い所では、バレーボール男子で確かバックアタックを初めて取り入れたのがポーランドの選手だった様な、、、
ホームページをまだ全て見れていないので、少しづつ楽しませて頂いています。
ポーランドが今、マイブームです

Ayaka より:

お返事が遅くなってしまいした。

「日本に住んでいるとなかなかヨーロッパの複雑な状況がわからない」というお言葉にハッとしました。
政治について書くのは賛否両論あると思うのですが、実はポーランドは他メディアから言われたい放題、誤った捉え方をされることが多いです。
日本で暮らしている方でポーランドの政治に興味のある方は少ないと思うのですが、在留者の方のためにもまた何か解説していけたらな…と思いました。

ポーランドが今のマイブームとのこと、嬉しいお言葉です!
これからも私は地道にここでポーランドの魅力を伝えていきますので、どうぞよろしくお願いします。
本当はバレーボールのことも書きたいんですけど、ルールすらあまり知らないので…。
これではダメですね。
もっともっとたくさん勉強しなければなりません ^_^;

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