ポーランド語は超難解言語ではありません 前編



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ポーランド語はスラブ語の一種であり、文法は比較的ロシア語に近いと言われます。ただしロシア語より難易度はあがると一般的に言われており、キリル文字ではなくラテン文字が使われます。

今回はそんな、超難しいと噂されるポーランド語の特徴をまとめました。


このページの目次

1. 名詞は5つに分類される
2. 名詞と形容詞は格を持つ
3. 2つの動詞のアスペクト
4. 動詞変化は最高54通り

 

名詞は5つに分類される

名詞には性別があります。

例えばキリンは男性、パンダは女性、ブタは中性…といったように、すべての名詞はこの3つの内のどれか1つの性(ごく稀に2つ)を持っています。

 

男性名詞は3種類

そして男性名詞はさらに、”人間以外の生き物を表す男性有生名詞”、”無生物を表す男性無生名詞”、”人間を表す男性人間名詞” の3つに分類されます。

男性名詞(3種類)
(1). 人間以外の生物を表す有生名詞
(2). 無生物を表す無生名詞
(3). 人間を表す人間名詞
女性名詞(種類なし)
中性名詞(種類なし)

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つまり、名詞の種類は合計5つに分けられるということ。

基本は男性・女性・中性の3つですが、特に後述の生格と対格では男性名詞の種類を見分ける必要があるので注意しなければいけません。

でも名詞の性を区別する方法は、とってもかんたん。若干の例外はあるものの名詞の語尾に規則性があります。

万が一、例外に出くわして間違ったとしても、意味はちゃんと伝わるので大丈夫。性別を間違えただけで文の意味が変わってしまうことはありません。

実はおもしろい?"名詞の性"の考察と見分け方

2016.02.17
こぼれ話
名詞に性別がある、というのは日本人には理解し難いのですが、なにもポーランド語に限った話ではなく、ヨーロッパの多くの言語がこの特徴を持ちます。ちなみに日本語では、モノや生き物など数える対象によって、枚、匹、尾、頭と数え方を分けたりしますが、これも実は、多くの外国人からすると理解し難い日本語の特徴です。

 

名詞と形容詞は格を持つ

名詞には7つの格があり、形容詞もそれと合わせるように変化します。格とは何か、日本語にも英語にもない文法なのでちょっとピンと来ないですね。

例えば日本語では、名詞の語尾に「~は、~に、~の…」 と助詞を付けることによって文を構成します。

それをポーランド語では “格” といいますが、難しく考える必要はありません。

機能的には日本語の助詞。日本語は「わたし+は」としますが、ポーランド語は「わたしは」とするだけです。

でもちょっと厄介なのが、名詞と格を対応させる上で名詞の語尾を少し変えないといけない場合があること。

これは「わたし+は」とせずに「わたしは」とくっつけてしまうからで、このとき、名詞の音によってはそのまま格をくっつけてしまうと発音がしにくくなるからです。だから、発音しやすいように語尾を変える必要があるんですね。

こういった現象は日本語の「観音(◯かんのん ×かんおん」や「風向き(◯かざむき ×かぜむき)」に見られるような音の変化と同じことです。

最初は慣れるのに大変ですが、それでもきちんとルールがあるので焦らず確実に覚えていくようにすれば大丈夫。

また男性名詞の場合は、人間名詞か非人間名詞かなど名詞の意味によって数パターンと分かれることがあるのでさらに頭の中が混乱しがちです。こういったものはルールを覚えるよりクセで自然と言えるようになるまで練習するのが最も効果的かもしれません。

 

7つの格の種類

7つの格とは以下のものを指します。

(1). 主語を表す主格 
(2). 所有を表す生格 
(3). 間接目的語を表す与格 
(4). 直接目的語を表す対格 
(5). 手段や方法を表す造格 
(6). 場所を表す前置格 
(7). 呼びかけを表す呼格


よく「ポーランド語には7つもの格があるから大変だ」と言われますが、わざわざ覚える必要があるのは6つ

最後の呼格は現代ポーランド語では廃れており、人や月、神様などに向かって呼びかける場合しか使われません。

なので、呼格に限っては必死に覚える必要はないのです。
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下の表は「少年」という男性人間名詞単数形の格の対応表です。右側の日本語については参考程度であり、常にこのように訳されるわけではありません。

主格 chłopak 少年は
生格 chłopaka 少年の
与格 chłopakowi 少年に
対格 chłopaka 少年を
造格 chłopakiem 少年と
前置格 chłopaku
呼格 chłopaku 少年!

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さて、この表をよーく見ると気付くことが2つありますね。

まず生格と対格が同じであること、2つ目に前置格と呼格が同じであること。

ここからも分かるように、7つの格があるからといって1つの単語につき7通り(複数形を考慮すると14通り)の表し方があるのかというと、決してそうではないので安心してください。

ちなみに上に挙げた表は男性人間名詞単数形なので無生名詞や他の性になると、またルールは異なります。

それぞれの対応表を見ると悲鳴をあげたくなるかもしれませんが、先ほども言ったようにまずは対格、次は造格…といったように1つずつこなしていくのがコツ。ゆっくり覚えていきましょう。

 

2つの動詞のアスペクト

ポーランド語のほとんどの動詞には2つのアスペクトというものがあり、1つの動詞は2ペアとなります。

 

アスペクトの概念

アスペクトとはあまり聞き慣れない用語ですが、日本語でいうと「食べる—食べている」などの「〜ている」の部分。

これは、動詞の表わす過程・状態などが、その時間的経過に関係なく全体として捉えられるか、それとも時間的経過が問題とされるかの差異を示すものです。
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私なりに簡単に説明してみましょう。

例えば「本を書いた」と、誰かが言ったとします。通常日本語では「本を書いた」とだけ言われても、それが指す意味は、「本の全てを書き終えた」なのか「本の一部を書いた」なのかまでは、補う語や文脈がないと分かりません。

しかし、ポーランド語には「書く」という動詞を表す用語は2種類、napisać(完了体)/pisać(不完了体)があります。

完了体であれば、「 napisłem =全てを書き終えた」という意味、不完了体であれば「pisałem =一部を書いた/終わったか終わってないかは焦点には入っていなく、”書いた”という行為を強調している」という意味になります。

不完了体をつかう場合
日常的なことや連続して行われることを示すとき、または何かの最中であったり行為そのものに焦点が置かれているとき。(例:毎朝9時に出勤する、今掃除をしている)

完了体をつかう場合
既に終わったことや、これから先に終わるであろうことを示すとき、または終わらせることに焦点を当てているとき。(例:今からご飯を食べる、明日までに読む)

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つまりポーランド語の動詞は動作や状態のみを表すのではなく、微妙なニュアンスをも表現できるということです。

補足説明
napisać/pisać は「書く」の基本形。「書いた=(na)pisałem」 と łem が付くのは łem は、男性単数1人称過去形の場合に用いる語尾のため。変化させるときは、ć を外す。

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完了体か不完了体かによって動詞が変わる(書く=napisać/pisać のように) ので、1つの単語につき2種類ペアで覚える必要がでてきますが、そこまで大変な作業ではありません。

接頭語があるかないか、語尾はどんな形か、この2つの要素でどちらかの判断がつくことが多いです。

行くってちゃんとポーランド語で言えますか?

2016.04.22

不完了体?完了体?アスペクトの疑問を解決

2016.02.29

 

動詞変化は最高54通り

ポーランド語は「私は/私たちは/あなたは…」と、主語や指示代名詞をわざわざくっつけなくても動詞の語尾で人称や性別、時制が分かる言語です。

※性別を考慮するのは過去形のみ

人称は9つあり、動詞に対応させる性別は3つ。この場合、男性名詞を分けて考える必要はありません。

これは日本語にも英語にもない特徴なので、個人的には面白いと思います。
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実はとても合理的な特徴

具体的に説明していきましょう。

日本語では、「野菜が好きです」という文だけをポンと置かれても、誰が好きと言っているのか分かりませんよね。

たいてい日本語は主語が省略されるので「(私は)野菜が好きです」と解釈する人が多いでしょうが、必ずしも「私」がそう言っているとは限りません。

しかし、ポーランド語の場合、この「好き」という動詞の語幹にそれぞれの人称(と性別)に対応した語尾をくっつけて、野菜が好きなのは誰なのかを一目で判断できるようにします。

語尾をくっつけるというのは、漢字の部首をくっつけるのと同じような感覚。

魚が左に付くものはすべて魚の名前を表す漢字だと一目で分かりますが、その感覚で動詞を完成させていきます。

こうして動詞を変化させていくと、時制を考慮して現在形と未来形では6通り、過去進行形と過去形では13通り、未来進行形では16通り、あわせて最高54通りの動詞の形がたった1つの動詞に存在します。動詞で人称と時制をまとめて一度に表すため、こんなに組み合わせが出来てしまうのですね。

でも仕組み自体は目に見えるルールなので、それ程ややこしくありません。

また人称を表す単語自体は存在しますが、動詞の語尾で判断できてしまうので普段は省略されることが多いです。

こぼれ話
実は日本語でも位相語という、これと似たようなものがあります。ポーランド語のように動詞につくわけではありませんが、例えば、「〜でよくてよ」「〜じゃ」「〜だぜ」といった文 末につく表現がそう。これだけでは人称までは分かりませんが、こういった位相語を使うと話し手の性別や特徴(「〜よくてよ」であればお金持ちの女性=お嬢 様とか)までもが分かってしまいます。ただ、これら全てが実際に使われることはあまりありませんが、マンガなどではよく使われる日本語の面白い特徴かもしれません。

 

他にもこまかい規則はあるのですが、概要はここまでとします。

でも思考を変えると、ここまで形を変化させることができるからこそ、文の意味をより鮮明にハッキリ捉えることが出来るという見方もできます。

次の記事では英語と比較した時のポーランド語の易しい部分をまとめました。

ポーランド語は超難解言語ではありません 後編

2015.11.02

 

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あやか
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